2010/01/21
フランス人のシンガーCHARLOTTE GAINSBOURGは、先月の『BILLBOARD MAGAZINE』で1/26に全米で発売されるアルバム『IRM』について触れ、コラボレーターのBECKについて熱く語っていた。数週間に渡るBECKとのスタジオ作業は緊張感みなぎるものだったが、非常に実り多いものだったそうで、彼女の音楽に新たな方向性をもたらしてくれたとコメントしている。
しかしライヴ・パフォーマンスについての話題になると声のトーンは落ち、「ライヴは経験がないので、とてもナーバスになってるわ。スタジオで尊敬している誰かと一緒に作業するのはとても心地良いんだけど、ライヴとなると話は別。すごくやりたいとは思っているものの、自分にちゃんとこなせるのかどうか自信がなくて・・・」と弱気な発言をしていた。
ベテラン・エンターテイナーの口からこのような気弱な言葉が出てくるとは、謙虚さを見せるためのお芝居なのではないかと疑ってしまいたくなるほどだ。事実、彼女は伝説的な俳優でシンガーのSERGE GAINSBOUGHと、同じく女優でシンガーのJANE BIRKINの娘であり、自身も2009年のカンヌ映画際で主演女優賞を獲得するほどの大物女優として知られている存在なのだから。
そんな彼女が、1/19(火)についにアメリカ初となるライヴをNYブルックリンのBELL HOUSEで敢行。オープニングでは「ハロー」と一声発しただけでパフォーマンスへと突入し、数曲が終了すると「みんな、どう?」と声を掛けるなど硬さは見られたものの、懸命にステージをこなす彼女の姿には観客も引き込まれていったようだ。
そして彼女の自然でソフトな歌声、バランスの良さ、相手をなごませる持ち前の魅力はもちろん、楽曲の良さと強力なバンドの存在によってライヴは好ましい方向へと導かれていった。演奏曲目のほとんどは、BECKの作曲・プロデュースによるニュー・アルバムからのもので、シンセサイザーやパーカッションを駆使した複雑でエネルギッシュな響きで、2006年にリリースした『5:55』よりも遥かに広がりのあるサウンドを実現していた。
ステージを去る前、GAINSBOURGはファンに向かって優雅に挨拶。「今日は来てくれてありがとう。今夜はNYで初めてのライヴでした。一生忘れないでしょう」と言葉を掛けると、会場のファンの1人が花束を彼女に手渡すといった微笑ましい一幕も見られた。会場のファンは、この日のステージを明らかに楽しんでいたし、GAINSBOURGにとっても大きな収穫になったことは間違いない。
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