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アンジェラ・アキ 『手紙~拝啓 十五の君へ~』 インタビュー
今回のインタビューも「ぶっちゃけトークばかりなので、そのぶっちゃけな感じをこれを読む人にはストレートに受け取ってもらいたいです」(byアンジー)な内容となった。約1年ぶりの新曲『手紙 ~拝啓 十五の君へ~』の話を中心にいろいろと語ってもらったのだが、興味深いのは、新曲がそうメッセージしているように、人はいつのときも逃げ出したい感情に襲われながらも、それでも生きているということだ。15才の頃のアンジェラの苦悩、そしてつい最近まで抱えていたアンジェラの苦悩、そしてその苦悩たちから立ち直らせてくれた、ありのままの自分。Billboard JAPANに綴られた、アンジーからのもう一枚の手紙、ぜひご覧頂きたい。
音楽をなんでずっとやり続けてきたのか
--アルバム『TODAY』以来、約1年ぶりのインタビューです。まさか1年近くもリリースがないとは思いませんでしたが(笑)。
アンジェラ:こっちもね、6ヶ月もツアーすると思ってなかった(笑)。
--(笑)。『TODAY』リリースからの1年は、自分にとってどんな期間になりましたか?
アンジェラ:自分で作った曲たちを噛み締める時間にはなったかな。バタバタとリリースすると、1曲を歌い込んだり噛み砕いたりする時間が少なかったりして、勿体ないんですよ。せっかく生み出すものだから、ちゃんとそれを自分の中で昇華できてから次の曲を出したい。海外のアーティストとかだったら3年ぶりのアルバムとかあるじゃないですか。「そういうのがいいなぁ」ってすごく思ったりして。でもそれは日本のマーケットでは無理で。ずっと続けていきたいんだったら、なかなかね。ドリカムさんとか見てても、あれだけ長いこと活動されてるのに、ずっと新曲はきちっと出していってるじゃないですか。でもそういうペースに対する疲れみたいなのはどうしてもあって。曲作って、プロデュースして、録音して、歌って、演奏して、ライブもやって・・・そういう一人芝居の部分がすごくあるから、だから私は噛み砕く時間がもっと必要なんですよね。そういう意味では、この1年間はそれがちゃんと出来て良かったなぁって。全国41本ライブやって、プラス武道館もやって、ちゃんと『TODAY』という作品を噛み締めてから、今回の『手紙 ~拝啓 十五の君へ~』に辿り着けたので。
--フェス参戦もありましたしね。
アンジェラ:フェスはね、「ピアノ一本でも全然ロックなんだよ」ってことをすごくみんなに知ってもらいたくて参戦しました。多くの人が私の音楽に対して「おとなしい」っていうイメージを持ってると思うんです。でも本当はおとなしく聴く曲もあるけど「決してそれはおとなしいところから生まれてるわけじゃないから!」みたいな(笑)。あとMCに関しても、未だに私が関西の人だって知らない人がいるから、そういうところも知ってもらうキッカケになったらなって。「あんな喋る人なの?」って(笑)。それで「おもろいやん、今度ライブ行ってみよ」ってなったら良いなと思うんですよね。
--アンジェラ・アキはめちゃくちゃロックですからね。
アンジェラ:ありがとうございます。まぁでも最初はね、春のアラバキ(【ARABAKI ROCK FEST.08】)で、髭(HiGE)さんの後だったんですけど、そこで巻き起こってるモッシュビートを見て「ちょっと怖いな」と思いました(笑)。でも出てみたら全然そんなことなくて。この前も【HIGHER GROUND】で、私、マキシマム ザ ホルモンが大好きで、CDとかDVDとかも持ってるんですけれど、本当に会えるのを楽しみにしてたんですよ。で、実際に会ってみたら、年齢が近いのもあってすごく意気投合して、私のステージを観に来てくれたんですよ。物凄く近くで見てくれて。しかも4人とも号泣してて!ホルモンと私の音楽の資質はちょっと違うかもしれないけど、書き出して放つエモーションっていうのは一緒なんだなと思って、すごく嬉しかった。「私も八王子に行きたい!」って思った。
--(笑)。また、いくつか大きなトピックを上げていきたいんですが、昨年のクリスマスに2度目の武道館公演がありました。1度目の武道館と比べて、いかがでした?
アンジェラ:もうちょっと肝っ玉座って演奏できるかなと思ってたら、やっぱり緊張して。まだまだ武道館という大舞台がしっくり来るようなアーティストではないなという、良い意味で謙虚な体験でした。とは言いつつも、武道館でやる意味っていうのはやっぱりあるなというか「この場所で歌い続けたいな」っていう気持ちにすごくなりました。自分の歌い続けたい場所、原点でもあり目標でもある場所ですね。
--あの日の大きなハイライトと言えば、14,000本の光の中で披露した『ONE』という新曲。なぜあの曲を歌おうと?
アンジェラ:「音楽をなんでずっとやり続けてきたのか」っていうことを思ったら“ONE”っていう言葉が思い浮かんで、『ONE』っていうアルバムはあったけど『ONE』っていう曲はなかったなと。で、1回目の武道館は桜色に染まったけど、2回目はクリスマスだったし、1人の小さな灯りでもみんなが灯せばめちゃくちゃ明るくなる世界っていうのを演出できたらなと思って。そうしたことも考えた中で『ONE』は生み出したんですよ。
--で、僕はてっきり今年の春ぐらいには、あの『ONE』がニューシングルとしてリリースされると思っていたんですが・・・どういうことなんでしょう(笑)?
アンジェラ:どういうことなんでしょうね!?これはレーベルに一言言わないと(笑)。ただ、1回目の武道館で披露した『サクラ色』もそうだったんですけど、「次のシングル曲です」っていう意味じゃなくて、本当にあれは武道館で歌うために作った曲なんですよ。あの場所にあの夜に来てくれた人だけが感じられる特別なものというか。『サクラ色』も武道館で披露したときはリリースなんて決まってなかったですから。だから『ONE』も出るか出ないかは分からないけど、いろいろレコード会社の都合があるでしょうし(笑)。でも自分の気持ちとしては、そこにフォーカスは当ててない。一夜限りの何かスペシャルなものを持って帰ってもらいたい。それだけのために作った曲なので。
--そして年を跨いで行われた、全41公演の全国ツアー【CONCERT TOUR 2007-2008“TODAY”】。自分にとってどんなツアーになりましたか?
アンジェラ:あれだけの規模でツアーをやるときはどうすればいいのか?いろんな方からそのアドバイスを受けたときに「10本やるんだったら全力でやってもいいけど、30本、40本、50本っていうレベルになってきたら、本当のプロっていうのは8割でキープしつつ、燃え尽きないようにやる」って言われて。「なるほど」と思って、最初の1回、2回、3回と「頑張って8割にしよう」と思って臨んだんですが、120%出してしまって。
--(笑)。
アンジェラ:「8割ってどのぐらいか分かんないな。でもまだ馴れてないからかな?」と思って。で、10本目ぐらい。まだ120%。で、20本目ぐらいで120%出してるときに気付いたんですよ。「私、8割って無理だ」って(笑)。でもまだ若いからなのか知らないですけど、120%で最後まで行けたんですよね。全然大丈夫で。毎日ガンガン飲んでるし(笑)。それで「私は8割っていうタイプじゃなくて、12割っていう人なのかな」って自分を知りました。だって初めて行く場所でずっと待ってくれていた人もいるわけですよ。例えば、秋田の人たちに「明日、仙台あるから、私は8割しか出さんわ」って言わなくても、そういう気持ちで接するっていうことが、あり得ないと思って。CDの倍はするお金払って、わざわざ来てくれている人たちに対して「8割はアカンわ」って思ってしまったんです。だから120%でもできる自分でいようと。100本とかだったらどうなるか分かんないですけど、とりあえず40本台だったら行けることはもう判明したので。
--8割でやってたら逆に具合悪くなりそうだもんね。
アンジェラ:本当にそう!そういうタイプ。
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Interviewer:平賀哲雄
手紙~拝啓 十五の君へ~
2008/09/17 RELEASE
ESCL-3120 ¥ 1,282(税込)
Disc01
- 01.手紙~拝啓 十五の君へ~
- 02.Final Destination
- 03.Still Fighting It
- 04.手紙~拝啓 十五の君へ~ (strings version) (bonus track)
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