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The 1975 『The 1975』インタビュー

The 1975 『The 1975』インタビュー

 ヴォーカリストのマシュー・ヒーリー、ギタリストのアダム・ハン、ベーシストのロス・マックドナルド、そしてドラマーのジョージ・ダニエルの幼馴染によって結成され、英・マンチェスターを拠点として活動する4人組ロック・バンド、The 1975(ザ・ナインティーンセヴンティファイヴ)。デビュー・アルバムのリリース前にも関わらず、今年7月に行われたハイド・パークでのローリング・ストーンズのライブでオープニング・アクトに抜擢され、一躍“時の人”となった彼ら。今月初頭には、各国のメディアをはじめ、エド・シーラン、ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズなども挙って大絶賛する待望のデビュー・アルバム『The 1975』がイギリスにてリリースされ、見事全英1位に輝いた。8月に初来日を果たし、【SUMMER SONIC 2013】、そしてソールド・アウトとなった単独公演で熱いパフォーマンスを見せてくれた4人が、初めての日本、ローリング・ストーンズのオープニング・アクト、そしてデビュー作などについて語ってくれた。

どのような環境でもThe 1975の世界観を
生で体感してもらえるように心掛けている

――初来日となりますが、【SUMMER SONIC】でのライブの反響をバンドとしてどのように受け止めていますか?

マシュー・ヒーリー:とにかく凄かったね!たくさんの人が観に来てくれて、反応もすごく良かった。日本で初めてのライブだったけど、5000人ぐらい集まってくれたみたいで…。

――デビュー・アルバムのリリース前なのにみんなシングアロングしてましたしね。

マシュー:そうなんだ。クレイジーだよね!イギリスでもそうだけど、物事が目まぐるしいスピードで加速していて…僕らですら驚きを隠せないでいるよ。観客数に関わらず、日本でライブができるだけでクールなのに、単独公演はソールド・アウトしてるって訊いてるしね。

――今、話に挙がりましたが、明後日(8月14日)日本初の単独公演が行われますね。音楽フェスティヴァル、単独公演での演奏では、心持ちに変化はありますか?

マシュー:まったくないね。単純にベストを尽くすだけ。ほとんどの場合、フェスだとサウンドチェックができないから、大体会場に着いて、演奏して、すぐ帰るというルーチンだ。単独公演だと、時間をかけてサウンドチェックをして、ライブの環境づくりができるという物理的な違いだけだね。でもバンドとしての行動をすべて自分達で事細かにコントロールしているから、その違いがライブの内容に影響を及ばすことはない。まだアルバムはリリースされてないけれど、どのような環境でもThe 1975の世界観を生で体感してもらえるように心掛けている。

ジョージ・ダニエル:フェスと単独公演だと観客の目的が違う場合があるから、彼らのレスポンスによって演奏に多少の変化は出てくるんじゃないかな。

マシュー:僕にとってどちらの環境でも、特に違いはないけれど、最近では大きな会場で演奏する方が個人的に好きだな。観客が一丸となって動いたり、歌ったり、と同じ反応してくれるので、一つの大きな存在として認識できるから。小さい会場だと観客が近い分、表情だったり、反応だったり、個人の個性というものが際立って、悪い意味ではないけれど…人前にさらされて、評価されているという気持ちになる。観客が多いほど個人のアイデンティティというものが失われていって、“大衆”が個人となるんだ。それにぶっちゃけ、大きな会場だと、ステージという台座の上に立っているのと同じだから、それだけで安易に観客の注目を集めることが可能だ。小さい会場だと僕ら自身も観客の目線レベルに近い。大きなステージでは文字どおり自分達が持ち上げられていて、より尊敬されているようにもとれるけど、同時に観客がバンドに対して持つ主観自体に偏見があって、正当ではないと感じるな。その辺りの受け止め方の違いというのは、とても興味深いよね。

「Chocolate」
▲ 「Sex」 (Live at Lowlands 2013)

――今年7月にはハイド・パークで行われたローリング・ストーンズのライブにてオープニング・アクトを務めましたが、これはこれで特殊であるとともに、素晴らしい経験ですよね。

マシュー:あれは興味深いライブだったね。あのクラスのライブになると、事前のビルドアップが大きくて、頭ばかりで色々考えてしまって、全然実感が湧かなかった。「これからローリング・ストーンズのサポートするんだ」、とステージに上がってですらね。だってその時は、いいライブにしなきゃ、とか自分がやらねばならないことしか考えてなかったから。パフォーマンスが終わって、ステージを降りてから、「僕らはローリング・ストーンズの前座を務めたんだ」ってやっと実感が湧いた。すごくハードなライブで、個人的に一番好きなライブではもちろんない。でもそのチャンスを与えられたということだけで、素晴らしい1日になったし、アメイジングな経験だった。

――それにステージ脇からミック・ジャガーが見てたらしいじゃないですか。

ジョージ:そう、僕らのライブを観ながら踊ってたんだ!

マシュー:それ以上にスゴイ事なんて、そうそうないよね(笑)。でもローリング・ストーンズのオープニング・アクトができるようなバンドが他にいれば、是非挑戦してほしいね。最強にハードなライブだったから。観客が5万人いたとしたら、その内の1万人は、彼らを観る為に300ポンド払ったような人々で、“ニュー・スクール”なR&Bロック・ミュージックを演奏する若造なんて見たくなかっただろうし、「こいつらなんだ?とっとと失せろよ」、としか思ってなかったはずだ。それでも僕らにとっては、いい経験になった。ミューズのオープニング・アクトを務めた時も似たような感じだったね。彼らのファンは僕らの音楽をもっと気に入ってくれていたみたいだったけど…。

ジョージ:ミューズの時の方が、反応は良かったよね。

マシュー:ストーンズの時は、徐々に観客の反応が良くなっていった感じで、ライブが終わる頃には、「お前ら悪くないじゃん」っていう空気感に変化してた。でも最初はブーイングされたんだ。

「Head.Cars.Bending」
▲ 「Head.Cars.Bending」

――ちなみにどの曲を最初に演奏したんですか?

マシュー:「Head.Cars.Bending」だよ。

――なるほど…。

ロス・マックドナルド:あれは酷かったね。

ジョージ:そうだっけ?

マシュー:そうだよ、ジョージ。曲が終わった途端に超ブーイングされた。

ジョージ:そんなことないよ、拍手してた人の方が多かったって。

マシュー:イヤモニをしてたから、よく聴こえてなかっただけだと思うよ。ステージ前方に立ってた僕とロスが言うんだから、間違いない。ステージ前を陣取っていた250人は絶対的にブーイングしてた。

ジョージ:でも残りの観客は拍手してたってことだろ?

マシュー:ほら、やっぱりさっき言ったように、前列にいるコアなストーンズ・ファンの反応しか分からなくて、とにかく厳しい状況だった、てことだよね。

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「Chocolate」
▲ 「Chocolate」 (Official Video)

――4人は20代前半にも関わらず、バンド名は異なるものの、10年以上活動を共にしてきているというのは、ある意味とても珍しいですよね。

マシュー:ちょっと悲しい気もするけどね…。というのは、現代の複雑な音楽事情では、それぐらいの歴史があるだけで凄いと思われるけど、正直変な感じ。だってバンドって本来そうあるべきでしょ?大学で出会って、6か月ぐらいでアルバム・デビューするようなふざけたバンドも増えているけど、出会ってからそんなに短期間でお互いのことを知ることなんて不可能だから、人間味がある作品が作れるはずない。The 1975というバンドは、お互いを知っている時間とそこで培ってきた繋がりで、定義づけられている。僕らの音楽に妥協は許されない。時間、未来への恐れ、他人がどう思うか、他のバンドが何をしているか、リスナーが今何を好んで聴いているか…そんなことは無意味なんだ。最終的には自分達の為に作っている音楽だから。長く一緒に活動してきたことで、今のThe 1975がある。でもそれは計画したことではなくて…このメンバーとバンドをやることしか知らないし、彼ら以外とバンドをやるなんて想像もできない。世間は「大体バンドってそういうものでしょ」って思っているかもしれないけど、それは間違いだよ。

――逆に言えば、いつも一緒にいるので、新鮮味が薄れたり、バンド内のケミストリーがマンネリ化するという懸念は?

ロス:まぁ、新鮮味は薄れるけれど、長く一緒にいることによって音楽への情熱は消えるものではないからね。

ジョージ:うん、その懸念は全然ないと思う。

ロス:そして喧嘩をした理由や意見が食い違った部分も、より重要味を増してくるし。

マシュー:僕らは映画『フック』のロスト・ボーイズみたいだよね。何においても13歳という年齢ではじめると、楽しいという原動力しかない。だって13歳なんてほんの子供だから。僕らが13歳の頃にバンドをはじめたのは、ビデオ・ゲームをやるのと同じ感覚で、即時に楽しいと感じることができたから。それに両親も僕らがやりたいことを理解し、支持してくれている。別に金持ちの子供ではないけれど、貧乏でもない。だから音楽に対してのメンタリティは子供の時のままなんだ…もちろん人間としては成長しているけど。それがあるから、今も昔と同じように音楽にのめり込むことができる。「音楽が好きだから音楽を作る」というアティチュードは、今も変わらない。

「The City」
▲ 「The City」 (Official Video)

――なるほど。これまで4枚のEPをリリースしていますが、デビュー・アルバムは、EPのように一つのテーマを中心とした構成となりますか?それとも人生においての様々な瞬間を捉えたもの?

マシュー:2番目の方だね。このアルバムは僕らを形成した月日のサウンドトラックであり、グレイテスト・ヒッツでもある。EPは、大体の場合1~2週間ぐらいのスパンで、この曲は絶対アルバムに入れなきゃ、と考えながら書かれたものだ。『Music For Cars』は、1週間で書いて、レコーディングしたものだし、『IV』も同じだ。

ジョージ:アルバムのシングルは、すべてEPからのもの。

マシュー:アルバムには主に3つのシーンがあって、途中に間奏的な曲が収録されている。最初の半分はアルタナティヴでアンビエントな雰囲気で、「セトル・ダウン」~「ガールズ」あたりで、80年代に作られた映画のサウンドトラックのようになり、アルバムの終盤にかけては、もっとR&Bよりでソウルフルな感じになる。それって映画の構成に近いと思うんだ。その点は、映画制作の技法や映画音楽にインスパイアされている。

――以前ジョン・ヒューズ作品の世界観にインスパイアさせていると言っていましたしね。

マシュー:うん。特に僕は、彼の作品を見て育ってきた。そして、いかに映画の中の音楽が潜在的に観る者の心を動かす力があるのか、という部分にとても惹かれる。付随的な音楽というコンセプトはとてもエキサイティングで、それは誰もが思い描くものだと思う。『プリティ・イン・ピンク』や『ブレックファースト・クラブ』…自分の青春時代を映画の中のキャラクターに重ねてきたんだ。まさに“ロマン”だよね。だから僕らはジョン・ヒューズの映画に登場するようなサウンドトラックを自分たちの人生を題材にして書いてみたかったんだ。

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名盤は、プロデューサーの名前ではなくて、
関わっている人々の妥協を許さない
という不屈の精神から生まれる

「Antichrist」
▲ 「Antichrist」 (Official Video)

――これまでにリリースされたEPはセルフ・プロデュースの作品が多かったですが、アルバムを制作するにあたって、共同プロデューサーにマイク・クロッシーを迎えたことが、アルバム、そして既に確立されたバンドのサウンドにもたらしたものは?

ロス:マークを起用した一番の理由は、僕らのマネージャーが彼とミーティングを行って、音楽に対して一番熱心で、そして人間性にも共感できたから。“仕事”とという域を超えてね。それは、僕らが彼に会った時にも明らかに感じ取れることだった。アルバムの方向性がブレないように指示してくれ、サウンド面では、完成度を高め、作品のポテンシャルを最大限に引き出してくれた。決して、音楽スタイルを形成する必要性や何か新たな方向性を試すための起用ではなかった。

マシュー:曲は事前にすべて出来上がっていたから、制作プロセスは楽しいものだった。君の質問に的確に答えるには、デモを聴いてもらって、比べてもらうのが一番早いかな。すべてのパートは既に存在しているけれど、アルバムに収録されたバージョンのスケール感には達していないし、サウンド面において完成されていない。“装飾”を施し、既にあったものを“整える”意味合いが大きいかったと思う。業界内では、大物プロデューサーを起用すれば、いいアルバムが出来上がる、というくだらない発想がはびこっているけれど、そんなのデタラメだ。
 現に僕らも「あのプロデューサーは新しいM83のアルバム手掛けて、素晴らしい出来だったから、彼を起用すれば間違いない!」なんてレコード会社のA&Rに言われたりした。でもそれって元々M83がいいバンドであったからで、プロデューサーのみの力ではないよね。のちに世に残るような名盤は、プロデューサーの名前ではなくて、関わっている人々の妥協を許さないという不屈の精神から生まれる。たとえば、クインシー・ジョーンズとマイケル・ジャクソン、2人一緒でなければ『オフ・ザ・ウォール』や『スリラー』は完成できなかった。僕らは自分たちでアルバムをプロデュースに携わると最初から決めていた。だからデモ音源を聴いてもらって、「これ以上いい作品には出来ない。」と言った人物と作る方がやりがいがあると感じた。

ジョージ:自分たちの中でどこまで“エクセレンス”を追求できるかのチャレンジでもあった。それにマイクにとっても、自分の名前がリンクされても恥のない作品に仕上がったと思うんだ。レコーディングが終わった時に、「こんなに難しいアルバムは初めてだった。でも今までにないほど作業に励んだ結果、誇れるような作品に仕上がった。」と言っていたからね。それはこのアルバムに携わったメンバー、スタッフ全員についても同じことが言えると思う。まさにパーフェクトだ。

「Woman」
▲ 「Woman」 (Official Video)

マシュー:彼は、自身のポテンシャルを僕らが向上させてくれたと感じてくれた。そして僕らも彼が携わってくれたことで同じように感じた。お互いリスペクトし合える関係であったけど、彼との作業は本当に楽しくて、あまり仕事という感じがしなかった。レコーディングの途中で、出来上がったアルバムをリリースしなきゃいけないというのを忘れていたぐらいに。

ロス:彼とは5週間ぐらいしか作業する期間がなかったけれど、最初のセッションを終えた時点で既に14曲のトラッキングを完成させた。相性は最初からばっちりで、絶え間なくアイディアが生まれてきた。

マシュー:うん、「このアイディアはどう?そうしたら、このアイディアもあうんじゃないか?」って具合にお互い“見せびらかしている”みたいだった。でもそれが嫌味なくできたのは、さっき言ったように、そこにお互いに対する敬意があったことと、マイクやエンジニアとの相性が最高に良かったからだ。このようにスムースに作業が進んだのは、彼らに会うまでに曲をきちんと書いていたからだ、とも思う。曲が不完全なままスタジオに入るというのは、多くのバンドが犯す間違いだ。たとえばマイケル・ジャクソンの「今夜はドント・ストップ」のデモ・バージョンを聴くと、すべてのパーツは揃っている。でもサウンド面において、もうちょっとだけ足らない部分があるんだ。それと同じで、僕らはプリプロダクションに3年間を費やして、曲を書いてきた。そこに時間と労力をかけたことによって、レコーディングの作業がラクで、楽しいプロセスになったんだ。

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今ではみんなに新鮮だと思われる

「What Makes You Beautiful」
▲ 「What Makes You Beautiful (One Direction cover)」 (BBC Radio 1 Live Lounge)

――現代では何かをインターネットに投稿すると、瞬時に世界中に発信されますが、SNSでの発言を制限したり、モノクロームのアートワークやアーティスト写真だったり、意識的にイメージを上手くコントロールしているように思えますが、ネットが普及していなかった頃に通ずる少しオールドスクールなバンドの哲学、美学ですよね。

マシュー:うん。すべてそれを意図して行っていることなんだ。

ジョージ:これは初めてインターネットやメディアに露出された時に、よく話し合ったことで、あまり多くをさらけ出さないように気をつけている。なぜかというと何かを得るよりも、それを欲してる状態の方が、欲求が強いから。たとえば僕らが新しいバンドを知ったりするのは、ライブで誰がそのTシャツを着ていたからであって、そのバンドのヴォーカルが下着で写ってる写真をTwitterで見たからではない。

マシュー:そう。人が惹かれるミステリアスな部分や曖昧さが失われてしまうよね。またマイケル・ジャクソンの話をしちゃうけど、彼は自分がどのように見られたいのかというのを明確に理解していた。そしてそのイメージを自分自身で発信して、それが唯一のイメージだった。レッド・ツェッペリンもそうだよね。彼らの場合は、アルバムのジャケットとTVで行われた一回きりのインタビュー映像しかない。その頃はアクセシビリティが、最大の重要性ではなかったから、音楽やアーティスト像に“熱狂”することが可能だった。そんな当たり前な考えを取り入れただけなのに、今ではみんなに新鮮だと思われる。

ジョージ:メンバーのパーソナルな情報をさらけ出すことで、何かが変わるとは思い難い。ただ存在が薄っぺらくなるだけで、他のエリアに劣る、磨かれてない部分を世に見せてしまうだけだ。

マシュー:人間味が出てしまうだけで、そんなのはロック・スターらしくないし、必要ない。

ロス:僕らがみんなに知ってもらいたいことはすべてアルバムに入っているし、それ以外のことはない。

ジョージ:実際問題、僕らから音楽を取り上げたら、かなり退屈だと思うよ(笑)。

一同:大笑い。

マシュー:でも本当だよ。他にはほとんど何も残らないと思う。真実味がある表現かではなくて、これが僕らの唯一の表現なんだ。自分達の音楽は真摯に受けて止めているけど、僕ら個人に関しては全く逆(笑)。でもそれがThe 1975なんだ。バンド以外に、メンバー個人にも個性が必要なんて馬鹿げた考えだし、特にイギリスのメディアは…はぁ~、この問題についてはいくらでも話せるよ…。とにかく僕らは4人で一つの個体なんだ。

――とはいえ、勇敢だと思います。まだ若いバンドなので、きちんと露出することも大事ですし、バランスや加減がやはり難しいですよね。

ロス:うん、微妙なラインだと思う。でも僕らはそのリスクを冒してでも、この哲学を曲げたくないと思ってる。

マシュー:正直な話、その辺のバンドよりは自分達の方が優れてると思ってきたから…。別に嫌な奴を気取ってるわけじゃないよ、本当にそう思ってた。でもそれだけバンドに自信を持っているということだよ。今まで自分たちが自信があるバンドだ、なんて風に思ったことはないし、信じるものを貫き通すようなバンドだとは考えていなかった。でももし音楽をリリースするのであれば、自分達らしくやりたい。それに自分のバンドが自分の中で一番でないとダメだ。レーベルに「それはクールだね。でもそのアイディアは受け入れられない。」と言われたからって、のこのこ従うわけにはいかない。疑わしくても、信じることは大切だと思うし、そう思わせるような信用を作品を通じて与えなければいけない。じゃないと、彼らにとってギターが弾ける単なる“友達”、操り人形になってしまう。すべての物事についてポストモダン的な見解を持たなければならないんだ。

――では最後に、今年もあと半分ですが、年内に達成したいバンドとしての目標や抱負などあったら教えてください。

マシュー:世界一ビッグなバンドになる!それのみだね。

The 1975「The 1975」

The 1975

2013/10/16 RELEASE
UICP-9049 ¥ 3,122(税込)

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