Billboard JAPAN


Special

<インタビュー>「アイドルなのに」と言われ続けても貫き通した“信念”――PassCode、10年間の激動

top

Interview & Text:三宅正一

 アイドルという枠組みを超えてラウドロックシーンへと斬り込んでいるPassCode。南菜生、高嶋楓、大上陽奈子、有馬えみりの4人からなる彼女たちは今年、2016年のメジャーデビューからちょうど10周年を迎える。2021年8月に有馬えみりが加入して現体制となり、2022年2月には初の日本武道館ワンマン公演を成功させ、2025年6月にはバンダイナムコミュージックライブ内『MoooD Records』への移籍後初となる4thアルバム『INSIGNIA』をリリース。同年11月には横浜BUNTAI公演【PassCode YOKOHAMA BUNTAI 2025 "DESTINEX"】も開催した。

 PassCodeが10年以上の歴史をかけて証明してきたことがある。与えられるのを待つのではなく、ライブの場でその都度説得力を示し、仲間を少しずつ増やしていくという方法論が、最終的に最も長く続く道だということだ。アイドルという出自を一度も否定せず、バンドシーンという異文化の中に飛び込み続けながら、新型コロナウイルスによるパンデミックという予期せぬ時間のなかで“ショーとして見せるグループ”という新たな自己像を手に入れた。

 そして、2026年3月4日にTVアニメ『「お前ごときが魔王に勝てると思うな」と勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい』(以下、『おまごと』)のオープニング主題歌「Liberator」を表題曲としたニューシングルをリリースした。ライブへの覚悟、10年という時間が積み上げてきたもの、「Liberator」に込められた表現の核心を、メンバー4人が余すところなく語ってくれた1万字超のインタビューをお届けする。

鍼灸師さんが来ることが一番の安心要素

――2月4日の渋谷CLUB QUATTRO公演で初めてPassCodeのライブを拝見しました。バンドの演奏力、楽曲の完成度、そしてメンバー4人がステージに立つときの腹のくくり方と生き様の凄み、そのすべてにインパクトがありました。あれほどの熱量を放つライブを体現するために、いつもどんな準備と覚悟で臨んでいるのか、まず聞きたいなと思ったんです。高嶋さんからいいですか?

高嶋楓:ライブに対するマインドは結構変わってきていて。昔は目の前のことにがむしゃらに、気持ちでぶつかっていく感じだったんですね。でも今は、見てくれるファン層も幅広くなってきて、コロナ禍が明けてゆっくり見たい方もいれば、ライブハウスらしい遊び方をしたい方もたくさん増えてきて。ダンスなど目で見て分かる楽しみ方にもしっかり集中してパフォーマンスしようという意識に変わってきましたね。

南菜生:バンドセットでのライブは2016年からずっとやらせてもらっているんですが、最初の頃は本当に声がバンドに負けてしまっていて。「ステージに立たせてもらっている」「歌わせてもらっている」という感覚がずっと強かったんです。でも、10年こうして続けていくと声量も上がるし、フィジカルも強くなる。バンドとの関係値、チーム全体の関係値もどんどん向上しているからこそ、今こうして見てもらえてよかったと思っています。

――だからこそ、キャリアを重ねているなかで離れていったかつてのファンにも今のPassCodeのライブを観てほしい、という気持ちもあるんじゃないかと思います。

南菜生:そうですね。何度でも観てほしくて。ファンの方によって離れた理由もいろいろあると思うんです。規模感が変わったからとか、チェキ会などの特典会がなくなったから、という方もいると思う。でも、どのタイミングで見ても「PassCodeってかっこいい」と思ってもらいたいというのはメンバーの共通認識としてずっとあります。2021年8月に体制が変わって有馬えみりが加入したことで、もともとメタルシーンに精通しているメンバーがいなかったので、えみりから「メタルの文化ってこういうものなんだよ」と教えてもらったり、アプローチや考え方が変わったりして。



有馬えみり



――有馬さんが新しい風をもたらしてくれた。

有馬えみり:そう思ってもらえていたらうれしいです。

――それにしても、あの爆音を牽引しながらパフォーマンスする姿からは、相当フィジカルが強いグループなんだなと感じました。どうやって体力をつけているんですか?

南菜生:結局、スタジオで通し稽古をしながら全曲フルで歌いながら踊る、というのが一番しんどくて(笑)。アドレナリンも出ないし、鏡の前だとごまかしが利かないから。それを繰り返すうちに自然と体力がついてくるし、どこで力を使ってどこで緩めるかという調整もできるようになっていくんです。

大上陽奈子:私が加入したばかりの頃は、最初の5本くらいのライブはソロパートを歌うのが精一杯で。全員で歌うはずのサビのパートが全然歌えていなかったり。当時のスタッフに「歌ってない!」と怒られた記憶があります(笑)。でも、毎週末に2本ずつくらいライブをこなすうちに、いつの間にか体力がついていった感じです。

――僕が拝見したライブでは、大上さんが一時ステージからはけられた場面がありましたね。あれは酸欠だったんですか?

大上陽奈子:喉が急に飛んでしまって。ツアーでいつも帯同していただいている鍼灸師の先生を呼んで、針を打ってもらったり揉んでもらったりしたら、次のブロックから本当に回復して戻ってこれたんです。

――え、ライブに鍼灸師さんが帯同されているんですか?

南菜生:そうです。2017年頃からずっと同じ先生にお願いしています。ツアーや規模の大きいライブでは必ずいてもらっていて、その先生が来てくれることが私たちにとって一番の安心要素なんです。「ケータリングの予算を削ってもいいから、鍼灸師さんだけは呼んでください」と言っているくらいで(笑)。

大上陽奈子:本当にそう言っています(笑)。「鍼灸師さんが来ることが一番の安心要素だから、そこにお金を使ってください」と。



南菜生



――アイドルのライブに鍼灸師さんが帯同しているのは珍しいんですか?

南菜生:アイドルは少ないと聞きますね。規模感が大きくなってきてから、という話はたまに聞きますけど。

――大上さんがバックステージに行っているあいだに南さんが時間をつないでいたMCが、とても自然で。それもすごいなと思いました。

南菜生:昔はできなかったです。誰かひとりがいなくなっても、残りの3人がなんとかしてくれるという信頼があるから、今はそういう対応ができる。「どうにかなる」という安心感のなかでやれているのが心強いです。

――2021年の体制変更についても聞かせてください。有馬さんが加入した経緯を教えてもらえますか?

有馬えみり:もともとメタルバンドでボーカルをやっていたんですが、あるときYouTubeで見つけた動画がきっかけでエレクトロニコアを知って、そのなかで「女の子たちがシャウトしながら踊るアイドルグループがある」と初めて知ったんです。それがPassCodeでした。そこからアイドル業界に入ることになって、LADYBABYというグループにシャウト担当として所属して、2021年にPassCodeから声をかけてもらって加入したという流れです。LADYBABYはオーディションで加入したんですが、もともとデスボイスを担当していた女装プロレスラーのパートを歌う前提で応募したんです。でもそれは、「女の子がシャウトしながら踊る」というPassCodeの前例が頭の中にあったから挑戦できた。そういう意味で、LADYBABYに入ったきっかけ自体もPassCodeだったんです。

南菜生:こっちはこっちでPassCodeの体制が変わるタイミングで、マネージャーに「シャウトができる女の子を何人か紹介してほしい」とお願いしていて。女の子でシャウトができる、しかも踊れるという人はそこまで多くないので。最初に見せてもらったのが、えみりが制服姿でシャウトしている動画で、残りの3人で一緒にそれを見て「この子にしよう」ってなったんです。「とにかく一回声をかけてから考えよう」と。

有馬えみり:高校生の頃からYouTubeに動画をあげていたので、それを見てもらえたんだと思います。

――加入した時期がちょうどコロナ禍の真っただ中でしたね。

有馬えみり:私が加入したときはまだ声出しが禁止されていて、客席も1席ずつ空けていた時期でした。手拍子と拍手のみという状況でのデビューでした。

――PassCodeのメンバーとして初めてステージに立ったときの感触はどうでしたか?

有馬えみり:LADYBABYとは会場のキャパが全然違うし、イヤモニもあるしで、いろいろ違いすぎて。前のグループと比べるとかいう次元じゃなくて、モニター環境からすべてに慣れていかないといけないという感じでした。それに加えて、振り付けは間違えてはいけないというプレッシャーも当然あって。1か月くらいで全曲の振りを入れてもらっていたので。

南菜生:その時期は3人にとっても本当に大変だったんです。ちょうどツアーの途中でメンバーが抜けてしまったので、残りのツアーを3人でこなしながら、同時にえみりへの振り付けの指導もして、9月からのツアーに間に合わせるというスケジュールで。3人はライブをしているか、えみりに振りを教えているかしかなかった。休みが3日間だけという時期があったりして、本当にバタバタでした。えみりは本当によく頑張ってくれていたと思います。メンバーチェンジのタイミングって、ずっと応援してくれていたファンの方から「前のメンバーのほうが」という声が出るのは絶対にある。だから芯がある子、好きなものをやっている子のほうが、そういう言葉にも耐えられると思って選んだ部分もありました。だから練習もめちゃくちゃ入れていたし、えみりもしんどかったと思います。

――しかも加入してから割とすぐに武道館という流れだったんですよね。

南菜生:えみりが加入する前にもう武道館が決まっていたんです。だから、加入して半年後くらいにはもう武道館でした。

NEXT PAGE
  1. <Prev
  2. Next>

ショーとして見せることができるグループ



――有馬さんがPassCodeのパフォーマンスに慣れてきたのはいつ頃でしたか?

有馬えみり:シャウトに関しては3本目くらいのライブから、もうアドリブを入れ始めていたんですよ。音楽は楽しんでやらないと意味がないので。でも、PassCodeとしてという意味では、武道館が終わってからのスケジュールが、自分が加入したあとに決まったものに変わってきてからかな。加入直後はある意味、「既存のPassCodeのパフォーマンスを遂行する」という感覚が強かったのですが、自分が加入した状態で作られた新曲が出てきてから、やっと“私がいるPassCode”になったなという感覚がありました。

南菜生:えみりが作詞作曲してくれた曲も昨年リリースしたアルバム『INSIGNIA』に入っていますし、いろいろ幅が広がっていっているなという感じが今はすごくあります。

――大上さんから見て、有馬さんが加入することでPassCodeのライブはどう変わりましたか?

大上陽奈子:一番変わったのは、自由度が増したことだと思います。えみりはもともとメタルバンドをやっていたこともあって、本当に型にはまらなくて。CDとは違う即興のシャウトを入れてきたり、煽りながらシャウトを加えたりするんです。それを見て、もともとは振付に忠実に動いていた私や高嶋も、えみりが加入する前よりさらにライブで自由になれたなと感じています。振り付けがある大前提は変わらないし、揃えるところはしっかり揃える。でも、ソロパートなどでは自分のやりたいことをやっても成り立つよね、という発想ができるようになって。いろんな表現ができるようになったと思います。

――コロナ禍前は、大人数のアイドルグループのように「一人だけ違うことをしてはいけない」という固定観念もあったんですか?

大上陽奈子:自分の中にそういう概念はあったと思います。でも、PassCodeは揃えるところは揃えるからこそ、ソロの場所では自由にやっても成り立つということに気づけました。振り付けに縛られるんじゃなくて、振り付けがあることが自由を支えている、という感覚に変わってきました。



大上陽奈子



――PassCodeはアイドルシーンとバンドシーンの両方に関わり続けてきたわけですが、最初はバンド側から「アイドルでしょ」という目線もあったんじゃないかと想像します。一番しんどかった時期はいつ頃ですか?

南菜生:2016年頃まではアイドルの大きなフェスや対バンイベントにも出ていたんですが、私たちのパフォーマンスのときにフロアでモッシュが起こったり激しく盛り上がったりして、次の出番のグループを待っているファンの方がいる状態だと、フロアが激しく動いてしまう。そうなると、ワンマンでやっているパフォーマンスをそのイベントではできないし、私たちのファンの方もフラストレーションが溜まる。それならばいっそ自分たちのパフォーマンスを受け入れてくれる場所でやろうということで、バンドとの対バンやバンド系のイベントに活動の中心をシフトしていきました。「アイドルなのに」という色眼鏡でその後もたくさん見られてきたけど、私たちの成り立ちはアイドルだから変えようとも思わない。続けることで受け入れてもらえるはずだという信念がありました。

有馬えみり:私が加入して3年目頃に、メタルフェスに出演したことがあって。PassCodeの音楽は大きなくくりで言えばメタルに分類されますが、メタルだけのフェスへの出演はあまりなくて、それが決まったときはもちろんうれしかったんです。でも、終わってからエゴサーチ……普段は全くしないんですが、そのときはなんとなくしてみたら、PassCodeのファンじゃない方が「本当にすごかった」と書いてくれていて。それは純粋にうれしかったんですが、そのあとに「この人たちが楽器を持っていたら誰も敵わなかっただろうな」という言葉があって。それを見て、楽器を持っているほうが偉いという価値観がまだあるんだな、と思ったんですが、同時に「私たちは自分たちの武器としてダンスを踊っているんだ」という気持ちも強くなって。ダンスを踊りながらメタルをやっているという新しい面白さを、そういう価値観を持っている方たちにも伝えていきたいと、そのときめちゃくちゃ強く思いました。

南菜生:2016年から生バンドでのライブの経験を積んでいくなかで、コロナ禍に入るまでは「バンドっぽいパフォーマンスをしたほうがいい」という気持ちがどこかにあった時期もあったんです。なんでかと言うと、アイドルがロックフェスに出て当たり前の今と違って、ジャンルで完全に分けられていた時代があって、出るたびに「アイドルでしょ」という目で見られる、という経験を何度もしてきたので。自分たちは楽器を弾いているわけじゃないし、踊っている女の子4人だし、という部分で勝手にコンプレックスを持ってしまっていたんです。それがコロナ禍に突入して、「ライブが盛り上がってなんぼ」「勢いがあればいいじゃん」と思っていたところから、全くファンを盛り上げられなくなって。フロアのスタイルも全部変わってしまった。そのときに気づいたんです。PassCodeって、女の子4人が踊りながら歌うグループだから、ショーとして見せることができるグループでもあったんだ、と。その2年間で「ステージを見るだけで楽しめるグループにしよう」という練習を積んでいって、フロアが自由になった今は、バンドっぽさとアイドルっぽさのいいとこ取りができるようなバランスを手に入れられた感じがします。コロナ禍がなかったら、このバランスはなかったと思うんです。バンドっぽいパフォーマンスだけを意識していたときよりも、自分たちの独自のスタイルを確立していってからのほうが、先輩方から「今のPassCodeいいね」と言ってもらえることが増えた気がして。それは長く続けてきたからこそ手に入れたもので、コロナ禍があったからこそでもある。やっと自分たちのいいバランスを手に入れられたなと思っています。コロナ禍に入ってから、久しぶりにアイドルとのツーマンをやりたいと思って、私立恵比寿中学さんにお声がけしたんです。ずっとアイドルフェスのメインステージで見てきた、憧れていたアイドルグループとツーマンができるようになったということで、ずっと信じて歩き続けてきた道が報われた気持ちがあって。しかも、陽奈子はずっと私立恵比寿中学さんが大好きだったから。

大上陽奈子:私がPassCodeに加入してひと月くらい経った頃に、【@JAM】というアイドルイベントに出演して、そのときにバックステージで私立恵比寿中学さんとすれ違って「写真を撮っていただいていいですか」とお願いしたんです。そのとき向こうはPassCodeの名前すら知らないくらいの状態だったと思うし、そこからツーマンができるようになるなんて全く思っていなかったので、ここまで続けてこれたんだなと感慨深くなりました。

高嶋楓:あと、バンドのフェスに出させてもらったときに、別のステージにももいろクローバーZさんが出演していたことがあって。私はずっとももクロさんのファンだったんですが、PassCodeはバンドの枠として出ていたのに、ももクロさんはアイドルの枠として出ていて、そこで少しお話しできたのがすごくうれしかったです。

南菜生:高嶋はもともとファンとして、ももクロさんをガチで追いかけていたんですよ(笑)。

高嶋楓:ガチのガチで追いかけていました(笑)。でも、そういう、ちょっと違う道を歩いていても交差するところがある、というのは本当にあると思います。バンダイナムコミュージックライブに移籍してからはアニメのタイアップをいただくことが増えてきて、今はアイドルとしても、バンドとしても、アニソン・アーティストとしても、全部のフィールドに出ていきたいという気持ちがあります。

南菜生:昔から変わらないんですけど、アイドルの番組だったら「アイドルです」と言って出るし、グループとして動く場所では「グループです」と言って出る。今はさらに「アニソンもいけるんじゃない?」という気持ちが加わってきました。



高嶋楓



――でも、そういうことをどこに立っても言えるのは、どんな場所でも自分たちのライブを見せられるという裏打ちがあるからですよね。

南菜生:そうだと思います。もとからアウェーな場所でしかやってこなかったというのもあるし、アウェーに立つときはメンバーみんなちょっと肩が温まる感じがあって。「今日はどういう感じで行く?」「明るく行く?」「イケイケで行く?」みたいな話をするのが楽しかったりします。

大上陽奈子:もっとライブを入れられないかということも常にメンバーで話していて、「ここのスケジュールが空いていますよ?」「今から会場を押さえませんか?」という話を自分たちからスタッフにすることは多いです(笑)。

――自分たちから事務所に提案をするんですか?

大上陽奈子:そういう話ばっかりしています(笑)。会場を押さえるのも今は本当に大変なんですけど。

南菜生:先輩と対バンしたい、ツーマンをしたいと思ったら、フェスとかの場で自分たちから話を持っていくこともあります。「こういうグループで、こういう活動をしてきて、こういう気持ちがある」ということを直接伝えたりして。だから、決まったときはすごくうれしいし、ライブも大事にできる。よく「メンバーがそこまで動いているの?」と驚かれますけど、相手が大切にしているイベントやフェスについては、自分たちから「出たい」とは言わないんです。例えばSiMさんが主催する【DEAD POP FESTiVAL】は、ずっと出たい気持ちはあったけど、自分から「出たいです」と言うのは絶対に違うと思っていて。ライブを見てもらって「呼んでいい」と思ってくれたタイミングで声をかけてもらえたら、と待っていたんです。そうしたら、去年ツーマンをしてもらえて、私たちのライブを見てくれて、それで呼んでもらえることになった、という流れがあって。そういう人を増やしていくことが、PassCodeとしてずっとやっていくことだと思っています。だから、急に大きなことが勝手に決まるということはないし、一歩一歩積み重ねていくしかない。

――それが言えるのがかっこいいですよ、本当に。チームの風通しがよくないとできることじゃないと思います。

南菜生:歌詞を書いてくれている作家さんも、サウンド・プロデューサーの平地(孝次)さんも、バンドのメンバーの皆さんも、長くずっと一緒にやってきている方が多いので。ユニバーサルミュージックからバンダイナムコミュージックライブに移籍したときも、担当の方がそのままついてきてくれて。熱量を持って、人生をかけて関わってくれる人がこんなにいるグループなんだと感じるとすごくありがたいし、そう思ってもらえるグループでいたいと思います。歌詞については、私がMCで話したことや、メンバーそれぞれの立ち振る舞い、言動を引っ張ってきて織り込んでくれることが多くて。ステージに立っているのはこの4人だけど、チームとしてPassCodeを背負ってくれている人がたくさんいる。4人だけじゃないという感覚がずっとあります。

NEXT PAGE
  1. <Prev
  2. Next>

イントロの約10秒間に
PassCodeの面白さが全部詰まっている

――ニューシングル「Liberator」について聞かせてください。それぞれどのようにこの曲を自分のものにしていったのか。イントロからシャウトが炸裂していたり、シンフォニック・メタルを彷彿させるコーラスがあったり、攻めの姿勢とPassCodeの核心を旗として振るような楽曲になっていると思います。

高嶋楓:イントロから有馬のシャウトが入っているだけじゃなくて、そこに私と南もシャウトで参加していて。アニメ・タイアップでそういう楽曲ってあまりないと思うので、正直「大丈夫かな?」と思いながらレコーディングに臨んだんです。でも、有馬のシャウトを聴きながら「自分が自由にやっても有馬が全部カバーしてくれる」という安心感があったので、自由に、のびのびとやれました。

南菜生:これまでのアニメ・タイアップではシャウトをここまで入れられないことが多かったんですが、えみりがずっとシャウトをやり続けてきてくれているからこそ、私たちも参加させてもらえるようになってきたんだな、と感じました。全部がつながっている感じがします。

有馬えみり:私は「Liberator」のイントロの約10秒間に、PassCodeの面白さが全部詰まっていると思っています。もともとルーツもバックグラウンドもない人がシャウトをするということには、技術だけでやることとは違う意味があると思っていて。高嶋と南のシャウトには改善できる点がもちろんたくさんあるし、5分もらえればコツをたくさん教えられるんですが、あえてその個性を保っている部分もある。全然違うバックグラウンドを持つ人がやるからこそ生まれる面白さがあって。それがPassCodeの独自性のひとつだと思っているんです。私みたいにアイドルのバックグラウンドがない人間がやるアイドルのパフォーマンスが面白いように、その逆もあるんです。「メタルはこうじゃないと」という固定観念で、PassCodeの音楽や可能性を狭めることはしたくない。そのことはサウンド・プロデューサーの平地さんとも雑談的に話し合ったりしていて。南と高嶋、それから陽奈子ももしかしたらいつかシャウトすることがあるかもしれないんですが、「バックグラウンドがあるからやる」じゃなくて、「PassCodeとして面白いからやる」という姿勢が一番いい。それが「Liberator」のイントロに全部表れていると思っています。




PassCode - Liberator - TVアニメ『「お前ごときが魔王に勝てると思うな」と勇者パ―ティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい』オープニングテーマ


大上陽奈子:レコーディングで歌詞カードをもらったときに「あれ、3人シャウトがある」と気づいて(笑)。私はシャウトができないから、歌唱パートを引っ張っていく役割なんだと捉えてレコーディングに臨みました。あと、レコーディングが終わってから『おまごと』の原作を読んだんですが、歌詞と物語がリンクしているところがたくさんあって。この曲を初披露した横浜BUNTAIでは、主人公のフラムの気持ちと自分をリンクさせながら、ちょっと憑依させてみるような感じでパフォーマンスしました。

――パート割りはレコーディングの段階ですでに決まった状態で届くんですか?

南菜生:平地さんが作る段階で「この子が歌う」と想定してくれているので、完璧に決まった状態で来るんです。だから、今ではパート割りを見なくても「歌い出しは楓だろうな」と分かるくらい、キャラクターや声の個性が共通認識になっていて。

高嶋楓:私はちょっと遊びのある面白いパートや、子供っぽく歌ってほしいとか、ロボットっぽく歌ってほしいとか、何かにキャラクターを寄せて歌うことがいつも多いので、そういうパートがあれば「これは私だろうな」と分かります。

南菜生:楓の声はオートチューンとの相性が本当に抜群で、同じようにかけても楓の声だけ馴染み方が全然違うと平地さんもよく言っていて。そういうパートは楓に集中してくることが多いです。

――ライブに必要な楽曲を逆に提案することもある?

南菜生:『INSIGNIA』収録の「DESTINEX」は、横浜BUNTAI公演のオープニングにふさわしい曲が欲しくて、絶対にシンガロングが入った曲にしたいという話を平地さんにして作ってもらいました。ライブでこういう曲が欲しいという話は、レコーディングが終わったあとなどにチームで集まってコンスタントにしています。

――グループの表現力が成熟していくなかで、アルバム『INSIGNIA』の「Echoes」のようなバラードについてもだんだん体現しやすくなってきている感じがありますか?

大上陽奈子:去年くらいからスタンドマイクを使って、振り付けをほぼなくしてパフォーマンスする演出を取り入れてみたんです。10年前だったらたぶん様にならなかったというか、できなかったと思います。でも、今やってみたら意外と成立するなという発見があって。「こういうのを演出に組み込んでいけるね」という新たな気づきが生まれました。

南菜生:昔はワンマンでバラードが来ると、フロアが“休憩タイム”みたいになりがちだったのが、今は演出のひとつとしてちゃんと機能するようになってきました。歌唱力が上がってきたということもあるし、貫禄が出てきたというのもあるかもしれない。最初にPAさんにスタンドマイクでやると話したときは「PassCodeって歌いながら踊っているのに、急に身振り手振りで様になるの?」と少し心配されていたんですが、やってみたら「よかった、これもっとやっていいと思う」と言ってもらえて。




PassCode - Echoes


――自分たちの自由のあり方みたいなものをつかむための闘争が、曲の内容に通底しているのかなと感じていて。どの曲も自分たちだけが体現できる自由な表現を勝ち取るんだというメッセージに聞こえてくるんです。

南菜生:昔は苦しいとか悔しいとかネガティブな感情を言うと「アイドルはそういうことじゃない」と言われることが多くて。でもPassCodeは、汚い部分を出さないほうがいいという価値観がアイドル文化の中ではまだ強かった時期に、MCで生の感情を話したり、シャウトを取り入れたりしていたから、批判も大きかったんです。でも今は、熱いMCをするアイドルが批判されることは少なくなってきたと思うし、10年続けてきたからこそ「あの子たちはそれを言い続けているし、やり続けている」と分かってくれる人が増えたと思います。昔みたいに「アイドルでしょ、曲作ってないでしょ、年齢がこうでしょ」みたいなことを言われることが全くなくなってきたし、年齢を重ねるほど言えることや話せることが増えてるので、それがすごく面白いです。

高嶋楓:南がMCで語り始めた頃は、まだそういう文化がなかったから、「何言ってるんだろう?」とお客さんに思われている空気もあったと思うんですが、今はちゃんと届いているなと感じます。

南菜生:歌詞を書いてくれている方が私たちのMCで話した言葉を引っ張ってきて歌詞にしてくれることが多いので、そういう部分は自然と滲み出てくるんだと思います。チームが長く一緒にやっているから、全員が“PassCodeらしさ”を分かっている、ということなんだと思います。

――メジャーデビュー10周年を迎える2026年、個人としても、グループとしても成し遂げたいことを教えてください。

高嶋楓:個人的には体力をもう少しつけたくて。11月のBUNTAI公演が終わってから2月のライブまで少し期間が空いて、運動量が減ってしまっていたんです。2月のライブのときにちょっとしんどいと感じる場面があって、「あ、落ちているな」と思って。なので、今年は体力をつけたいというのが最初の目標です……。

――最初に体力の話を振ってすみません(笑)。

高嶋楓:でも、体力があるように見えているというのはうれしいです(笑)。それと10周年なので、「落ち着いたな」と思われたくない。もっとギラギラしていきたいという姿勢を示せる年にしたいです。

南菜生:去年あたり、一通りいろんなことをやったよね、というフェーズに入っていた感じが少しあって。でも、PassCodeの始めたての頃の勢いやキラキラ感とは違う、厚みのあるキラキラ感は体現できると思っているので、もっとボルテージを上げていきたい。今後は、今まで少し避けてきたことへの挑戦もしつつ、まだPassCodeに出会っていない人にも届けたいし、以前見てくれたけど刺さらなかった人にも、今なら届くかもしれないと感じる場面が増えているので、一人でも多くの人の目に触れたいです。

有馬えみり:アニメのタイアップをこれで3作やらせていただいたので、PassCodeでアニメフェスに出演したいですね。メンバーとも、アニメが好きということを積極的にアピールしていこうという話をしていて、タイアップ先のアニメのSNSなども一緒に頑張っています。言わないと分かってもらえないことって意外と多いので、発信していこうと。

大上陽奈子:私は海外のフェスに出たいです。オンライン特典会でオーストラリアなど海外からサインをもらいに来てくれるファンの方がいて、YouTubeのコメントも昔から海外の方からたくさんいただいていて。『おまごと』も英語タイトルがついているし、アニメきっかけで海外にも広まっていくと思うので、その方たちに会いに行けるようなフェスに出たいです。USツアーのときに現地のお客さんがパフォーマンスの内容に対してすごく素直に熱狂してくれた経験があって、あの反応をもっといろんな場所で感じてみたいんですよね。有馬がシャウトしたら海外のお客さんがびっくりするだろうなとか、想像するだけでワクワクします。

――武道館をもう一度、というのも?

南菜生:武道館はコロナ禍の制限があるなかでやった公演だったし、歌えない状況での開催だったから、「またいつか」とメンバーで話しています。横浜BUNTAIは完全売り切りにはできなかったので、次にアリーナ規模でやるときには絶対に売り切りにする、とファンの前で約束しました。それから、メンバー全員が関西出身なので、関西の大きい会場でできたら親孝行にもなるよね、という話もしています。

――そう思ってること自体が親孝行だと思います(笑)。

南菜生:迷惑もたくさんかけてきていると思うので(笑)。でも、ライブに来てくれたときにすごく感動してくれたりするから、そういう姿を見せ続けていきたいなとは思います。 PassCodeは武道館をやりたいと言って実際にやり遂げ、コロナ禍で歌えなかったから絶対またアリーナでやるねと言ってそれをまた実現する、という形で、ファンとの約束を叶え続けてきたグループだと思っているんです。時間はかかっているし、上手な歩き方じゃないかもしれないけど、着実に一歩ずつ約束を守ってきた。それと同じように、横浜BUNTAIでも約束をしようと思えたことが自分の中で大きくて、それは「PassCodeを続けていく」という意思表示でもあると思うんです。そうやって私がMCをしているときに、メンバーが横で頷いてくれているのを見ると、心強いメンバーと一緒にグループをやっているなと思えるんです。

NEXT PAGE
  1. <Prev
  2. Next>

PassCode「Liberator」

Liberator

2026/03/04 RELEASE
LAMR-4040

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Liberator
  2. 02.AWANE
  3. 03.Every time, I knew
  4. 04.Liberator -Instrumental-
  5. 05.AWANE -Instrumental-
  6. 06.Every time, I knew -Instrumental-

関連キーワード

TAG

関連商品

Liberator
PassCode「Liberator」

2026/03/04

[CD]

-

Liberator
PassCode「Liberator」

2026/03/04

[CD]

-

INSIGNIA
PassCode「INSIGNIA」

2025/06/18

[CD]

-

INSIGNIA
PassCode「INSIGNIA」

2025/06/18

[CD]

-

SKILLAWAKE
PassCode「SKILLAWAKE」

2024/12/18

[CD]

¥1,430(税込)

SKILLAWAKE
PassCode「SKILLAWAKE」

2024/12/18

[CD]

¥6,930(税込)

GROUNDSWELL ep.
PassCode「GROUNDSWELL ep.」

2023/06/21

[CD]

¥6,600(税込)

REVERBERATE ep.
PassCode「REVERBERATE ep.」

2022/12/21

[CD]

¥1,650(税込)

REVERBERATE ep.
PassCode「REVERBERATE ep.」

2022/12/21

[CD]

¥7,150(税込)

REVERBERATE ep.
PassCode「REVERBERATE ep.」

2022/12/21

[CD]

¥8,250(税込)

REVERBERATE ep.
PassCode「REVERBERATE ep.」

2022/12/21

[CD]

¥7,150(税込)

REVERBERATE ep.
PassCode「REVERBERATE ep.」

2022/12/21

[CD]

¥8,250(税込)

Ray
PassCode「Ray」

2018/05/23

[CD]

¥3,300(税込)

LOCUS
PassCode「LOCUS」

2018/02/28

[CD]

¥2,547(税込)

ZENITH
PassCode「ZENITH」

2017/08/02

[CD]

¥3,565(税込)

ZENITH
PassCode「ZENITH」

2017/08/02

[CD]

¥2,547(税込)

bite the bullet
PassCode「bite the bullet」

2017/04/19

[CD]

¥1,019(税込)

bite the bullet
PassCode「bite the bullet」

2017/04/19

[CD]

¥3,056(税込)

MISS UNLIMITED
PassCode「MISS UNLIMITED」

2016/10/26

[CD]

¥1,019(税込)

MISS UNLIMITED
PassCode「MISS UNLIMITED」

2016/10/26

[CD]

¥3,056(税込)

VIRTUAL
PassCode「VIRTUAL」

2016/05/25

[CD]

¥2,037(税込)

Now I Know
PassCode「Now I Know」

2015/05/27

[CD]

¥1,019(税込)

Now I Know
PassCode「Now I Know」

2015/05/27

[CD]

¥1,019(税込)

ALL is VANITY
PassCode「ALL is VANITY」

2015/03/18

[DVD]

¥4,980(税込)

ALL is VANITY
PassCode「ALL is VANITY」

2015/03/18

[DVD]

¥4,054(税込)

ALL is VANITY
PassCode「ALL is VANITY」

2014/10/01

[CD]

¥2,037(税込)

Nextage
PassCode「Nextage」

2014/09/26

[CD]

¥1,019(税込)

Liberator
PassCode「Liberator」

2026/03/04

[CD]

-

Liberator
PassCode「Liberator」

2026/03/04

[CD]

-

INSIGNIA
PassCode「INSIGNIA」

2025/06/18

[CD]

-

INSIGNIA
PassCode「INSIGNIA」

2025/06/18

[CD]

-

SKILLAWAKE
PassCode「SKILLAWAKE」

2024/12/18

[CD]

¥1,430(税込)

SKILLAWAKE
PassCode「SKILLAWAKE」

2024/12/18

[CD]

¥6,930(税込)

GROUNDSWELL ep.
PassCode「GROUNDSWELL ep.」

2023/06/21

[CD]

¥6,600(税込)

REVERBERATE ep.
PassCode「REVERBERATE ep.」

2022/12/21

[CD]

¥1,650(税込)

REVERBERATE ep.
PassCode「REVERBERATE ep.」

2022/12/21

[CD]

¥7,150(税込)

REVERBERATE ep.
PassCode「REVERBERATE ep.」

2022/12/21

[CD]

¥8,250(税込)

REVERBERATE ep.
PassCode「REVERBERATE ep.」

2022/12/21

[CD]

¥7,150(税込)

REVERBERATE ep.
PassCode「REVERBERATE ep.」

2022/12/21

[CD]

¥8,250(税込)

Ray
PassCode「Ray」

2018/05/23

[CD]

¥1,100(税込)

Ray
PassCode「Ray」

2018/05/23

[CD]

¥3,300(税込)

LOCUS
PassCode「LOCUS」

2018/02/28

[CD]

¥2,547(税込)

ZENITH
PassCode「ZENITH」

2017/08/02

[CD]

¥3,565(税込)

ZENITH
PassCode「ZENITH」

2017/08/02

[CD]

¥2,547(税込)

bite the bullet
PassCode「bite the bullet」

2017/04/19

[CD]

¥1,019(税込)

bite the bullet
PassCode「bite the bullet」

2017/04/19

[CD]

¥3,056(税込)

MISS UNLIMITED
PassCode「MISS UNLIMITED」

2016/10/26

[CD]

¥1,019(税込)

MISS UNLIMITED
PassCode「MISS UNLIMITED」

2016/10/26

[CD]

¥3,056(税込)

VIRTUAL
PassCode「VIRTUAL」

2016/05/25

[CD]

¥2,037(税込)

Now I Know
PassCode「Now I Know」

2015/05/27

[CD]

¥1,019(税込)

Now I Know
PassCode「Now I Know」

2015/05/27

[CD]

¥1,019(税込)

ALL is VANITY
PassCode「ALL is VANITY」

2015/03/18

[DVD]

¥4,980(税込)

ALL is VANITY
PassCode「ALL is VANITY」

2015/03/18

[DVD]

¥4,054(税込)

ALL is VANITY
PassCode「ALL is VANITY」

2014/10/01

[CD]

¥2,037(税込)

Nextage
PassCode「Nextage」

2014/09/26

[CD]

¥1,019(税込)