2013/02/20
2012年の【FUJI ROCK FESTIVAL】レッド・マーキーにて午後一の時間帯、機材トラブルにも関わらず、観客を熱狂の渦に巻き込んだヴォーカル/ギターのブライアン・キングとドラムのデヴィッド・プラウズによるガレージ・ロック・デュオ、ジャパンドロイズの初となる単独ツアーの東京公演が、2月18日に渋谷WWWにて行われた。
この日は、Dirty Beaches、Thee Oh Sees(こちらのライブも素晴らしいの一言だった!)など、ファン層が被るライブが多数行われていた為に、残念ながら会場一杯とはならなかったが、彼らはそんなことはまったく気にせず、集まった熱心な観客の為に現在までにリリースされているスタジオ・アルバム2枚の曲をほぼ完全に網羅した約90分に及ぶ気迫に満ちたライブ見せてくれた。
長めのイントロを経た「Adrenaline Nightshift」から、彼らにとって1stシングルとなった「Art Czars」、「ドラマーが歌うのが聴きたい?」とスタートした彼らの地元であるカナダ・ヴァンクーヴァーの音楽シーンについての「Rockers East Vancouver」などを始め、積み上げられたフェンダーのギター・アンプやベース・アンプからは、骨太でダイナミックなサウンドが次々とかき鳴らされ、デイヴが刻む強靭なビートとの壮絶なカタルシスによる低音でフロア全体が響くほどの重厚な音世界が繰り広げられる。
年間で200本以上のライブをこなしている事もあり、「Heart Sweats」や「Wet Hair」などの1stアルバム『Post-Nothing』からの曲は、これ以上纏まらないのではないかと思うほどタイト。その迫真のパフォーマンスとは裏腹に、ライブ中に一度も換える事がなかったギターに貼ってあるポラロイドについての観客からの問いかけに、ブライアンが「これは、今は亡き僕の祖父母の結婚式とハネームーンの写真だよ。彼らは、18歳で結婚して死ぬまで45年間一緒だったんだ。キュートでしょ。」という微笑ましい場面や演奏中と曲間で極端に緊張感が違うデイヴの癒しキャラ的要素など、このギャップもバンドの魅力の一つと言えるだろう。
「彼らは、もう活動していないから、この曲を生で聴けるのは僕たちのライブだけだよ。」というブライアンのMCからスタートしたのは、なんとMcluskyの「To Hell With Good Intentions」のカヴァー。「このバンドの存在がなければ、僕たちは今ここに居ない。」と語っていたように、バンド以前にいち音楽ファンというスタンスを前提としている彼ら。さすがファン心理をわかってるセレクト!そしてインディー・キッズにとって昨年のサマー・アンセムとなった「The House That Heaven Built」のイントロがスタートすると観客のテンションは最高潮となり、コーラスでは自然とシングアロングも沸き起こる。一気にヒートアップしたステージは、「Crazy/Forever」、最新作のラストを飾る「Continuous Thunder」など比較的なスローなナンバーを経て、「Young Hearts Spark Fire」へ突入。ラストは、待ちに待ったザ・ガン・クラブの「For The Love Of Ivy」のカヴァー。オリジナル、さらに彼らのレコーディングより数倍早いペースでアグレッシヴに演奏され、最後にブライアンがバスドラの上に登り、2人が寄り添う形でビシッとセットを締めた。
【FUJI ROCK FESTIVAL】出演時から半年も経っていないが、パフォーマンスはさらにダイナミズムとスケール感を増し、確実に進化していた。ライブ前に行われたインタビューでは、来月から始まるThe Gaslight Anthemのサポート・ツアーについて、これまでは連日小さなクラブでのギグが大半だったが、このツアーを機に、大きな会場を活かした2ピースならではのパフォーマンスに取り組んで行きたいと語っていた彼ら。初心を忘れず、未来へ向かってひたすら突き進んで行く。これからがジャパンドロイズにとっての本勝負なのだ。
【Japandroids Japan Tour 2013 セットリスト】
2013.02.18 渋谷WWW
Adrenaline Nightshift
Fire's Highway
Art Czars
The Boys Are Leaving Town
The Nights Of Wine And Roses
Rockers East Vancouver
Younger Us
Heart Sweats
Wet Hair
Evil's Sway
To Hell With Good Intentions (Mclusky cover)
The House That Heaven Built
Crazy/Forever
Sovereignty
Continuous Thunder
Young Hearts Spark Fire
For The Love Of Ivy (The Gun Club cover)
Photo: Teppei
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