2021/06/12
6月9日発表のHot 100は大激戦だ。BTS、米津玄師、V6、back numberというビッグ・アーティストが続々と新曲を発表したことで、ロングヒット中の優里やYOASOBIなどが順位を下げる結果となった。もちろんこれらの新曲は初動の強さもあるので、今後上位に残ることができるのかは、楽曲ごとで違うだろう。
その中で、間違いなく来週以降もトップを狙える位置にいる一曲といえるのが、米津玄師の「Pale Blue」だ(【表1】)。昨年8月のアルバム『STRAY SHEEP』以来の新曲であり、いわゆるシングルとしては2年前の「馬と鹿」以来、約2年ぶりとなる。それだけでも話題性は高いが、この曲はすでに放映されているドラマ『リコカツ』の主題歌として使用されており、5月31日に配信がスタートしたばかり。Hot 100ではBTSに首位を譲って2位だが、本当の勝負はこれからだ。というのも、フィジカルのCDリリースが6月16日に控えており、間違いなくトップ圏内となるからだ。
「Pale Blue」は久々の新曲とはいえ、過去の事例を見ればどういうチャート・アクションをしていくのかがある程度予想できる。例えば前作「馬と鹿」の動きは大いに参考になるだろう(【表2】)。この時も、先行配信の後にフィジカルのCDリリースがあった。配信直後の初登場は今回と同じく2位、CD発売直後の9月18日発表のチャートでは首位を獲得している。そして、ダウンロードやストリーミング、動画再生などで圧倒的な強さを見せ、CD売上が少し下降し始めたころには、カラオケのポイントが入れ替わるように上昇。そして、20週以上もの間、ベスト20にとどまっていたのだ。
もしかしたら状況は変わっているかもしれないのだが、「Pale Blue」もほぼ同じ動きになることが予想できるだろう。あとは、どのようなプロモーションを行い、ロングヒットさせていくのかが大きな課題だ。今後の展開に関しては、米津玄師ならではの話題性の高いアクションに期待したい。Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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