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ヴィレジャーズ 『アウェイランド』 インタビュー

ヴィレジャーズ『アウェイランド』 インタビュー

 その感受性豊かで真実味溢れる詞、卓越したソングライティング・センス、温かみのある情緒的なサウンドでデビュー作『ビカミング・ア・ジャッカル』が、英国で最も栄誉ある音楽賞のマーキュリー・プライズにノミネート、過去にポール・マッカートニー、デヴィッド・ボウイ、レディオヘッドなどが受賞してきたその年のもっとも優れたシンガーソングライターに贈られる英国のアイヴァー・ノヴェロ賞を受賞し話題となったアイルランド出身のシンガーソングライター、コナー・J.オブライアンによるヴィレジャーズ。

 前作とは打って変ってビートやエレクトロニックスの影響を取り入れ完成させた意欲作『アウェイランド』を3月6日に日本でもリリースする彼が、2月2日~3日にかけて行われた【Hostess Club Weekender】にて初来日。ライブ翌日にピアノが常設されたアット・ホームな空間で、前作からの心境の変化、アーティストとしての成長、さらにはシャルロット・ゲンズブールとのコラボレーションなどについて訊いた。

昨日のライブは僕たちにとって興味深い経験だった

「Becoming A Jackal」MV
▲「Becoming A Jackal」MV

コナー・J.オブライアン:僕の部屋へようこそ!

??取材の合間にずっとピアノを弾いてましたが、習っていたの?

コナー:うん。幼い頃に、4~5年間習っていた。でも下手でしょ?

??そんなことないですよ。

コナー:ハハハ。ありがとう。

??さて待望の初来日となりますが、日本の印象を教えてください。昨日のライブも素晴らしかったですが、バンドとしての手ごたえは?

コナー:最高だね!実はライブの3日前から来てて、色々な場所へ行ったよ。ライブも最高だった!他の言葉が思い浮かばなくてゴメンね。でも本当に素晴らしかった。

??いきなり「Becoming A Jackal」でライブをスタートしたのには驚きました。

コナー:あの曲を演奏した後に、みんな帰らないか心配だったけど(笑)。今回は新作『アウェイランド』の曲を中心に披露したかったから、あえて最初に演奏したんだ。

??ヴィレジャーズ以前にもバンドで活動をしていて、前作でも精力的にツアーをこなしてきたのもあると思いますが、想像していたよりパフォーマンスが安定していて、力強くて…。

コナー:そう言ってくれると嬉しいよ!

??内向的な歌詞だったり、今話してみた感じもそうですが、かなりシャイなのかなと勝手に思っていたので…。悪い意味ではなくて。

コナー:(笑)。パフォーマンスについて言うと僕はかなりの気分屋だから、その日の気分に左右されることが多いな。それに観客からのレスポンスも重要だね。ありきたりの表現かもしれないけれど、ライブというのはオーディエンスとアーティストの"生身の化学反応"によって成立するものだから。その部分が欠けると毎晩同じことの繰り返しで、まるで演劇のようになってしまう。自分が俳優で、脚本どおりに内容を観客へ伝える。それが音楽となると、個々の曲には一定のエネルギーがあり、それをどのように利用して会場を包むかは自由だ。同じ曲でも、その日の会場や観客によって前日とは異なる雰囲気になることはよくあって、その微妙な変化が一つ一つのパフォーマンスをユニークにしてくれる。

昨日のライブでは、大きな会場で沢山の静かな日本人の観客を前に演奏した。興味深い経験だったね。いつもよりダイレクトに曲を伝えないといけないと感じたから、大げさに動いたり、演奏したのは確かだね。やはり言葉が完璧に通じないと、そういう部分で補っていくことも大切だと思うから。逆に言葉によって音楽が毒されてしまう場合もある。そういうことを改めて気づかさせてくれたから、個人的に貴重で面白いパフォーマンスだった。

「Becoming A Jackal」MV
▲「Ship of Promises」
Live At The Button Factory

??日本語も精力的に話してましたね。日本の観客は、あのような演出をしてくれると盛り上がる傾向があるので正しい見解だったと思います。

コナー:いいこと教えてもらったよ。次回来る時までにはもっと勉強しなきゃ。ミンナゲンキ?ゲンキデスカ?(笑)

??ラストは1stアルバムから「Ship Of Promises」。

コナー:うん。あの曲はいつもライブの終りで演奏しているんだ。にぎやかでフィナーレっぽいから。

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    他人の手を借りるのは難しい決断だった
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ずっと一人で音楽を作ってきたから、
他人の手を借りるのは難しい決断だった

「{Awayland} album trailer」
▲{Awayland} アルバム・トレイラー

??昨日はバンド編成でしたが、活動開始時はソロでのパフォーマンスが比較的多かったですよね。ソロ対バンドでの演奏では、心持ちに変化はありますか?

コナー:もちろん。今はバンドとして演奏する方が好きだね。演奏力と共にバンドとしての結束力も増してきていて、いいフィーリングが保てている。一人でステージに立つと寂しいし、ステージ上のエネルギーも変わってくる。それに加えバンドで演奏するとより"曲"が主体になると感じるね。様々な音が加わることによって、曲がさらに叙情的で豊かになる。今は音楽の肉体的な部分を探究しているから、その部分でもバンドで演奏する方が有意義だ。昨日のライブでは、最初の2曲ではみんな棒立ちだったけど、後半になったら徐々に体を動かして、グルーヴしてくれた。これが音楽の力で、ライブの醍醐味なんだということを再確認したね。

??ヴィレジャーズとしてのデビュー作『ビカミング・ア・ジャッカル』は、いわゆるソロ・アーティストがリリースした作品という音作りで、ライブ時にはバンドで演奏する為にアレンジしたものでしたが、最新作『アウェイランド』は、バンドとして演奏される為に書かれた作品なんだと感じました。

コナー:『アウェイランド』については、前作のツアー中にバンドとして話し合っていたことなので、レコーディングも全員で行いたいと決めていた。それに僕自身も前作とは異なる制作過程を取りたいと思っていたので、音作りも含め、きちんと曲を書かないといけなかった。今回は詞を書く前に、シンセサイザー、ドラム・マシーンなど様々な楽器を駆使して、ビートやグルーヴなど基礎となる音の実験を繰り返した。それを元にして曲を形にしていく作業を開始した時に、初めてアコースティック・ギターをひっぱり出してきて詞を書いたんだ。

ヴィレジャーズとしてずっと一人で音楽を作ってきたから、他人の手を借りるのは難しい決断だったね。バンドとスタジオに入る前に、自分で作った全てのデモをメンバーに送ったけれど、急に不安になって「やっぱり僕一人でレコーディングしたい!」って、その後にすぐまたメールをしてしまったし(苦笑)。誰も返事をくれなかったから、結局は全員でスタジオに入ったけど…。結果的には大正解だったと思っている。僕のみで制作したものより格段といい作品に仕上がったし、演奏面でも彼らは僕より長けている。本来だったら自分で全て演奏する部分も、他のメンバーに任せることで余裕が生まれ、より細部にまで目を向けることが出来た。

??具体的にバンド・メンバーは、どの程度制作過程に参加したのですか?

コナー:キーボードのコーマック・カランは、ストリングスのアレンジを全て手掛けていて…もちろん一緒にやった部分もあるけれど、多分1か月ぐらいを費やしたんじゃないかな。色々なアイディアを共有したギターのトミー・マクローリンは、アルバムの共同プロデューサーでもある。ダニーとジェイムスは、僕が作ったグルーヴやビートをより面白く複雑なものに仕上げた。みんな積極的に参加してくれたよ。でも僕のアイディアが一番大きく反映されてる(笑)。

??ヴィレジャーズはコナーが中心となって今まで活動してきましたが、今回の制作過程を経て以前所属していたバンドのような活動形態に近づいたと感じますか?

コナー:う~ん。もちろん共同制作することには利点が色々あるけれど、まだすべてを手放したくないという気持ちがある。やはり僕一人が曲を書く方が有効だと感じてて、それがある程度のレベルに達したらバンドにゆだねる方が気が楽だね。

??やはりヴィレジャーズのマスターマインドは、コナーなんですね。

コナー:アハハ。マスターマインドっていうとなんだか悪役ぽくもあって、クールだね。特に歌詞に関しては、とてもパーソナルなので、その部分を共有することは今後も難しいかな。

ヴィレジャーズ写真


「Nothing Arrived」MV
▲「Nothing Arrived」MV

??前のバンドが上手くいかなかったのはそのせいでもある?

コナー:いや、あのバンドの場合は、もうあれ以上出来ることが無かったから解散してしまったんだ。一番良かったパフォーマンスは大学のパーティーで演奏したもので、きちんとTVで演奏したり、雑誌に取り上げられるようなレベルではなかった。もちろん遊びでやっていたわけではないけれど、ラジオでかかるような曲ではなかったし…まあ、アイルランドでは多少かかっていたけれど(笑)。演奏がタイトというよりかは、その都度のエネルギーによって流動的に変化していく感じで、会場、といっても小さな場所ばかりだったけれど…にあるソファーやテーブルに飛び乗ったり、楽器をメンバー内で変えながら自由に演奏していた。まだ若かったのもあるし、僕にもクレイジーな面があるんだよ!短いスパンだったけれど、あのバンドの美学は“即時性”があったことだね。バンド名も、そのエッセンスを捉えた"The Immediate"だったし。

??デビュー作というのは、場合によっては何年もかけて作られ、自分の才能を世に披露する渾身の1枚ですが、その真価が問われるのは次のステップである2ndアルバムの内容で、その出来によって明暗が分かれることが大半だと思います。これらを踏まえて、今回のアルバム制作において難しかった部分は?

コナー:僕にとってデビュー作の制作もかなりハードではあった。前作のツアー中に曲づくりは既に始めていて、ツアーが終了して再び曲を書き始めようと思ったら、頭が白紙になって何も浮かばなかった。さすがにパニックに陥ったよね。でもこの状況をどの様に抜け出そうか考えた時に思い浮かんだのが、さっき話したサウンド面においての実験を行うことだった。新たに機材を買って、断片的なビートやサウンドスケープを作り、作業にのめり込んでいくことによって徐々にアイディアがまた湧いてきた。

??さらにデビュー作はマーキュリー・プライズにノミネートされ、アイヴァー・ノヴェロ賞を受賞したこともあり、いい作品を作らないといけないというプレッシャーも潜在的にあったのかもしれないですね。

コナー:うん。でも重要なことは、どのような形でも“作る”という行為を継続するということ。自分を忙しくすることで音楽に関係ない事は考えなくなって、どのようにしたらよりいい作品になるのか、的確な判断そして自己批評が自然と出来るようになる。自分が無敵だと思える域に到達すると、それはどのレビューや批評よりもパワフルだ。だから何においても努力を惜しまないことは大切だね。

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    新たにアルバムを作る必要性はない
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アーティストとしての成長や変化をみせられないのであれば、
根本的に新たにアルバムを作る必要性はない

「The Waves」MV
▲「The Waves」MV

??全体的なトーンに関していうと、前作が悲観的で、それを美化するものだったとしたら、今作は全く正反対で、快活で色鮮やかな作品に仕上がっていますよね。この心境の変化はどのようにして生まれたのですか?

コナー:単純に大人になったからかな(笑)。成長するとともに音楽には偉大な力があり、それをみんなで共有できるポジティヴな体験に変えていくことがいかに大切なことか気付いた。このアルバムでは、その論理的思考を自分なりに探究したかったんだ。様々な経験を積む事によって、前作でロマンチックで甘美だと感じて歌っていたことが実はそうでもなくて、悲しみや憂うつな出来事を美化するのが、いかに子供ぽっかったかが理解できた。

??それは詞にも反映されていて、前作が内向的で1人称で綴られているものだったのに比べ、今作では人間観察をすることによる発見や他人の目を通した見解についてのものが多いと感じました。

コナー:確かにそうだね。さらに今作には、ユーモアや悲喜劇の要素も加わってる。たとえば、歯ブラシを加えて裸でトイレに座っている男の曲とか(笑)。あの詞は、自分で書きながら笑ってしまった。さて、これから彼はどうなるんだろうって。間接的な詞というのは単なる文学的技巧であり、人には色々な面があるので、少なからずとも書き手の個性は投影されている。前作に比べて直接的でパーソナルなものは少なくなったかもしれないけれど、詞の中の登場人物を通して自分のことをより深く理解できたと感じる。曲を書いたことによって学んだものがないと、最初から曲を書く必要も理由もないよね。

??サウンド面においては、先ほど詞よりビートやエレクトロニクスを基盤として制作を開始したと言っていましたが、その部分は今作の特質的な部分であるとともに作品の骨組みとして重要な役割を果たしているような気がします。

コナー:変な感じだよね。その部分を作品の中核として制作を始めた時には、エレクトロなアルバムになると思っていたから。詞を書くかどうかもわからなかった。徐々にその要素は薄れていったけれど、その部分がなかったらこのアルバムは成立しなかったし、ましては完成しなかったと感じるね。

??今の話を踏まえて、今作の詞とサウンドのバランスを比較すると、個々の音、その質感や広がりの組み合わせによって織りなされる音世界を主に探究したと感じるのですが、コナー的には?

コナー:同感だよ。今作では、詞がサウンドを支えているというのは明らかだね。ソングライティングの面でも、今作の方が抽象的で気に入ってる。前作とまったく違うことがしたかったというのも大きいね。アーティストとしての成長や変化をみせられないのであれば、根本的に新たにアルバムを作る必要性はないから。

??特にそれが1stアルバムの延長線のような作品だったら。

コナー:もちろん中には同じような作品をつくるアーティストはたくさんいて、その方が売れる場合もある。

??マムフォード&サンズみたいに…。

コナー:(小さい声で)うん。彼らは日本でも人気があるの?

??本国やアメリカでの人気には全然追いついていないですね。元々カントリーやフォーク・ミュージックを軸にしたサウンド、さらに海外のシンガーソングライターは、日本で爆発的に売れることは少ないですから。

コナー:ビートを重視した大衆的なポップ・ミュージックだったり、分かりやすいサウンドに特化したバンドの方が売れてる?

??どちらかと言うとそうですね。特にシンガーソングライターだと、歌詞がそのアーティストの大きな魅力である場合が大半なので、やはりサウンド面においてキャッチーなものの方が取っ付きやすいのかなとは思います。

コナー:それはとても興味深いね。今日は色々学べて面白いな。

ヴィレジャーズ写真


「The Bell」MV
▲「The Bell」MV

??タイトル・トラック「アウェイランド」が、アルバム唯一のインストゥルメンタル・トラックというのも興味深かったです。あの2分半ぐらいの曲に作品の総体的なフィーリングや探究したテーマが凝縮されているようで…個人的に惹かれるものがありました。

コナー:クール!僕も同感だよ。実はあの曲は、今作で僕の一番好きな曲でもあるんだ。アルバムをすべてあの曲みたいにすれば良かったね(笑)。歌詞を付けようとは思っていて、随分長い間悪戦苦闘したけれど合うものが何も浮かばなくて。もうボツにしちゃおうかなとまで思った。でも気に入っていたし、あの曲だけは憑りつかれるように何度も演奏した。サウンドチェックをしてる時だったり、時と場所をかまわずにね。あのコード進行には僕の心を動かす説明不能な美しさがあるんだ。だからコーマックにストリングスのアレンジメントを考えてもらってアルバムに入れることにした。作品のテーマとなっている世界に対する驚きを子供らしい感性で表現していて、“偏見のなさ”を音楽のみで完璧に体現している。全てに対する何にも毒されていない、穢れのない無垢な見解…。

??『アウェイランド』というアルバム・タイトルは逐語的ですが、その言葉のまわりに{}をつけた理由は?

コナー:最初は見栄えしていいかなと思っていた。"アウェイランド"というと一見外観的に聞こえて、詞でも場所や情景などを比喩として使っているけれど、この作品は僕の脳内で起こった思索的な旅についてのものなんだ。タイトルにカッコを付けることでそれを捉えたという意味合いもあるね。

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    アイルランドに帰ると落ち着くのは確かだね
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長いツアーが終わって、
アイルランドに帰ると落ち着くのは確かだね

「Memoir」
▲「Memoir」/ Charlotte Gainsbourg

??以前レコード・ストア・デイの際にシャルロット・ゲンズブールとスプリット7インチをリリースしていましたが、これはどのような経緯で?

コナー:フランスの雑誌『Les Inrockuptibles』主催のパリで行われた僕のライブに、お互いのレーベルのボスが居合わせて、彼女のレーベルのボスに「シャルロットの為に曲を書いてくれないか?」と頼まれたんだ。『5:55』もベックがプロデュースした彼女の最新作『IRM』も持っていて、音楽性はもちろん、彼女の歌声には惹かれるものがあったから、イエスと返事したよ。

??彼女の歌声は、儚さの中にも説得力があって、とても美しくて…希少な存在だと思います。

コナー:そうそう。彼女の母親のジェーン・バーキンも同じだよね。

でもその後すぐにツアーが始まってしまったから、もしかしたら曲を書く時間が無いかも…焦ったけれど、最初のヴァースだけ書いた曲があることを思い出したんだ。タイトルもフランス語っぽいものだったから、ピッタリだと思って。

??「Memoir」。

コナー:うん。歌詞も女性が歌ってくれた方が、しっくりくるんじゃないかと感じていたから残りの詞は女性の観点から書いた。あれはとても興味深いプロジェクトだったね。曲を書きあげたのは、たしかミルウォーキーのホテルだったかな。その直後にカナダのトロントでデモをレコーディングして、彼女へメールしたら、1日も経たないうちに「凄く気に入ったわ!」という返事がきた。そしてツアーが終わった1週間後にパリに渡って、一緒にレコーディングしたんだ。2人でフランスのTV番組にも出演して曲を披露したよ。とてもクールだった。

??アートワークも自ら担当したんですよね。2人の首から根っこが生えている…。

コナー:ちょっと気持ち悪いから、どうかな…と思っていたけど、メールしたら気に入ってくれたみたいだった(笑)。

ヴィレジャーズ写真


「Joga」/ Bjork MV
▲「Joga」/ Bjork MV

??そして『アウェイランド』のアートワークも自ら担当していますよね。

コナー:そう、あれは僕が撮った甥の写真で、ちょっとサイケデリックな感じに仕上がっているでしょ(笑)。カラフルで写真が透けているのも、さっき話した子供の視点からみた世界というテーマに合っている。世界というよりは、宇宙と言った方が正しいかな。アートワークもそうだけど、アルバムを制作している時に観たアメリカの天文学者のカール・セーガンが1980年代に出演していたTV番組には大きなインスピレーションを受けている。その中で彼は宇宙の発端や現在までの人間の進化について話しているんだけど、色々考えさせられるものがあったんだ。

??ミシェル・ゴンドリーが監督したビョークの「Joga」のミュージック・ビデオは見たことがありますか?特に中面のアートワークは、あの雰囲気にとても似ていると思って。

コナー:あ~、確かに。言われてみればそうだね!凄くクールな比較だ、嬉しいよ。

??彼女はアイスランド出身で、作品には国柄やその情景が投影されていると感じるのですが、ヴィレジャーズの作品には、いわゆる"アイルランド的"な要素があると思いますか?

コナー:難しい質問だね。生まれた頃からずっと住んでいるので、具体的に何かとか聞かれるとわからないな…。僕は、ダブリンの郊外でアメリカやイギリスの音楽を聴いて育ったから、いわゆる伝統的なアイルランドのフォーク・ミュージックとかパブで演奏するという文化には影響を受けていない。音楽以外の面でもアイルランド特有の文化というのはもちろん存在する。アイルランドにおけるローマ・カトリック教会の権力は偉大なものだった。それは僕の両親にも大きな影響を与え、僕の世代にも多少は受け継がれているから、少なからず歌詞に反映されているね。後は海辺で育ったから、海や航海に出るという内容のものは多いかな。アイスランドや日本のようにアイルランドも島国だから1~2時間運転すると、どこにいても大体海岸に辿り着くことが出来るんだ。

??では、アイルランドの音楽シーンについて教えてください。イギリス本土と比べると小規模ですよね。

コナー:うん。ジャンルを問わず、大体みんな顔見知りで、お互いの音楽に対して協力的だね。グリッチーなエレクトロ・ミュージックをやっていても、パブで演奏しているようなシンガーソングライターと友人だったりする。

??ヴィレジャーズのようなユニークな音楽性を持つバンドが生まれるのは、その影響でもあるのかもしれないですね。

コナー:そうなのかもしれない。誰かの真似をしていたらすぐにばれちゃうから(笑)。でも長いツアーが終わって、アイルランドに帰ると落ち着くのは確かだね。全てから離れた小さな島で、時の流れ方も独特だから。

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