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<ライブレポート>ゲーム音楽が東京・渋谷で交錯した一夜――【GAME MUSIC CROSSING TOKYO 2025】が示した“熱狂の現在地”

インタビューバナー

Text: 龍田優貴
クレジット:PAC-MAN™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.


 2025年12月10日、東京・渋谷Spotify O-EASTにて、ゲーム音楽に特化した大型のライブ&DJイベント【GAME MUSIC CROSSING TOKYO 2025】が、NexToneの主催により開催された。

 NexToneでは、デジタルディストリビューション事業における新たな取り組みとして、「NexTone Game Music Acaemy」を発足。本イベントは、その活動の一環として初開催となる。協力会社として、株式会社アトラス、株式会社セガ、株式会社バンダイナムコエンターテインメントが名を連ね、大手ゲームメーカーの垣根を超えて開催される豪華なライブ&DJイベントとなった。

 協力会社:(五十音順)


 また、後援会社として、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントがクレジットされており、Spotifyでのストリーミング再生回数などに基づき、その年最も聴かれたゲーム音楽を表彰する【PlayStation® Game Music大賞】とのコラボレーション企画として、イベント冒頭にリアル表彰式が開催された。

 会場には、平日夜にもかかわらず多くのオーディエンスが集結。ロビーに登場した『ソニック』と『パックマン』を囲んで記念撮影に興じる姿や、お気に入りのゲームTシャツやグッズを身につけた観客たちの様子からは、開演前から会場全体に漂う「ゲーム好き」な熱気と期待感が伝わってきた。

 定刻の18時30分。イベントは【PlayStation Game Music大賞 2025】の授賞式から幕を開けた。プレゼンターを務めたのは、アコースティックギターによるインストゥルメンタルユニット・MOROHA(※活動休止中)のUKだ。第3位には、広大なフィールドの生命力を雄大に描いた『Monster Hunter Wilds Original Soundtrack』。第2位には、重厚なダークファンタジーの世界を彩った『FINAL FANTASY XVI Original Soundtrack』がランクイン。日本が世界に誇るAAAタイトルの楽曲が順当に強さを見せる中、会場をどよめかせたのは第1位の発表だった。

 栄えある大賞に輝いたのは、インディーゲーム作品である『都市伝説解体センター オリジナルサウンドトラック』。ミステリアスかつ中毒性の高いサウンドがSNSやストリーミングサービスを通じて拡散され、「余韻がすごくて無限リピートしている」といったファンの熱量が、数字という形になって表れた結果だ。登壇した作曲家のあだPは、「モンハン、FFときて本作なのは素直にビックリしている」とコメント。同タイトルの主題歌「奇々解体」を作曲したMURASAKIもステージに登壇し、「リスナーとして聴いていただいた皆様に感謝」とヒットの喜びを噛み締めていた。この結果は、予算規模や販売本数とは関係なく、作品の魅力とサウンドの力がストリーミング時代においてダイレクトに評価されるという、ゲーム音楽シーンの新たな潮流を示唆していた。

  • 『都市伝説解体センター オリジナルサウンドトラック』墓場文庫の各種音楽配信へのリンクはこちら

  •  授賞式の興奮冷めやらぬ中、イベントはUKによるスペシャルライブへ。 「MOROHAが活動休止になってから初めてのライブ演奏。すごい緊張する」と語りながら彼が爪弾いたのは、『モンスターハンターポータブル 2nd G』の「ポッケ村のテーマ」。雪深い村の情景を想起させる温かくも切ないアコースティックギターの音色は、会場の空気を一変させ、観客の記憶の奥底にある「あの頃」を優しく呼び覚ます。続いてDJ Submerseが、「8歳ぐらいからゲームミュージックにハマり、オプションメニューのBGMやサウンドテストを楽しんでいた」という自身のルーツを語りつつ、大賞関連楽曲を織り交ぜたセットを披露。フロアは徐々に温まり、熱狂のライブパートへとバトンが渡された。



     ライブアクトのトップバッターは、『ペルソナ3 リロード』よりAzumi TakahashiとLotus Juice。一曲目から、同作の戦闘曲でありシリーズ屈指のアンセム「Mass Destruction」が投下されると、フロアのボルテージは瞬時に沸点へ到達した。Lotus Juiceの鋭利なラップとAzumi Takahashiのソウルフルなボーカルが交錯し、Spotifyで1億回再生を突破した世界的ヒットナンバー「It's Going Down Now」で会場を揺らす。さらに、国内初披露となる「Disconnected」、そして世界初披露のサプライズとなった「Don’t」を立て続けにパフォーマンス。スタイリッシュで洗練された『ペルソナ』サウンドの真髄を見せつけ、グローバルな評価を受ける理由をそのパフォーマンスで証明してみせた。



     続いて登場したのは、セガが誇るサウンドクリエイター、大谷智哉と大国奏音。往年のファンなら誰もが反応してしまう『セガサターン』の起動音が大音量で響き渡り、DJプレイがスタート。『バーチャファイター』『デイトナUSA』といったアーケード全盛期の楽曲から、『ファンタシースター』シリーズの近未来的なサウンド、そして『龍が如く』シリーズの重厚なビートまで、セガの歴史を縦横無尽に駆け巡る。後半は大谷による、セガを代表する『ソニック』シリーズの楽曲とVJ映像が融合した「SONIC MUSIC EXPERIENCE」パートがスタート。タンゴからJAZZ、EDMからロックまでオールジャンルミックスを披露。ステージにはセガの看板キャラクター・ソニックが登場。疾走感あふれるブレイクコアサウンドが展開される中、大谷がソニックのぬいぐるみを客席に投げ込むパフォーマンスを見せると、会場の一体感は最高潮に達した。



     その熱狂をさらに加速させたのは、Bandai Namco Game MusicのDJチームであるHiroshi OkuboとSho Okadaだ。セガのパートが終わるやいなや、大久保は「私たちもセガのファンです!」とリスペクトを公言しながらブースをジャック。『パックマン』のゲームスタート音から、アイコニックなドットイート音をビートに組み込む巧みなプレイで、会場を瞬時にナムコ・サウンドの世界へと引き込んだ。『塊魂』シリーズのグルーヴィーな楽曲でフロアを横に揺らしたかと思えば、『鉄拳8』の強靭なビートで攻撃的な空間を作り出し、『リッジレーサー』で再び疾走する。さらには『学園アイドルマスター』の花海咲季が歌唱する『ワンス・アポン・ア・塊魂』の「カタマリオンザドゥン」もドロップ。新旧織り交ぜたセットリストに、観客も歓喜の声を上げ続ける。終盤には同社の看板キャラクターである『パックマン』がステージに登場し、グッズを客席へ投入するファンサービスも。「来年は【PlayStation Game Music大賞】で大賞を取れるように頑張りましょう!」という大久保の力強い宣言と、『ドルアーガの塔』のゲームオーバー曲によるユーモラスな幕切れは、エンターテインメント企業らしさをを感じさせた。



     イベントのトリを飾ったのは、Aiobahn +81による『ペルソナ』シリーズを中心としたDJセット。「Never More」や「Pursuing My True Self」といった『ペルソナ4』の名曲から、「Life Will Change」「Take Over」といった『ペルソナ5』のスタイリッシュなナンバーまで、同シリーズのファンが共に歌い、踊れるアンセムを連発。フィナーレではステージ上に『ソニック』と『パックマン』が再登場し、メーカーの垣根を超えた奇跡の2ショットが実現した。ラストに流れたのは、セガの名作『ナイツ into Dreams…』のフレーズ。競合他社の楽曲で締めくくるという粋な演出は、企業の枠を超え、ただ純粋に「ゲーム音楽」という文化を愛するこのイベントの精神を象徴していた。

     ゲーム音楽は、もはやゲームプレイの付属品ではない。ストリーミングで日常を彩り、クラブで爆音を浴び、ライブでアーティストと共に熱狂する。この日、Spotify O-EASTに集まったファンとクリエイターたちが共有した熱気は、ゲーム音楽がこれからも東京の夜を、そして世界の音楽シーンを面白くしていくことを確信させるに十分なものだった。


    NexToneデジタルディストリビューション

    2003年よりディストリビューション事業を開始。800以上のレーベルから130万曲を超える日本コンテンツを預かり、著作権管理事業とあわせてグローバルで益々存在感を高めているディストリビューター。音楽配信の流通のみならず、PR・マーケティング、広告出稿、データ整備などをグローバルで展開している、きめ細やかなフルサポートサービスが特徴のディストリビューター。


    NexTone Game Music Academy

    NexTone Game Music Academyは、NexToneのデジタルディストリビューション事業において、「ゲーム音楽」に特化した新たな取り組み。日本の「ゲーム音楽」をグローバル視点でワールドワイドに広めていくことと、オンリーワン・エージェントとしてゲームシーンにおいて貢献を果たすことを目的とし、ディストリビューション領域に関わらず様々な活動を推進する。


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