2021/06/05 12:00
先日、Billboard Japanの今年の上半期チャートが発表された。Hot 100は優里の「ドライフラワー」が圧倒的な強さで首位となったが、この曲に代表されるような配信メインでSNS経由のヒットがどんどん増えているという印象だ。もちろん、LiSAや菅田将暉のように、旧来通りしっかりとフィジカルのCDもリリースするアーティストはいるが、ここ数年で登場して一気にブレイクしたYOASOBI、Ado、Eveなどの楽曲は、数年までは考えられないタイプのヒット曲の形といえるだろう。
一方、Hot Albumsを見てみると、それなりに予想がつくアーティストが並んでいる。SixTONESやHey! Say! JUMPなどのジャニーズ系や、BTS、NNCT 127といった韓流のボーイズグループが過半数を占めている。その合間合間に、Mr.Children、宇多田ヒカル、米津玄師などのコンスタントにヒットを出し続けているビッグ・アーティストの最新作が並ぶという構図だ。
この上半期チャートで読み取りたいのは、アーティストが今後どのようにヒットを作り上げていけばいいのかということ。新しい世代のアーティスト、それもTikTokやストリーミングを利用して攻めていくアーティストは、どこかで起爆剤を作ることが重要だし、いったんヒットのレールに乗るとロングタームでチャートを推移することが多い。それは、ストリーミングを行わないジャニーズ系やベテランアーティストにはうまく当てはまらないやり方だ。しかしその一方で、アルバムに関していえば、やはりコアファンが初動でしっかりとフィジカルのCDを買ってくれるのは心強いし、そこからレンタルなどに派生してロングヒットになることもある。
どちらがいいということでなく、ヒットの図式は刻々と変化している。チャートを攻略するには、ひとつのやり方に固執するのではなく、柔軟に時代を見据えて対応していくことが大事なのだ。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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