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JASMINE 『Complexxx』インタビュー
JASMINEの存在を瞬く間にシーンへと浸透させた名盤『GOLD』から3年。長き葛藤と、それに伴う成長を経て、超待望の2ndアルバム『Complexxx』が完成した。
ファンへの「あの人たちを裏切れないから」という意識、1stアルバム超えの確信、「救えなきゃ意味がない。人の為にならなきゃ意味がない」という気付き等、音楽なしでは生きられないJASMINEのリアルな想いをお届けする。
あの人たちを裏切れないから。絶対、超幸せになってほしい。
--名盤『GOLD』から3年。ようやく2ndアルバムが完成した今の率直な心境を訊かせて下さい。
JASMINE:聴いてくれ!
--(笑)。この3年間は、自分の中でどんな期間だったなと思いますか?
JASMINE:人間として成長するきっかけがいっぱいある3年間でした。3.11もそうだし、考えさせられることがいっぱいあって、責任感が出てきたかな。前は責任感とかじゃなかったんですよね、重点を置く場所が。自分がどういう音楽をやりたいか、そこに集中していたんで。好きなことをひたすら追求していく。
--今もそれは変わらないですよね?
JASMINE:変わらないんですけど、それをやっていく為にどうしたらいいのか。っていうのを考えるようになりました。
--“それをやっていく為”具体的にはどんなことをやってきたと思う?
JASMINE:例えば、絶対やりたくないと思っていたダンスを始めてみたり。歌に関しても練習せず「歌ってヴァイヴスでしょ?」みたいなタイプだったんですよ。でも今は練習もするし、活字恐怖症だったんですけど、本とか読むようになったし。自分が嫌だと思っていることを全然……むしろ好きになれてる。前向きに自分に取り入れようとしているのが、前までとはすごく違うから。人から「いいよ」って言われたことを「やってみよっかな?」って思うようになってきました。前までは好き嫌いがハッキリしてたんですけど。
--ダンスはどんなところが嫌だったんですか?
JASMINE:なんで嫌だったのか、今考えると本当に分かんないんですよ。今、ダンス好きなんで。なんだろう……ダンス、シンガーが踊っちゃったら格好良くないじゃんって思っていたんですかね? ダンスはやっていないぐらいが格好良い、みたいな。
--でも今は好きになったと。
JASMINE:「やりたい音楽がダンスミュージックなんだから、踊った方がいいでしょ?」って思って(笑)。
--では、変わらないなと思う点は?
JASMINE:…………伝えたいことだったり、出していきたいパワーみたいなもの。音楽が変わっても、ダンス踊っても、やっぱり言いたいことは変わらないんで。あとになって聴いてると、どれも言いたいことは「がんばれ」とか。前向きでありたいっていう気持ちが強い。聴いている人にとって。
--前向きにさせたい?
JASMINE:うん。
--音楽の力を信じる気持ちは、あの頃より今の方が強くなってる?
JASMINE:どんどん。理由がどんどん明確になってきてます。後に引けない理由がどんどん出てくる。もう趣味じゃないし、ファンの存在のデカさが自分の中で半端じゃなさ過ぎるんで。なんかパってすぐ浮かんでくる。
--恋してる感じ?
JASMINE:うん。あの人たちを裏切れないから。前までは自分しか見えてないというか、音楽対自分がすごく大好きだった。でも音楽の向こう側にいる人たちがだんだん見えてきて、繋がりになってきました。
--前回のインタビューで「自殺しようとする人を救うのは、音楽だと思っている」と語っていましたが、ファンひとりひとりに対しても「自殺してほしくない。笑っていてほしい」という想いが強くある?
JASMINE:絶対、嫌ですね。私の音楽を聴いている人なら、なおさら、絶対、自殺なんて嫌です。絶対、超幸せになってほしい。
--つい先日、東日本大震災で被災した岩手県釜石市に『SHIBUYA109KAMAISHI』が期間限定オープンし、そこでライブを行いました。「HERO」をピアノだけのバラードアレンジで熱唱し、中高生達が思わず涙ぐむ場面もあったと伺っています。どんな気持ちになりました?
JASMINE:「届いてほしい」っていう気持ちでいっぱいでした。目の前に届いてほしい人がいるから、リハでできないことができちゃう。想像以上に声が伸びたり。超集中するから、なんかスカッとするんですよ。
--そうした場でも歌ってきて、自分の中で「HERO」ってどんな曲に育ってきていますか?
JASMINE:自分にとっても応援歌になる。「HERO」作っているときはPVもなかったし、まだライブでも歌ってなかったけど、どんどん色付けされていって、どんどん深いものになっていって、歌にも異常に力入るし……私に中途半端を許してくれない。小さい頃に感じた、お母さんの強さですね。私に厳しい(笑)。本気でやらないと、天罰がくだる。
リリース情報
Complexxx
- 2013/08/28 RELEASE
- 初回限定盤[AICL-2576/7(CD+DVD)]
- 定価:¥3,500(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤(CD)の詳細・購入はこちらから>>
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
音楽がなかったらクソヤローだから、すごく落ち込んだりする
--そんな「HERO」も収録されるアルバム『Complexxx』。自身では仕上がりにどんな印象を?
JASMINE:格好良いなって。格好良いだけじゃないですけど、結構ぶっ飛ばした曲とかも入れてるんですけど……今の私にとって、超リアル。
--何の違和感もないと。
JASMINE:うん。前作『GOLD』は「こんな感じが好きで、こんな感じのノリで、こんなアルバムになりました!」みたいな感じだったんですけど、今回は「こういうものが作りたくて、だからこうして、こうする」みたいな。ほわほわ感は抜けている感じがします。歌ひとつひとつの節々も鬼のように練習したし。だから聴いてて楽しいですね。努力ってやっぱり形にできるのかなって。ちょっとずつそれが分かってきました。結構、怒られたりするんですけど、言われていたことが分かるようになってきました。
--(笑)
JASMINE:アーティスト活動やってて本当によかったなって思う(笑)。本当にいろんな人がいろんなことを言ってきてくれるんですけど、自分で「これがあるからやれる」って思うことがたくさんあるし、これの為に面倒くさいと思うことでも「やろう」って思うから、アーティストやっててよかったなぁ~って。
--アーティストじゃなかったら人間としてどうなっていたか分からない?
JASMINE:本当にそうです。ひょろひょろだと思います。その辺で力なく歩いていたと思います。
--音楽によって努力することを覚えたと。
JASMINE:うん。教えられてます。
--それもあってか、歌詞もサウンドも内容的に前作『GOLD』よりエモーショナル、強く進化していますよね。今作『Complexxx』は。
JASMINE:強さは醍醐味。そこは抜かりなしで行きたいと思って。
--どんな音楽をやっている人も、1stアルバムを超えていけるかどうかは命題になると思うんですけど、JASMINE的にそれを達成できた実感はある?
JASMINE:1stアルバム、超えてます。
--それを言い切れるのは、よかったですね。
JASMINE:よかった。いろんな人からすごく脅されまくってました。「みんな、大体、1stは超えられないからね」って。「そう言うの、やめてもらっていいですかね?」って思ってました(笑)。
--1st以上に純度が濃いモノを作れた感覚はあるんじゃないですか。いろんなことがこの3年間であったけど、結果としてJASMINEが放ちたい音、メッセージがガッツリ収められてる。
JASMINE:濃いですね。1曲1曲に結構重心置きましたね。大事な曲ばかりです。
--1曲1曲、重労働だったんですか?
JASMINE:正直に言うと(笑)。
--それは、前回のインタビューでも話していた“音楽で人の命を救いたい”想いだったり、“私ならあの娘たちの代弁者になれるんじゃないか”という想いがより強くなったから?
JASMINE:うん。聴いた人の心に「こういう風に刺さってほしい」って思ったときに、自分にそういう風に刺さってないとダメだから。まずはそこを目指さなきゃいけないんですけど、感覚を形にしていくのって「こうしたらOK」っていうものがないから。いくら何を学んでも、どこに答えがあるのかよく分からない。要するにピンと来るか来ないか、なので。でも表現するというのが、自分のすべきことなんだなっていうのは、本当にちゃんと分かってきました。
--その結果、完成したアルバムのタイトルを『Complexxx』にしようと思ったのは?
JASMINE:元々は『POWER』にするつもりだったんですけど、この3年間で作った曲が一枚のアルバムに入ったとき、そこに付くタイトルは『POWER』ではなかったんです。表に出すものは“POWER”なんですけど、その全てに裏があるというか、全てに“Complexxx”があって。その“Complexxx”がちゃんと“POWER”の源になっているんだけど、表にあるものだけを伝えるのは美学じゃないっていうか。
--ちなみにJASMINEにもコンプレックスはあるんでしょうか?
JASMINE:はい! いっぱい。
--例えば?
JASMINE:自分の……全部だな。性格も顔も過去も考え方も、音楽がないと生きれないことも。全てのことにマイナスってあるじゃないですか。そのマイナスをどれだけ見ないか、っていうことがパワーになるのかなって。どれだけ前向いていられるかっていう。
--今の話だと、マイナスから目を背けたいから、そうじゃない方向に行くという風にも受け取れるんですけど、マイナスを何かに昇華していくっていうイメージではないんですか?
JASMINE:それでもマイナスやコンプレックスが消えることはないから。ずっと付いて回るものだから。今ここにいる自分で何ができるか?ってなったときに、それもちゃんと知っていないと。後ろに何をあるのか知らないと、進む方向がブレてしまう。どうしても自信が持てないところとか打破していきたいから……あ、これ(ジャケット写真)は戦う気の表れです。
--先程、音楽がないと生きれないこともコンプレックスと仰ってましたけど、それは何故?
JASMINE:音楽がなかったらクソヤローだから、そこにすごく落ち込んだりするんです。
リリース情報
Complexxx
- 2013/08/28 RELEASE
- 初回限定盤[AICL-2576/7(CD+DVD)]
- 定価:¥3,500(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤(CD)の詳細・購入はこちらから>>
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人の為にならない音楽は……引退してからやります。
--じゃあ、音楽と共に生きていくと腹を括ってしまえば、落ち込むこともなくなるんじゃないですか。
JASMINE:あ、そっか。
--まさかの解決(笑)。
JASMINE:音楽がない瞬間の私って、すごくネガティブなんですよ。自分のダメなところがいっぱい見えちゃう。「私って人間としてどうなんだろう?」とか、そういうことばかり考えちゃうんですよね。でも音楽がくっつくと、前向きにしかなんない。不思議ですね~。
--でもその感覚は分かりますよ。
JASMINE:広い視野で物事考えたときに、自分がくだらない人間のように感じたりしちゃって。人にふと言われた言葉とかにすごく落ち込んじゃったりする。音楽がないと。
--それだけ音楽が“人生においてすべて”と言えるぐらい、大きいんじゃないですか。音楽があるから生きていけるし、格好良い自分であれる。だから、それがなくなると、途端に弱くなっちゃうし、怖くて仕方なくなってしまうっていう。
JASMINE:多分そうだと思います。それだけ音楽に重心を置いてるから、超命懸けで作った曲をポイとかされちゃったら、私も川に飛び込みたくなる(笑)。
--だから必死だし、そのコンプレックスも武器にできる訳じゃないですか。今作『Complexxx』のようなアルバムも作れる。
JASMINE:コンプレックスは個性ですからね。それがないと、私じゃないから。それをどれだけ前向きに捉えていくかだなって思う。だからこのアルバムを聴いてると救われるというか、思い出させてもらえることがいっぱいある。「そうだ。私はこれでいいんだ」って思えるから、聴く人にもそういう風に届いてほしい。
--その『Complexxx』に収められた新曲「I Hate You」は、何もかも剥き出しで見せてきたけれど、それ故に関係が終わってしまった。とてもリアルな内容となってますが、どんな想いや背景があって生まれたものなの?
JASMINE:めちゃくちゃ愛した唯一の男のことを歌ってて、終わったときの思い出を曲にしました。これは私の恋愛のコンプレックスになってるんです。自分を出すのって怖いなぁって。で、この曲のトラックを聴いていたら、それをぶつけるのにしっくり来たんです。
--JASMINEって、恋愛に限らず、純粋に人とぶつかったら切ない結果が待っていた。そうした経験から生まれる曲が多いですよね。
JASMINE:そうかもしれない。
--この件に関しては、曲にしてみてどんなことを感じました?
JASMINE:超えていきたいなって思いました(笑)。
--あと、今作の最後を飾る「I'll be there」。序盤から「きづいてるかい? 世界中の 誰にでも当たり前に明日が来るわけじゃない」と、世の現実を叩き付けるような内容になっていますが、このような楽曲を発表しようと思ったのは?
JASMINE:周りの同世代の人とかを見たときに、踏み込めない状態のままでいる人が多いなって気付いて、「そこで馬鹿力見せちゃえよ!」と思って。で、どうしたらその人の背中をボン!って押せるのか考えたとき、自分だったら、今、自分が持ってるチャンスを感じたときにグッと踏み出せるので、そういう曲が絶対に必要だって思ったんです。
--その曲の中で「ちゃんと聞いてる」「ちゃんと待ってる」と歌いたかった理由を聞かせて下さい。
JASMINE:このアルバム、全体的に押せ押せ攻め攻めで行ってるので、そういう優しさも出したかったんだと思います。そんなに“強い”ばかりじゃないんだよっていう。ふと言われたことがあるんですよ、「JASMINEの曲ってすごくカロリー高いよね。力入りすぎだよ」って(笑)。だから押してばかりじゃなく引く曲も歌いたいと思って。
--ただ、どんな曲でも、日常の中でなかなか面と向かって言われることはないけれど、言われたら確実に頑張れる言葉。それがJASMINEの歌詞にはありますよね。自分ではどう思います?
JASMINE:私、自分にそういう風にしてあげてるんです。
--自分が言われたい言葉を書いてるということですか?
JASMINE:ライブの直前とかも自分に超喋りかけてるんですよ。鏡見て、ガッと自分の中に入って「おまえ、できんの? おまえ、最高の歌を届けられるの?」「できるよ、大丈夫だよ。行ける」みたいな。そこで自分にかけてあげてる言葉。それを歌詞にしているのかもしれない。
--「I'll be there」を聴いて改めて思ったんですけど、音楽の役割を熟知している人ですよね。JASMINEって。
JASMINE:やっぱり震災のことがあってから「自分が音楽で何を出来るのか」ってすごく考えたし、今でもすごく考えるし、それは一人の日本人として、アーティストがやれてる人間として。そしたら今作のような音楽を作っていくのは、絶対だなって思いました。
--そこに「私の音楽で救えるのか、それを」みたいな葛藤はないんですか?
JASMINE:すごくあります。私には音楽しかないっていうことに気付かされたので、なおさら。救えなきゃ意味がない。人の為にならなきゃ意味がないってことに気付いたから。人の為にならない音楽は……引退してからやります。
--それはそれで聴いてみたいですけどね。“人の為にならない音楽”って掲げた音楽。
JASMINE:(笑)
--「あれ、意外と人の為になっちまった!」みたいな。
JASMINE:ハハハハハ!
--それはそれとして「音楽で命救えるかどうか」というところまで突き詰めていくと、本当に戦いになるじゃないですか。音楽制作がだんだん重いものにはなっていきますよね?
JASMINE:うん。でも明日への力になるものだったり、今この瞬間を楽しみたいと思わせるものだったり、そういう音楽を作るのってすごく前向きなので。とにかく前向きでいたいと思ってます。
--今作『Complexxx』は、どんな風に響いていってほしい?
JASMINE:自分が好きなこと、やりたいことに対する気持ちに一寸の狂いもない信頼を置いて、とにかく全力で進んでいく。そういう気持ちにさせたい。自信を与えたいです。
Music Video
リリース情報
Complexxx
- 2013/08/28 RELEASE
- 初回限定盤[AICL-2576/7(CD+DVD)]
- 定価:¥3,500(tax in.)
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Interviewer:平賀哲雄
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