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<インタビュー>BAND-MAID、新たな出会いとこれまでの物語で紡がれたEP『SCOOOOOP』で伝える5人の結束力

インタビューバナー

Text & Interview: 岡本貴之
Photo:久保寺美羽


 BAND-MAIDが、ニューEP『SCOOOOOP』を2025年10月22日にリリースした。2025年は、1月、4月、7月と3クール連続でアニメ・タイアップ主題歌(「Zen」「Ready to Rock」「What is justice?」)をリリースしてきた彼女たち。『Unleash』以来3年振りとなる今回のEPで、今年は四季ごとに新作音源を発表してきたことになる。その間もツアー、海外フェスの出演など、お給仕(ライブ)活動も精力的で、ツアーのFINAL ROUND も控えており、1年をあっという間に駆け抜けようとしている。そんなBAND-MAIDが世に送り出す『SCOOOOOP』はどんな意思が込められた作品なのか? また、2026年の展望は? 訊きたいことは山ほどあるが、まずは8月に行われた初のタイ・バンコクでのお給仕のエピソードから語ってもらった。

バンコクでの初のお給仕
【SUMMER SONIC BANGKOK 2025】

──今日はEP『SCOOOOOP』の新曲について詳しくお訊きしたいと思いますが、まず最初に8月23日タイ・バンコクで行われた【SUMMER SONIC BANGKOK 2025】について振り返ってもらえますか?

MISA(Ba.):ライブは、ステージがすごく広かったですね。あとは、日本人のお客さんもいっぱいいましたし、女の子のお客さんもすごくいらっしゃったので、うれしかったです。あとは 、トムヤムクンを3杯食べて、本当に幸せでした(笑)。


AKANE(Dr.):ついにバンコクでお給仕ができてうれしかったです。ステージではCO2だったり、紙吹雪、炎も出してもらって、いろんな特効をやっていただいて。フェスであんなにたくさんの特効を使うことってなかなかなかったので、すごく楽しかったですね。おかげで映えました(笑)。


SAIKI(Vo.):横アリのときの倍ぐらいの長さの、すごく長い花道があったんですよ。前日にリハをやったときに歩いてみたんですけど、そのときは照明もあんまりついてなかったので、実は私、一回落ちそうになったんですよ。


一同:ええ~!?


SAIKI:大丈夫だったんですけど(笑)。本番では、前に出るはずじゃなかった曲でも花道に出たりしました。それはイレギュラーでしたけど、ライブ感の一つの要因になったかなとは思っています。あと、タイのみなさんはあたたかったですね。ロックが好きというか、「BAND-MAIDのロックを聴いてくれてるんだな」ということが、ステージから見ていてもすごく伝わったので、やっとタイに来られて良かったなっていう気持ちが強かったです。お給仕に来てほしいというお声はいただくんですけど、実際行かないとどのぐらいかっていうのは分からなかったし、ぶっちゃけそこまで名前が知れ渡っていないんじゃないかしら? とか思っちゃっていたので。盛り上がってくれてビックリしましたね。


KANAMI(Gt.):日本から来てくれている方もいらっしゃいましたけど、私たちのお給仕を観るのが初めての方がほとんどだったと思うんです。そういう状況の中で緊張感がありましたけど、めちゃくちゃ楽しみました(笑)。心から楽しむっていうライブがBAND-MAIDらしさだと思っていたので。花道でMISAと、ベースとギターのバトルみたいなこともやらせてもらって、めっちゃ楽しかったよね?


MISA:うん、なんか新鮮だったね。


KANAMI:新鮮だった。横アリ以来の花道で、MISAとバチバチにやる感じもすごく楽しかったので、バンコクに行ってそういうことが経験できてすごく良かったです。


小鳩ミク(Gt./Vo.):私たちのことを知らない人たちが日本人の方もたくさんいらっしゃったので、「大丈夫かな」っていう不安もあったんですっぽ。でも曲をやるごとにつれて、一緒に手を挙げてくださったりする方がたくさん見えて。かなりたくさんのご主人様、お嬢様(ファンの呼称)がいたので、どうにか観ようとして仲間と肩車し合って観てくれてたり、「あ、そんなに私たちのことを求めてくれてるんだ」っていうのがステージ上からすごく伝わったので、うれしかったですっぽ。次はやっぱり単独でお給仕しに行きたいなって強く思いましたっぽ。


──新鮮な発見もあるお給仕だったんですね。ちなみに、MISAさんがトムヤムクンが美味しかったとおっしゃいましたけど、他にはどんな食事をしたんですか。

小鳩:メンバーはみんな、毎日パッタイを食べたっぽね?


SAIKI:パッタイを食べなかった日がなかったです。AKANE以外はみんなタイ料理が好きなんですけど、(AKANEは)パッタイだけいけるんだよね?


AKANE:パッタイは食べられる。辛いのも苦手でパクチーも苦手だから、なかなかパッタイから抜け出せずに(笑)。


小鳩:1日目の夜に、5人でホテルのすぐ近くの24時間やってるタイ料理屋さんに行って、そこでもパッタイを食べましたっぽ。「本場のはやっぱり全然違うっぽね」って。


SAIKI:パッタイ食べ比べ、みたいになってたもんね(笑)。味が違うんですよ。「それぞれご家庭の味があるのかしら?」とか言って。トムヤムクンも違ったもんね?


MISA:うん、違った。


小鳩:すごく美味しかったですっぽ。


KANAMI:久しぶりの海外だったっていうのもあって結構ワクワクしてたんですけど、久しぶりの海外でも、やっぱりAKANEの部屋にみんな集まるんだなって(笑)。


小鳩:基本ずっと、AKANEのお部屋にいましたっぽ。


──特にアクシデントやハプニングもなく、無事に終わった海外お給仕でしたか?

KANAMI:リハーサルの時、ギターのノイズが鳴ったりとかで、私は大変だったんですけど、そこはテックさんが頑張ってくれました。やっぱり日本でのチームプレイができてるから、海外でもトラブルがあってもすぐ対応してもらえて、なんとか乗り切れたかなと思っています。


小鳩:あとは、スコールがすごかったっぽ! 直接私たちが濡れたりはなかったんですけどっぽ、フェスの最中にスコールが激しくて。


SAIKI:屋内のステージだったんですけど、屋根に当たる轟音がすごくて。「これ何の音?」 って聞いたら、「これはスコールだよ」「えぇ~!?」って。


小鳩:日本のスコールとはちょっとわけが違ったっぽね。雷も鳴ったり。海外って感じがするって思いましたっぽ。


SAIKI:あと、タイ語を頑張ったよね? MCの煽り文句で言えるような言葉を、通訳さんに本番直前に教えてもらって。それも久しぶりの感覚でした。前は海外ツアーで「こういうことって言ってもいいんですか?」とか聞いてたのを思い出して。実際、タイ語での煽りは成功して、すごく歓声を返してくれてたのでやってよかったです。


リード曲「Present Perfect」は
BAND-MAIDの名刺代わりになるような曲

──ではEPの話に移りたいと思います。制作は、昨年のアルバム制作の時期から並行してずっと続いてたんですか?

小鳩:そうですっぽ。長かったっぽね。


KANAMI:長かったですね。デモ制作はアルバムのときと被っていて。本格的にアレンジを進めたのは、アルバムが終わってからになります。この中で一番最初にメロができていたのは、「SION」ですね。3、4年前に自分の中でお別れがあって、悲しい気持ちがあったんですけど、どうしようもなく悲しい、苦しいときでも、作曲家の性(さが)というか、メロディが出てきたんです。それをボイスメモで残しておいて、いつか絶対形にしようと思っていました。

改めて作り始めたときに、悲しいだけの曲にはしたくないなと思って。何年も時間が経つと、悲しかった記憶って少し薄れてきて、楽しかったときの思い出とか、アルバムを見返すようなあたたかい気持ちが生まれてそれを曲に残したいなと。切ないだけじゃなく、最後はポジティブになれるような曲にしたいなと思って作りました。


小鳩:KANAMIから歌詞は「柔らかい感じ、優しい気持ちの雰囲気にしてほしい」ということは言われました。結構激しい曲が続いてた時期だったっぽね?


SAIKI:タイアップ曲が続いていたり、前作アルバム『Epic Narratives』も激しめのロックチューンの歌詞を書いてくれていて、小鳩がこういうテイストの歌詞を書くのは久しぶりだったので、「あらためて、今の小鳩の歌詞で聴きたい」ってリクエストを2人(SAIKIとKANAMI)から出しました。


小鳩:「Mirage」とか「anemone」みたいな雰囲気を感じられるものがちょっとあってもいいかもと言ってもらったので。ちょっと切なくて、優しさがあるような歌詞にしたいなと思って書き始めましたっぽ。


──聴いていると、メロディと歌詞を同じ人が書いたぐらいの感覚になりました。

小鳩:そう言ってもらえてうれしいですっぽ。小鳩も、書き始めるちょっと前に実際に別れがあったりして思うところもあったので、そういう気持ちも織り込んで、伝わるように書きましたっぽ。BAND-MAIDの歌詞はポジティブに終わることが多いんですけど、ただポジティブに「じゃあ頑張っていこう」みたいな感じにはしたくなくて、余韻を残した感じの歌詞にしたいなって思ったので、「あなたを忘れることはないけど、ずっと願ってるよ」っていう、続いていく感じの明るさ、優しさで終わりたいなと、こういう終わり方にしてますっぽ。


SAIKI:私は曲と歌詞の意図を聞いていたので、それが私の歌声に乗って伝わるといいなという気持ちで歌入れしました。こういう曲ってそのまま優しいだけで歌うと、聴くだけではメッセージ性が足りなく感じるところがあるので、歌い方を工夫しました。だいぶ丁寧にレコーディングしていきましたし、この曲はめっちゃ時間がかかってますね。


──この曲はコーラスも印象的です。これは全員で歌っているんですか?

SAIKI:基本的には小鳩が歌っているんですけど、中盤と後半に出てくるバックグラウンドボイスをみんなで歌いました。


小鳩:こういうコーラスの仕方は、初めてになりますっぽね。


SAIKI:こうやってみようと思ったのも、アコースティック・ライブを経験してからですね。


小鳩:全員でコーラスをするっていうことを、アコースティック・ライブで初めてやって、すごく楽しかったってみんなで言ってたので。


SAIKI:楽器と私の声で5人の音っていうのはずっとやってきたんですけど、5人の声だけで共鳴するのは初めてだったので、とてもいい刺激になりましたし、次にこういう曲ができたらああいうコーラスを入れてもらおうかなとか考えちゃいましたね(笑)。


──AKANEさん、MISAさんはコーラスはいかがでしたか?

AKANE:私は本当に歌が苦手でして(苦笑)。なので、レコーディング当日はボーカルブースにSAIKI先生に一緒に入ってもらって、目の前でディレクションもしてもらったのですごく勉強になりました。練習も自分なりにはしたんですけど、本番になると声が全然出なくて。


SAIKI:当たり前ですけど、マイクへの声の乗せ方があんまりわかってなかったので。「あのね、マイクのここに口をねって」っていうところからだったよね。


AKANE:ボーカルブースに入ること自体、新鮮な気持ちでめちゃくちゃ緊張しました。でも当日は、ボーカリストとしてレコーディングに臨みました!


MISA:私はもともと歌うのは好きなんですけど……(笑)


小鳩:彼女のキャラクター的に、すごく可愛らしい歌声になってしまうというか。私たちはそのかわいい歌声が好きなんですけど。


SAIKI:そう、好きなんですけど、「本当にかわいい~!」って言ってたら、恥ずかしがってあんまり歌ってくれなくなっちゃったんですよ。「そこをなんとか!」っていう感じで(笑)。


MISA:でもアコースティック・ライブをきっかけに、歌うのが楽しくなってきました。


SAIKI:「SION」では下のパートをやってもらったよね? 「それなら得意」っていう顔をしてましたけど。


MISA:高いのが出ちゃうとかわいくなっちゃうから(笑)。ベースに関しては、曲をもらったときにまだ歌詞はなかったんですけど、何か切ないしあったかい気持ちになって、指弾きでそれを表せたらなと思って弾きました。最後のところではちょっと光が差すような感じがしたので、そこでピックに持ち替えて弾いてます。


AKANE:ドラムは、この曲には細かいフレーズを多く入れていて、のっぺりしないように意識してるんですけど、箇所ごとにフックになるような 16分のフレーズを入れることによって、ドラムもリズムで寄り添う感じを意識しました。あとはまったくドラムが入らないところも引き算かなと思っていて。その分動くところは動くっていうメリハリがついた曲にしています。


──1曲目の「Present Perfect」は、どういう意味の言葉でしょうか。

小鳩:英語だと「PP」って呼ばれるらしいんですけど、「現在完了形」を表す言葉です。この曲はリード曲としてBAND-MAIDの名刺代わりになるような曲にしたいという話で制作が進んでいきましたっぽ。今までの私たちも汲み取りつつ、これからの私たちを発信していくっていう部分を伝えていく歌詞にしてほしいとSAIKIから希望をもらっていたので、今までのBAND-MAIDの代表曲や、過ごしてきた曲たちの重要な部分を歌詞にも取り込もうと思って書きましたっぽ。


SAIKI:大きい作品ですね。前作EP『Unleash』と去年出したアルバム『Epic Narratives』 を必ず入れてほしいって伝えました。


小鳩:あとは、「made it」っていう部分も会社名(事務所名「MAIDIT」)だったり、世界征服という部分で、「over the world」は必ず入れたいなと思っていて。それが私たちの物語であり、ご主人様、お嬢様と一緒に進んでいくストーリーだよっていうのを伝えたいと思ったので、サビの頭は「We are the story」にしていますっぽ。


SAIKI:今作で私たちのことを知る方もいると思うので、新しく出会ってくれた人たちが気になってこれまでの作品も聴いてくれたらいいなと、歌詞に入れてもらっています。


KANAMI:リード曲になることを前提に、私の方から2曲デモを出させてもらって、「どっちが今回のリード曲だと思う?」というところから始まったんです。それで「Present Perfect」の方をリード曲にしたいとみんなが意見をくれたので、そこから「今回は少し制作方法を変えよう」という話になり、ワンコーラスのデモからみんなで意見を出して構成を練って、みんなに曲の構成を送ってもらったんです。それを私が汲み取ってまとめて、この構成を作らせてもらいました。新しい名刺代わりということで、面白みのある私たちが出せたらいいんじゃないかなとイメージして作りました。


──曲中のドラムソロ、ベースソロ、ギターソロという流れは、やっぱりライブのイメージがありましたか?

MISA:リード曲ということもあるから、普段のBAND-MAIDっぽさも入れ込みたかったんです。


AKANE:各パートが光るような、何かはほしいっていう意見は出したかもしれない。


小鳩:自分以外のパートについても、みんな書いていたので。みんなの思いを汲み取ってもらった楽曲になってますっぽ。



BAND-MAID / Present Perfect (Official Music Video)


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「私たちは5人でBAND-MAID」なんだっていうことも伝えたかった

──「SUPER SUNSHINE」はどうやってできた曲ですか?

KANAMI:これは2年くらい前にデモを制作していた曲なんです。当時フェスとかライブをいっぱいやってた時期だったのかな? 初見の人も一緒に楽しめたらいいなって考えて作っていて、2年前の構成のままだったんですけど、その頃と今とではだいぶアレンジの仕方、曲の構成然り、楽曲の作り方が違うなと自分では思っていて。2年前の私もいいなと思ったので、残したいところは残しています。ただ、「今のBAND-MAIDのメロとちょっと違うかも」みたいなところもあったので、今のBAND-MAIDならこうだよなっていう風に作り変えました。フェスとか初めてお給仕に来る方でも一緒に楽しんでもらえたらいいなと思っています。


SAIKI:デモが出来上がってから、この1年半ぐらいの間に何回もリアレンジしていってるんですけど、その間もライブを精力的にやっていて。ステージ上から見てると、初めましての人も見えるけど、「あれ? 最近あの人見てないな?」っていうのが結構気になるんですよ。でも私はそこから落ち込むタイプじゃなくて、すごくポジティブな人間なので、「また帰ってこれるような場所にしたいな」っていう気持ちになるんです。じゃあ、“常にあるもの”って何だろうって思ったら、“太陽”だなって。自分たちが誰かの太陽のような存在になれたらいいなっていう気持ちと、ライブをしてるときってメンバーはみんな無敵状態になってるんですよね。そういうときのみんなの輝き方とかも大好きだから、スーパーヒーローに当てはめて、「私たちがいつまでもここにいる、あなたたちのスーパーヒーローだよ」っていう気持ちを込めて書きました。


──〈Even if you fall into darkness.〉(もしあなたが闇に落ちても)というフレーズも、その流れで出てきたわけですね。

SAIKI:そうです。「私たちが救いあげるから、全員、闇落ちしてもいいよ」って感じです。「任せといてよ!」みたいな、結構強気に出た歌詞になりました。


──小鳩さんは結構、叫んでますね。

小鳩:はい、リクエストいただきまして、たくさん叫ばせていただきましたっぽ。またちょっと新しい感じのアドリブパートというか、コーラスの感じにしてほしいってSAIKIから言われまして。いつもメインボーカルを録ってからコーラスを録るんですけど、そのときにSAIKIの歌い方と合わせて、サビの前に来るセリフぐらい長い英文を叫んでますっぽ。レコーディングするときに、いろんなキャラクターを考えながら録っていったので、自分にとっても挑戦になりましたっぽ。テンポも速いので、お給仕だとギターもず~っと忙しいんですけど、コーラスもずっといる曲になっているので、新曲の中だと、お給仕では小鳩はこの曲が一番忙しいんじゃないかなって思いますっぽ(笑)。


──この曲は冒頭からすごくノリが良くて、アレンジする上でも面白かったんじゃないかなと思ったんですけど、MISAさんはいかがでしょうか。

MISA:そうですね、入りからうねってますもんね。サビはベースだけどメロディがあるみたいな感じのメロが降りてきていたんですけど、ソロはすごく“ライブ感丸出し”にしたいと思って、ベースソロの尺の中で和音を入れたり、スラップを入れたり、あの短さの中でいろんなことをして聴きごたえのあるのベースソロにしたくて、ちょっと時間をかけて作りました。(「SUPER SUNSHINE」というテーマについて)私のキャラ的にはちょっと伝わりづらいかもしれないですけど、この曲のようにいつも心からみんなのことが大好きで、みんなを喜ばせたいって思っています。


AKANE:私もそういう気持ちは常に持ってます。笑顔でドラムを叩けるのもライブを楽しめてるのも、みんなのおかげかなと思うので、私たちもパワーを与えられたらいいなと思いながら演奏しています。この曲は、私もライブ感をすごく大切にしながらレコーディングしたんですけど、ドラムのレコーディングは2年前に始まっていて、ちょうど10周年ツアーを回って各地でライブをいっぱいしていた時期なので、その気持ちが音に乗ったなっていうのは実感していて。明るい音で叩けたのはそういうことだったのかなとは思います。あと、SAIKIが書く歌詞はシンプルですごく刺さります。ストレートで真っ直ぐな言葉なので、何か温かくなりますね。


──「Dilly-Dally」は小鳩さんとSAIKIさんの共作詞ですね。

SAIKI:EPのバランスを見て、2人で共作することは最初から決めていました。今までやってないこともやりたくて、「若い方に向けてのメッセージを書いてみちゃう?」っていう感じで(笑)。現代の、SNSを使いこなしてる若者たちに向けての言葉や、昨今は暗い世の中ですけれども、「まあそんな落ち込むなよ」みたいな感じの気持ちも込めていて。雑に言うと “だるポジティブ” みたいな感じの歌詞です。それをタイトルにもかけていて、「Dilly-Dally」っていう言葉自体、ずっとスマホを触ってるような人たちに「いつまでもそういうことしてんじゃないよ!」って投げかけるような単語の使い方もするそうなんですよ。それで、タイトルだけ先に決めちゃったんだよね?


小鳩:「Dilly-Dally」って、以前「モラトリアム」という曲でも使っていたりしたので(“Don’t dilly-dally.”)、そういうところから引っ張ってくるのもいいねって話していて、「じゃあここの部分はDilly-Dallyにしよう」って一番最初に考えて。タイトルを決定した上で、それぞれが歌詞を書いて、いいとこ取りした感じですっぽ。


──曲としては、EPの中でもちょっと変わった感じを出そうという狙いがあったんですか?

KANAMI:そうですね。私は休日に趣味でBAND-MAIDっぽくない曲も作っていたりするので、この曲に関してはそういうオケを作っていたりする中で、オケがバチバチに目立つような楽曲の中に、バンドサウンドをガッと入れたら面白いなっていう発想で作ってます。作曲においてはいつも、お給仕でやってる私たちをイメージして作っているので、きっとリフレインフレーズが来たら盛り上がるんじゃないかな、口ずさみたくなるんじゃないかなってイメージして、リフレイン系を多めにして作っています。2分半っていう短い楽曲なんですけど、本当はもっと短くしたかったんですよ。でもSAIKIが「ちょっと短くすぎる」っていうので、2分半に伸びた楽曲です。短い楽曲にしてるっていうのは、お給仕で完成させたいみたいな気持ちがあって。なのでこれが完成形だとは私は思ってなくて。お給仕で完成のものを今後見せられるんじゃないかなって思ってます。


──この曲って、冒頭の声はサンプリングなんですか?

小鳩:いや、録ってますっぽ。


SAIKI:録って、それを鬼加工してます(笑)。


小鳩:もとは2人の声ではあるんですけども、それをわざと人間味がない感じに加工していますっぽ。


SAIKI:歌い方も、普段やったことがない歌い方にして、パツパツ切れるような、AIのイメージで歌いました。


──〈ヤバくてダルくて〉ってひっくり返るような感じで歌うところは、すごく人間味ある気がします。

SAIKI:そうですね。サビが小鳩の歌詞で、それ以外は私の歌詞を使ったんですけど、〈ヤバくてダルくて〉っていうのは、昔の若い頃の自分たち…一応若い頃あったんで。


小鳩:やめてください(笑)。今も若いっぽ?


SAIKI:もっと若い頃のとかを思い出したりして、こんなに世代が変わってるのに〈ヤバくてダルくて〉とか、そういう言葉だけ全然変わってないなっていうので、〈お忙しいこと〉までを含めて、ちょっと馬鹿にした感じの歌い方にしました。


AKANE:演奏は全体的に結構ベースが変態チックな感じなので(笑)、ドラムで土台を作るというのは意識していて、ベースが暴れてる分、支えたいところはフロアタムとか低めのピッチが聴こえるフレーズだったりを意識しながらレコーディングしました。


MISA:KANAMIからは、リフレイン、ループしてる感じのベースラインで作ってほしいとオーダーがあって、「あとは自由に遊んでいいよ」って言われたので、好き放題やらせていただきました(笑)。ループもあったのでソロはちょっと無機質な感じにしたかったんですけど、無機質なのって逆に難しいんですよ。それで、ベースを弾いたセッションデータをパソコンで作って、ピックで一小節弾いて、その後スラップになってみたいに一小節ずつ並び替えたり切り貼りして完成させました。


──そういう作り方をしてるんですね! でもお給仕で再現するのが大変そうですね。

MISA:そうなんですよ。難しいんです(笑)。


SAIKI:今リハでヒーヒー言ってるもんね?「これ本当に3分ないの?」って。速いけど長く感じる。


KANAMI:カオスな楽曲になってしまって、レコーディングのときにグルーヴ感を合わせるのが難しくて。今お給仕のために練習してるんですけど、分析しながら練習しています。


──KANAMIさんには作曲、アレンジについて訊く比重が多くなってしまうのですが、ギタリストとしては、「Dilly-Dally」はどんなことを考えてプレイしてますか?

KANAMI:カオスな楽曲になったので、ギターもカオス感を出したいなって思っていて。 私は結構開放弦を使ったソロを弾くことが多くて、この曲もそうなんですけど、最後はあんまりいつも使わないようなスライドを含めたギターソロにしています。ギターソロの最後までカオス感を出してボーカルにパスしたい、みたいなイメージで作りました。


──KANAMIさんのギターは半音で上下するフレーズが特徴的な気がします。それがカオス感につながってる気がしましたけど、いかがですか?

KANAMI:たぶん、それは手癖というか脳内癖ですかね。私はもともとピアノを20年ぐらいやってきたんですけど、ピアノって間に半音を挟むことがたくさんあるので、それの延長なのかなって思います。


──なるほど、ありがとうございます。最後はインスト曲ですが、「Lock and Load」というのは「準備完了」みたいな意味ですか?

小鳩:そうですっぽね、装填完了、準備万端みたいな意味ですっぽ。このEPで初めて私たちのことを知ってくださる方も多いですし、3曲のアニメタイアップ曲が入ったことによって、知ってくれた人たちが初めて手に取るEPだったりっていう部分で、はじめましての人も楽しんでいただいて、この「Lock and Load」を聴いてもらったら、今の私たちの良さも詰め込まれているし、「Ready to Rock」から知ってくださった方には似た雰囲気も感じてもらえるかなって思いますっぽ。「ここからまたさらにやっていくぞ」「この先も続いていくぞ」っていう気持ちを感じてもらえたらいいなと思ってはいますっぽ


──EP のタイトル「SCOOOOOP」にはどんな意味が込められていますか?

SAIKI:私たちが思う、BAND-MAIDの王道はこれだっていう曲をEPに詰め込みたかったんですけど、「SCOOOOOP」というタイトルにしたのは、今「号外」を出す意味を伝えたくて。昨年、『Epic Narratives』という大作を出して満足してたはずだったんですけど、今年タイアップをいただいて、ライブでの新しい出会いをステージ上から見ていて、そういう方たちもこれからBAND-MAIDを好きになってくれることに期待するのと、今まで好きでいてくれてる方にも、「今の私たちはこういう気持ちだよ」っていうのを伝えたくなったから作ったEPなので、「号外」という意味の「スクープ」という言葉を使っています。それと、5人の結束力と、メンバーみんながそれぞれをリスペクトしていて、BAND-MAIDの音を紡いでいるっていうことを伝えたかったので、Oを5個にして、「私たちは5人でBAND-MAID」なんだっていうことも伝えたかったんです。


──アートワークはどんなコンセプトなんですか?

SAIKI:今年、ビジュアルやアートワークに新聞を取り入れていたので、ジャケットの写真も号外の新聞をばら撒いてる感じにしました。飛行船から撒きたかったっていうのも、私たちを知らない人や不特定多数の方に伝わったらいいなという思いも込めています。


──今作を携えて、【BAND-MAID TOUR 2025】FINAL ROUNDが10月24日の大阪なんば Hatch、11月1日の川崎クラブチッタ、12月7日の東京ガーデンシアターで行われます。きっと、その先のこと、2026年に向けて動き出していますよね?

SAIKI:国内は今よりも大きなステージでライブがしたいですし、来年こそは海外も行きたいですね!


小鳩:海を越えて、お給仕しに行きたいですっぽね。海外のご主人様、お嬢様から「何で来てくれないの?」っていう声もたくさんいただいていて、私たちも行きたかったんですけど今年は日本のお給仕がたくさんありましたからっぽね。私たちの気持ちは、「海外でのお給仕に行きたいよ」というのも、この「SCOOOOOP」を聴いていただいたら伝わると思いますし、来年は行きたいですっぽ。まだ私たちもわかりませんが、みなさんのご期待に応えに行きたいと思っていますっぽ。楽しみにしておいてね! っていう気持ちですっぽ。


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BAND-MAID「start over」

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