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モリッシー インタビュー
1982年に結成されたザ・スミスのフロントマン/ソングライターとしてデビューを果たし、ソロ・アーティストとしても数々の不朽の名曲を生んできたモリッシー。2009年にリリースされた『イヤーズ・オブ・リフューザル』からレコード契約がなかった彼だが、今年1月にキャピトル・レコードの傘下にあるハーヴェスト・レコーズと契約を交わし、現在パリにて新作のレコーディングに取り組んでいる彼にBillboard.comが直撃。毒舌家(?)として知られる彼が真面目にインタビューに応えるわけもなく、独特のユーモアで華麗に質問をかわしつつも、新たなレコード契約、昨年出版され世界中で絶賛された自叙伝、ザ・スミスの再結成まで、様々な質問に答えてくれた。
今、フランスでニュー・アルバムをレコーディングしているところだ
でもきっと君はザ・スミスの話がしたいんだろう?
??ハイ、モリッシー。このインタビューの為に時間を割いてくれてありがとうございます。現在どこにいらっしゃるんですか?
モリッシー:今、フランスでニュー・アルバムをレコーディングしているところだ。でもきっと君はザ・スミスの話がしたいんだろう?
??名前が挙がったということで…今年の2月20日でザ・スミスのデビュー・アルバムがリリースされてから30年ですが、どのように祝いましたか?
モリッシー:30年しか経ってないのか?60年ぐらいしか経っていないような気がするが。
??以前お話を伺った際に、名門レーベルからいいオファーが来るより「雷に打たれる確率の方が高いんじゃないか」とおっしゃっていましたが、キャピトル・レコードの傘下にあるハーヴェスト・レコーズとアルバムを2枚リリースする契約を結びましたよね。この契約は、どのようにして決まったのですか?
モリッシー:キャピトル・レコードのスティーヴ・バーネットが契約書を持ってきて、「レッツゴー」って言ったんだ。だからそれに従った。単刀直入に切り出してくれる方が、いつだって効率がいいよな。
??前作から約5年となりますが、過去数年間の試練や功績は、自身の音楽にどのような影響を及ぼしていますか?
モリッシー:いいことも悪いことも、書き留めねばならない。人生は至って真面目なものだ。何故そうじゃないふりをする必要があるんだ?セックスについてしか歌えないモダン・ポップ・シンガーたちは愉快だな…まるで、この世の他のことはまったく関心がないようだ。
??功績と言えば、待望の自叙伝が昨年やっと出版され、あっという間に世界的ベストセラーになり、14か国語に翻訳されました。本が成功した事に対して、どれほど驚きましたか?
モリッシー:7位でも無謀なんじゃないか、と思っていたら、1位になった。それも5週連続だ…息が止まるような思いだった。想像していた何倍以上も売れたからね。
▲ "I'm Throwing My Arms Around Paris"
??現在小説を書いている、という報道も耳にしますが、これは本当ですか?もしそうであれば、何について書いているのですか?
モリッシー:頭が見えないうちは、赤子を洗礼することは出来ない。なぜだか、よくない気がするからな。
??2013年には、ツアーをキャンセルせざるを得ないほどの病気を、幾度か患いましたが、まだ具合は芳しくないのですか?
モリッシー:まぁ、今のところイースターまでは大丈夫と言われてるよ。あまりいい年だったとは言えんな。病院に入りびたりで、医者が俺の顔を見るのを死ぬほど嫌がってたぐらいだ。病院のベッドで横たわり、年を重ねることほど、最悪なことはない。それも病院食を食べて良くなるなんて、なおさらだ。もし病気で死ななければ、病院食がその役割を果たしてくれるようなもんだ。その為にあるんだから。とは言え、ガタがくる時期だったんだと思うね。もう何年も延び延びになっていたことだ。
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Photo: WireImage
近い将来、チーズバーガーを食べることは、
教会でタバコを吸うのと同じように違法行為なるはずだ
▲ "Irish Blood, English Heart"
??次のツアーでは、トム・ジョーンズがLA、そしてサー・クリフ・リチャードにオープニングを飾ってもらうですが、この“ベテラン・フロントマン”2人のどのような部分に一番感心させられますか?
モリッシー:ベテランというのは、“年寄り”をやさしく表現した言葉だよな?それが俺の見解だが、スタイルは何においても重要だ。トムとクリフは、この点では完璧に適してる。年齢は、まったく関係ない。ソファに溶けこむような服しか買わない19歳のデブが、何百人といるわけだからな。
??昨年LAのステイプルズ・センターでコンサートを行った際に、会場内を完全に“ヴェジタリアン”にしてほしいと指示しましたよね。次にアメリカでツアーをする時も、そういった契約を会場と交わすのですか?
モリッシー:今は会場のブッキングをする時に、スタンダードな条件になってる。思うほど変わったことではないし、会場側も理解を示してくれてる。現代の社会で、肉を食すことは、動物にとって、地球にとって“殺し”で、最終的には消費者を殺す行為だということが認識されている。近い将来、チーズバーガーを食べることは、教会でタバコを吸うのと同じように違法行為なるはずだ。そうなる日は、人類にとって素晴らしい日だ。
??最近ファンサイト“True to You”で、あなたは動物を食すことを小児性愛と比べていました。行き過ぎているんじゃないか、と感じる人々もいると思うのですが、自身の意見を援護して頂けますか?
モリッシー:自分の意見を援護する必要なんてない。動物を食べることは、その生き物を精神的に、そして物理的にレイプするのと同じだ。乳房を食べ…、その尻も…、性器を切り取る…、どちらの観点からみても、動物を食べることは、極限のヴァイオレンスだ。
??物議を醸すような意見を述べることは稀ではないですが、ジャーナリストに話したことで後悔していることはありますか?
モリッシー:俺は、そこまで物議を醸すよう人間じゃないし、自分が思っていることしか発言していない。自分を取り巻く人々の中で、自分の意見が特別だとは感じない。脳内が1957年で止まってれば、そう思うかもしれないが。
▲ "The Boy With The Thorn In His Side"
??最近、音楽界ではビートルズのアメリカ・デビュー50年を祝っていますが、この“素晴らしい”4人から、音楽的に、あるいは他の面で影響は受けましたか?
モリッシー:彼らの曲で4曲は素晴らしいと思うものがある。自分にとって、とあるバンドが4曲も素晴らしい曲を与えてくれるのであれば、俺にはそれで十分だ。でもビートルズに影響されたか?と訊かれたら、答えはノーだ。
??未だに、ザ・スミスの再結成を懇願するファンも多くいると思いますが、あなた自身、最近活動しているないバンドやパフォーマーで再びステージに上がって欲しいと思う人はいますか?
モリッシー:ザ・スミスに再結成してほしいなんて思ってる奴、俺は一人も知らないぜ!また観たいなんて思うバンドはいない。何故なら自分の記憶に残っているのは、全盛期だった頃、またはバンドとして最高だった頃、それか絶望的な頃で、そうではなくなったものを見てもしかたがないことだからだ。
??最近プリンスが、自身のことを優れた卓球プレーヤーだと話していましたが、モリッシーにもあっと驚くような秘めた特技がありますか?
モリッシー:俺も優れた卓球プレーヤーだ。
??今朝起きて、一番気がかりだったことは?
モリッシー:ウクライナ。何故ニュースのレポーターは人々のことを“protestor(抗議者)”と呼ぶんだ?国民だぞ。政府が反逆してるんじゃないか、まったく馬鹿馬鹿しい世の中だ。
??では最後に、1984年の自分に誰かがしてくれればよかったと思うアドヴァイスは?
モリッシー:You should always judge a book by its cover. (いつだって外見で中身を判断しろ。)
Q&A by M. Tye Comer / 2014年2月27日 Billboard.com掲載
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モリッシー25ライヴ {ジャパニーズ・エディション}
2013/11/27 RELEASE
KIBF-1218 ¥ 4,180(税込)
Disc01
- 01.アルマ・マターズ
- 02.ウィジャボード・ウィジャボード
- 03.アイリッシュ・ブラッド・イングリッシュ・ハート
- 04.ユー・ハブ・キルド・ミー
- 05.モンスターが生まれる11月
- 06.マルアジャスティッド
- 07.ユー・アー・ザ・ワン・フォー・ミー・ファティー
- 08.スティル・イル
- 09.ピープル・アー・ザ・セイム・エブリウェア
- 10.スピードウェイ
- 11.ザット・ジョーク・イズント・ファニー・エニィモア
- 12.トゥ・ギブ(ザ・リーズン・アイ・リブ)
- 13.ミート・イズ・マーダー
- 14.プリーズ・プリーズ・プリーズ・レット・ミー・ゲット・ホワット・アイ・ウォント
- 15.アクション・イズ・マイ・ミドル・ネーム
- 16.エブリデイ・イズ・ライク・サンデー
- 17.アイム・スロウイング・マイ・アームス・アラウンド・パリス
- 18.レット・ミー・キス・ユー
- 19.心に茨を持つ少年 <アンコール>
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