2009/08/01
ニューヨークのラップ・グループTHE BEASTIE BOYSが1994年にリリースした4作目のスタジオ・アルバム『ILL COMMUNICATION』は、ヒップホップ、パンク、サイケデリック・ジャムと幅広い音楽テイストをカバーしたアルバムであり、それらの見事な融合はアルバムからのヒット・シングル「SABOTAGE」で完璧な形となって表現された。「SURE SHOT」、「ROOT DOWN」、そしてラッパーのQ-TIPをフィーチャーした「GET IT TOGETHER」などで聴くことができる、メンバーが“総当り”でライムを展開するBEASTIE独自のスタイルは、このアルバムではまだ最高にファンキーなハイライトとしての存在感は放っていない。しかしデジタル・リマスターが施されたことでサウンドには暖か味と新鮮さが加わり、歌詞、サンプリング、制作のすべてにおいて縫い目のない引き締まった作品として、BEASTIEのアルバムの中で最も成熟した満足度の高い1枚に仕上がっている。そしてボーナス・ディスクに収録された楽曲はどれも“中途半端なガラクタ”という印象だが、「ROOT DOWN」のリミックスおよび「HEART ATTACK MAN」と「THE MAESTRO」のライヴ・ヴァージョンだけは例外で、彼らの血管の中をアドレナリンが脈打つように流れる音が聞こえてくるようだ。
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