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Billboard JAPAN 2025年年間チャート発表、Mrs. GREEN APPLE/Snow Manが首位

ビルボードジャパンの2025年年間チャート発表が決定した。本特集では総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”、総合アルバム・チャート“Hot Albums”、“JAPAN Hot 100”と“Hot Albums”のポイントを合算したアーティスト・チャート“Artist 100”、そして世界でヒットしている日本の楽曲をランキング化した“Global Japan Songs Excl. Japan”などの年間チャートを解説とともに発表する。
※集計期間:2024年11月25日~2025年11月23日
Global Japan Songs Excl. Japanほか国/地域別チャートは2024年11月22日~2025年11月20日
▲ 「ライラック」MV / Mrs. GREEN APPLE
2025年の年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で、Mrs. GREEN APPLE「ライラック」が首位を獲得した。
本作は2024年4月に配信リリースされたTVアニメ『忘却バッテリー』のオープニング・テーマ。2024年の年間チャートでも5位を獲得していたが、2024年に日本レコード大賞を受賞、さらに『NHK紅白歌合戦』でスペシャルメドレーを披露するなど年末の露出が続き、2025年1月8日公開チャートで再び1位に返り咲きを果たした。リリースから現在に至るまで最も総合ポイントが高かったのは2025年1月15日公開チャートで、リリースから約9か月後のこと。週間ダウンロード数は1月8日公開チャートが最も多く、リリース週の127%を記録するなど、時間をかけて広がり続ける作品となった。その結果、2025年は通算5回の総合首位を獲得し、指標別に見ると年間ではストリーミングと動画とカラオケで1位、ダウンロード2位、ラジオ12位を獲得した。
続く2位もMrs. GREEN APPLEで「ダーリン」。NHK総合で放送された『Mrs. GREEN APPLE 18祭』のテーマソングで、1月20日から配信リリースされると初登場で2位を獲得。週間チャートで首位を獲得することはなかったが、通算22週トップ10入りを果たし2位に食い込んだ。そして3位はロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」。ロゼが2024年12月6日にリリースしたアルバム『rosie』の収録曲で、10月18日より先行配信がスタート。2024年11月20日公開の“JAPAN Hot 100”で、洋楽として約11年半ぶりに首位を獲得したあと、2025年度も通算3度の総合首位に輝いた。なお本楽曲は日本のみならず全世界でヒットを記録し、Billboard Global 200では12週で連続1位を記録した。
そして4位は米津玄師「IRIS OUT」がチャートイン。劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌で、9月24日公開チャートで今年度最多ポイントを記録し首位デビューを果たした。その後も9週連続で総合首位を獲得、11月26日にはソロアーティストとして史上最速のスピードで累計ストリーミング数が2億回を突破するなど勢いそのまま駆け抜けた。そして、リリースから約2か月という短期間で年間4位に食い込むという快挙を成し遂げた。
5位はMrs. GREEN APPLE「クスシキ」。TVアニメ『薬屋のひとりごと』第2期 第2クールオープニングテーマで4月5日から配信がスタートすると、4月16日公開チャートで総合首位を獲得した。その後も2週連続の首位、通算24週のトップ10入りを果たした。
▲ 「ROSE」MV / HANA
オーディション番組『No No Girls』を経て今年デビューしたHANAの「ROSE」は6位に。他にも「Blue Jeans」が13位、「Drop」が26位など5曲がチャートインを果たした。今年は女性アーティスト活躍が目覚ましく、KAWAII LAB.のCUTIE STREETやCANDY TUNE、TVアニメ『ダンダダン』第2期オープニングテーマに起用されたアイナ・ジ・エンド「革命道中 - On The Way」など、女性ソロもしくは女性グループの曲が25曲がチャートイン。2024年の13組(バーチャルアイドルを除く)から、大きくシェアを広げた。
また今年は音楽シーンもリバイバルヒットが話題になったが、ORANGE RANGE「イケナイ太陽」がミュージック・ビデオで再注目を集め79位に。NEWS「チャンカパーナ」は2024年のストリーミング解禁、2025年6月の英語版リリースで再注目を集め78位を獲得した。
Text by 高嶋直子
- 2025年 年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”
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1位ライラックMrs. GREEN APPLE
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2位ダーリンMrs. GREEN APPLE
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3位APT.ロゼ&ブルーノ・マーズ
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4位IRIS OUT米津玄師
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5位クスシキMrs. GREEN APPLE
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6位ROSEHANA
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7位怪獣サカナクション
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8位ケセラセラMrs. GREEN APPLE
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9位ビターバカンスMrs. GREEN APPLE
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10位Plazma米津玄師
インタビュー抜粋

嬉しいです。率直に嬉しいですし、重みを感じています。それに恥じないように今後も励んでいきます。でも、背負いすぎることなく、楽曲作りを楽しんでいけたらなと思っております。(大森元貴)
「ライラック」は2024年にリリースした曲なんですけども、こうして2025年に(年間首位を)受賞することができて、長く愛していただけていることに本当に感謝です。僕たち自身も大好きな曲なので嬉しいです。(若井滉斗)
大森が書く歌詞や楽曲を届けるために、Mrs. GREEN APPLEを頑張ってるところもあるので、「ライラック」がこんなに長く楽しんでもらっている、皆さんにしっかり届いていることを実感できて本当に嬉しいです。Mrs. GREEN APPLEとしていろんな楽曲をリリースして、楽しんでいただけていることが、とてもありがたいです。(藤澤涼架)
▲ 「Snow Man BEST ALBUM 'THE BEST 2020 - 2025' Visual Teaser」
2025年の年間Billboard JAPAN総合アルバム・チャート“Hot Albums”で、Snow Manの『THE BEST 2020 - 2025』が首位を獲得した。
本作は、デビュー5周年記念日となる2025年1月22日にCDがリリースされ、その後4月7日からストリーミングおよびダウンロード配信がスタートした自身初のベストアルバムだ。週間チャートでは、2025年1月29日公開チャートで初登場1位を獲得。その後、4月16日公開チャートで再び1位となり、5月7日公開チャートまで4週連続で首位を獲得した。
なお、Snow Manは2022年に『Snow Labo. S2』、2024年に『RAYS』で、年間“Hot Albums”の首位を獲得。通算3度の年間首位は、Snow Manが最多となる。本作は、CDセールスが1,639,943枚で1位、ダウンロード7位、ストリーミング2位と、いずれも上位にチャートイン。また、CDセールスにおいては初週売上で自己最高となる1,438,742枚を記録している。
▲ 「ANTENNA」MV / Mrs. GREEN APPLE
そして、2025年にデビュー10周年を迎えたMrs. GREEN APPLEは、2位の『ANTENNA』、3位の『Attitude』、4位の『10』など、トップ100内にアーティスト最多となる計8作品をチャートインさせている。指標別で見ると、『ANTENNA』はストリーミング1位、ベストアルバム『10』はダウンロード1位となるなど、デジタル面での強さが際立つ結果となった。
そのほか、2025年はオーディション発のグループが数多く話題を集めた。新メンバー募集オーディション【timelesz project ―AUDITION―】を経て、2月15日より8人体制で活動をスタートさせたtimeleszのコンピレーション『Hello! We're timelesz』は8位に登場。また、HANAのプロデュースを務めたちゃんみなにも注目が集まり、『ハレンチ』が11位、『Never Grow Up』が15位にチャートインしている。
なお、“Hot Albums”は2024年12月26日公開分より、CDセールス数やダウンロード数に加え、GfK Japan が提供する国内主要ストリーミングサービス(Amazon Music、Apple Music、Spotify ほか)の再生回数を合算したチャートへと刷新。また、日本独自のマーケットバランスを考慮し、6月4日公開分より、通算26週以上チャートインした楽曲のストリーミングポイントを一定割合で減算する “リカレントルール” も新たに導入された。
その結果、2025年の年間チャートは、大きく様相が変化した。トップ100作品のうち、72作品(前年は8作品)が集計期間以前にリリースされた作品となり、ストリーミングの影響力が顕著に表れている。最も古い作品では MONGOL800『MESSAGE』(2001年)、続いて RADWIMPS『RADWIMPS 4~おかずのごはん~』(2006年)、Superfly『Superfly』(2008年)など、ロングスパンで聴かれている作品が上位に食い込んだ。2026年以降も、音楽の聴き方に合わせて進化し続けることによって、社会的浸透度を表すチャートを目指していく。
Text by Tatsuya Tanami
- 2025年 年間Billboard JAPAN総合アルバム・チャート“Hot Albums”
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1位THE BEST 2020 - 2025Snow Man
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2位ANTENNAMrs. GREEN APPLE
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3位AttitudeMrs. GREEN APPLE
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4位10Mrs. GREEN APPLE
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5位stroboVaundy
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6位replicaVaundy
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7位No.INumber_i
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8位Hello! We're timelesztimelesz
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9位BAD HOPBAD HOP
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10位LOST CORNER米津玄師

日頃から支えてくださっている沢山の皆様のお陰でこのような賞をいただけたこと、ありがたく思っています。
Snow Manデビューさせていただいてから5周年という節目に出させてもらった『THE BEST 2020 - 2025』が、これから月日がながれても、Snow Manを知ってくださるきっかけになってくれたら幸いです。(岩本照)
▲ 「ダーリン」MV / Mrs. GREEN APPLE
2025年の年間Billboard JAPANトップ・アーティスト・チャート“Artist 100”で、Mrs. GREEN APPLEが総合首位を獲得した。
本チャートは、総合ソング“JAPAN Hot 100”と総合アルバム“Hot Albums”のポイントを合算したアーティスト・ランキングだ。Mrs. GREEN APPLEはHot 100で1位の「ライラック」を含めて計22曲、Hot Albumsでは2位『ANTENNA』、3位『Attitude』など計8タイトルをチャートインさせ、2年連続で本チャートを制した。なお、2年連続で同一アーティストがArtist 100で首位を獲得したのは今回が初めて。指標別に見ても、CD(3位)を除く全ての指標(ラジオ、ダウンロード、ストリーミング、動画、カラオケ)で1位という、圧倒的な強さを見せつけた。
◎年間アーティストランキング 歴代首位獲得アーティスト一覧
2024年 Mrs. GREEN APPLE
2023年 YOASOBI
2022年 Ado
2021年 BTS
2020年 Official髭男dism
2019年 あいみょん
2018年 米津玄師
2017年 星野源
2016年 AKB48
▲ 「ブルーアンバー」MV / back number
続く2位はback numberが獲得。Hot 100では29位「ブルーアンバー」、34位「高嶺の花子さん」など計8曲、Hot Albumsでは16位『スーパースター』、19位『MAGIC』など6タイトルがチャートイン。「クリスマスソング」もHot 100で74位を獲得しており、クリスマス時期のスタンダードとしての強さを見せた。
昨年の8位から3位に浮上したのは米津玄師。Hot 100では「IRIS OUT」の4位を筆頭に5曲、Hot Albumsでは10位『LOST CORNER』など4タイトルを送り込んだ。そして4位は昨年に続いてVaundy。今年デビューのHANAは初登場で5位という快挙を成し遂げた。また、HANAのプロデュースを務める、ちゃんみなは昨年48位から10位へと大きく浮上した。
▲ 「One」MV / Snow Man
Snow Manも昨年14位から6位へとランクアップ。CDで1位を獲得した強さはもちろんのこと、4月7日から『THE BEST 2020-2025』をデジタル解禁したことにより、ストリーミング順は24位、ダウンロード順は5位を獲得。Snow Manは4月の解禁に先駆けて、2024年10月に新曲「One」をデジタルに初解禁しており、昨年からの積極的な姿勢が実を結ぶ結果になったと言えるだろう。
7位は、昨年5位だったOfficial髭男dism。8位は、アルバム『Prema』が通算4回の総合首位を獲得した藤井 風で、昨年から7ランクアップとなった。9位は昨年3位のYOASOBIで、「アイドル」などHot 100に2曲、Hot Albumsに2タイトルがチャートインを果たした。
Text by 高嶋直子
- 2025年 年間Billboard JAPANアーティスト・チャート“Artist 100”
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1位Mrs. GREEN APPLE
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2位back number
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3位米津玄師
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4位Vaundy
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5位HANA
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6位Snow Man
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7位Official髭男dism
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8位藤井 風
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9位YOASOBI
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10位ちゃんみな
2025年の年間Billboard JAPAN総合アニメソング・チャート“Hot Animation”で、TVアニメ『忘却バッテリー』オープニング・テーマであるMrs. GREEN APPLE「ライラック」が1位に輝いた。
2024年4月12日に配信リリースされた同曲は、2024年の年間“Hot Animation”で3位、2025年上半期で1位を記録。昨年は14連覇を達成していたが、2025年に入ってもその勢いは継続され、上半期チャートの集計期間中は常にトップ3圏内に君臨し続けた。2024年12月11日~2025年1月22日の期間に7連覇、2月5日~2月19日に3連覇、3月5日~4月9日の期間に6連覇を達成するなど、2025年の年間集計期間中に18回首位を獲得。通算の首位獲得回数を32週に伸ばした。下半期に入ってからは少しずつ首位から遠ざかってはいるものの、10月22日発表分を除いてトップ10圏内を維持し続けている。
指標別に見ると、「ライラック」はストリーミング、動画再生、カラオケの3指標で1位、ダウンロードでは2位、ラジオで12位を記録。シングル発売が無いためCDセールスポイントは加算されていないものの、ほとんどの指標で上位に登場している。また、1位を記録している3指標におけるポイント獲得数を見てみると、ストリーミングは同指標2位の「クスシキ」の約1.5倍、動画再生は2位の米津玄師「IRIS OUT」の約1.8倍、カラオケはCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」の約2.9倍以上ものポイントを獲得。アニメ総合としては2位の約1.65倍のポイントを獲得し、堂々と首位に君臨する形となった。
▲ 「IRIS OUT」MV / 米津玄師
2位には、米津玄師「IRIS OUT」が登場。劇場版『チェンソーマン レゼ篇』主題歌に起用されている同楽曲は9月15日に配信リリースされ、9月24日発表のチャートで初登場1位を記録した後、本チャートの首位を12月3日発表分まで実に11週にわたって維持し続けている。また、3位のMrs. GREEN APPLE「クスシキ」(TVアニメ『薬屋のひとりごと』オープニング・テーマ)は、4月9日に3位で当チャート初登場を果たすと、翌週からの4連覇を含む11度の首位を記録し、トップ10内をキープしている。
トップ10を見ると、2025年の年間集計期間以前にリリースされた楽曲は4曲(Mrs. GREEN APPLE「ライラック」「インフェルノ」、Creepy Nuts「オトノケ」「Bling-Bang-Bang-Born」)で、ロングヒットと新しい楽曲が混在する結果となっている。上半期ではトップ3が全て2024年の楽曲だったが、年間では2位と3位に2025年リリースの楽曲が食い込んでいる点が印象的だ。
▲ 「革命道中 - On The Way」MV / アイナ・ジ・エンド
また、トップ20内に目を向けると、アイナ・ジ・エンド「革命道中 - On The Way」(TVアニメ『ダンダダン』第2期オープニング・テーマ)、HUNTR/X「Golden」(映画『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』劇中曲)や、米津玄師, 宇多田ヒカル「JANE DOE」(劇場版『チェンソーマン レゼ篇』エンディング・テーマ)など、2025年の下半期にリリースされた楽曲が複数登場している。中でも「JANE DOE」は10月1日に当チャート2位に初登場。4週目に一度3位に順位を落としたものの、同週以外は2位を維持し続けている。これらの楽曲が、2025年における「ライラック」のように翌年のチャートにも長期的に登場するロングヒットとなっていくのか、はたまた別のダークホースが新たに登場するのか、今後の動きにも引き続き注目していきたい。
Text by Haruki Saito
▲ 「Plazma」MV / 米津玄師
2025年の年間Billboard JAPANダウンロード・ソング・チャート“Download Songs”で、米津玄師の「Plazma」が累計168,527ダウンロード(DL)を売り上げて1位に輝いた。
同曲は、2025年1月公開の劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』およびTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の主題歌に起用されていた楽曲。1月20日のデジタル・リリースを受け、1月29日公開チャートで首位デビュー、2月19日公開チャートで再び首位に浮上し、通算2回の首位を獲得した。その後は一度落ち着きを見せるも、TVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』が6月24日に最終回を迎えたタイミングで、その直後の7月2日公開チャートで2位へと上昇。アニメとの相乗効果もあり、じつに27週と長期間トップ20位圏内を維持した。なお米津玄師は、他にも劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌「IRIS OUT」(129,602DL)が3位、TVアニメ『メダリスト』のオープニング主題歌「BOW AND ARROW」(95,182DL)が7位、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』のエンディング・テーマで、宇多田ヒカルとのコラボレーション楽曲「JANE DOE」(80,233DL)が11位を記録。トップ20位圏内に計4曲を送り込んだ。
続いて、Mrs. GREEN APPLE「ライラック」が156,990DLを売り上げて2位に。2024年の年間Download Songsで5位、2025年上半期では2位を記録するなど、ロングヒットを続けてきた同曲。TVアニメ『忘却バッテリー』のオープニング・テーマで、2024年4月17日公開チャートで初登場4位を記録して以来、58週連続でトップ20位圏内をキープしたほか、2024年末のメディア露出の影響により、2025年1月8日公開チャートと翌週1月15日公開チャートでは首位を獲得した。またMrs. GREEN APPLEは他にも、2025年リリースの「クスシキ」(92,219DL)が8位、「ダーリン」(70,114DL)が15位を記録。さらに、2023年4月リリースの「ケセラセラ」(63,354DL)が18位にチャートインしている。ダウンロードは一度の購入で何度も楽曲を聴くことができるため、ここから新規リスナーの流入および、新規リスナーの過去作への高い関心も見てとれる。
3位の米津玄師「IRIS OUT」に続き、4位を獲得したのはサカナクション「怪獣」(109,166DL)。構想に2年を費やしたという同曲は、アニメ『チ。 ―地球の運動について―』の主題歌に起用されていた。2025年2月20日にリリースされると、2月26日公開チャートで首位デビューし、その後も18週続けてトップ20位圏内を死守。年間チャート集計期間中は大きく順位を落とすことなく、トップ100位圏内を維持した。
▲ 「GOD_i」MV / Number_i
106,561DLを売り上げて5位にチャートインしたのは、Number_iの「GOD_i」だ。メンバーの岸優太がプロデュースを手掛けた同曲は、1月27日に配信がスタートし、初週2月5日公開チャートで初登場首位を獲得。そして、5月19日に同曲を表題にしたCDシングルがリリースされ、デジタルでもカップリング曲を含めて再配信された影響により、5月28日公開チャートで再度首位へ浮上した。
続いて6位は、韓国の音楽番組『M COUNTDOWN』で初披露されたことでも話題となった、Snow Man「カリスマックス」。9月3日公開チャートで自身最多の初週ダウンロード数(72,104DL)を記録し首位デビューを果たし、翌週9月10日公開チャートでも2週連続となる首位に輝いていた。年間チャート集計期間の上半期もしくはそれ以前にリリースされた楽曲が上位に多い中、下半期の8月25日に配信リリースされた同曲は、短期間ながら105,718DLを売り上げ、上位に食い込んだ。
前述の楽曲の他、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第2期第1クールのオープニング・テーマである幾田りら「百花繚乱」(10位/81,311DL)や、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』のW主題歌であるLiSA「残酷な夜に輝け」(12位/77,389DL)とAimer「太陽が昇らない世界」(20位/62,113DL)など、アニメタイアップ楽曲が上位の多くを占めている。また、上位の楽曲をアーティスト別で見てみると、米津玄師をはじめ、アイナ・ジ・エンドや星街すいせい、こっちのけんとなどのソロアーティストの強さが際立つ結果となった。
Text by Yutaro Takahashi
▲ 「Mrs. GREEN APPLE – アニバーサリーベストアルバム「10」Highlight」
2025年の年間Billboard JAPANダウンロード・アルバム・チャート“Download Albums”で、Mrs. GREEN APPLEのデビュー10周年を記念したアニバーサリ・ベスト『10』が累計43,299ダウンロード(DL)を売り上げて、堂々の首位を獲得した。
7月7日に先行配信された本作には、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”でロングヒットとなった「ダンスホール」「ケセラセラ」をはじめ、5thアルバム『ANTENNA』以降に発表された配信シングルなどが収録。7月16日公開チャートで20,942DLを売り上げて初登場1位を記録し、これによりDownload Albums首位獲得は自身4作目となった。その後も好調を維持し、通算5週にわたってチャートを制覇。集計期間を通してトップ10圏内をキープし続けた点も特筆に価する。この勢いに後押しされ、前述の『ANTENNA』や2020年のベスト盤『5』など過去作品も再浮上。累計8,846DLを記録した『ANTENNA』は年間11位にチャートインしている。
2024年の年間Download Albumsで1位を獲得したNumber_iは、今年リリースした2ndアルバム『No.II』を年間2位に送り込んだ。累計23,790DLを記録した本作は、10月1日公開チャートで首位デビューを果たし、その後も集計対象期間中にトップ40圏内を維持し続けた。
▲ 「サザンオールスターズ NEWオリジナル・アルバム『THANK YOU SO MUCH』2025年3月19日リリース [Official Trailer]」
2025年上半期Download Albumsで首位だったサザンオールスターズの16作目となるオリジナル・アルバム『THANK YOU SO MUCH』は、年間3位に。2025年3月19日に約10年ぶりとなるニュー・アルバムとしてリリースされ、3月26日公開チャートで初登場1位を獲得。上半期の累計16,128DLから18,024DLへと着実にDL数を伸ばし、トップ3入りを果たした。
2024年の年間チャートは、トップ10のうち半数が前年に発表された作品だったのに対し、今年は『VIIsual』Travis Japan(年間8位/11,998DL)と『LOST CORNER』米津玄師(年間10位/9,234DL)の2作のみとなった。しかしながら、トップ10の顔触れを見ると、Mrs. GREEN APPLE(1位)、Ado(5位)、Snow Man(7位)と、ベスト・アルバムが続くという特徴的な傾向も見られた。また、前年のようにアーティストが複数の作品を上位に送り込む傾向もやや減少している。
年間12位にチャートインしたRADWIMPSのメジャーデビュー20周年を記念した豪華トリビュート・アルバム『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』も注目すべきだ。集計対象1週のみながら、累計8,541DLを売り上げて、年間チャート上位に食い込んだ。本作には、年間トップ10入りを果たしたMrs. GREEN APPLEや米津玄師らが参加しており、オムニバス・アルバムとして本年度の年間最高位も記録した。
Text by 岡田
2025年年間Billboard JAPANストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”で、Mrs. GREEN APPLE「ライラック」が首位を獲得した。
2025年は、下半期初週にあたる6月4日公開の“JAPAN Hot 100”より、52週チャートインした楽曲のストリーミング・ポイントを一定の割合で減算する“リカレントルール”を適用したことが大きなトピックとなった。当チャートはリカレントルール適用外のチャートのため、2025年下半期からも同年上半期以前と同様のルールで集計をおこなっている。
本年上半期チャートの際も記したことだが、今年のストリーミングシーンはまさに“Mrs. GREEN APPLEの年”であった。デビュー10周年のメモリアルイヤーということもあり、コンスタントな新曲リリースに加えてベストアルバム『10』、また神奈川・山下ふ頭での大規模野外ライブ【MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~】に、現在も開催中の自身初となる5大ドームツアー【DOME TOUR 2025 ”BABEL no TOH”】と、いっそうパワフルに活動していた彼ら。そこで広げた支持を示すように、トップ20のうちミセスの楽曲は2024年年間では7曲、2025年上半期では半数の10曲であったところを、2025年年間では12曲に増加。着実にその勢いを強めている。
首位を獲得した「ライラック」はTVアニメ『忘却バッテリー』のオープニング・テーマで、アニメ初回放送後の2024年4月12日にデジタル・リリース。登場11週目にあたる2024年6月26日公開チャートで初の1位を獲得して以降、通算で36回の当チャート首位を獲得しており、これまでOfficial髭男dism「Pretender」が保持していた記録を抜いて、歴代単独最多となる首位獲得記録を打ち立てた。
▲ 「ケセラセラ」MV / Mrs. GREEN APPLE
またこの曲に加え、2023年の【第65回日本レコード大賞】で大賞を獲得し、彼らの人気を爆発させるきっかけになった「ケセラセラ」、2022年リリースの「Soranji」、2025年最初のリリース作であった「ダーリン」、彼らの代表曲で今や夏の風物詩にもなった「青と夏」で、驚異のトップ5を独占。当チャートにおいて、同一アーティストが年間トップ5を独占するというのは今回が初となる。さらにトップ100に広げると、Mrs. GREEN APPLEの楽曲が実に22曲登場していることからも、2025年のストリーミングシーンはミセスの一強状態であったことは疑いようがない。
▲ 「ハレンチ」MV / ちゃんみな
Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が当チャート首位を獲得していた2024年年間チャートは、その他トップ20を含め“楽曲のパワー”が強く表れた結果であった。それに対し、今年はMrs. GREEN APPLEしかり“アーティストのパワー”が強く表れる結果になったと感じる。特にその勢いを感じるのが、HANAとちゃんみなの2組だ。今年1月にプレデビューしたばかりのHANAは、4月リリースのデビュー曲「ROSE」(9位)および、リリース当時の今年度最多週間ストリーミング数を記録していた「Blue Jeans」(20位)がトップ20入り。トップ100では「Drop」「Burning Flower」「Tiger」も含めた計5曲を送り込んだ。また、HANAのプロデューサーを務め、彼女たちを生んだオーディション【No No Girls】でその人間性にも大きな支持を集めたちゃんみなは、昨年はトップ100圏外であったところから、「SAD SONG」「ハレンチ」「Never Grow Up」の3曲がトップ100に登場している。話題を呼んだ1曲だけでなく、複数曲で年間トップ100入りを達成するというのは、曲単位に限らず“アーティスト”そのもののファンが多くついており、さらにそのファンがストリーミングでそのアーティストの楽曲を聴き続けている状況(これにはストリーミング・プラットフォームのアルゴリズムも関係していると思われるが)ができあがっている証明だろう。
年間順位としては11位に落ち着いたが、当チャートにおける国内楽曲最多となる週間ストリーミング再生回数(28,733,082回)、また史上最速(4週)でのストリーミング累計1億回を記録した米津玄師「IRIS OUT」は、リリースから10週にしてさっそく年間チャートに登場。この曲の登場で、2021年以降毎年1曲は誕生している“ストリーミング週間2,000万回超”楽曲の歴史が2025年も更新された。今年のトップ20がMrs. GREEN APPLEによって2024年のモードから大きく塗り替えられたように、2026年度はどのような楽曲やアーティストが台頭してくるのか、さらにストリーミング市場の成熟によって前人未踏の“週間3,000万回再生”を達成する楽曲は現れるのか、期待が高まる。
Text by Maiko Murata
▲ 「Present」MV / INI
2025年年間Billboard JAPANシングル・セールス・チャート“Top Singles Sales”で、INI『THE WINTER MAGIC』が1,213,001枚を売り上げ首位に輝いた。
本チャートは、2024年11月25日から2025年11月23日まで、1年(52週)間のサウンドスキャンジャパン販売枚数データを累計したもの。首位を獲得した『THE WINTER MAGIC』はINIの“WINTER SINGLE”で、メンバーの池﨑理人と西洸人が作詞を手掛けたタイトル曲「Present」をはじめ、各形態ごとに内容の異なる4曲が収録されている。本作は集計期間最終週にあたる2025年11月19日にリリースされ、今年度の初週セールスで最多となる1,213,001枚を記録。今年度にリリースされたシングル作品として最初で最後の初週ミリオン突破、またINIとしても自身初のミリオンセールス作となった。なお、2021年11月にデビューしたINIだが、年間チャートで首位を獲得するのは今回が初めてだ。
続く2位は、今年度アルバム・セールス・チャート“Top Albums Sales”でトップ2を独占したSnow Manの12thシングル『SERIOUS』がチャートイン。こちらは、集計最終週の集計期間内にあたる11月21日公開の【先ヨミ速報】で、シングルとして自身10作目のミリオンセールスを記録したことも記憶に新しい。Snow Manは2025年にリリースしたシングル作品は同作のみ、またリリースしたアルバム2作『THE BEST 2020-2025』および『音故知新』もミリオンセールスを記録しているため、2025年にリリースしたCD作品すべてがミリオン突破の快挙となった。
▲ 「Steal The Show」MV / timelesz
今回のトップ20は、全組がダンス&ボーカルグループという前提は変わらずも、2024年年間チャートとは登場アーティストが大きく変わり、昨年よりも、特に男性アーティストにおいては「ファンダムの分散」が顕著にみられる年になった。2025年に特に顕著であったK-POPグループの大型公演増加の影響か、SEVENTEEN(4位/『消費期限』)、ENHYPEN(7位/『宵 -YOI-』)といったK-POPボーイズグループの存在感が増しているほか、オーディション『timelesz project』が大きな話題となったtimeleszは、8人体制となって初のシングル『Steal The Show/レシピ』が11月12日リリースにもかかわらず、さっそく19位に登場とファンダムの大きさを窺わせる結果に。
また、女性グループは坂道シリーズ3組が今年度内にリリースした作品、各3作すべてがトップ20入りするなど、3組揃っての支持の大きさを発揮。また、AKB48が2作(10位『Oh my pumpkin!』、12位『まさかのConfession』)をトップ20位内に送り込み、グループ結成20周年のアニバーサリー・イヤーとあっての盛り上がりが見られたなかで、デビュー1年未満で初週ハーフミリオンを突破したことも話題を呼んだCUTIE STREET『キューにストップできません!/ちきゅーめいくあっぷ計画』が13位に入るなど、AKB48/坂道シリーズという二大ブランドの安定感とニューカマーの勢いがどちらも見える結果となった。
Text by Maiko Murata

MINI(ファンネーム)、まずは最高のプレゼントをありがとう。ものすごい記録を一緒に作ったね。2026、INIの年にするぞ。(池﨑理人)
今回のシングル「THE WINTER MAGIC」は、僕たちINIからいつも応援してくださっているMINIに向けて感謝の気持ちを込めたプレゼントとして出したつもりだったのですが、「ミリオン達成」そして「年間チャート1位」という素晴らしい記録を達成することができ、逆に僕たちが皆様にプレゼントを貰う形になってしまいました。改めて感謝の気持ちでいっぱいです!(藤牧京介)
▲ 「Snow Man 'THE BEST 2020 - 2025' Solo MV Behind The Scenes」
2025年の年間Billboard JAPANアルバム・セールス・チャート“Top Albums Sales”は、Snow Man『THE BEST 2020 - 2025』が1,639,943枚を売り上げ首位に輝いた。
本作はSnow Man初のベストアルバムで、デビュー5周年記念日である1月22日にリリース。フラゲ日(1月21日)時点でミリオンを突破、初週売上枚数は自己最高となる1,438,742枚を売り上げ、初登場1位を獲得した。そして翌週も69,874枚を売り上げ“Top Albums Sales”で2位になるなどセールスを積み上げ、年間を制した。
▲ 「Snow Man 5th Album'音故知新' Concept Video」
2位もSnow Manで『音故知新』。11月5日にリリースされたばかりの5thアルバムで、初週に1,060,153枚を売り上げた。3位はMrs. GREEN APPLE『10』。10周年を記念してリリースされたベスト盤で、7月8日に発売されるとバンドとして、Billboard JAPANチャート史上最多のアルバム初週売上枚数となる(集計期間:2008年1月7日~)772,214枚を記録した。4位はStray Kidsの日本3rdミニアルバム『Hollow』。6月18日に発売され、初週で738,209枚を売り上げた。5位は&TEAM『Back to Life』で、&TEAMは『雪明かり (Yukiakari)』も8位を獲得しトップ10内に2作を送り込んだ。
今年はミリオン突破が2作と昨年より1作多く、トップ10内の総セールス数は昨年比149%の8,103,121枚で、トップ20内は140%の11,819,213枚と大きく増加。デジタル市場の伸びを保ちながら、パッケージも伸ばすという日本特有の成長を見せた。なおSoundScan Japanによる2025年の年間総売上(枚数/金額)は、2026年2月に発表を予定している。
Text by 高嶋直子
▲ 「「breakfast」MV / Mrs. GREEN APPLE
2025年の年間 Billboard JAPAN 作詞家チャート“Top Lyricists”で、大森元貴が1位に輝いた。
本チャートは、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”にチャートインした楽曲を作詞家別に集計し、ランキング化したもの。大森は、2023年、2024年に続いて今年も本チャートを制し、史上初となる3連覇を達成した。なお、指標別に見るとCDセールスを除くダウンロード、ストリーミング、ラジオ、動画再生、カラオケの5指標で首位を記録。2024年の年間チャートでも同5指標で首位を獲得しており、2年連続で高い存在感を示した。また、集計期間(2024年11月25日~2025年11月23日)の週間推移では、2025年9月まで首位を維持するという独走状態に。年間の累計ポイントは唯一200万ポイントを超え、2位との差は3倍以上の差をつけた。
今回の年間チャートで加算対象となった楽曲には「ダーリン」「クスシキ」「breakfast」「天国」など、2025年にリリースされた楽曲が多数含まれる。一方「ライラック」「ケセラセラ」「ビターバカンス」「Soranji」など、2024年以前にリリースされた楽曲も上位を獲得。新旧の楽曲が揃って聴かれ、ロングヒットが連鎖している点もMrs. GREEN APPLEの強みの一つだ。聴き手が自分の状況に重ねやすい言葉選びと、耳に残るフレーズ、メッセージ性を両立させた大森の歌詞が、幅広い層の共感を集めていることがうかがえる結果となった。
そしてback numberの清水依与吏が、前年に続いて2位にチャートイン。ドラマ『あなたを奪ったその日から』の主題歌として書き下ろされた「ブルーアンバー」を筆頭にポイントを積み重ねた。同曲はback numberとして27曲目のストリーミング累計再生回数1億回突破を達成。計27曲の突破はアーティスト別で歴代2位の曲数となり、2025年リリース曲の中では12曲目の到達となっている。 3位には、最新シングル「IRIS OUT」が週間の“JAPAN Hot 100”で9週連続、“Global Japan Songs Excl. Japan”で10週連続で首位を獲得するなど、国内外で存在感を高めている米津玄師がチャートインした。
そのほかトップ100には、2025年に躍進した“KAWAII LAB.”に所属するグループの作詞を手がける早川博隆やヤマモトショウなどもチャートイン。なかでも36位の玉屋2060%は、『第76回NHK紅白歌合戦』出場が決定したCANDY TUNE「倍倍FIGHT!」や、FRUITS ZIPPER「はちゃめちゃわちゃライフ!」などを手がける一方、自身がフロントマンであるWiennersの「WINNER!ゴジュウジャー!」でもポイントを獲得し、複数アーティストでチャートインを果たした。
Text by Tatsuya Tanami

──大森さんはBillboard JAPAN初となる、作詞家&作曲家チャートで3年連続1位です。今年は4年ぶりのソロ活動も話題になりました。“第一にご自身のための音楽”という点は、バンドでもソロでも変わらないと思いますが、異なる届き方にどのような発見や学びがありましたか?
一人の同じ人間から出てくる音楽なので明確な違いを言葉にするのは難しいんですけど、ミセスありきの個人活動なので、(ソロ曲を)リリースさせてもらうことでそれが明確になった部分もあります。やっぱり創作をし続けることは僕の中でも重要なことなんだと、再発見というか、改めて気づける1年だったと思います。
▲ 「クスシキ」MV / Mrs. GREEN APPLE
2025年の年間Billboard JAPAN作曲家チャート“Top Composers”にて、大森元貴が3年連続となる1位に輝いた。
本チャートは、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”の中から作曲家にフォーカスしたランキングだ。2023年年間“Top Composers”、2024年上半期“Top Composers”、2024年年間“Top Composers”、そして2025年上半期“Top Composers”でそれぞれ1位を獲得してきた大森元貴。指標別に見ると、大森元貴はストリーミング1位(上半期1位)、動画再生1位(上半期1位)、ラジオ1位(上半期1位)、ダウンロード1位(上半期1位)、カラオケ1位(上半期1位)、CDセールス100位圏外(上半期100位圏外)を記録している。2024年年間、そして2025年上半期で見せた勢いをそのまま保ち、2025年の年間でも首位に君臨する形となり、史上初となる3年連続首位を達成した。また、大森は本チャートでは23年12月27日発表分から年間チャート集計対象最終週である2025年9月24日発表分まで、じつに92週連続で1位を獲得し続けたことも特筆すべき点である。連続首位が途絶えた後もトップ3圏内をキープしており、大森の手掛ける楽曲に対する支持の強さが伺える圧倒的な成績と言えるだろう。
大森元貴がフロントマンを務めるバンド、Mrs. GREEN APPLEは1月以降「ダーリン」「クスシキ」などを含む7作の配信シングル、そしてベストアルバム『10』をリリース。今年リリースした新曲の全てが“JAPAN Hot 100”に複数週チャートインし続け、1年を通して聞かれ続ける楽曲を手掛ける大森元貴の力量が分かる結果となった。2025年年間“JAPAN Hot 100”を見ても前年の17曲を上回る22曲がチャートインしており、新譜だけでなく旧譜も継続的に聞かれているという強みが見て取れる。
続いて、2024年年間“Top Composers”と2025年上半期“Top Composers”で2位を記録した清水依与吏が引き続き2位に登場。指標別に見ると、ストリーミングとカラオケで2位、動画再生で5位、ダウンロードで7位、ラジオ13位、CDセールス100位圏外を記録している。彼がフロントマンを務めるback numberは、4月に配信リリースした「ブルーアンバー」(ドラマ『あなたを奪ったその日から』主題歌)が“JAPAN Hot 100”で2周目に首位を獲得し、その後も「高嶺の花子さん」「水平線」といった以前からのロングヒット曲と共にチャートインし続けている。
上半期で4位を記録していた米津玄師は年間では3位に登場。2025年を通して映画『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌「IRIS OUT」や『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』主題歌の「Plazma」を含む5つの新曲をリリースした米津玄師は、9月に「KICK BACK」がアメリカレコード協会(RIAA)からプラチナ認定を受けたことも話題となった。“JAPAN Hot 100”だけでなく”Global Japan Songs excl. Japan”でも上位に登場し続けている「IRIS OUT」が「Lemon」や「KICK BACK」などの既存のロングヒット曲と共に長期的なチャートアクションを見せている点から、日本のみならず海外における彼の楽曲の人気が結果に現れている。
トップ20を見てみると、2024年年間“Top Composers”から上位の顔ぶれに大きな変動は無いが、昨年11位と惜しくもトップ10入りを逃していた藤井 風が7位に浮上している。また、2024年の81位から13位へと大きく順位を上げている“MONJOE/SHUN/Number_i”、16位には“JAPAN Hot 100”で初登場首位を獲得したHANAのデビュー曲「ROSE」を手掛けた“CHANMINA/Adam Kapit/Sofia Quinn”が登場している。本チャートにおいて、順位を伸ばして上位に食い込むことのできるコンポーザーが2026年に登場するのか、引き続き注目していきたい。
Text by Haruki Saito
▲ 「倍倍FIGHT!」MV / CANDY TUNE
2025年の年間Billboard JAPAN“Heatseekers Songs”で、CANDY TUNE「倍倍FIGHT!」が1位に輝いた。
“Heatseekers Songs”は、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”を構成するデータのうち、ラジオ、ダウンロード、ストリーミング、週間動画再生数を集計し、その中から急上昇中の新人アーティストを抽出したチャートだ。
1位の「倍倍FIGHT!」は、CANDY TUNEが2024年4月24日にデジタル・リリースした楽曲。2025年3月19日公開の“Heatseekers Songs”で初の首位を獲得すると、その後通算4週にわたり首位を記録した。イントロに合わせたキャッチーで真似しやすい振り付けが注目を集め、ファンのカバーダンスが話題になるほか、LE SSERAFIMのSAKURAや≠MEなどアーティストのカバーダンス動画も人気に拍車をかけ、TikTokで本楽曲を使用した投稿は20万件を超える。大晦日には『紅白歌合戦』への初出場も決まっており、まさに2025年の顔と言えるグループだろう。なおCANDY TUNEは、年間チャートでは同楽曲のほか、11位に「キス・ミー・パティシエ」も送り込んでいる。
▲ 「テトリス」MV / 柊マグネタイト
上半期1位の柊マグネタイト「テトリス」は、年間チャートでは2位に登場。本曲は、ボカロPの柊マグネタイトが2024年11月8日に投稿した楽曲で、同年12月18日公開の“Heatseekers Songs”で初の首位を獲得し、2025年3月12日まで13週連続で首位を飾った。ボーカルに起用されている音声合成ソフト・重音テトを「テトリス」にかけた楽曲で、キャッチーなサウンドと深読みを誘うような歌詞との組み合わせが話題になり注目を集めると、カバー動画も次々と投稿され、二次創作での人気も加速。動画再生でも勢いを見せており、リリース同日に公開されたミュージック・ビデオは1億回再生を突破している。
そして3位には、JENNIE「like JENNIE」が続く。本曲は、JENNIE自らが作詞作曲に参加した楽曲で4月に開催された【コーチェラ】のステージでも披露されたJENNIEの代表曲だ。2025年3月26日公開の“Heatseekers Songs”で3位にチャートインすると、翌週公開チャートで首位を獲得。サビのダンスチャレンジが流行となり、ファンのみならず、K-POPグループもチャレンジに参加しダンスブームを巻き起こした。BLACKPINKはワールドツアー【2025 WORLD TOUR <DEADLINE>】を2025年7月に韓国で開幕し、来年1月には東京ドームでライブを予定している。ライブではメンバーそれぞれのソロ曲も披露されており、SNSを通して楽曲を耳にすることが多かったこともブームの要因の一つといえるだろう。
2025年の“Heatseekers Songs”は、1位の「倍倍FIGHT!」を筆頭に、TikTokをはじめとしたSNSで真似したくなるキャッチーさがキーワードとなった。手足を大きく動かした激しい振り付けが特徴的なKARINAの「UP」や肘打ち動画が話題となったセカンドバッカー「犬とバカ猫」など、SNSでの話題性がきっかけに広がりをみせた楽曲が登場している。SNSを通じてコアファンだけではなくライトファンも盛り上がりを作り上げることでブームが起こる動きが感じられたが、SNS時代の今、それらは今後も続きそうだ。
Text by Sakika Kumagai
みなさま
CANDY TUNE「倍倍FIGHT!」Heatseekers Songs 1位を獲得することができました!本当に、本当にありがとうございます!!!この曲に込めた想いが、こんなにもたくさんの人に届いたと思うと胸がいっぱいです。いつも応援してくれる関係者のみなさま、あめちゃんのみなさまがいてくれるから、私たちは何倍でも強くなれるし、何回でも立ち上がれます。これからもCANDY TUNEをよろしくお願いします!!
▲ 「モニタリング feat. 初音ミク」 / DECO*27
2025年の年間Billboard JAPAN UGCソングチャート“Top User Generated Songs”で、DECO*27「モニタリング」が1位に輝いた。
本チャートは「踊ってみた」動画など、YouTubeで公開されているユーザー生成コンテンツ(UGC)のみを集計したチャートだ。昨年11月22日に公開された「モニタリング」は、今年1月中旬からじわじわと注目を集め、2月5日公開チャートで1位を獲得後、集計期間中に計26回トップに立った。左目に眼帯を付けた印象的なサムネイルを使って、キャラクターを使ったカバー動画がたくさんあがっており、ローレン・イロアスの「歌ってみた」は1520万回、ましろは515万回、まふまふは250万回以上再生数されている。9月5日に公開された初音ミクをフィーチャーした“Best Friend Remix”は2330万回も再生されており、1年を通して本曲に触れるユーザーが多いことが想像できる。
上半期3位から年間2位へと順位を上げたのは弌誠「モエチャッカファイア」。両手の人差し指と親指でハートマークを作ったサムネイル、ミュージック・ビデオのイラストを真似るようにメイド服で低音ボイスの早口ヴァースを口パクし、どこか冷めた印象で萌え萌えハートなどをする動画がヒットし、こちらもたくさんの投稿がされた。
▲ 「APT.」 / ロゼ & ブルーノ・マーズ
3位はCreepy Nuts「オトノケ」、4位のロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」も楽曲ヒットに加え、UGCらしさが爆発。アニメ『ダンダダン』のオープニング曲である前者は、R-指定の難易度の高いラップ、小刻みなビートに合わせた切り替えにユーザーのセンスが光る。世界的にヒットした「APT.」は、代名詞でもあるピンクの背景と雷を使って、MVを真似たり、動物がロゼとブルーノに扮したりしている投稿が相次いだ。高速な前者に比べ、後者は比較的単調なリズムなため、「踊ってみた」に挑戦しやすい点もユーザーの二次創作を後押ししたとも考えられる。
45位のKanaria「KING」は5年前の2020年8月、56位のGiga「Beyond the way」は2023年12月公開と、集計期間より前に発表されたロングヒット曲だ。続くサカナクション「怪獣」も「歌ってみた」動画の再生回数が多い。ブレスのタイミングが非常に難しいながら、“歌いがいのある”楽曲として、ユーザーたちの興味を惹きつけた。『紅白歌合戦』での演奏後にどんな広がりを見せるか、その動向にも注目したい。そして、今年9月発表曲の米津玄師「IRIS OUT」が早くもトップ20入り。その勢いの高さが見て取れる。
トップ20のうち、公式ミュージック・ビデオで本人が顔出ししているものは、「オトノケ」、「APT.」、「怪獣」、CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」、Mrs. GREEN APPLE「ライラック」の5つ。ボカロやアニメ関連動画も多くありながら、乗りやすいメロディー、歌ってみたいと思わせるような難易度の高い楽曲が上位にいることから、今後もジャンルを横断するバラエティ豊かな楽曲がヒットしていくことだろう。
※「VOCALOID(ボーカロイド)」および「ボカロ」はヤマハ株式会社の登録商標です。
Text by Mariko Ikitake
皆さんにたくさん楽しんでいただけて嬉しいです。ありがとうございます!ミクも僕も大変喜んでおります。
2025年の年間Billboard JAPAN“ニコニコ VOCALOID SONGS”で、DECO*27の「モニタリング」が1位に輝いた。
本チャートは、2022年12月7日からスタートしたニコニコ動画におけるVOCALOID曲の人気を測るチャートだ。オリジナル動画や二次創作動画などの動画再生数や動画総数、コメント数、いいね数などのデータにBillboard JAPANが独自開発した係数に乗じて上位20位までのランキングを生成している。
2025年年間1位となった「モニタリング」は、ドアスコープを覗き込む初音ミクを起点に物語が展開する楽曲。昭和歌謡を思わせるメロディラインと現代的なベースハウスが融合し、ノスタルジックでありながら中毒性の高いサウンドに仕上がっている。タイトルでもある「モニタリング」は、恋愛における一方的な執着や支配欲を象徴しており、「相手を見ていたい」「心を覗きたい」といった願望を反復することで、不穏さと強い没入感を生み出している。また、初音ミクを別キャラクターに差し替える二次創作も多数投稿され、2025年の年間UGCソングチャート“Top User Generated Songs”でも首位を獲得した。DECO*27は本作のほか、「テレパシ」(5位)、「ラビットホール」(14位)の計3曲を年間トップ20に送り込み、今年のボーカロイドシーンを牽引したと言える。
続いて、2025年上半期チャートを制した柊マグネタイト「テトリス」が僅差で年間2位にランクイン。同曲は2024年11月8日に投稿され、重音テトをボーカルに起用した作品だ。落ち物パズルゲーム『テトリス』をモチーフにし、ゲーム内で使用されるロシア民謡「コロブチカ」をサンプリングしている。仕事や義務、情報に押しつぶされそうになる現代人の重圧を“落ち物ゲーム”に見立てて描いた歌詞は、“ポップな曲調”と“内包された陰”のギャップが印象的だ。MVで回り続ける重音テトも大きな話題となり、それをもとにしたミームや二次創作動画が数多く投稿されている。
▲ 「メズマライザー」 / サツキ
3位にはサツキ「メズマライザー」、4位には吉田夜世「オーバーライド」が続いた。いずれも年間を通して高い人気を維持したロングヒットで、「メズマライザー」は52週中50週にチャートイン、そのうち48週がトップ10入り。「オーバーライド」も48週チャートインしており、2024年度に続いて強さを見せた。また、wowaka「アンノウン・マザーグース」(9位)、いよわ「きゅうくらりん」(11位)、ツミキ「フォニイ」(12位)といった通算100週チャートインしたロングヒット曲も年間トップ20入りし、根強い支持を証明する結果となった。
2025年の年間チャートを振り返ると、今年は“物語性”と“二次創作性”の強さがより一層顕著になった一年だったと言える。DECO*27「モニタリング」や柊マグネタイト「テトリス」をはじめ、上位に並んだ多くの作品が、MV、歌詞、キャラクター性など多層的な要素を宿し、視聴者の解釈や二次創作を誘発する構造を持っていた点は象徴的だ。また、投稿された作品が従来のニコニコ動画の枠を越え、SNSや海外ユーザーを巻き込みながら広がる動きも強まっており、UGCを中心としたエコシステムがいっそう成熟したことが浮き彫りとなった。この新たなヒットを生み出す循環がどこまで加速するか、来年のチャート動向にも大きな期待が寄せられる。
Text by ian li
2025年の年間Billboard JAPAN急上昇ソング・チャート“JAPAN Hot Shot Songs”で、米津玄師「IRIS OUT」が1位に輝いた。
本チャートは、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”の指標の中から、ダウンロード、ストリーミング、動画再生の3指標の合計ポイントが増加した順に並べた“急上昇楽曲チャート”で、本年度より発表が始まった。
9月24日発表分で首位に立った劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌「IRIS OUT」は、3指標すべてで1位を獲得、今年度最多ポイントを記録して“JAPAN Hot 100”でも総合1位に初登場していた。集計期間中に208,023,107回再生を記録して、年間ストリーミング・ソング・チャートで11位、129,602DLを売り上げて、年間ダウンロード・ソング・チャートでは3位と、各チャート結果の中で最も期間が短い最新曲ながら爆発的なヒットを記録した。興行通信社によると、『レゼ篇』は現在までに観客動員数605万人、興行収入92.8億円を突破。3位には、米津と宇多田ヒカルによる同作のエンディング・テーマ「JANE DOE」が入っており、映画と音楽のダブルヒットが目に見える結果となった。映画そして両曲とも、現在も記録を伸ばしていることから、2026年度の動向が早くも気になるところだ。
▲ 「Drop」MV / HANA
今年センセーションを起こしたHANAもチャート上で大きな盛り上がりを見せた。2月に「Drop」でプレデビュー、4月のデビュー曲「ROSE」から最新曲「My Body」までコンスタントなリリースが続き、本チャートには「Drop」と「Tiger」を除く計5曲が入った。年間総合では「ROSE」(動画再生3位、ストリーミング6位、ダウンロード19位)が最高位となる6位に。本チャートでは夏らしさと青春、甘酸っぱい恋模様が幅広い世代に刺さった「Blue Jeans」(2位)が最高位についた。HANAは、ストリーミングはもちろん、動画再生数も各曲高いため、今後のリリースも高い注目と安定した動きが予想される。
例年に比べてストリーミング解禁が活発なSnow Manは今年、韓国音楽番組での初披露が日本で話題を集めた。その披露曲「カリスマックス」はダウンロード6位を記録して年間総合80位に入っている。【コーチェラ】出演やジャクソン・ワンとのコラボレーションなど、海を越えた活動が目立ったNumber_iも「GOD_i」「未確認領域」の2曲が大きな初速を見せた。特に「GOD_i」は累計106,561DLを売り上げて年間ダウンロード5位に。リリース以降も様々なタイミングを作り、年間を通してリーチ拡大していったことがわかる。
集計期間初日となる月曜日やフィジカル作品のリリースが多い水曜日、グローバルスタンダートである金曜日、はたまた番組放送後や映画公開初日と同時など、リリースタイミングはそれぞれ異なるが、どのタイミングであってもミュージック・ビデオ解禁日に大きく注目が集まるのは確か。“急上昇”とは少々異なるが、ロングヒットの観点では、「IRIS OUT」と「JANE DOE」は『レゼ篇』を軸に、HANAは動画コンテンツやメッセージ性の強い楽曲、Number_iはテレビパフォーマンスやデラックス版リリースでリスナーを惹きつけた。複数のタッチポイントを作ることで継続的な盛り上がりを見せた成功例と言える。
Text by Mariko Ikitake
▲ 「オトノケ」 / Creepy Nuts
世界でヒットしている日本の楽曲をランキング化した“Global Japan Songs Excl. Japan”。 2025年度は、Creepy Nuts「オトノケ」が年間首位を獲得した。
「オトノケ」は、Creepy NutsがTVアニメ『ダンダダン』オープニング・テーマとして書き下ろした楽曲。年を跨いでロングヒットを記録し、2025年は通算21週1位を獲得した。なおCreepy Nutsは、2024年に「Bling-Bang-Bang-Born」でも年間首位を獲得しており、史上初の年間2連覇を達成した。今年は自身初となるアジアツアーを開催し、来年は【コーチェラ・フェスティバル】への出演も決まっているCreepy Nuts。2026年もグローバルな活躍に注目したい。
下半期に怒涛の追い上げを見せたのが、米津玄師「IRIS OUT」だ。同曲は劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌として米津玄師が書き下ろした楽曲で、9月15日にリリースされた。11月13日公開チャートでは、歴代最多の週間再生数となるストリーミング数1899万回を記録。10週連続でトップをキープし、およそ2か月の集計ながら年間4位に食い込んだ。
▲ 「ReawakeR (feat. Felix of Stray Kids)」MV / LiSA
今年リリースの楽曲では、Stray Kidsのフィリックスが参加したことでも話題になったLiSA「ReawakeR (feat. Felix of Stray Kids)」がトップ20入りを果たした。また、TVアニメ『ダンダダン』第2期オープニング・テーマに起用されたアイナ・ジ・エンド「革命道中 - On The Way」も、4週連続で首位をキープし、年間27位にチャートインしている。一方で、KANA-BOON「シルエット」(22位)、スペクトラム「F・L・Y」(60位)、HALCALI「おつかれSUMMER」(61位)といった旧譜が、ショート動画プラットフォームをきっかけにリバイバルヒットしたことも今年の特徴と言える。
2025年のトップ20のうち15曲が、2024年から継続してトップ20入りしている。これは前年(2023年→2024年の13曲)を上回る曲数だ。海外では日本の楽曲が長く聴かれ続ける傾向があるが、今年はその傾向が特に強かった。この状況だけを見ると、日本の楽曲への関心が弱まっているようにも受け取れる。しかし実際には、上位ポイントが減少した一方で下位層はむしろ伸びており、トップ10は前年比88%の一方、11~100位は111%、101~500位は117%と増加している。つまり2025年は、日本の楽曲全体への関心が底上げされた一年だったと言える。2026年はこの積み重ねの先に、より大きな潮流が生まれることを期待したい。
Text by Mika Fuchii
やっぱりワンマンを回って、この国にこれぐらい自分らのファンがいてくれてるんやっていうのはもちろん感じますね。今回はアジアツアーでしたけど、それ以外でまだツアーに行ってない国とかでも、そういうのをしていけたらいいなと思いました。(R-指定)
ただ日本語で、日本語の良さのまま海外に届ける、みたいなのは、サウンドがめっちゃハブになってるから、常に新しいものを取り入れて磨いていかねばなとは思いますね。俺たちが俺たちたるところは、言語。そこはやっぱりいちばんでかいなと思います。(DJ松永)
世界各国でヒットしている日本の楽曲をランキング化した “Japan Songs(国別チャート)”。2025年の年間チャートは、Creepy Nuts「オトノケ」が5か国で首位を獲得した。
「オトノケ」はTVアニメ『ダンダダン』のオープニング・テーマとして2024年10月にリリースされた楽曲。フランス、イギリス、南アフリカ、アメリカ、ブラジルで年間1位を獲得したほか、タイ、シンガポール、インド、ドイツでもトップ10入りを果たした。アニメ人気の後押しや、同曲が持つ強烈なリズムとフロウの普遍性が国境を越えて支持された格好だ。さらに、Creepy Nutsは2026年の【コーチェラ・フェスティバル】への出演が決定しており、世界的な注目が高まっている。
▲ 「死ぬのがいいわ」 / 藤井 風
一方、藤井 風は東南アジアで依然圧倒的な存在感を示した。「死ぬのがいいわ」がインドネシア、マレーシア、インドの3か国で年間首位を記録し、「満ちてゆく」もタイで年間1位に輝いた。全編英語詞で制作された最新アルバム『Prema』からの先行シングル「Hachikō」では、配信日のイベントを日本ではなくタイで開催するなど、現地に根ざしたプロモーション戦略も話題を呼び、国境を越えるアーティスト像をさらに強固なものにしている。
▲ 「Lemon」MV / 米津玄師
韓国では、9月15日にリリースされた米津玄師「IRIS OUT」が、リリースから約2か月という短期間で年間首位に輝くという快挙を成し遂げた。劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌として書き下ろされた同曲は、台湾およびマレーシアでも年間6位を記録。アニメとの高い親和性と米津玄師の国際的な評価が示された結果となった。なお、台湾では米津玄師が「Lemon」で首位を獲得しており、DAOKOとのコラボ「打上花火」も4位を記録するなど、リリースしてから約8年以上経ったカタログもロングヒットとなり、米津玄師の現地における人気を示した結果となった。
2026年に向けては、日本の音楽がアニメ/ゲームをきっかけとした認知を基盤にしつつ、その枠を越えて独自のファンダムと文化的受容を形成していく流れがさらに加速するとみられる。Creepy Nutsの【コーチェラ】出演はその象徴であり、グローバル・フェスの場で日本の音楽がどのようにアップデートされていくのかが大きな注目点だ。また、藤井 風のように現地で積極的にローンチ施策を展開するアーティストが増えることで、国別/地域別チャートはより多様化し、単なる人気指標ではなく“世界のどこで、何が、なぜ刺さるのか”を測る場として発展していくだろう。
Text by ian li
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