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家入レオ 『a boy』インタビュー
家入レオ、19歳。大嫌いだった大人になる。守る為に。
大人は大嫌い。信用できないと泣いていたかつての少女が、2ndアルバム『a boy』を制作していく過程の中で「大人になろう」と、覚悟を決めた。理由は、守るため。今、家入レオの音楽に涙し、笑顔を浮かべてくれるファンのことを、その人たちと生み出した世界を守りたいから。初めて“守りたい”ものができた彼女の真っ直ぐすぎる想いをここに記録する。
家入レオと尾崎豊「守りたいものができたから、大人になろう」
--2ndアルバム『a boy』。どんな作品になったなと感じていますか?
家入レオ:自分にとってこの一枚はかなり大きいというか、ここから世界観が更に広がっていくんだろうなって。大嫌いだった大人に自分がなろうと思ったこと。それは今までの自分とは大きな違いなので。
--前作『LEO』には子供ゆえの鋭さやエモーション、同時に初々しさにも満ちていましたが、今回は歌詞もアレンジも洗練されてますよね。明らかに大人になってる。これは意図的ではなく、結果的に?
家入レオ:結果的にです。私「アルバムをリリースするんで、アルバムを作ろう」っていうやり方があんまり好きではなくて。やっぱり曲は自分の想いがあって作られるものだと思うので……忙しくなってくるとそういう作り方も難しくなっていくかもしれないけど、私は13歳のときからやりきれない葛藤とか痛みがあって曲を作り出してきたので、リリースするから作らなきゃ、やらなきゃっていう精神が好きじゃなくて。なので、月に何曲ずつか上げていく中で、アルバムリリースのお話をもらって、「19歳で発表するアルバムならこういう曲だな」っていう感じで選んでいったんです。
--かつて大人を嫌っていた女の子が、様々な体験や感情を経て、いろんなものを肯定していくことを知って、ひとりの大人へと成長していったんだなと、今作から感じ取って目頭が熱くなりました。
家入レオ:ありがとうございます。この一枚を作れてすごく幸せです。前の私のままだったら“2ndアルバム”と言いながらも『LEO』の延長線のようなアルバムしか作れてなかったと思う。でもいろんなボキャブラリーを増やすことができて、それはツアーでの出来事が大きかったんですけど、自分の為だけに歌っていたところから「みんなに届けたい」っていう気持ちになれたので。
--あそこまでいろんなことに抗っていた自分が、なんでこんな風に「見る者すべて愛しく想う」と歌ったり、大人の女性になれたんだと思います?
家入レオ:どうだろう? まだ「なれた」とは言えないんですよね。「なろう」と決意した。1stアルバム『LEO』を制作したときは、本当に大人が嫌いで。すぐに言うことが変わるし、負け方を教えてくるし……
--負け方?
家入レオ:小学生のときって一等賞になれないと思っても、頑張って獲ろうとすることに意味があるって教えるのに、大人になると「あの人を勝たせてあげなくちゃダメなんだよ」って、わざと途中で転んだりしなくちゃいけないって回りくどく教えられたときに「大人ってこういう生き物なんだ?」って。でも独りにはされたくないから、自分のことを傷付けてみたりとか、壊してみたりとかして。大人のことは大嫌いなのに、なんかいつも私ばっかりが大人に片想いしている気分になって、すごく切なかったんですよ。それは『LEO』で表現することができたんですけど、そこからツアーに出ていくことになったときも「受け止めてもらえるのかな?」ってすごく怖くって。
--それが本音をぶつける怖さですよね。
家入レオ:デビューして分かったことなんですけど、表に出ると嬉しい反応もあるけど、スポットライトに当たる分だけ影は濃くなっていく。やっぱり私のことを嫌いって言う人もいるし。それを見るかどうか、日常では選べるんですよ。私がパソコン開かなければいい話だし、ツイッター見なければいい話だし。でもライブはそういう訳にはいかないんですよ。フィルターなしで直接反応が来ちゃうから、セットリストの最後までそこにいるっていう状況だから、最初のツアーはすごく怖くて。
--そんな風に感じていたんですね。
家入レオ:でも歌い終わってそーっと目を開いたとき、本当に笑顔になってくれている人がいたり、涙してくださっている方たちがいて。デビュー2年目でおこがましいかもしれないけど、その人たちを、その雰囲気を守っていきたいなと思ったんですよ。小さい頃は「ここにいたい」「この友達といたい」「この家にいたい」と言っても、結局は大人の環境や大人の事情で子供は左右されるしかなかった。それで今、自分が19歳になって「守りたい」と思うものができたとき、どうすれば守れるかって言ったら、やっぱり大人になることだったんです。本当に守りたいものができたから、大人になろうと思った。そういう覚悟を持ちたいなって。
--でも家入さんの言葉を借りるなら、大人は汚いものです。
家入レオ:だからその汚い部分も受け入れていこうって。今まで私は子供だったから、子供が知らなくてもいいように大人が守ってくれていた部分はあったと思うんですけど、汚さすらも受け入れていくことだと思うんですよね。大人になるって。だから“大人になります”ってリリースするときのアルバムは、綺麗な曲ばかりにしたくないっていう気持ちが一番強くて。世界の裏の争いだったりを次は私が知っていくことで、まだ知らなくていい子たちを守っていかなくちゃいけない。知らないと守れないから。
--学生時代の話とか聞いていると、いつまで経っても大人になれない、中二病を煩った大人になってもおかしくなかった訳じゃないですか。どうしてそっちには行かなかったんでしょうね?
家入レオ:大人って悪い人ばっかりじゃないんだと思ったから。子供もそうだし、大人もそうなんだなとか。悪い人もいれば、いい人もいるんだなとか。あとは「大人になりたくない」という想いを「守りたい」という想いは遥かに超えちゃうんですよ。あの人たちやあの雰囲気を守る為だったらいい!って思えちゃうから。
--懸命に大人になろうとしている最中。
家入レオ:だから『a boy』というタイトルにしたんです。覚悟を持って大人になろうとしている感じ。男の子はいつか声変わりする。その声変わりの時期は選べないし、避けて通れない。それでも凛として生きてる男の子の姿には憂いや切なさを感じるし、大人になる覚悟を決める感覚に重なったんですよね。
--今日ここまでの話を聞いて、やっぱり尾崎豊的な感性を持っている人なんだなと思いました。あの人って大人を嫌っていたイメージも強いですけど、その反面で必死に大人になろうとしていたじゃないですか。それこそ「見る者すべて愛しく想う」感覚も持っていた人だと思いますし。ファンとしてはどう思う?
家入レオ:尾崎さんは大人になるタイミングを逃しちゃったんだと思う。すごく優しくて、すごく純粋な方だったって私は思うんですよ。だから「尾崎!」ってみんなから求められたことに応えようとしていたんだと思うし、大人への反抗心を歌って評価されていた人だから、大人へのステップをどうしても登れなかったんじゃないのかなって。でもすごく偉大な人だと思います。自分の人生を……、それこそ守りきったんじゃないかな。尾崎豊さんを信じる人たちすべてを。これはあくまで私個人の意見ですけど。
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リリース情報
a boy
- 2014/02/19 RELEASE
- 初回限定盤[VIZL-641(CD+DVD)]
- 定価:¥3,570(tax in.)
- ≪試聴可能≫
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関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
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