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<ライブレポート>リアルピース『ピース of ふぁんたじぃ♡』、こどもから大人まで虜にする5人は2026年さらなる飛躍へ



コラム

Text: 本間夕子

 これが、ゼロからすべてを自分たちの手で作り上げてきた男たちの底力だ。5人組アイドルグループ・リアルピースが9月30日、有明の東京ガーデンシアターにて開催した【リアルピース 3rdワンマンライブ『ピース of ふぁんたじぃ♡』】。4階建て構造の会場には、色とりどりのペンライトと満場の笑顔がアリーナ席から最上階最後列までびっしりで、見ているこちらも胸の高鳴りが抑えられない。YouTube、TikTokを活動の軸足として、前者のチャンネル登録者数は135万人突破、後者のフォロワーは235万人超え(どちらも2025年9月現在)と、今やティーンを中心に絶大な支持を受けるリアルピースだが、彼らの目の前に広がるこの景色に辿り着くための努力はけっして一朝一夕ではなかっただろう。

 リアルピースは発起人である、かずぅが2020年にたった一人で立ち上げたプロジェクトであり、知人の伝手や助けなど、自分で開拓しながら現在のメンバー一人ひとりとの出会いを経て生まれたグループだ。毎週コンスタントにアップされる動画の企画・撮影・編集のほぼすべてをメンバーが手がけ、ライブの楽曲もステージセットも自らでプロデュースしているという。彼らがワンマンライブを行うのはこれで3回目となるが、初回の500人、2回目の2,000人、そして今回の6,000人という目を見張るほどの成長ぶりは、コロナ禍の逆風に煽られながらもSNSとリアルな現場を融合させながら精力的に活動を続けてきた5人の不屈の精神と、飾らず、おバカなことにも全力で挑む、がむしゃらなまでの本気が人々の心を掴んだからに他ならない。

 ローカル特撮ヒーローをしていた「かずぅ」、日本体育大学を卒業後、保健体育の教師という異色の経歴を持ちながら芸能の道に進んだ「こーた」、【第18回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト】の〈審査員特別賞〉受賞歴を有する「かちょー」、舞台俳優としても活躍し、2.5次元俳優だった「こぺ」、音楽大学出身で過去に多数のコンクールを受賞している「なお」と、出自はさまざまながら「日本一を獲る」という志は一つ。この日のライブは、そうした5人の大志をさらに前進させる重要な一歩となったに違いない。

 大勢の親子連れが詰めかけて、今か今かと開演を待ち侘びる場内。予定の時刻を回ると同時に客電が落ちてステージを覆っていた幕が上がると、会場は盛大な歓声に包まれるが、壇上に彼らの姿はない。「おや?」と思ったその直後、灯った巨大なスクリーンにそれぞれメンバーカラーのジャージを着たいつもの5人が映し出され、それぞれが子供の頃に抱いていた夢の化身にして“後悔のピース”である“もう一人の自分たち”と対峙するストーリーからライブはスタートした。ちなみにリアルピースのワンマンライブでは毎回主役がおり、今回はこぺ。彼がなりたかったという獣医に扮した“もう一人のこぺ”が「僕は君の可能性、君が心から求めている、君がたどり着く未来」と本人に呪文のように語りかけ、なんとライブは“もう一人のリアルピース”に取って代わってしまうという展開だ。

 ゆえに最初にステージに登場したのは“後悔のピース”の5人だが、本人たちであることには変わりなく、客席の子供たちは大熱狂。親御さんも大人のファンも同様で、「リアピ!リアピ!」の大合唱がたちまち会場内に充満する。盛大な声援を受けたメンバーは水を得た魚のごとく、デビュー曲「リアルピース」をオープナーに、高速ダンスビートが炸裂する「ちょんまげベイビー」、お経テイストのラップチューン「解脱」とアッパーに畳み掛け、さらに和テイストとロックサウンドの絶妙な融合で聴かせる「五柱」では激しいダンスの合間に、かずぅ、こーた、かちょーが次々に華麗なバック転をキメては場内をやんやの喝采で沸かせた。個性を活かした歌唱といい、ビシビシ決まるダンスといい、切れ味鋭いバック転といい、彼らの凄みはその一挙手一投足にまるで妥協がないところ。クオリティの高い動画を制作し続けながら、これだけのパフォーマンスを会得するためにどれだけの研鑽を重ねていることか。

 前半戦のハイライトをリアルピースの代表曲「プリティーボーイ」が飾ったが、それ以上に客席を驚喜させたのは新曲「プリティーガール」だろう。「プリティーボーイ? そんなの時代遅れ。今の時代はこれよ!」と、こぺがきっぱり言い放って披露されたこの曲の中毒性の高いキャッチーなメロディーとリズムにオーディエンスも揺れに揺れる。いまだに脳内では〈♪プ・プ・プリティーガール〉のリフレインが再生されて止まらない。

 幕間には再び映像が流れてストーリーの続きが紡がれたが、こぺの活躍によって、ライブは“現在のリアルピース”のターンに。前半のフォーマルでドレッシーな衣装から、獣耳(けもみみ)付きのカジュアルプリティーな衣装へとガラリと佇まいを変えたメンバーが各階のバルコニーに登場(かずぅはステージ)。満を持して披露された自己紹介ソング「Ø」の盛り上がりは、この日最高をマークした。四つ打ちのリズムに乗って観客がメンバーの名前を全力でコールするこのうえない一体感、嬉々とした子供たちの表情になぜだか涙腺が緩んで仕方ない。

 その後も、こぺがステージに立ち、4人が客席に乱入して熱狂に拍車をかけた「ラッタ王国」、オルゴールのちょっとセンチメンタルで温かな音色がやさしく客席を包んだ「物語」など、緩急に富んだセットリストで今届けるべきメッセージを6,000人、一人ひとりに手渡していく彼ら。それは叶わなかった夢も後悔も全部ひっくるめて自分自身、だから胸を張って進んでいけばいいんだと、聴く者観る者全員に贈られた清々しいまでの全肯定だった。

「この5年で僕は大なり小なり変わってきたけど、それは歩みの中での自然な変化。でも、ここからは自分で意識して“なりたい自分”に向かっていける、進化したニューかちょーとして生きていきます」(かちょー)

「ほとんど諦めてきた人生で、一つだけ諦めてないのが今この活動です。アイドルという肩書きにとらわれず、自分のやりたいように生き、自分のやりたいことでみんなに笑顔になってもらえる日本一になりたいです」(こーた)

「ゼロから始まってもこれだけ行けるんだって自分たちの身をもって証明できれば、子供たちも将来いろんな夢を追いかけられるはず。必ず日本一を獲るので、この景色を楽しんでください」(かずぅ)

「僕がここまで来られたのもメンバーと“りあぴぞく”(※ファンの呼称)がいてくれたから。このメンバーと“りあぴぞく”なら、一歩一歩がめちゃめちゃ大型の一歩一歩になっていくと今日確信したので、これからも僕たちと一緒に歩んでいってください」(なお)

「このライブを終えて、改めてリアルピースのこぺとして、これから自信を持って進んでいきたいと思えました。自分のパフォーマンスがうまくいかなかったときも、心が折れてしまった日も、続けてこられたのは応援してくれたみなさんのおかげ。リアルピースとして、みなさんが前向きになれるような活動していきたいと思います。今日はありがとうございました!」(こぺ)

 アンコールでは5人がそれぞれにファンへの感謝とこれからの約束を語りかける一幕もあり、オーラスは「特別な言葉」で大団円。「元気の押し売りアイドル」をキャッチフレーズにする彼らだが、彼らが全身全霊を尽くして私たちに真に与えてくれるのは元気の先に開かれている未来、けっして潰えることのない希望ではないだろうかと「特別な言葉」の歌詞を噛み締めながらつくづくと思った。

 この日、重大告知として、来年春には第二弾となる写真集がリリースされること、自身のアパレルブランドを設立すること、さらに今も毎月開催している定期ライブ【リアフェス】を2026年1月から毎月1か所、全国6都市9か所のZeppにて行うことが発表された。全公演を完走した際には「Zeppすべてを網羅した初の男性アーティスト(グループ、個人含む)」になるという。そして、2026年11月3日には千葉・La La arena TOKYO-BAYで彼ら史上最大規模となる4回目のワンマンライブ開催も決定。ますます勢いを加速するリアルピースからもはや目が離せない。

 いつどこで出会ってもリアルピースの公式YouTube動画を見ればイチから全部がわかるように漫画みたいに作ってある、だからどこから応援してくれても大丈夫と、かずぅは言う。彼らのことが気になり始めたあなた、このタイミングにぜひ彼らの本気に触れてみてほしい。


【リアルピース 3rdワンマンライブ『ピース of ふぁんたじぃ♡』】セットリスト

1. ちょんまげベイビー
2. 解脱
3. 五柱
4. プリティーボーイ
5. ぷわぷわユニバース☆
6. チュー・シー・パイ
7. RUM-PUM
8. プリティーガール
9. Ø
10. ラッタ王国
11. 物語
12. モンブランヘッド
13. プレパラートハート
14. トレジャー
15. 黎明
〈アンコール〉
1. ∞~むげん~
2. ばぐばぐぱーてぃー
3. 特別な言葉

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