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安室奈美恵 『Queen of Hip-Pop』インタビュー

 2005年最大の音楽ニュース。それは、安室奈美恵のニューアルバム『Queen of Hip-Pop』が誕生したこと。言い過ぎ?いや、そんなことはない。どんなにディープで斬新なアプローチが施されたナンバーであっても、それをポピュラーミュージックにしてしまえる唯一無二の存在・安室奈美恵をこの上なく大胆に実証してみせた今作の誕生は、リリースからまだ僅かであるのにも関わらず、多くのメディアを通してあらゆる音楽ファン、アーティストに確かな衝撃を与え始めている。『Queen of Hip-Pop』、その遠慮のない大胆不敵なタイトルについて、彼女は今回のインタビューでは照れくさそうに話しているが、正に今作はその称号にふさわしい作品である。なんて、堅苦しいことを書いてしまいましたが、それだけのことを笑顔でサラッとやってしまえている彼女はやっぱりスゴイ!このアルバムのリリースタイミングで、念願の安室奈美恵スペシャルインタビューを敢行できた事を心より嬉しく思います。

インタビュー写真

--念願の安室奈美恵スペシャルインタビュー、こうして実現できてとても嬉しく思います!で、今回はニューアルバムのリリースタイミングでのインタビューという事で、まずその新作『Queen of Hip-Pop』がどんな内容になっているのか、安室さんの口から聞かせてもらえますか?

安室奈美恵:前作『STYLE』よりは、もうちょっとアッパーな曲というか、テンポのある曲を揃えているんですけど、すごく夏に聴くと爽快な曲ばかりになってますね。かなり自分の中で納得のいく作品が出来たと思ってます。その分、わりと曲選びに時間はかかりましたけどね(笑)。

--前作以上に濃いものを作りたい気持ちは強かった?

安室奈美恵:あまりそういう風には思ってなかったんですけど、素直に良いと思う曲を集めていったら、結果そういう感じにはなりましたね。

--ちなみに今回のアルバムタイトルが『Queen of Hip-Pop』ということで、タイトル見ると、すごく自信に満ち溢れた作品なんだと思いますよね。

安室奈美恵:ですよね(笑)。まず“Hip-Pop”っていう言葉が面白いなと思ったのと、“Queen”というところにちょっと(笑)!なかなかね、そういうタイトル今までなかったなと思って。

--ジャケット写真も光った感じで。

安室奈美恵:“Queen”な感じで(笑)。「“Queen of Hip-Pop”って、こんな感じの人の事を言うかのなぁ~」ぐらいの感じになってます(笑)。

--その“Queen”に辿り着くまでは、前作『STYLE』があったりとか、“SUITE CHIC”があったわけですが、今のこの振り切ったスタイルにまで行けた最初のキッカケはやはり“SUITE CHIC”だったりするんですかね?

安室奈美恵:そうですね、本当に。“SUITE CHIC”の前にも小室哲哉さんがチャリティで作られたアルバムのプロジェクトに参加させていただいて、「誰か一緒にやりたい人いるかな?」って聞かれた時に、“m-flo”が大好きなので「VERBALさんと一緒に」と答えて、ご一緒させていただいたんですよ。それからVERBALさんに何曲か曲を書いてもらえる機会があって、どの曲も格好良い曲ばっかりで「こういう曲をいっぱい歌っていきたい!」と思って。そこから、最初はシングルだけの話だったのがどんどん大きくなっちゃって(笑)。「じゃあ、一枚のアルバムを作って面白いことやろうよ!」ってなって、“SUITE CHIC”が本格始動したんですけど、そこでは“安室奈美恵”というアーティストとしてではなくて、本当にやりたい音楽を色んな方と一緒に、何も気にせずにアルバムを作っていった感じだったので、すごく自分の中でも刺激的な仕事になったし、いろんな事が吸収できたんですよ。そこで得たものが“安室奈美恵”に戻ったときにものすごい良い影響になりましたね。

--そういった経験もあって、今の安室さんは、かなり本格的なR&Bだったり、Hip-Hopを取り入れたスタイルで音楽をやってるわけですけど、「そこまで行ってしまいたい!」という気持ちは、以前からあったんですか?

安室奈美恵:前からありましたね。「もうちょっとこんなことがしてみたいな」っていう気持ちはありました。でもそれは難しいっていう状況もあって。ただ自分の意見を言い始めたり、それを形にしてもらえたりっていうやり取りが、ものすごくスローな感じではあったんですけど出てきて、それがものすごく急激に行われたのが“SUITE CHIC”で。そこではっちゃけられて、すごく楽しくて、それを今は“安室奈美恵”でもやってしまっているので、きっとスタッフの人のほうが大変なんだと思うんですけど(笑)、あれこれ構わず「コレとコレを歌いたい!」っていう風にやらせてもらってますね。

--“SUITE CHIC”で「やっちゃって良いんだ!」と気付いた感じ?

安室奈美恵:そうですね。“SUITE CHIC”があって少しのあいだは探りながらやっていたんですけど、前作『STYLE』からは変わりましたね。今までは一枚のアルバムを1人の方にプロデュースしてもらう形でやってたんですけど、『STYLE』からは初めて自分で作る事になって、ランダムに本当に自分が歌いたい曲を集める形でやらせてもらって、それがすごく楽しかったんですよ。で、自分が思っていたよりも「良いアルバムだね」っていうリアクションがあったので、ちょっと今回は“Queen”でも良いかって(笑)!

--そこまで行ってしまおうと(笑)?

安室奈美恵:行き過ぎですよね(笑)!

--いやいや(笑)。でもやっぱり“SUITE CHIC”でAIと一緒にテレビに出てきた時のインパクトはすごかったですよね!世間的にはあの『Uh Uh...』で、「安室奈美恵は次のステージに行ったんだな」と感じたと思うんですけど、自分のやりたい音楽を好きなアーティストとパフォーマンスする気持ち良さをあの頃知ったのは大きかったんじゃないですか。

安室奈美恵:『Uh Uh...』は本当にそうだったし、“SUITE CHIC”では、自分がやりたくても出来ない事、例えばラップだったり、そういうことをしたいなと思っても、やっぱり出来ない現実もあったりして。

そういう中で、AIちゃんをMTVとかで見て「格好良いな」と思って、自分でCD買いに行って聴いて、「この人とどうしてもやりたいな」と思って。自分が持っていないものを持っている人と仕事が出来るのはテンションも上がるし、また今までとは違った達成感が“SUITE CHIC”、『Uh Uh...』にはあったので、すごく楽しかったですね。

--しかもAIちゃんとは、そのMTVのアジアコンサートで共演したりしたんですよね?

安室奈美恵:すごい楽しかった!

--なんかの記事で読んだんですけど、その時のコンサートは胃が痛くなるぐらい緊張したとか?

安室奈美恵:緊張したぁ~(笑)。すごい緊張しました。でもAIちゃんがすごく面白い方なので(笑)。ステージの上でも気を使ってくれて、緊張をほぐしてくれたので助かりました。AIちゃんとの共演は、楽しいです。

--僕も結構前にAIちゃんにはインタビューさせてもらったことがあるんですけど、「撮影させてください」って言ったら、テーブルの上で寝だしましたからね!当時、小柳ゆきさんがちょうどそんな感じのジャケットのCD出してて(笑)。初対面だったのに(笑)。

安室奈美恵:(爆笑)。私も初対面であんな感じだったので、「すごいテンション高い人だな~」って思いましたね。レコーディングも真夜中にやったのにすごいテンション高くて、「大丈夫かな?でも今日だけ特別高いのかな?」って思ってたら、毎回会う度にそんな感じだった(笑)。

--キャラクターも強烈ですけど、スキル的にも日本であそこまでのラップが出来る人って他にいないですからね。

安室奈美恵:うん、いない!

--あの共演はすごい面白かったですね。それを機に安室さんが出していく曲のイメージは変わっていくわけですけど、その変わっていった頃に久々の全国ツアーがありました。あのツアーは安室さんにとってどんな思い出のできたツアーになりました?

安室奈美恵:毎回アルバム出す度に、そのアルバムを引っさげたツアーはやってたんですけど、その時はアルバムの制作が遅れてて、ツアーのリハに入らなきゃいけないときにアルバムが半分も出来てなかったんですよ!で、「どんなライヴにしよう?」って悩んだんですけど、「シングルだけを集めたライヴってやったことないな」と思って。しかもあの時のツアーは細かく全国を回るツアーで初めて行くところも多かったので、初めて見に来てくれる人に「安室奈美恵ってこういう人なんだ」っていうのをイチから知ってもらおうと思って、シングル曲だけを集めた選曲にして。で、自分でもあのツアーで歌って「すごい良い曲だなぁ」って再認識した曲もいっぱいあったし、自分がすごく出せたツアーになりましたね。半年ぐらいのツアーだったんですけど、一度も飽きることなくずっと楽しめたツアーは初めてだったと思います。歌が前より好きになったかもしれないですね、あの時のツアーのおかげで。

--あの時のツアーでファンに配られたアンケートには、『CAN YOU CELEBLATE?』や『Don't Wanna Cry』が良かった!って答えていた人と同じぐらい、『Uh Uh...』や『SO CRAZY』が良かった!って答えているファンがいたのを、僕はあのツアーの仕事に少し携わっていたので知ってるんですけど、それってすごいことですよね?

安室奈美恵:ですね~、本当に。今やっている音楽と前にやってる音楽って違ってたりして、“SUITE CHIC”から好きになってくれた方たちもいて、その中でシングル曲だけ集めたライヴを違和感を感じさせる事なくやるのはひとつのテーマではあったんですけど、結果、それぞれの人が楽しめる内容になっていたと感じてもらえたのなら、それは嬉しいですね。『SO CRAZY』とか『Put 'Em Up』とかは、「どんな反応があるんだろう?」って思いながらもやってみたら、意外と楽しんでくださっているのをライヴ中にも感じられたので、「間違ってなかったのかな」っていう確認が本当にできました。

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Interviewer:平賀哲雄

NAMIE AMURO「Queen of Hip Pop」

Queen of Hip Pop

2005/07/13 RELEASE
AVCD-17692 ¥ 3,204(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Queen of Hip-Pop
  2. 02.WANT ME, WANT ME
  3. 03.WoWa
  4. 04.I Wanna Show You My Love
  5. 05.GIRL TALK
  6. 06.Free
  7. 07.My Darling
  8. 08.Ups & Downs
  9. 09.I Love You
  10. 10.ALL FOR YOU
  11. 11.ALARM
  12. 12.No

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