2013/02/13 19:00
2010年の【FUJI ROCK FESTIVAL】レッド・マーキーにて伝説的なステージを見せ、昨年8月には2年ぶりとなる最新作『フレグラント・ワールド』をリリースしたNYブルックリン出身の異色のエキスぺリメンタル・ポップ・ユニット、イェーセイヤーが、2月12日に代官山UNITにて初となる東京公演を行った。
彼らの無国籍な音楽性を表すかのように、集まった観客も個性豊かで、通常のライブに比べ外国人率も格段と高い。コア・メンバーのアナンド、アイラ、クリスに、アロハのメンバーで、ジョーン・オブ・アークなどにも参加しているサポート・ドラマー、ケイル・パークスによる4人編成で行われた今回の来日公演。
サンプリングされた「Good Evening Tokyo」のループをバックにメンバーがステージに登場。ライブの序盤にピッタリな80年代のSF映画のオープニング・テーマを彷彿させる「Blue Paper」、従来の作風からは一味違うダークでダブステップ調の「Henrietta」、トリッピーでトリッキーなメロディとクリスのセクシーなヴォーカルが織りなす「Longevity」など、新作からのナンバーでゆっくり会場を盛り上げる。そして「ワタシタチハニューヨークノブルックリンカラキタイェーセイヤーデス。コンバンワ。」となんだかヘンテコな日本語がサンプリングされた演出が微笑ましいイェーセイヤー屈指のエレクトロ・パーティー・チューン「O.N.E.」では、待ってました~とばかりに観客は大盛り上がり、“Hold me like you used to~”のコーラスもバッチリで、会場は巨大なダンスフロアと化する。
メンバー全員がマルチ・インストゥルメンタリストの上に、曲に合わせ、クリス、アナンドによるメイン・ヴォーカルがシフトするスタイルも健在。そこにさらにアイラの歌声も加わったメンバー3人によるヴォーカル・ハーモニーが際立つ「Madder Red」などの曲も生で聴くと格別。「歌詞がわかっても、わからくてもいいよ~。適当に作ってとりあえず一緒に歌って!」との掛け声でスタートした「Ambling Alp」では、もちろん大合唱が沸き起こり、前回のフジロック後には1週間以上日本に滞在し、その魅力にすっかり虜となったクリスによる!!!のニックの髭ダンス、はたまたスパークスのロン・メイルのタップ・ダンスを彷彿させる不思議なダンスも炸裂。アルバム・リリース後からスタートしたワールド・ツアーの最終日だったこともあり、メンバーのテンションも観客の盛り上がりと共に加速、アンコールでは計4曲を披露。ラストは、デビュー作『All Hour Cymbals』よりトライバルなパーカションとアナンドによるエモーショナルなヴォーカルが印象的な「Wait For The Summer」で飾り、メンバー、観客共に感無量な面持ちでステージが終了。
無機質な音作りに肉体的なグルーヴィーさを融合させ、聴覚、視覚的にも観客を飽きさせることなく、見事に自分たちの世界観へ引き込んで行き、そこにいる誰しもが自然と音楽に反応していく。UNITという小さなクラブ空間でアーティスト、観客が一体となり、現在進行形のイェーセイヤーのまさに“ボーダーレス”な魅力を存分に味わえた約90分間に及ぶ濃厚なステージとなった。
Photo:Takayuki Mishima
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