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Do As Infinity 『JIDAISHIN』インタビュー
8月7日より、着うた(R)配信サイトmu-mo超先行で「JIDAISHIN」着うた(R)が配信。同日よりスタートする国内唯一にして最大級の野外ライブ・サーキット【a-nation'10 powered by ウイダーinゼリー】でも披露されるということで、伴 都美子(vo)と大渡 亮(g)に新曲について一番速い独占インタビューを敢行した。Do Asの“今”がよく分かる内容になっているので、ぜひチェックしてもらいたい。
伴 都美子、涙の真相。ツイッターを始めた理由。
--先日終えたばかりの全国ツアー【Do As Infinity LIVE TOUR 2010 ~ETERNAL FLAME~】。2人にとってどんなツアーになりましたか?
伴 都美子:率直な感想としては、あっという間でしたね。各会場、初めて観に来るお客さんもいらっしゃって。初めて行く場所もあったし、やり甲斐がありましたね。楽しかった。
大渡 亮:再結成してからバタバタとライブしてきて、最初はまた再びDo As Infinityがやれる喜びや楽しさがあって、お客さんの温かさを感じる。そんな感じだったんですけど、今回のツアーは“復活”や“再始動”のムードではなく、今ここにある衝動や想いが溢れているような印象を受けましたね。より“今”感があったというか。
--僕は6/20NHKホールで行われたセミファイナルを観させて頂いたんですが、Do Asの全身全霊のステージに対してファンも全力の愛でもって応えていく。ここに来てその信頼関係というか、絆の強さが増しているなと感じました。自分たちではどう思われますか?
伴 都美子:それは確かですね。
大渡 亮:昨年末の日本武道館では気負いすぎたというか(笑)お客さんも緊張しちゃったと思うんですよ。僕らも演奏がバタバタだったところもあったんで、その緊張感がお客さんにも伝わった。それは共に武道館の空気を満喫したってことでもあると思うんですけど、ちょっと疲れちゃったんじゃないかなと思っていて。長尺だったし。でも今回はリラックスして、等身大の自分たちで演奏できたようなところがあったので、みんなも自分を解放しやすかったんじゃないですかね。
--その結果として、終演後の打ち上げで伴ちゃんが涙しました。
伴 都美子:(笑)。正直なことを言うと、アルバム『ETERNAL FLAME』をリリースしてから時間が開いていたので「どこまで受け入れてくれるかな?」っていう不安みたいなものがあって。でも蓋を開けてみたら、みんなすごく温かい気持ちで迎えてくれて「もっともっとみんなに喜んでもらえるように頑張っていきたい」と思ったし。みんなの気持ちが嬉しくて。だからあの涙は嬉し泣きです。
--昔から音楽を続けていけることの有り難みは感じていたとは思うんですが、再結成以降はその喜びがどんどん増している印象を受けます。特にライブを観ていると。
伴 都美子:そうですね。ライブができるっていうのは純粋に嬉しいし、「生かされてるな」っていうのは強く感じます。
--また、あの日のライブで伴ちゃんが「最近ツイッターを始めた」と。しかもファンの人が「体に新しい生命を宿している」とツイッターで報告してくれたなんていう話もあって。そこで『菜の花畑』を披露するというストーリーにはウルっと来てしまいましたが、あれは素敵でしたね。
伴 都美子:そのファンの方は他の公演にも来てくれていたんですけど、あの曲を聴いてほしいと思って。それでNHKホールでも「もしかして今日居たら」なんて話してたら本当に居てくれて。しかもビックリしたのが友達も観に来てて、その友達が「伴ちゃん、私もなんだよ」って妊娠しているのを報告してくれて「え~!?」みたいな(笑)。「こんなことがあるんだ」って驚きました。
--そんな有意義なツイッターの使い方をしている伴ちゃんですが、そもそも何がきっかけで始めようと思ったんですか?
伴 都美子:なんだっけなぁ? あ、言われたんです。とある人に「ツイッター、合ってると思うよ。だって喋り方がつぶやきじゃん」って(笑)。それで「ちょっとだけやってみようかな」と思って、登録だけしておいたんです。やり方が分かんなくてずっと放っておいたんですけど。でもやり方を教えてもらったら「これはすごい」と思って。ファンレターがリアルタイムというか、直に届くから。驚きました。文明の利器に。
--あと、亮さんがライブで「今回の一番良いです」と言っていた作品『∞2』。僕も素晴らしい作品だなと感じていたんですが、そもそもどんなアプローチをしようと思って制作した1枚だったんでしょうか?
伴 都美子:「前よりも良いものを作ろう!」です。
大渡 亮:再結成後にアルバム『ETERNAL FLAME』を作ってみて「あ、Do Asってこうだったな」っていうのが初めて分かって。で、ライブだけじゃなく制作でも再結成ムードが終わったのもあって、前よりも良いものを。より“今”感を目指した結果が『∞2』ですね。過去に捕らわれない、今のDo As Infinityが示唆できたんじゃないかなって感じてます。
伴 都美子:それぞれにカラーが立った4曲が揃ったと思います。手応えはありましたね。しかもリリースより先にライブで聴かせることもできましたしね。
--先にライブで聴かせるっていうのは、2人にとって理想的な流れ?
大渡 亮:そうですね。僕は「すごくやり甲斐があるな」と思います。例えば、すごく盛り上がるところには持って行けないので、言葉でフォローできつつ、しっかりと時間が動きそうなところに上手く置いたり。そういうテクニックが必要なところも含め、非常にやり甲斐がある。で、上手くいけばいろんな効果があると思いますし。
Interviewer:平賀哲雄
ここが私の居場所なので。ここだから生きていける。
--あと、僕は『1/100』の歌詞が好きで。「振り向くな 恐れるな」「輝ける明日へと駆け抜けよう」「最後まで最後まで諦めるな」ってこれまでのDo Asがメッセージしてきたことでもあると思うんですが、それを亮さんのペンでもって発信しているのが良いなと。実際にはどんな想いや背景があって生まれた歌詞なんですか?
大渡 亮:ぶっちゃけて言いますと、ボートレースのCMで使われることが決まっていて、最初は『Everything will be all right』が流れていたんですけど、別の曲も使いたいとオファーがあった中で『1/100』の歌詞は書いているんですよ。で、使ってほしいキーワードとかも頂いていたので、それと実際に自分が感じていることをリンクさせている。あと、あのCMはタレントの方々が主役として構成されてるんだけど、僕にはボートを操縦している人の姿が響いちゃって。その人たちにも繋がるものを模索しましたね。
--その結果として、Do Asが発信するのに相応しい歌詞になりましたよね。
大渡 亮:あの時期ってボートレースや競馬に加えてバンクーバーでの冬季オリンピックもあったので。そういうみんながひとつになれるシチュエーションでは、自分の弱さを乗り越えて先に進んでいく、夢を掴まえにいく。そういうものを表現したいなと思っていたんです。曲にそういうムードがあったのも大きいですね。
伴 都美子:この歌は自分に言い聞かせる感じです。聴く人ひとりひとりにとってもそうなる曲だと思うし。歌ってて気合いが入りますね。みんなの背中を押せる曲になってるといいな。
--あと、『∞2』は『Everything will be all right』も『HARUKA』も『パイルドライバー』もサウンドアプローチは異なりますが、とにかく前へ前へ。面白くなき世を面白く、つまらない現実を変える為の4者4様の音楽に感じたんですが、あれは結果としてそういう内容になったんですか?
伴 都美子:結果的にかな。
大渡 亮:それぞれのポジティブって感じですかね。
--Do Asって今も昔も前を向いて歩くことの意味、素晴らしさを提示し続けているバンドだと思うんですが、そこは自覚的ですか?
大渡 亮:僕と伴ちゃんが必ずしもそうであろうとしている。というよりは、作品を表現していく中でネガティブなことは言えないと思っていて。ネガティブなことを言いたくなる曲もあるけど、それは切り取って人に提供するタイプのものじゃないというか、なかなか歌詞になりづらいと思う。で、より多く共感、共有できる何かが出来たらいいなと思うから、そうなると自然とポジティブなものになっていく。あと、僕の場合は歌詞を書くときにステージを意識していて。「ステージでこういうフレーズを歌ったらみんなで熱くなれる」とかね。
--それもあってだとは思いますが、今のDo Asって「生きづらい世の中だとは思うけど、いろいろ大変だけど、前を向いて懸命に生きていこう」ってことを確かな意思を持ってメッセージしてませんか?
伴 都美子:世の中が病みすぎだからです(笑)。いろいろ見たり聞いたり感じたりする中で「いちいち落ち込んでる場合じゃないな」とも思うし、振り返ってもしょうがないことってやっぱりあるから。だったらみんなに共通してある“明るい未来”を歌うべきで。まぁ凹むときもあるけど、そういうポジティブな気持ちが一番大事だと思う。
--例えば、ライブでDo Asの曲を聴いてめちゃくちゃはしゃいでくれている人がいて。極端に言うと「この人には不幸になってほしくないな」とか「また笑顔で再会したいな」って思ったりすることもあります?
伴 都美子:「また来てくれてる」って嬉しくなります。しかも毎回楽しんでくれてますしね。はじめましての人もそうですけど、みんなが楽しんでいる姿を見てると「また会いたいな」って思います。
--今、2人が音楽を続けている要因ってそこにあるんですかね? くさい言葉ですけど「この曲が誰かの力になってほしい」っていう。
大渡 亮:ライブのときはそれを強く思いますけどね。僕らのメッセージがみんなの力になればとは。ただ、日常の中でもいつもそう思っているって言うと、ちょっと綺麗事になっちゃうかな。やっぱり全くもって素になる瞬間もありますから。そこまで偉くはない。
--では、亮さんがDo Asを続けていく要因って何だったりするんでしょう?
大渡 亮:Do Asにロックンロールを感じるからじゃないですかね。具体的に言えば、大きな音でギターを弾けるとか、広いジャンルの幅を渡り歩く楽しさがあったりとか、そういう一筋縄でいかないところが未だに僕を焚き付けるし。僕のモチベーションっていうのはロックンロールですね。ロックンロールは楽しいですよ。
--亮さんの中でDo Asはだんだん理想的なバンドになってきてる?
大渡 亮:そうかもしれないですね。最初は誰もDo As Infinityの実態が分からなくて。でも手探りでやってきた中でなんとなく実態というか、言葉では表せないけど「こんな感じ」というムードを持てるようになった。それは長くやってきたことの産物だと思う。その産物は僕の中でロックンロールと対になってる感じではあるかな。
--伴ちゃんがDo Asを続けていく要因は?
伴 都美子:大袈裟なことを言うと、ここが私の居場所なので。ここだから生きていける。Do Asがなかったら何をしていいか分かんない、生活不適応者になっちゃう(笑)。
Interviewer:平賀哲雄
みんなでタオルを振り回してもらいたい。
--僕はそんな2人が今発信している音楽やメッセージを必要としてる人っていっぱいいると思っていて。まだ知らなかったり、偏ったイメージを持っていて聴いていないだけで、本当は「こういう歌を求めていた」っていう人が。そこを開拓していってほしいなってすごく思うんですけど、いかがですか?
大渡 亮:僕らがデビューしたときに好んで聴いてくれた人たちが今もまだ応援してくれている。そういう嬉しいこともあるんですけど、やっぱり新しい世代にも聴いてもらえないと流れが大きくならないような気がしていて。ずーっと付いてきてくれる方は最高だけど、新しく好んでくれる人たちを獲得したい想いはありますね。で、振り向いてくれる人がいるって信じて音楽をやっていく。
伴 都美子:現実的な話をすれば、音楽を聴く形も変わってきてるし、いろいろ難しいところはあると思う。でもずっと「より良いものを」と思って音楽を作り続けていれば、新しいリスナーとも出逢えるって信じたい。なんか、最近そういうことをよく考えるんですよ。「今の若い人たちは何を求めているんだろう?」とか。まぁでも真面目にやっていくしかないんですよね。
--新しいリスナーと出逢う場のひとつとしてフェスやイベントってあると思うんですが、8月7日より【a-nation'10 powered by ウイダーinゼリー】がスタートします。で、そのタイミングで新曲『JIDAISHIN』を配信。この曲がどんなストーリーやイメージのもとに生まれたのか、教えてもらえますか?
伴 都美子:デモを聴いたときから「ありそうで無かったな」と感じて。JIDAISHIN(時代針)っていう言葉も曲のイメージにあっていたし、オリジナリティをすごく感じたし。あと、すぐにライブで披露しているところをイメージできた。
--個人的には『本日ハ晴天ナリ』に勝るとも劣らない“お祭り騒ぎをする為の曲”が生まれたなと感じているんですが。
大渡 亮:正しくそんな感じで、すでに今年の【a-nation'10】からやろうかとは思っていて。新しいアッパーチューンが出来上がったんじゃないかな。今後が楽しみな1曲です。
--この勢いを出す為に重要視したこととかってありますか?
大渡 亮:抽象的ですけど、元気よくしていた方がいいだろうって考えたと思います。滑舌をよくするというか。淡々とやっていたら外に向かっていくムードが出ないような感じだったんで、はじけるような感じで弾きましたね。
伴 都美子:レンジが広いというか、低いところとすごくハイのところが同居している曲なので、とにかく勢いに乗って歌いました。というか、自然とリズムが体に入ってきたので、ノリで歌い切れましたね。歌詞も「時代を切り開いていく」「振り返ったら置いてかれるよ」みたいなスーパーポジティブな内容なので。
--【a-nation'10】ではどんな風に楽しんでもらえたらなと思いますか?
大渡 亮:「廻せ!廻せ!」っていうサビなので、レゲエじゃないですけど、みんなでタオルを振り回してもらいたいですね。そういう共有意識をちょっとでも与えられたら、この曲も本望なんじゃないかなと思います。
--それが巻き起こりそうな曲ですもんね。
伴 都美子:って思ってて何も起きなかったらどうしよう?
--(笑)。この曲の疾走感と開放感があれば大丈夫です。
大渡 亮:【a-nation】のステージにすごく合ってるしね。
--あと、9月29日にはCDシングルとして『JIDAISHIN』をリリースします。こちらにはタオルが付属されるんですよね。
大渡 亮:もう単純に「廻せ!廻せ!」っていう歌詞から生まれたアイテムで。で、デザインが曲にも時代にもマッチしてそうなものになったので、また良いアイテムがひとつ増えたなと思ってます。
--そのタオルはこちらで多用する感じになると思うんですが、11周年ライブをSHIBUYA-AXで開催します。どんなライブにしようと企てているんでしょうか?
大渡 亮:再始動してから随分とライブをやっていて、定番の流れが出来てきちゃっていて。その流れをぶっ壊せたらなとは思ってます。ネットとか見てるとレア曲に対するリアクションが大きいみたいだし。だからタイトルも【Do As Infinity 11th Anniversary LIVE ~More! Core! Rare! Here!~】にしていて。
--ただ、普段やらない曲をたくさん披露するということは、2人に掛かる負荷もデカくなる訳ですよね。
大渡 亮:そうなんですよ。やりなれてないことをやる訳ですから。でも楽しみです。
伴 都美子:めちゃめちゃ「来てよかった」って思ってもらえるライブにしたいです。ファンへのご奉仕ライブ(笑)。結果、それが自分たちにとっても刺激になると思うし。
大渡 亮:ライブで再現しづらかった曲とか、トライしても上手くいかなかった曲っていうのが、再結成してからは上手くいってて。だからまだライブでやってない曲とかあるんだけど、それをやれたら良いなとは思ってます。
伴 都美子:武道館でやった『sell...』とか『10W40』とか初めて上手く響かせることができて。やっと成仏できた!みたいな(笑)。
大渡 亮:ずっと試してみては却下してた曲たちなんですよ。でも武道館では上手くいって。その自信もあって、みんながライブで聴けてない曲を聴かせてあげられればなと。
--また、そろそろ次のアルバムを期待しているファンも多いと思うんですが、今度はどんなアルバムが出来れば良いなと思っていますか?
伴 都美子:前回の『ETERNAL FLAME』がわりと重い感じだったので、もうちょっとライトなテイストにはなるのかなぁって。
大渡 亮:曲も出揃ってきていて、良いアルバムになりそうな感じです。正直『ETERNAL FLAME』より良いと思います。まぁみんな「前作より良い」って言うんだけどね(笑)。楽しみにしててください。
Interviewer:平賀哲雄
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