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レガシー・レコーディング・シリーズ ソニー・ロック名盤100選
COLUMBIA、EPIC、ARISTA等、数々の名門レーベルを抱えるソニー・ミュージックが、膨大なカタログの中からロック史を彩る不滅の名盤を100枚厳選、高品質でリリースする「レガシー・レコーディング」をスタート。同シリーズ第一弾の発売を記念し、3月6日にリリースとなった名盤の"ジャケットにまつわるストーリー"を紹介。
ソニー・ロック名盤100選として、『Blu-spec CD2』の高品質で発売となったのは、1950年代~70年代ロック史に燦然とその名を刻むレジェンドたちによる100枚のアルバム。作品リストに名を連ねるのは、ロック・ミュージックの源流を遡った者なら必ずそこに辿りつくといっても過言ではない伝説的ブルース・マン ロバート・ジョンソン、カントリーとリズム&ブルースを若者のための音楽=“ロックンロール”へと昇華させたエルヴィス・プレスリーに始まり、ボブ・ディラン、ジャニス・ジョプリン、サンタナ、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、キャロル・キング、ザ・クラッシュ、エアロスミス、ビリー・ジョエル、TOTO…時代やカテゴリーを超え、“ロック”を創り上げてきた偉大な才能たち。まさに100枚全てが音楽史そのもの、正真正銘の“名盤”であり、今更ここで個々のアーティストや内容について触れる必要もないだろう。
そこで今回は、それら名盤の顔である“ジャケット”に焦点を絞り、その一部を紹介したい。音楽ファンなら一度は経験したことがあるだろう“ジャケ買い”。アルバムの表紙というキャンバスに描かれた芸術は、時として、そこに収められた音楽以上の衝撃や残像を与えてくれるものだ。かつてはアナログ盤の12インチ、やがてCDの普及により12センチとなり、そして今では、デジタル画面の小さな枠の中でのみファンの目に触れるということも少なくない。作品の“顔”であったジャケットの価値そのものが変わりつつある今、改めて、その音楽とともに歴史に刻まれたジャケットの数々をじっくりと眺めてみよう。
ロック史上初の"名ジャケ"にして最大の攻撃力を持つ最高傑作
全米ビルボード・アルバムチャート10週連続首位を獲得したエルヴィス・プレスリーのデビュー作『エルヴィス・プレスリー登場!』。それまで、楽器を持ってポーズを決める姿などが定例だったポップスのジャケット写真において、エルヴィスのエネルギッシュで攻撃的なプレイ姿を捉えたこの写真と、ピンク×緑というなんとも攻撃的な色の組合、ダイナミックなタイポグラフィは、その作品同様、強烈なインパクトをもたらすと同時に、その後のロック史に絶大な影響を与えている。
エルヴィスのデビューから20年以上の時を超え、ザ・クラッシュの3rdアルバムで最高傑作との呼び声高い『ロンドン・コーリング』(1979)のジャケットが、エルヴィスのそれをモチーフにしているのはロック・ファンなら周知の事実。ポール・シムノンがステージ上でベースを叩きつけている様子を映したこの写真は、当時ザ・クラッシュのツアーに同行していた女性写真家 ペニー・スミスによるもので、エルヴィスがギターをかき鳴らしシャウトする姿同様、ロックンロールの持つ躍動感と攻撃性に溢れている。ザ・クラッシュがこのデザインを用いたことで、より一層ロックの象徴として広く認識されることになった、いわば“ロック史上最強のアートワーク”といっていいだろう。
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カウンター・カルチャーが生み出した巨匠たちの名作
1960年代後半~70年代前半のカウンター・カルチャーの象徴といえば、グレイトフル・デッド、ドアーズなどのバンドによってもたらされたサイケデリック・ロックであり、ジャケット・デザインの世界でいうならばビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』、クリームの『カラフル・クリーム』などがその代表格といっていいだろう。
ジャニス・ジョプリンがビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーの一員としてデビューを果たした『チープ・スリル』は、タッチこそそれらと異なるものの1960年代のアンダーグラウンド・コミックスの草分け的存在でカウンター・カルチャーを代表する漫画家 ロバート・クラムが手掛けた作品。フリッツ・ザ・キャットの生みの親でもあるクラムは、友人であったジャニスのためにこの作品のデザインを引き受けたというが、当時は大の"ロック・バンド嫌い"で、ローリング・ストーンズからのオファーを断ったという逸話も。自身もギター、バンジョーなどを演奏するプレーヤーで、"R.Crumb and his Cheap Suit Serenaders"としてレコードを数枚リリース、ジャケットのデザインはもちろんクラム本人が手掛けている。
そしてカウンター・カルチャーの集大成ともいえる1996年のウッドストック・フェスティバルで観客の度胆を抜くパフォーマンスを披露し一躍世界へと羽ばたいたサンタナの2ndアルバム『天の守護神』。このジャケットはアブドゥル・マティ・クラーワインというドイツ・ハンブルグ出身のアーティストが絵画を担当。スピリチュアルでサイケデリックかつ宗教的な香りをまとうマティの絵がカヴァーを飾ったアルバムとしては、マイルス・デイヴィスの名盤『ビッチーズ・ブリュー』が有名である。
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関連リンク
ロンドン・コーリング
2013/03/06 RELEASE
SICP-30095 ¥ 1,980(税込)
Disc01
- 01.ロンドン・コーリング
- 02.新型キャディラック
- 03.ジミー・ジャズ
- 04.ヘイトフル
- 05.しくじるなよ、ルーディ
- 06.スペイン戦争
- 07.ニューヨーク42番街
- 08.ロスト・イン・ザ・スーパーマーケット
- 09.クランプダウン
- 10.ブリクストンの銃
- 11.ロンゲム・ボヨ
- 12.死か栄光か
- 13.コカ・コーラ
- 14.いかさまカード師
- 15.ラヴァーズ・ロック
- 16.四人の騎士
- 17.アイム・ノット・ダウン
- 18.リヴォリューション・ロック
- 19.トレイン・イン・べイン
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