Billboard JAPAN


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2021/09/06 13:00

押さえるべきは再生回数?! BE:FIRST「Shining One」

 2021年9月1日発表のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”は先週に続き大きく変動。上位2曲が初登場曲となり、ロングヒットの作品群とせめぎ合っている状況だ。そんな中、先週初登場で2位を獲得したBE:FIRSTの「Shining One」が、今週も9位と健闘している(【表1】)。アイドルやボーイズグループ系は、初動の後に大幅ランクダウンという傾向があるが、この曲は2週連続トップ10入りしているのだから優秀だ。

 BE:FIRSTは、今年の4月に始まったSKY-HIがプロデュースするオーディション番組『THE FIRST』の中で結成されたグループである。この番組自体はHuluやYouTubeでの配信だが、定期的に日本テレビ系の『スッキリ』でも特集されており、メディア露出や知名度は申し分ない。このデビュー曲は、SKY-HI、m-floの☆Taku Takahashi、Jazzin'parkの栗原暁という豪華な面々がクレジットされているということもあり、4か月で結果を出しリリースするというスピード感も相まって、番組を観ていた視聴者にとっては期待の一曲といってもいい。よって、先週Hot 100で2位を獲得したのも当然といってもいいだろう。

 ではなぜ2週目もしっかりと上位をキープできているのかというと、ストリーミングと動画再生数を軸にしているからではないだろうか。テレビから登場した彼らは、当然映像との親和性は高い。MVの再生数は現時点ですでに1200万回近くまで伸びており、動画再生数は2週連続1位という結果を生み出している。おそらくいかに再生数を伸ばすかを意識して、質の高い映像を作ったのだろう。

 また、ストリーミングでも2位から15位へと推移したとはいえ、ずっと聴き続けられていることも大きな要素だ。もしかしたらフィジカルのCDをリリースしていれば、初動のポイントはもっと増えたかもしれないが、配信に限定することで音源及び動画の再生回数を稼ぐことに集中できた。この数字は来週以降どうなるかはなんとも言えないが、継続した話題作りができれば再浮上してもおかしくないだろう。逆にフィジカルに甘んじていれば、今週は一気に下降していた可能性もある。このあたりは賭けかもしれないが、この結果を見る限り英断だったのではないだろうか。

 フィジカルに頼らず再生回数にこだわるのは、BTSを始めとするK-POPが得意とする手法だ。もちろん楽曲やMVのクオリティ次第ではあるが、BE:FIRSTはその第一段階をクリアできた。今後どのようにチャートを推移するのか、また次作でどのような勝負をかけるのかはこの結果を見て検討されることだろう。彼らの動向に今後も注目しておきたい。

Text:栗本斉

◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。