2021/07/10 12:00
毎週激戦のHot 100だが、今回注目したいのが、7月7日発表のチャートで20位にランクインしている変態紳士クラブの「YOKAZE」(【表1】)。誰もがアーティスト名を見てインパクトを受けたと思うが、テレビの露出などもあって徐々に浸透し、すっかり市民権を得ていると言っていいだろう。
この「YOKAZE」は最近のヒットと思われているが、実は発表されたのは1年前。昨年の4月にリリースされたミニ・アルバム『HERO』に収録された一曲だ。もともとファンの間では評価が高く、その後1年はストリーミングで継続的に聴かれてはいたが、それほど目立った反応はなかった。風向きが変わったのはリリースから1年後。今年の5月に人気動画チャンネル「THE FIRST TAKE」に抜擢され、1日で100万回再生を達成。Hot 100では、5月5日発表分までは圏外だったが、5月12日発表分では63位、5月19日発表分では24位、5月26日発表分では彼らにとって最高位の17位まで上昇した。
グラフを見てみると動画再生数はもちろんだが、その動きに並走するかのごとくストリーミングの再生数も急上昇している。「THE FIRST TAKE」を見て気に入り、ストリーミングでも聴き始めたというファンが多いのだろう。もともと彼らはストリーミングに強く、そこで土台ができていたことも大きい。このヒットによりメディアでの露出が増え、「YOKAZE」は代表曲として認知され、後追いでラジオのオンエア回数も上昇している。また、5月14日配信、6月16日にフィジカル発売という絶好のタイミングでアルバム『ZURUMUKE』が重なったことも後押しとなった。
様々な要素が重なり、1年かけてヒット曲となった「YOKAZE」。ストリーミングの普及により、リバイバルヒットやロングヒットが当たり前となった今、今後はこういったヒット曲も増えることだろう。「YOKAZE」はその一例として非常に参考になるはずだ。Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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