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2021/09/13

実直な積み重ねの結果?! 藤井風「きらり」のロングヒット

 ここしばらくリリースラッシュが続き波乱気味だったBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”だが、2021年9月8日発表分のチャートでは首位のSKE48以外はロングヒット勢が上位を占めた。いずれも長期戦となりそうな楽曲ばかりだが、今回注目したいのが10位にチャートインしている藤井風の「きらり」だ(【表1】)。

 2020年にメジャーデビューした藤井風の活躍ぶりは言うまでもないだろう。コロナ禍における様々な制約がありながら颯爽とヒットを飛ばす様子には、勇気付けられたファンも多いはずだ。この「きらり」は、配信シングルとして5月3日にリリースされ、5月12日発表のHot 100で2位を記録している。これまでの彼の楽曲としても最高位であり、まさに代表曲と言われてもおかしくない一曲だ。車のCMタイアップの影響もあるが、あくまでもアーティストパワーであることは間違いない。

 チャートアクションの特徴に関しては、これまでとはさほど変化はない。ダウンロードとストリーミング、そしてYouTubeの動画再生数といった配信によって、しっかりとポイントを稼いでいる。もともと動画配信でブレイクしたこともあり、MVを含めたYouTubeでの展開はお手のものといってもいいだろう。加えて彼の場合はラジオのオンエア回数が多いのも特徴だ。通常はリリースタイミングだけでラジオのオンエアのピークは終わってしまうが、この曲に関しては多少の変動はあってもコンスタントにポイントを重ねており、今週も先週の53位から36位にまで再浮上している。これには先日行われた無観客ライブに関する露出の影響も大きいだろうが、ラジオを始めとする媒体での評価の高さも強みとなっている。おそらくラジオ関係者のシンパも相当いるだろうし、実際にラジオで彼の曲を聴く機会はかなり多い。

 こうやって分析してみても、藤井風のチャート戦略はなんら珍しいことはしていない。いい曲を作り、クオリティの高いMVを公開し、きっちりとプロモーション活動を行い、常にファンに話題を提供する。こういった真摯な活動が実を結び、ロングヒットにつながるのではないだろうか。

Text:栗本斉

◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。

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