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2011/09/12

■V.A.■ 音楽業界の9/11を振り返る

2001年9月11日晩夏の素晴らしい朝、ニューヨークでのことだった。

空には雲ひとつなく、アメリカ東部リーグではヤンキーズが2位のボストン・レッド・ソックスを13試合リードしていた。興行成績の1位はピーター・ハイムズの『ザ・マスケティーア』とロマンチック・コメディの『トゥ・キャン・プレイ・ザット・ゲーム』だった。

世界貿易センターで、ボーダーズのスタッフはその日発売されるジェイ-Zの『ザ・ブループリント』とニッケルバックの『シルバー・サイド・アップ』、ボブ・ディランの『ラヴ・アンド・シーフ』、マライア・キャリーの『グリッター』サントラで忙しくなりそうな一日の準備をしていた。

グラスノート・エンターテインメント・グループの代表で当時アルテミス・レコーズの社長だったダニエル・グラスは仕事の前のジョギングをしていた。ユニオン・スクエアの地下鉄の駅を出たとき、彼は何かがおかしいことにすぐに気づいた。「何千人もの人々がダウンタウンを見つめていました。その日まで私はそこから世界貿易センターの建物が見えることに気づいていなかったのです」

1540ブロードウェイのRCAレコーズで当時代表者だったボブ・ジェミーソンは世界貿易センターに飛行機が突っ込んだというTVレポートを見ていて、ホールの反対側からローワー・マンハッタンがよく見えることに気づいた。そこからノースタワーのてっぺんが煙に包まれているのが見えた。

「私はそこに立って窓から世界貿易センターを見ていました。すると次の飛行機がもうひとつのタワーに飛んでいくのが見えたのです。それがぶつかったとき。私は椅子に座り込んでしまいました」

1時間後、J&Rミュージック&コンピューター・ワールドのマネージャー、マーティ・シンガーはシティ・ホールの近くにあるダウンタウン・マンハッタンの店の外に立って、ツインタワーから飛び降りてくる人々を見た恐怖におののいていた。

 突然、サウスタワーが揺れ始めた。黒い煙と埃の巨大な雲がそこからその店に向かって爆発し始めた。「真夜中のように真っ暗で、まっすぐ私たちに向かって来たんです」

一時間半のち、ノースタワーが倒れ、地獄のような光景が繰り返された。

TVはハイジャックされた飛行機がペンタゴンに突っ込もうとして、ペンシルバニア州シャンクスヴィル近くの野原に落下したというニュースを繰り返していた。テロ攻撃の大きさが明らかになり、巻き込まれた人々に関心が向けられるようになった。

ニューバリー・コミックス代表のマイク・ドリースはその朝ボストンのローガン国際空港を発ってマイアミに向かう飛行機に乗っていた。彼の飛行機はローガン国際空港を出発してサウスタワーにぶつかった飛行機の45分後に着陸した。

「みんなボストンからの飛行機がハイジャックされたと聞いていたので、私から連絡を受けて安心していたよ」というドリースは真っ先に妻に電話したという。

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