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デルフィック 来日インタビュー
2008年にジェイムス・クック、リック・ボードマン、マット・コックセッジによってマンチェスターにて結成されたデルフィック。翌年リリースされたデビュー・シングル「Counterpoint」で話題となり、UK出身の新人アーティストにとっての登竜門【BBC Sound of 2010】では3位にランクイン。同年にリリースされたデビュー・アルバム『アコライト』では全英初登場8位に輝いている。昨年のロンドン・オリンピックでは、ミューズ、エルトン・ジョン、ケミカル・ブラザーズ、ディジー・ラスカルに並び「Good Life」が公式ソング5曲の1つに選ばれるなど、着実にバンドしての評価を高めている。そんな彼らが約3年ぶりとなる意欲作『コレクションズ』を引っさげ、4月末に開催された【ハシエンダ大磯フェスティバル】と単独公演の為に来日。これまでの来日公演をはるかに上回る白熱のライブを披露、その巧みなパフォーマンスで観客を魅了した3人に新作を中心に話を訊いた。
聴く度に新たな発見があるようなアルバムを作りたい
??2ndアルバムにも関わらず、最新作『コレクションズ』では、サウンドやプロダクションにおいて大胆な方向性の転換を図っていますが、これはどのような理由で?
リック・ボードマン:最近冒険的だったり、大胆なことをするバンドが少なくなってきていると思うんだ。
??個人的にはフォールズの2ndアルバム『トータル・ライフ・フォーエヴァー』がリリースされた時ぐらい驚かさせられました。
ジェイムス・クック:でも僕達の方が、彼らよりこのアルバムで劇的な変化を遂げているんじゃないかな。
リック:彼らの場合、形は違うけれどインディーという意味では変わっていないと思う。僕らはこの作品でジャンルのクロスオーヴァーを図ろうとしたんだ。
マット・コックセッジ:周りの期待に応えるとか、必然性があったからこういう作品に仕上がったのではなく、自然とこうなった。1stアルバムと同じ作品を作るのは、つまらないしね。
ジェイムス:フォールズのように、いわゆるギター、ベース、ドラムなどの楽器を中心としたバンドではなく、僕らはダンス・ミュージックを作っているバンドとして捉えてほしい。ここ数年のダンスやヒップホップのレコードの変化を辿っていくと、プロダクションが中心となっているものがほとんどだ。だから僕たちも今作でプロダクションをメインにした作品づくりを行った。
??アルバムは今年初頭にリリースされましたが、ファンからの反応はいかがですか?
リック:最初はみんな戸惑っていて、怒りすら感じていたみたい。でも徐々に受け入れられ、今は多幸感に満たされてるって感じかな(笑)。
ジェイムス:(笑)。熱狂的なファンが増えたような気がするよね。
マット:こんなにも熱心なファンがいるとは今まで思っていなかった。
ジェイムス:だよね。でもこのアルバムを期に増加傾向にあるみたいなんだ(笑)。
??特に今作は、何度か聴いて、作品の世界観に入り込んでいくという印象を受けたので、それも要因のひとつかもしれないですね。
リック:確かにそうだね。それがあるから、今回の方向性のシフトはリスクが大きいのかもと感じた。現代の音楽リスナーにとって集中力を持続させることは難しい行為になりつつあるから、考えてみれば無謀だったかもしれない。
マット:でも以前から、聴く度に新たな発見があるようなアルバムを作りたいとは思っていた。何でも瞬時に手に入り、使い捨てできるような世の中だからこそ、時間をかけて奥深さのある作品づくりをすることに意味があると感じたんだ。
??ここ10年間でインディー・ミュージックは、徐々に市民権を得ているので、その点では実験的な試みというのは受け入れやすくなっているのではないのかなと思います。
リック:そうだね。近年のイギリスでは、ダンス・ミュージックかインディー・ミュージックの2つのジャンルに分かれていて、インディーがポップ・ミュージックの新たな形になっている。
ジェイムス:現代のバンドによる音楽の多くは、ポップ・ミュージックへの反抗心から成り立っているけど、僕らはその逆でインディー・ミュージックへ反発しているんだ。だから意外かもしれないけど、ピンクなんかも聴いたりする。
??なんだか一周まわった感じで面白いですね。
リック:そうそう。僕らはプロダクションの面において進化が目まぐるしいポップ・ミュージックの方が惹かれる。はやりインディーは、楽器が主体となってしまうから、そこに縛られてしまうとあまり新しい事は出来ない。現に、ここ20年間ぐらい、インディー・ミュージックは変わってないと思うんだ。もちろんフォールズやボンベイ・バイシクル・クラブのように違うことをやろうしているバンドもいるけど、そこまで革新的なバンドはいないと感じるな。
ジェイムス:テーム・インパラはどうかな?彼らはインディーのジャンルを前進させていると思うな。それはそれでエキサイティングだよね。でも僕らが心から共感できるようなバンドはごくわずかだね。
??他にはどのようなバンドがいますか?
リック:まだフェニックスの新作はきちんと聴いていないけど、総体的に彼らは面白い作品づくりを行っていると思う。
?? 個人的には、前作の方が良かったかなと思いました…。
リック:僕も初めて聴いた時はそう思ったけど、数を重ねたら意見が変わってくるのでは、とまだ思ってる。それは自分たちの作品についても言われかねないことだったから、もう少しじっくり聴いてみようと思っているよ。
マット:フェニックスに関しては、“フェニックスらしさ”というものがあって、それが作品ごとに洗練されていっている。この前読んだレビューに、フェニックスのベスト・アルバムを作るとしても、どの曲がどの時代のものかわからないと書いてあって、それはある意味悪い事ではないのかな、と思った。曲が段々良くなっている証拠だよね。
??確かにフェニックスの作品には、彼らにしかない独特の感性がありますよね。
ジェイムス:新しいアルバムはあまり評判が良くないけど、ザ・ストロークスも以前とは変わらないセットアップで、新たなことに挑戦している。結果、評価は良くないけれど、前進しようとする姿勢は大事だと思う。新作でのジュリアン・カサブランカスのヴォーカルのキーはとてつもなく高くて、ギターのサウンドもいつもとは全然違うから、今までみたいにすっと入ってこなくて違和感があるけれど、何か惹かれるものがある。
マット:彼らの場合、歴史に残るような作品を作ってしまったゆえに葛藤はものすごくあると思うんだ。
リック:そうだよね。頂点から下落することは簡単だけど、落ちることなく、そのまま延長線上に進んでいるから見事だよね。
ジェイムス:ガレージ・ロック・バンドとして知られているから、そこから外れた作品を作ると悪く評価されるのは仕方がないのかもしれないね。あとはダーティー・プロジェクターズもいいよね。スタイルの面では、60年代のバンドとあまり変わらないのかもしれないけれど、彼らのソングライティング技法はとても興味深い。
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こんなにも違う曲を作り上げることが出来たのには誇りを持っている
??今作では、プロデューサーにDFAレコーズの設立者でもあるティム・ゴールズワージーを迎えていますね。彼は奇人だという話をよく聞くのですが、そんな彼とのアルバム制作はいかがでしたか?
マット:楽しくて、同時に困難でもあったけど最終的にはやりがいのある作 業だった。彼はプロダクション面において最高に長けているけれど、自分のスペースと時間を大切にする人だから、何か月もかけて曲を書きあげて、アルバムを 早く完成させたかった僕らにとっては、それがフラストレーションとなることもあった。曲とともに自分のスペースに何日も籠って出てこないこともあって、 やっと出てきたかと思うとたった一つのドラム&ベース・サウンドしか完成してない。だけどそのサウンドは、今までに聴いたことないほど素晴らしいものなんだ…でも一つのサウンドからアルバム作ることは不可能だからね(笑)。
??元々、彼とアルバム制作をしようと思ったきっかけは?
ジェイムス:2010年に「Counterpoint」のリエデイットで仕事をしていて、Skypeとかで連絡は取り合っていた。だから彼と再び仕事をするのは、自然な流れだったんだ。バンドの制作過程に他人が入ると困難が生じるのはやむを得ないけれど、僕はまた彼と仕事したいと思ってる。
リック:マットが言ったように、彼は自分の仕事に関しては凄く長けている。でも僕らと仕事するには、バンドの一員にならなければならない。デルフィックには、既に3人のメンバーがいて、“マッド・サイエンティスト”的な4人目のメンバーの必要性はなかった。後は考え方が似すぎていたということが、作業の妨げとなってしまった部分もあるのかもしれない。
??ティムは生粋のレコード・コレクターとしても知られていますが、アルバムのインスピレーションの為に薦められ、聴いた作品はありますか?
リック:山ほどあるよ。ダブを再構築したものだったり、イマジネーションのような70年代、80年代のキーボードやシンセを用いたファンク・ミュージック。
マット:まさに彼はクールな音楽の生き字引だよ。
??そしてもう一人のプロデューサー、ベン・アレンのプロダクション・スタイルは、全く違いますよね。
リック:そうだね。最終的には、彼のスタイルの方が鮮明にアルバムに表れている。ベンは、この作品にそれまで欠けていたパズルのピースで、アルバムを完成に導いてくれた。
ジェイムス:プロデューサーの仕事の半分は、時間のマネジメントをすること。彼はその適任者だった。残っている時間の有効な使い方をアドヴァイスしてくれ、何をしたらいいか的確に指示してくれた。僕らをスタジオにほっておいてもアルバムが完成するわけがなくて、彼がいなければ今頃まだウェールズかどこかでアルバム制作を行っていたと思うよ(笑)。
??2人のプロデューサーを起用したのは、意図的なものだったのですね。
リック:本当は10人ぐらい起用したかったけどね。これは1stアルバムをレコーディングしていた時に気づいたことなんだけど、やはり得意な分野には個人差がある。全ての面において有能な人材に出会うのは不可能に近いんだ。シンセ、プロダクション、コード進行だったり…。
?? 確かに、大物のポップ・アーティストになるとその曲その曲に合わせ、プロデューサーを含め全てを変えてレコーディングしてますもんね。
ジェイムス:そうそう、ピンクだったり。
リック:マドンナとか。
ジェイムス:本当はそんな風にレコーディングしたかったけれど、僕らのようなバンドはビヨンセやマドンナのように金銭的にそこまで大がかりなことは出来ない。リスナーが、アルバムを買わなくなっている背景もあるし。だから2人が精一杯だったんだ。
??今作は1曲、1曲が、彩り豊かで個性的なのが特質的ですが、トラックリストはどのようにして決めていったのですか?
マット:パズルを埋めていくように、わかっているところから始めた。「Atlas」が中盤、「Of The Young」はオープニング、「Exotic」を最後にしたいというのは最初から決めていた。
??アルバムの中で一際目立つ「Exotic」を最後に持ってこようと思ったのは、とても興味深いです。
ジェイムス:「Exotic」は、ラップが入っていて、他の曲とは全く違う。だから最後に入れて、先行き不分明な感じで終わらせ、推し量りたかった。そこから他の曲を当てはめていったんだけど、その作業だけでも1か月ぐらいかかったよ。1曲、1曲並べてみて、アルバムの流れの変化を見ながら…。
マット:曲の終りから、次の曲のオープニングが一番しっくりくるものを探すんだ。
リック:最終的に「Good Life」は、どこにも合わなかったからアルバムに収録されなかった。
??元々「Good Life」は、このアルバムのセッション中に書かれたものだったのですか?それともロンドン・オリンピックの為に書いたもの?
リック:『コレクションズ』のセッション中に書いたものだけど、この曲が出来上がったのは曲づくりを始めたばかりの頃だった。そこから「Changes」なんかを 書いていって、ヒップホップなフリートウッド・マック的な路線に移行していった(笑)。また曲が書けるようになったと認識する為に、重要な役割を果たして くれたけど、結果的にアルバムには収録されなかったんだ。
??なるほど。ではこのアルバムを象徴するマスターピースとも言える曲「Atlas」について教えてください。
マット:この曲は出来上がるまで、ものすごい長い時間を費やした。
リック:曲の構成も凝っていて、詞も訴えかけるものがある。2009年に書き始めて、出来上がるまで2年以上かかったんだ。ヴァース、コーラス、ヴァースというシンプルなものではなくて、沢山の小さなセクションに分かれた複雑な構成になっている。
マット:個人的には、ライブで演奏すると…ライブと言うのはその時の心持ちなど色々な要素に左右されるけど、「Atlas」とはどんな気分の時でも“繋がる”ことが出来る。これは演奏していなくて、単に聴いている時でもそうだけど、僕の心に訴えかけてくる何かがこの曲にはある。言葉では、表すことが出来ないパワー。それが僕がこの曲が一番好きな理由なんだ。
リック:1stアルバムから全く違うじゃないかと思う人もいるかもしれないけど、実際はそんなに変わってないと思うんだ。前作はダンス・ミュージックを軸としていて、テンション、リリース、テンション、リリースと言う具合に曲が展開していく。特に「Acolyte」はそうだよね。「Atlas」は、メロディーを重視しているから表面的にはまったく違う風に聞こえるけど、掘り下げていくと曲の展開の部分では一緒なんだ。中核が同じでも、こんなにも違う曲を作り上げることが出来たことは誇りを持っているよ。
??そしてヴォーカルのハーモニーにも一段と磨きがかかっていますよね。
リック:ハーモナイズするのって意外と楽しいんだ。
ジェイムス:さっきのポップ・ミュージックの話に戻るけど、ビヨンセはヴォーカルをすべて自分の声でレコーディングすると聞いて感心したね。確か、40、50ぐらいのトラックをレイヤーしてるじゃなったっけ?
リック:いや、もっと多くて70ぐらいだと思うよ。
ジェイムス:そうすると彼女のパワフルな歌声がより引き立つのが明らかだからだ。僕らも自分たちのヴォーカルを隠したくない。現代のインディー・バンドの多くは、ヴォーカルにエフェクトをかけたがるけど、僕らはそうはしたくない。ビヨンセやリアーナの曲と同じように、メロディーや詞がきちんと分かるようにしたいから。
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誰もやっていないことを追求するのは勇気がいるけど価値がある
▲ “Collections” - Artwork Timelapse
??今作のアートワークについて教えてください。ヴィジュアル面での制作プロセスにはどの程度携わっていますか?
マット:もちろんアートワークやビデオにもこだわっているし、ヴィジュアル面においても強い方向性も持っている。今回のアルバムは僕らもアート・ディレクションのクレジットをされるべきだったよ(笑)。ジャケットは、僕らが見つけたアーティストのVhilsが担当したんだけど、自分たちの顔を載せたいのはわかっていた。あとは小さなものが集まって大きな作品が出来上がるという、アルバムのタイトル『コレクションズ』を象徴するようなポートレイトに仕上げて欲しかった。彼は素晴らしい仕事をしてくれたね。それを撮影したものが今回のジャケットになったんだ。
??デビュー当時のプロモ写真や1stアルバムのジャケットなどメンバーの顔があまりわからないものが多かったですが、今回ポートレイトにしようと思ったのは?
ジェイムス:アルバムのコンセプトに合わせてという感じかな。前作より個性的な作品に仕上がったと思うし、さっき話したように、詞やヴォーカルもより力強く、全面的になっている。だからそれに合わせて顔を見せるのは、自然なことだったと思う。
マット:以前から、そういう風にしたかったんだよね。1stアルバムでは、まだ不安で探り探りな部分もあったけど、2ndアルバムでこれがデルフィックなんだというのが確立できたと思うから。
ジェイムス:この3年間で何が“ギミック”で何がそうでないかとういうのが理解できたのも大きいと思う。顔を隠すのは簡単なことなんだ。
マット:しかもそれが今主流となっている。
ジェイムス:僕らもデビュー当時はそうしてたけど、みんながやり始めてしまったら、同じことをやるのはつまらない。見ている方からしても、特に意味もないのになんで顔を見せてくれないの?って感じでしょ。
リック:これはメンバー全員について言えることだけど…何かが流行り始めたら、それをやることは避けて、正反対のことをやろうというスタンスで音楽活動を続けている。誰もやっていないことを追求するのは勇気がいるけど価値があると思うんだ。
マット:僕らはそれぐらいの意識で“アート”に取り組んでいるけど、そこまで考えているバンドは少ないと思うな。バンドがどのように行動するかというのには必ず理由があるはずで、いい作品を完成させるには、一定の思考力や想像力が必要だ。じゃないと、ただ単に目的もなく音楽を作っているだけだから。君はどう思う?
??方向性がなく、ただ音楽を作っているだけのバンドは消えていくし、バンドして、アーティストとしてきちんとした総体的なアイデンティティを持つことは重要だと思います。
マット:うん、そこで線引きされると思うんだ。自分たちのことを素晴らしいバンドだと上から目線で語るつもりはないけれど、目指すところはそこなんだよね。
??レディオヘッド、ビョークだったり…。
マット:そうそう、レディオヘッド、ビョーク、ボウイ、クラフトワーク。彼らには、スーパーグラスやブラーなんかには無い奥深さがある。いいバンドであることには間違いないけれど、知性に訴えるような音楽ではないと思う。バンドが自分にとって意味を持つのは、マインドと心の両方に刺激を与えてくれる時だと思う。
▲ 「Doubt (Live on Later with Jools Holland)」
??ライブに関しての話をお訊きしたいのですが、1stと2ndアルバムでは曲のエネルギーがかなり違いますが、それを生で一環としたパフォーマンスとして表現するのは困難ではなかったですか?
ジェイムス:それは僕らも懸念していたことだから、去年の夏のほとんどを費やして追求したよ。正直、出来るか不安だったけど。でも想像してより、いい感じになっていると思う。1stアルバムの曲だけを演奏していた時よりは、ステージにダイナミズムがある。アガる曲もあるし、その反対もあるから(笑)。
マット:2つのアルバムの中間点を見つけることで、ライブで違和感なく表現することが可能になったと思う。1stアルバムの曲をアップデートして、2ndアルバムの曲をそれに順応させる。
??なるほど。そして今回の来日では、大磯ロングビーチでの【ハシエンダ大磯フェスティバル】にも出演しますが、地元マンチェスターの音楽シーンが幼い頃に与えた影響は?
リック:僕は小さい時にニュー・オーダーを観に連れて行ってもらったりしていたから、もちろん影響は受けているよ。
マット:リックの両親はクールでいいよなぁ。僕の両親はクラシックばかり聴いていたから、そんなところには全然連れて行ってもらえなかったよ。
リック:僕の父親は、アシッド・ハウスをよく聴いていたな。その反動ではないけど、2ndアルバムは、それに背いた内容になっているよね。直接的ではないけれど、ある意味影響されている。ジェイムスは、マンチェスター出身じゃないんだよね。
ジェイムス:でもマンチェスター出身の名だたるアーティストやバンドのレガシーというのはあるよね。自分に関して言えば、マンチェスターに引っ越したのは、もちろん音楽シーンが素晴らしいから。偉大すぎて彼らの真似をする事は不可能だけど、彼らの成功から学ぶことは可能だ。今はインターネットがあるし、どんな音楽を作ることもできるから、真似をする必要もない。ニュー・オーダー、オアシス、808ステイト…彼らの成功に匹敵するような作品を作ることの方が重要なんだ。
??では最後に、現在のマンチェスターの音楽シーンについて教えてください。
ジェイムス:エヴリシング・エヴリシングだったり海外で名前を聞くのはマンチェスター出身のバンドが多いような気がするよね。
??エヴリシング・エヴリシングの最新作は、個人的に凄く好きでした。
ジェイムス:うんうん。いいバンドだよね。
リック:今新しいヴェニューも建設中なんだ。4000人ぐらいのキャパで、スゴイ会場になりそうだよ。後は、BBCを始め、メディア業界もマンチェスターの郊外にあるサルフォードに拠点を移しはじめているから、それによってマンチェスターも活性化されること間違いないね。
ジェイムス:勢いが衰えていたけれど、復活の兆しを見せていると思うよ!
Delphic LIVE REVIEW
これまで5度の来日経験があるデルフィックだが、今回は3人の他にドラマー、元ミュージックのベーシストであるスチュアート・コールマンを含めた5人編成での日本では初となるライブ。重厚なビートを刻むドラム、見た目に似つかないマットの強靭なギター、ヴォーカリストのジェイムスによる高揚感溢れるヴォーカル、そしてリチャードによる自由自在に変化するドラマチックなシンセ・サウンド。あくまで生音にこだわったステージングは、単純にダンス・ロックと一縄にするのは勿体ないほど。彼らがライブ・バンドとして異端なのは曲ごとに演奏を止めず、まるでDJのようにそのまま淡々とパフォーマンスを展開していくことだ。なので今回一番気になっていたのは、あまりにも違う1st、2ndアルバムの曲の繋ぎ目。インタビューでも話してくれたように、DJさながらのテクニックでビシッときめていくのは、彼らの確かな演奏力、そしてアレンジ能力ゆえだろう。2年を費やして制作された大作「Atlas」でライブ本編が終了すると、アンコールは大胆にアレンジされた「The Sun Also Rises」でゆっくりと再びフロア温め、そのまま「Counterpoint」、そしてラストは「Acolyte」。息をつく間もなく展開される濃厚な約80分間のステージに度肝を抜かれた観客も多かったはず。あくまでもバンドというスタンスを崩さず、新たなことにチャレンジしつつ、自分達らしい“ダンス・ミュージック”を追求した彼らが辿り着いた新境地が味わえる貴重なライブだった。
2013.04.26 Harajyuku Astro Hall Setlist01. Baiya / 02. Halcyon / 03. Freedom Found / 04. Memeo / 05. Clarion Call / 06. Don't Let the Dreamers Take You Away / 07. Red Lights / 08. This Momentary / 09. Doubt / 10. Atlas
Encore 01. The Sun Also Rises / 02. Counterpoint / 03. Acolyte
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コレクションズ
2013/02/06 RELEASE
UICO-1251 ¥ 2,409(税込)
Disc01
- 01.オブ・ザ・ヤング
- 02.バイヤ
- 03.チェンジズ
- 04.フリーダム・ファウンド
- 05.アトラス
- 06.ティアーズ・ビフォア・ベッドタイム
- 07.ザ・サン・オルソウ・ライジズ
- 08.メミオ
- 09.ドント・レット・ザ・ドリーマーズ・テイク・ユー・アウェイ
- 10.エギゾチック
- 11.グッド・ライフ (オリンピック・ラジオ・エディット) (日本盤ボーナス・トラック)
- 12.チェンジズ (デモ) (日本盤ボーナス・トラック)
- 13.バイヤ (シャドウ・チャイルド・リミックス) (日本盤ボーナス・トラック)
- 14.バイヤ (ブルックス・ブラザーズ・リミックス) (日本盤ボーナス・トラック)
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