昨年末に「このマンガがすごい！2009」（オンナ編）で1位を獲得し、いま人気急上昇中のコミック「坂道のアポロン」。1966年の九州を舞台にひ弱なインテリ・薫と札付きの悪・千太郎が織り成す直球青春物語だ。
物語の中にはピアニスト薫とドラマー千太郎を中心としたジャズの演奏シーンや、アート・ブレイキーやチェット・ベイカー、ビル・エヴァンスといった実在のミュージシャンの名前や曲名が登場する。ロックやクラシックを題材にした少女まんがは過去にあったが、モダン・ジャズを扱ったものは大変珍しいだろう。

この「坂道のアポロン」の初のオリジナル・サウンドトラックが9月16日、EMIミュージック・ジャパンから発売されることになった。アルバム・ジャケットは作者・小玉ユキ氏による書き下ろし。収録楽曲も小玉氏自ら選曲、「テーマ曲といってしまいたいくらい重要な曲」というアート・ブレイキー＆ザ・ジャズ・メッセンジャーズの「モーニン」をはじめ、チェット・ベイカー「バット・ノット・フォー・ミー」、ジョン・コルトレーン「ブルー・トレイン」などモダン・ジャズの時代を築いた巨人たちの名演を収録。更に日本の若手NO.1ジャズ・グループ、quasimode（クオシモード）がサントラのために「いつか王子様が」「マイ・フェイヴァリット・シングス」の2曲を新録音し参加していることも大きな話題となるだろう。

小玉ユキ氏はこのサントラについて次のようにコメントしている。「このＣＤに入っている名演の数々を聴きながらまんがを読んで頂けたら、最高に幸せです。また、ジャズに興味のなかった方や、何から聴いていいかわからなかった方にも、入門編として楽しんで頂けるといいなと思っています。」

サントラの発売より一足先に、作中に登場する楽曲「モーニン」のスペシャルビデオクリップの配信が「レコチョク」、「モバえみ」他携帯着うた(R)配信主要サイトにて8月10日からスタートした。このビデオクリップでは、イメージ画像としてまんがのイラストが使用されている従来のビデオクリップとは違い、ケータイコミックで楽しむように原作の内容が音楽と共にコマ送りで楽しめる。「坂道のアポロン」の秀逸なダイジェスト版とも言える出来に仕上がっているのでファンならずとも要チェックだ。

薫や千太郎たちが聴いた音・奏でた曲をサントラで聴いてコミックを読むと、更に『坂道のアポロン』の世界にぐっと入り込むことができるだろう。モダン・ジャズの名曲満載なこのサントラを通じて、コミック・ファンの女の子たちとジャズ好きなお父さんたちが一緒に盛り上がる日も近い！？


『坂道のアポロン　オリジナル・サウンドトラック』
2009年9月16日発売　TOCJ-66523　1,800円(税込)

【アルバム収録曲】
01. モーニン/アート・ブレイキー＆ザ・ジャズ・メッセンジャーズ
02. ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ/ホレス・シルヴァー
03. いつか王子様が/quasimode ※新録音
04. チュニジアの夜/アート・ブレイキー
05. バット・ノット・フォー・ミー/チェット・ベイカー 　
06. アス・スリー/ホレス・パーラン
07. ラヴ・フォー・セール/キャノンボール・アダレイ
08. イージー・トゥ・ラヴ/サラ・ヴォーン
09. マイ・フェイヴァリット・シングス/quasimode ※新録音
10. バグス・グルーヴ/ミルト・ジャクソン
11. ブルー・トレイン/ジョン・コルトレーン
12. マイ・ファニー・ヴァレンタイン/ビル・エヴァンス＆ジム・ホール

EMIミュージック・ジャパン　SoundTown Jazz
http://www.emij.jp/jazz/ (ＰＣ/携帯）