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<インタビュー>「力が欲しいか!!」に心を撃ち抜かれて――世界(EXILE / FANTASTICS)が語る、人生を変えた漫画たち【WITH BOOKS】

インタビューバナー

Interview & Text: 高橋 梓
Photo: Yuma Totsuka
Hair & Makeup:パク・ヨンソン(Luana)
Stylist:平松正啓


 書籍や文筆と縁深いアーティスト、また音楽と縁深い作家へ、自身の書籍や音楽とのかかわりについて訊くインタビュー企画【WITH BOOKS】。今回登場するのは、サブカルチャー好きとして知られる世界(EXILE/FANTASTICS)。ラジオ番組『和田昌之と尾崎由香と世界のWADAX Radio』(TOKYO FM)や舞台『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage 《MAD TRIGGER CREW & どついたれ本舗 feat. 道頓堀ダイバーズ》への出演、声優としての活動をはじめ、さまざまな形でエンタメ、サブカルチャーを発信してきた世界は、「本」というものにどう向き合ってきたのだろうか。また、7月20日に発売される自身のスペシャルブック『世界館』では、どんな“世界像”が見られるのだろうか。本人にじっくり語ってもらった。

アニメ・漫画の面白さ

――『世界館』の発売、おめでとうございます。ダンスについてはもちろん、サブカルについても書かれた内容でとても興味深く拝読させていただきました! まずは、世界さんから見た「アニメ・漫画の面白さ」から聞かせてください。

世界:アニメは「動いている原作」が見られるのが面白さじゃないでしょうか。「このキャラクターの声ってこんな感じなんだ」、「自分が思っていた声とは少し違うかも」という部分も含めて楽しめるのが良いところですよね。自分の感覚と照らし合わせられるのも面白いですよね。あとは、アニメだからこそ映像化できているというシーンがあるのも魅力です。どう頑張っても実写でガンダムを作ったり、宇宙の映像を撮ったりするのは難しいですから。でもアニメならできる。そこはアニメの魅力だと思います。

 漫画は、クリエイティブな視点で見るとより面白さがわかると思っていて。僕らのようなアーティストだと、ライブを作るという作業をしますが、それはある程度土台がある上でクリエイティブをしています。漫画の場合はゴールに向かって世界を作って、キャラクターのセリフ、構図、主役のキャラクター性など、さまざまなことを作り上げていく。原作者がゼロからすべてを作っていますよね。そこが漫画の面白さじゃないかと思います。


――たしかに。そもそもの質問になってしまうのですが、世界さんがアニメ・漫画にハマった一番最初のきっかけは何だったのでしょうか。

世界:なんだろう? 自分でもわからなくなってしまっていますが、かなり小さい頃から好きだった記憶はあります。アニメのおもちゃみたいなところでいうと、3歳くらいで手にしていたと思うんですよね。でも、親戚の影響は大きいかもしれませんね。僕は一人っ子なのですが、親戚にいたのがほぼ全員年上の男の子だったんです。しかも10〜13歳くらい歳が離れていて。その人たちと一緒にアニメや漫画を見ていた記憶があります。しかも、プレデターやエイリアンの映画は見ずに、先にフィギュアに触れていて。「怖い」よりも「かっこいい」という印象がありました。その流れで『ドラゴンボール』を見始めた気がします。


――ちなみに、活字の本も読まれたりしますか?

世界:読みます。活字も好きで、小説はよく読んでいます。ミステリー系が多いかな。頭を使う系や、おどろおどろしいダークな世界観が好きです。逆に明るくてキラキラしていると、難しいかもしれないです(笑)。


――『世界館』の中にも、『BLACK LAGOON』がお好きという話が出てきていましたが、ダークな世界観が好きな理由はあるのでしょうか。

世界:時代だと思います。今ほどではないですが、僕が生まれ育った90年代ってバブルが弾けて景気が一気に悪くなりましたし、SNSが普及していなかったので海外の方と接することもなかったし、今よりも閉鎖的な時代だったと思っていて。90年代後半から2000年にかけては、ノストラダムスの大予言やハルマゲドン思想などの影響もあって、終末思想が流行っていましたからね。そういった時代的な影響もあると思います。


――あぁ、なるほど。作品はダークものがお好きとのことですが、好きな漫画家さんとなるといかがでしょう?

世界:たくさんいますが、『世界館』で対談をさせていただいた広江礼威先生もその一人です。『BLACK LAGOON』は僕が学生の頃に連載スタートして、ずっと追っていました。僕、洋画が好きなのですが、『BLACK LAGOON』って洋画的なセリフ回しが多いんですよ。それに、作中の表記は日本語ですが、登場人物たちが話しているのは英語。その世界観が面白くて大好きでした。他にも、『ARMS』の皆川亮二先生や『ベルセルク』の三浦建太郎先生も好きですし、鳥山明先生も大好きです。


自身の原点の一つとなった漫画『ARMS』


――今日は、好きな漫画として『ARMS』を持ってきていただいていますね。『ARMS』を選んだ理由をお伺いしたいです。

世界:『ARMS』は僕の原点の一つかなと思っていて。原点で言うと話に挙がっている『BLACK LAGOON』や『ベルセルク』の他にも、『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』や『GUILTY GEAR』の漫画もありますし、ジャンルが違いますが『I"s』や『いちご100%』、『NARUTO』もそう。その中で、取材で紹介したことがない作品がいいかなと思って、『ARMS』を持ってきてみました。SNSでは言っているのですが、メディアで紹介するのは初めてです。


――ありがとうございます……! 世界さんから見て、『ARMS』の良さはどこにあると思われますか?

世界:『ARMS』はすごく暗いです(笑)! でも、主人公の高槻涼が良くてですね。簡単に言うと、諦めないんですよね。『ベルセルク』のガッツと近しい部分があるかもしれない。それに世界観的にも面白いんですよ。主人公やその仲間たちは生まれつき力が宿っていて、それがいきなり発動してしまうんです。その力とどううまく共存していくか、という。その力によって両親の知らない一面が見えてくるという家族物語的にも面白い。あとは、敵が「エノク書」(旧約聖書の一つ)がベースになっていて、終末思想的なものもあって。すべてが面白いです。そして、何と言っても、皆川先生の絵が上手すぎる!


――先ほどチラッとお聞きしましたが、持ってきていただいた漫画に皆川先生直筆のイラストが描かれているんですよね?

世界:皆川さんとはSNS友だちなんです。僕の誕生日に皆川さんとお会いするきっかけがあって、一緒にご飯を食べて以来仲良くしていただいていて。皆川先生ってすごくおもしろいんですよ。一緒にカラオケに行った時は、米津玄師さんの「KICK BACK」を大熱唱していました(笑)。


――カラオケに一緒に行くなんて、めちゃくちゃ羨ましいです!

世界:僕自身もそう思います(笑)。子どもの頃に読んでいた漫画の作者さんと仲良くしていただけるなんて、夢のよう。「本当に存在するんだ!」って。漫画家さんって顔を出さない方が多いんですよね。


――たしかに。遠い昔は『週刊少年ジャンプ』の表紙に先生たちが登場していたこともありましたけど、なくなりましたもんね。

世界:そうですね。今では顔を出さない方が圧倒的に多いですからね。なので、誕生日にお会いできるとわかった瞬間、絶対に『ARMS』を持っていこう、と(笑)。ドキドキしながらお願いしたら、「あ、いいっすよ」と快く描いてくださいました。広江さんもそうなのですが、皆さんすごくサービス精神が旺盛なんです。


――素敵な出会いですね。そんな皆川先生の『ARMS』の中で、印象に残っているセリフや言葉を教えてください。

世界:それはやっぱり「力が欲しいか!!」じゃないですか。これは僕ら世代の中二病心をくすぐりましたよね。少し上の世代だと、『幽遊白書』の邪王炎殺黒龍波を出してみたいと思う感じ(笑)。「力が欲しいか」、「欲しければくれてやろう」というセリフは悪魔取引的な要素があって面白いと思います。あとは「祈るな!! 祈れば手が塞がる!!」とかも有名ですよね。『ARMS』って、何かに頼らずに自分の意思を貫くという考え方が多くて。それを敵が言うことがあるのも面白いと思います。


――人生のバイブル的な捉え方もできる作品ですよね。

世界:本当にその通りです。しかも子どもの頃に読む、というのがいいんですよ。初めて「自分の意思を貫け」というようなことを言われるのが大人じゃなくて漫画だとずっと覚えていますから。


――仰るとおりです。世界さんの好みは一貫している印象ですが、読みたい作品を探す時はどう探されているのでしょうか。

世界:昔は本屋さんや古本屋さんに行って、気になるものを買っていましたが、今はネットで探してしまいますね。X(旧Twitter)を見ていて面白そうだなと思ったものも読みますし、ネットの海から偶然拾い上げることもあります。


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  1. スペシャルブック『世界館』――対談を通して感じたこと
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スペシャルブック『世界館』
――対談を通して感じたこと


――一番最近読んだ作品はなんですか?

世界:『永井豪ショッキング・エッチコレクション』です。永井先生ってセクシーなシーンを描くことが多いのですが、そのシーンだけ集めた本があって。「このシーンはこういう意図があるからこう描いた」という解説付きなんですよ。それが面白かったです。そう考えると、ダークな作品が好きなのは永井豪先生が始まりかもしれませんね。僕って多分『週刊少年ジャンプ』好きだと思われていると思うのですが、意外と「友情・努力・勝利」大好きっ子ではないのかも(笑)。


――それも世界さんらしいというか。そんな世界さんのことをより知れるのが、スペシャルブック『世界館』です。読み物としてすごく面白かったのですが、制作期間を振り返ってみていかがでしたか?

世界:ゲストをお呼びしすぎて、対談が終わらないなぁと思っていました。案の定原稿チェックも大変でした。


――対談のお相手もかなり豪華な面々ですよね。

世界:そうです。前々から関わりがある方が多かったのですが、KEN THE 390さんとガッツリお話したのは初めてだったかもしれないです。仕事でお会いすることはありましたが、カルチャーについて話したのは初ですね。


――KEN THE 390さんはじめ、さまざまな方と対談をして気づきや改めて感じたことなどもあったのでは?

世界:やっぱりカルチャーが好きだなと思いましたし、僕が好きな人たちは全員カルチャーが好きなんだなと思いました。作家さん含め、自分が携わっているものの文化が好きで、それに育てられて、今は育てる側にいる方たちだからこそ、仲良くしたいと思うんだなと改めて感じましたね。


――カルチャーを理解したいと思う一方で、ハードルの高さを感じてしまう人もいると思うんです。そういう人はどうアプローチしたらいいのでしょう。

世界:それもわかります。漫画が好きだからっていきなりコミケに行っても何していいかわからないですもんね。そういう時は、同じように「初めて来たけどどうしていいかわからない」という人同士で仲良くなるのがおすすめです。もちろん、1人が好きであればそれでもOK。今ってなんでもネットで知識が得られるし、細かいことはAIに聞けば教えてもらえるじゃないですか。ただ、現場に足を運んで体感することで、痛烈にカルチャーを感じることができると思うんです。メディアではわからないことも、現場に行くと知ることができるので、現地に行くことが一番手っ取り早いんですよね。


――ダンスもそうだと思うのですが、カルチャーを知ることによってより楽しめる、好きになれるという現象が起きそうですね。

世界:そうだと思います。ただ、それによって挫折してしまう人もいるのも事実。僕はEXILEに加入して13年目になりますが、その間にダンスを辞めてしまった人もたくさん見てきました。そういう寂しさはあるかも。でも、より深く愛するためにはカルチャーを学ぶことは大切なのかなと個人的には思っています。


――そして、『世界館』を拝読するとこれまで世界さんは興味のあること、好きなことを次々と仕事にされてきているんだなと感じました。「好き」を「仕事」に変える時に、意識されていることはあるのでしょうか。

世界:萎縮しないこと、ですかね。フラットでいることは意識しています。関わる方々が大好きだし、大尊敬もしていますが、必要以上に遠い存在として見ないです。それが良いのか悪いのかはわからないですが、相手も人間ですし、遠い方だと思ってしまうと「すごいですね」しか言えなくなっちゃうんです。話したいことが話せなくなってしまうのが一番もったいないと思うんです。僕は中学生くらいからダンススタジオで代講レッスンをしていたのですが、生徒は自分より年上ばっかりだったんですね。すると、生徒さんは僕に対してフラットに質問してくるんですよ。「それどうやってやんの?」とか「わかんねぇ、教えて」とか。そうすると、こっちも「教える」というよりも「知識をシェアする」という感覚になれて、いろんな話ができるんです。逆に、「世界さん、世界さん! すごいですね」という感じで来られてしまうと、僕も気を遣って良い面でしか話ができなくなってしまって。そういう経験から、萎縮しないことを意識するようになりました。


――あぁ、なるほど。そのマインドでいることで相手にとっても自分にとってもプラスな関係性が築ける、と。そして『世界館』というタイトルも気になりました。

世界:あ、これはひらめきがきっかけで決めましたね。


――まさかの……! 博物館的な要素があるのかなと思っていました。それくらい世界さんの解像度が高まりそうな一冊ですが、読んだ方にどんな感想を持ってほしいですか?

世界:ぐっちゃぐちゃな気持ちになるんじゃないですか? わけわからないですよね、これ読んでも(笑)。次から次へと何の話をしているんだろう、みたいな。だからまったく僕のことを知らない方の感想を聞いてみたいです。皆さんが見たことがある方や、耳にしたことがある物も登場しているので、ぜひ手にとっていただけたら嬉しいですね。


Billboard JAPANブックチャートについて

――ありがとうございます。少し話題が変わりますが、Billboard JAPANブックチャートをご覧になった感想を聞かせていただきたいです。(※編集部注:世界さんには2026年7月2日公開の総合書籍チャート“JAPAN Book Hot 100”をご覧いただきました。)

世界:ラノベ原作が結構あるんですね。『片田舎のおっさん、剣聖になる 〜ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件〜』なんかは、アニメ化の影響がありそう。あ、『令和のダラさん』も入っているんだ。これもアニメ化されていますもんね。映像化されると強いなぁ。『釣って食べたいギャル澤さん』も好きですね。


――(笑)。今の時代SNSや動画で何でも情報が手に入りますが、こういうチャートで本の売れ行きを可視化することについてはどう思われますか?

世界:とてもありがたいです。知らないものを知れますから。こうやって可視化してくれることによって、気になるものが増えます。手軽に寄り道なしに自分が欲しい答えを手にできる今の時代だからこそ、こういったチャートの存在は大事だと思います。