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スカイ・フェレーラ Billboard.com独占最新インタビュー

スカイ・フェレーラ
インタビュー

 シンガー・ソングライター、モデル、女優として活動する弱冠21歳のスカイ・フェレーラ。中学生の頃からMyspaceにて楽曲を発表し、2010年に「17」でデビュー。翌年リリースされた「Sex Rules」が彼女が起用されたカルバン・クラインの『ck one』キャンペーンとのタイアップで話題となり、その後もフォーエヴァー21、ベネトンのキャンペーンやマーク・ジェイコブスのモデルなどを務める。2012年8月には「Everything Is Embarrassing」が、米音楽サイトのピッチフォークにて“Best New Music”に選出、各国のメディアからも大絶賛され、その人気に拍車をかけた。今年10月には待望のデビュー・アルバム『Night Time, My Time』を全米でリリースし、現代ホラー映画の巨匠イーライ・ロス監督の『The Green Inferno』で本格的に女優デビューも果たす彼女。順風満帆にみえるキャリアだが、9月14日にボーイフレンドであるDIIVのフロントマン、ザッカリー・コール・スミスとともに麻薬不法所持、窃盗の容疑で逮捕されてしまい、拘置所で勾留されたもののその後すぐ釈放された。彼女がデビュー作、そして事件に関して言及したBillboard.com独占の最新インタビューをお届け!

自分が思ってないことについては歌わないし、
それは曲を書くときでも一緒

「Red Lips」
▲ ck one (Behind the Scenes)

??10月29日に全米で発売される『Night Time, My Time』には、元々『I Will』というタイトルがついていて、その前にも何度か内容に変更があったみたいですか、現状のヴァージョンに定まったのは?

スカイ・フェレーラ:私的にはオーガニックな経過だったと思うわ。自分が捉えたかったことが、表現できていなかったから、他のヴァージョンには満足がいってなかった。アルバムを聴いてみても、「これは私がやりたかったことじゃない。」と感じたし。ミックスも微妙で、私自身がもうその時のマインドセットではなかった…わかるかな?なので、アリエル・レヒトシェイドとジャスティン・レイゼンをプロデューサーに迎え、いちからまた作業を始めたの。
 私が書くのはポップ・ソングで、それが自分が一番上手く出来ることだ、って思ってる。それはそれでいいんだけど、他と似たようなサウンドになるのは嫌だったし、私自身が影響を受けているものをもっと見せたかった。前のヴァージョンには、すごく違和感があったんだよね。

??スカイの立ち位置は興味深いですよね。ポップ・ソングを書くけれど、エッジもあって、一般的なポップ・ソングではない。

スカイ:そうなの。ポップなコーラスも好きだけど、ちょっとドローンよりなのも好き。その両方を上手くバランスする、って事なの。私がポップ・ソングを書くときに、「これってラジオで流れるかな?キャッチーかな?」なんて思わない。曲を書く時は、自分が話すように書くことを心がけてる。そうすると自分がやってることに真実味がある感じがするから。自分が思ってないことについては歌わないし、それは曲を書くときでも一緒。今までも気を付けてきたことで、いいことだとは思うけど、クレイジーに見えちゃうときもある。たとえばステージに立っている時…7月に出演した【Pitchfork Music Festival】では、ライブの半分ぐらい泣いてた。ステージに上がると、いつも泣いちゃうの。自分が歌ってることについて考えちゃうから。

??今作はデビュー・アルバムとなりますね。でも21歳という若さにも関わらず、既に長く、苦しい音楽キャリアを経験してきていますが、現状についてどのように感じていますか?自分が作りたかったアルバムに仕上がったと思いますか?

スカイ:このアルバムのことはとても誇りに思ってて、こんな風に感じられるなんてありえないと思ってた。これまで「私ってどっかおかしいんじゃない」とか、曲が良くないんじゃないか、いい曲が書けないんじゃないか、って思ってた。それに「もしかしたら自分が満足できるアルバムを作ることは出来ないんじゃないかな。一生満足することなんてないのかも。」とも思った。これまでの人生ずっとそうで、多くのことに満足できないのよね。別にネガティヴじゃないんだけど、完璧主義者な面があるの。もしライブ中に一音間違っただけでも、それが私にとってショーを台無しにしてしまう。ステージ上で顔には出さないけど、その後何時間を後を引く。小さい頃からずっとそうなのよね。

「You're Not The One」
▲ 「You're Not The One」

??そのすべての融合体となる気力にあふれた頑固な少女、もしくはティーンエイジャーが、金儲けさせてくれる単なるブロンドの女の子と思っているレコード・レーベルの重役の前で、彼らの言うことを聞かないとなると厄介なことになるという…。

スカイ:彼らがどれだけ頑張っても、言うことを聞こうなんて思ってなかった。多少の妥協は許せるけど、それは私がちゃんと納得できたらの話。それに過去の経験上、やりたくないことをやっても上手くいかないってわかってるから。

??そういう状況をどのように回避したのですか?そしてどのような変化がありましたか?

スカイ:自分の為に前進しようと思って、それを貫いた。周りを構わずに。人生には立ち向かわなきゃいけない試練が次々と現れるけど、前へ進み、自分がやっていることを後押ししていった。それしかできることはないから。私に成功して欲しい人もいれば、そうではない人もいるし、それは自分でもよくわかってる。だからって辞めちゃったり、適当なものをリリースするには勿体ないほど頑張ってきてる。でもこんな風には、このアルバムが完成するまでは思っていなかった。

??レーベルのやり方に変化はありましたか?

スカイ:少しはね。でも大体喧嘩してるような感じ。たとえばアルバムのアートワークを変えろって、みんなに言われた。あれはギャスパー・ノエと作ったものなのよ。彼らは、私にもっとモデルっぽく、可愛くして欲しかったのね。私の顔の綺麗な写真…でもそれは私が望んだことじゃないし、アルバムも決してそんな内容じゃない。むしろまったく反対よ。潜在的な隠れたメッセージがあるような曲も収録されていて、皮肉っぽい曲もあるんだから。

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「Everything Is Embarrassing」
▲ 「Everything Is Embarrassing」

??「Everything is Embarrassing」は、キャリアのターニング・ポイントでもある?

スカイ:確かにそうね。あの曲は、何も考えずに、誰も聴かないだろうと思ってリリースしたんだけど、急にピッチフォークの"Best New Music"に選ばれて、みんなが「「Everything is Embarrassing」!」って騒いでたけど、私は「ホント?」って感じだった。だって、いい曲だとは思うけど、みんなにそこまで注目されるようなものだとは思ってなかったから。これまで成果が実ることなんてなかったから、「何かのきっかけで流行るまで曲をリリースしよう。」ぐらいにしか思っていなくて、まさかこんな風になるなんて信じられなかった。

??結果として、レーベルからクリエイティヴ面でもっと自由を与えられた?

スカイ:多少はね。でもそしたら、「Everything is Embarrassing」の違うバージョンを1万回ぐらいやらされそうになった。それって意味があるとは思えないし、あの曲の“魔法”は跡形もなく消えるわ。言ってる意味わかる?なんで再現しなきゃいけないの?強制的にやっても同じようにはならない。それはその時にわかったこと。ヒット曲に聞こえることはあるかもしれないけど、「これはヒット曲になる!」なんて意気込んでもしょうがないのよね。
 「Royals」やゴティエの曲を見てみてよ。EDM、デヴィッド・ゲッタやドクター・ルークがラジオを席巻してる中で、彼が全米1位になるなんて思った?

??誰が1位になったかなど、チャート・アクションはよくチェックしていますか?

スカイ:そうね。私はポップ・ミュージックが大好きで、評価しているし、私自身もポップ・ミュージックを作ってる。だから何が起こっているか、きちんとフォローするのは当たり前なこと。成功したいとは思うけど、自分を押し殺すことはしない。ベストを尽くしながら、自分が好きなことを出来る限りやっていきたいと思っているわ。
 今後何か“ビッグ”なことが自分に起こると信じているし、一晩ではないけど、既に少しづつ成果が見えてきている。3枚シングルをリリースした後かもしれないし、アルバムを2枚リリースしてからになるかもしれない。それは誰にもわからないこと。でも私は希望を持ち続けているし、いい曲は一生残るものだと思ってる。40年後に聴いても、「これって、まだすごくいい曲。」と思える曲は存在する。私もそういう曲を作りたいの。セールスの数より重要なのは質。もちろん1位を獲って、億万長者になるのも最高だと思うけど、そのために自分を変えることはしないわ。絶対に。

「Red Lips」
▲ 「Red Lips」 / Dir. Terry Richardson

??ある意味そのようなアプローチを取っているので、インディーよりの人々やポップ・ミュージックに興味がない人もスカイに注目しているのかもしれないですね。

スカイ:そう、私はその2つの狭間のところにいて、どっちに転んでもおかしくない。どちらの道を進んでも私はハッピーだけど、双方から批判されるとかなりキツイな(笑)。両方に足を踏み入れてると、みんなどう扱っていいかわからないみたい。音楽やビジュアルからだけでは伝わりきらないこともあるし、私場合は、自分らしくしてるだけで何故か注目されてしまう。行動や来ている服―すべての面で批評される。幼い頃にこのビジネスに入って、ステレオタイプされるような感じでもなかったから、その部分でもハードだった。私は自分の欠点を見せることに抵抗はない。恥ずかしいって思うこともあるけど、ポップ・ミュージックに人間味をプラスしてる、って感じてる。

??インディー・レーベルと契約していたら、いろいろ変わっていたと思いますか?

スカイ:もし今よりインディーよりだったら、もっとすんなり受け入れられて、「彼女リアルなの?偽物なの?必死すぎじゃない?」とか言われることは少なかったと思う。でも同時にインディー・レーベルもメジャー・レーベルもやり方は一緒で、ただお金がないだけ、って感じる。これも私が学んだこと。インディー・バンドに所属したり、インディー・レーベルで働いている友達は多いけど、単にメジャーよりセンスがいいだけで、何かを売ろう、とかアーティストを成功させたい時のメンタリティは同じなの。インターネットが普及した今は、「YouTubeで流行らせなきゃ」ってみんな思ってる。

「Sky Ferreira in Forever 21's Desert Disco」
▲ 「Sky Ferreira in Forever 21's Desert Disco」

??「I Blame Myself」には、“How could you know what it feels like to fight the hounds of hell, you think you know me so well? I blame, I blame myself… for my reputation.”という詞がありますが、これはどのような気持ちで書いたのですか?

スカイ:その曲は…私はすごい有名じゃないし、別に毎日パパラッチに追われて暮らしているわけでもないから、あまり考えずに行動してる。でもそれが他人の目につくことが多いみたい。パーティー・ガールとかクスリをやってるとかっていうイメージがあるみたいで、私のことを何も知らない人にもそういう印象を与えてしまっているというのは、やっぱり多少は自分のせいでもあると思うの。たとえそれが嘘だとしても。それを無理矢理変えようとは思ってない。毎日バッチリにヘアメイクして、ニコニコして、そのイメージを覆そうとはしない。でも作品はきちんと受け止めてもらいたい。自分のことを悪く思われるのはいい気分はしないけど、それが少しは自分のせいであることもちゃんと理解してる。大概のことはフェアじゃないと思うけど、すべての責任はとるわ。だって脅されてやってるわけじゃないから。
 経験しないとわからないことでもあると思う。利用されたり、嘘を書かれたりするのは大嫌いだけど、そのポジションに自分を置いてるのは私自身だし、それが仕事でもある。それは私が耐えなければならない試練で、世の中にはもっと酷いことに耐えなければならない人も大勢いる。別に「私のこと可哀そうに思って」なんて思ってない。だって私自身そう思ってないから。状況がもっと違えば、とは思うけど、でもこれが現実。中傷され、自分がそうでないものに祭り上げられることがどんな気持ちか、理解できない人もいるのよね。
 先週逮捕される以前から、やってないのにクスリをやってるって決めつけてる人も多かった。多くの場合、時と場所、そして自分が誰と関わるかによって決まるのよね。でも偽善的な部分もあると思うから、そこに一番イラッとする。

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コールと私に対する接し方に嫌気がさしてる。
もし私が誰かに問題があると思ったら、助けてあげたいし、
助けを求められるようにしてあげたい

「One」
▲ 「One」 / Dir. Rankin

??あの事件がリークされたことに対してどのように対応しましたか?物事を余計荒立ててしまったような気もします。

スカイ:みんながすべての状況を知らないから、すごくハードだった。法的にあまり詳しく何が起こったかは明かせないけれど、真実とは違う。それに私は彼のヘロインの罪には問われなかった。公式発表にそう書いてある。私は罪に問われなかった。私がほんの少しでも近づいてたら同罪になってたと思う。だって他のことに関しては、すべて罪を問われたから。でもハメられたって感じ。これ以上言うのは怖いから止めておく、もう逮捕されるのは嫌だし。私たちを故意に逮捕したと言ってるわけではないけれど、でも起きたことは…本当に何が起きたかは、私とコール、そしてソーガティーズ警察しか知らないわ。
 それに私は自分の音楽が己を言及するように頑張ってる。私に会えばわかると思うけど、クスリなんてやってない。でもそう思われてしまうのを他人のせいにするつもりもない。起ったことに対して謝罪したい。もし気分を害した人がいるとすれば謝りたい。友人たちに利用されたとも少し思ってる。彼らの言動には信じがたいものもあった。でも自分の真の友人が誰かわかったから、ある意味、不幸中の幸いだったのかもしれない。予想していなかった人々からもサポートしてもらえた。とにかく、とても反省しているし、この件にについてはこれしか言えない。
 でもヘロイン中毒だ、とか注射器の針でAIDSになってそのうち死ぬとか、毎日からかわれるのはハード。一番ムカつくのは、話が分かってない善良ぶった人々。ちゃんと書いてあることを読んだらいいのに。あーいう偽善的な人たちは、私たちを馬鹿にするネタとしか思ってない。コールと私に対する接し方に嫌気がさしてる。もし私が誰かに問題があると思ったら、助けてあげたいし、助けを求められるようにしてあげたい。からかったり、中傷したり、自分が有名になる為に利用したりはしない。特にそれが私たちのことを知っていて、真実を知っている人だったら。別に可哀想って言ってもらいたいわけじゃないけど、余計辱めるのではなくて、助けを得る手助けの方法として利用して欲しい。
 たとえばリンジー・ローハンみたいな人が捕まったとしても、私が関わることではないでしょ?だって自分には関係ないことだし。でもこれを期に良くなってほしいと思う―それが私の考え方よ。

「17」
▲ 「17」

??でも特に助けはいらないし、そう言ってる人々は全然自分のことをわかってないとおっしゃってましたよね。

スカイ:彼らは何が起こってるか理解してないのよ。あれはヴァンパイア・ウィークエンドとソランジュとバークレイズ・センターでライブをする前に起った。おかしな話よね。あとこれも言っておかなきゃ―もし私がそんな人たちとばっかりつるんでたら…「Everything is Embarrassing」がリリースされてから半年ぐらい言われ続けているけれど、今頃リハビリ施設にいるはずでしょ(笑)。それに公的に何か声明を出してるはずよね。
 私は自分がヤク中じゃないってわかってる。それしか言うことはないわ。私はヤク中なんかじゃない。このことで、もし誰かを傷つけたらごめんなさい。ドラッグを推奨してわけでもないし、イメージどうこうの為でもない。私が自分のことをヘロイン中毒だと思われたいと思う?ノーよ。自分がヤク中だと思われたいと思う?ノーよ。でも目の周りが黒いから―これは子供の頃からずっとそうなのよ―って、昔からずっとヤク中だと言われ続けてきた。それに私が特定の雰囲気を醸し出したり、服を着たりするから。だから別にこれは新しいことでもなんでもない。でも事実だったら、リハビリ施設にいて、ヴァンパイア・ウィークエンドとはツアーをしてるわけないし、毎晩ステージに上がるエネルギーもないと思う。
 中には、優しくしてくれ、サポートしてくれた人々もいるから、それは嬉しい。今回の経験から様々なことを学んだし、結果的に強くなったと思う。もし私がドラッグを使うことを宣伝しているように聴こえてしまったらごめんなさい。そうでは決してないわ。私も人間だし、たまには悪い状況に陥ることもある。それしか言えない。

2013年9月30日 Billboard.com掲載

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