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<インタビュー>セブンス・ベガ「今の時代にないなら、つくっちゃえ」結成2年で大注目のシティロックバンド、その物語と新たな夏の代表曲「君とParadiso」を語る



<インタビュー>セブンス・ベガ「今の時代にないなら、つくっちゃえ」結成2年で大注目のシティロックバンド、その物語と新たな夏の代表曲「君とParadiso」を語る

 ほぼ楽器初心者たちで奇跡的に結成されたガールズバンドでありながら、わずか2年で演奏技術もアンサンブルも磨き上げ、早くもブレイクの予感を漂わせているニューカマーがいる。その名もセブンス・ベガ。シブヤカンナ(Gt.Vo)、ソラ(Ba.)、ハイブリッドマイマイ(Dr.)、サコティッシュフォールド(Gt.)による東京発4ピースシティロックバンドだ。

 バンド結成後初となる今回のインタビューでは、杉山清貴&オメガトライブを敬愛するシブヤカンナが作曲し、メンバー4人のアレンジによって今の時代のサウンドへと昇華し、新たな夏のスタンダードソングを目指したニューシングル『君とParadiso』についてはもちろん、セブンス・ベガの結成から今、そして、未来に至るまでのストーリー。さらに、このバンドとメンバー4人の個性や魅力についてもがっつり語ってもらった。

 ニューカマーの初インタビューとしては異例の13000字。泣いて笑って最後には彼女たちのことが大好きになるテキストとなっているので、ぜひご覧頂きたい。

セブンス・ベガ

▲左から:シブヤカンナ/ハイブリッドマイマイ/サコティッシュフォールド/ソラ

Interviewer:平賀哲雄

セブンス・ベガ結成に至るまでの4人のエピソードゼロ

--セブンス・ベガ、自分たちではどんなバンドだと思いますか?

シブヤカンナ(以下カンナ):シティロックバンドとして活動しているんですけど、全ジャンル取り入れていきたいなと思っていて。あらゆるジャンルをセブンス・ベガの色にして出してきたし、これからも出していきたいと思っています。

--この4人はどのような経緯で集まったのでしょう?

カンナ:まず私がインスタグラムのストーリーでバンドメンバーを募集するところから始まって。それで、偶然、友達の友達の友達みたいな遠い知り合いだったソラが声をかけてくれて。で、ソラのまた遠い知り合いのマイマイがインスタのノート経由で入ってきて。そして、私が所属していた軽音部の中でいちばん可愛いかった奴を引き抜こうと思って、ギターのサコティッシュフォールドにも入ってもらいました。音楽性とか関係なく可愛さだけで(笑)。

--そもそもなんでバンドをやりたいと思ったんですか?

カンナ:中学生ぐらいのときからギターで作詞作曲するのが趣味だったんですけど、ちょっと本気でやってみたいなと思って、あんまり作曲の知識がない中で「いちばん手っ取り早くできるのはなんだろう?」と考えたときにバンドだと思ったんですよね。

--では、その4人が集結するまでのエピソードゼロから順を追って聞いていきたいのですが、カンナさんが音楽を好きになったきっかけは何だったんですか?

カンナ:生まれた瞬間から歌うことが好きだったんですよね。お父さんの鼻歌を耳コピで覚えて歌っていたらしくて。車で流れていたヒットチャートの曲を歌ったり、子供らしく『プリキュア』の曲も覚えて歌ったり。それぐらい歌に執着があったんです。で、誰か特定のアーティストに強烈な衝撃を受けたわけでもないんですけど、満遍なくいろんな音楽を聴いていた中でギターをふわっと始めて。とは言え「バンドってなんだ?」ってぐらいバンドのことをよく分かっていなくて、大学の軽音部でようやく「バンドってこれか!」って理解したんですよね。で、それから3ヶ月ぐらいで「趣味の範囲で終らせたくない。外で演奏したい」と思うようになって、表舞台でライブするようになった一発目のバンドがセブンス・ベガだったんです。

--続いて、ソラさんのセブンス・ベガに加入するまでの音楽ストーリーについて伺わせてください。

ソラ:私はちっちゃい頃からミュージカルとかクラシックバレエをずっとやってきていて、音楽に触れる機会が必然的に多くって。本当にずっと聴いている感じだったので、音楽が親しみやすい趣味だったんですよ。で、高校に入ってからバンドに興味を持って、ライブハウスに遊びに行ったりとか、友達も連れて行ったりしながら「音楽って本当に良いな!」って痛感して。それで、バンドの音楽に助けられた節が何回もあったから「私もそういう存在になれたらいいな。バンドやりたいな」と思っていたんですけど、何のツテもなかったからちょっと諦めていたんですよね。そしたらボーカルのカンナがメンバーを募集していて「ここに連絡すれば、私は夢を諦めなくてもいいかもしれない」と思って。「楽器やったことないんだけど、やりたい!」って伝えたんです(笑)。

--バンドメンバーの募集に対して「楽器やったことないんだけど、やりたい!」はスゴいですね(笑)。

ソラ:でも、カンナは「いいよ」って言ってくれたんですよ。それで「何やりたい?」って聞かれて。ドラムは小学生のときにできなかった記憶があったので、ベースなら簡単そうだからできるかなと思って「ベースやりたい」って答えたんです。実際は全然簡単じゃなかったんですけど(笑)。でも、そこから猛練習して、2年近く経った今も壁にぶち当たりながら頑張っています!

--ちなみに「音楽に助けられた」と仰っていましたが、どんな音楽のどういうところに救われていたんでしょう?

ソラ:私は青春時代にすごく病んでいたんですよ。学校でリーダー的な役割を担当することが多くて。例えば、ダンスの振り付けをするリーダーとか。そこで思い通りにいかなくて自分を責めちゃったりしていたんですけど、そんなときにSEKAI NO OWARIの「Fight Music」とか聴いて「頑張ろう」と前向きになることができたんです。だから、自分もそういう音楽を発信できる存在になりたいなと思ったんです。

--ダンスの道へ進もうとは思わなかったんですか?

ソラ:私、ディズニーダンサーになりたかったんですよ。でも、オーディションを受けて落ちて。で、今までずっとやってきていた分、ダンスで食べていこうとしたらダンスを嫌いになりそうだなと思ったんですよ。体力もめちゃくちゃ使うし。だから「無理じゃね?」と思って(笑)。大学に入った段階でダンスは辞めて、そこから何をしようか考えていたときにバンドに興味を持ったんです。

--続いて、マイマイさん。

ハイブリッドマイマイ(以下マイマイ):私は2歳の頃にエレクトーンを始めて、それから高校2年生ぐらいまでは続けていて。母親もピアノの先生だったから、家で音楽はずっと流れていたんですね。なので、今聴いてるジャンルとはまったく違うけど、子供の頃から音楽自体はずっと好きだったんです。で、高2で「ドラムをやりたいな」と。エレクトーンもアンサンブルでやっていたので、バンドで叩きたいなと思っていたときにソラがインスタのノート機能で「ドラムできる人」って募集していたので、すぐに「ドラムやれます」って。

ソラ:いや、マイマイも「できないけど、やりたい」って連絡してきたんです。それで「私もできないから大丈夫」みたいな(笑)。

--そもそもなんでドラムをやりたいと思ったんですか?

マイマイ:格好良いから。女性ドラマーに憧れがあったんですよ。縁の下の力持ちみたいで格好良いと思っていたんです。で、私もバンドやることになってからドラムの練習をして。

--なんかスゴいね、このバンド。アニメ『けいおん』みたい(笑)。

一同:(笑)

ソラ:結成した日に電子ドラムを買ったんだよね?

カンナ:このバンドのLINEグループができたときに購入画面が送られてきて「電子ドラム買ったよ」って(笑)。

マイマイ:証拠残さないとエアドラマーになっちゃうから(笑)。

--続いて、サコさん。

サコティッシュフォールド(以下サコ):私はちっちゃいときから音楽を聴くのが本当に大好きで。車の中でも洋楽がずっと流れていて、お家でもYouTube開いてずっと洋楽を漁っていたんです。なので、漠然とちいさい頃から「音楽に関係した仕事に就きたいな」と思っていて。で、大学に入ったら軽音部があったから入って、そのあと途中から入ってきたカンナにナンパされて……でも、実は私のほうが先にナンパしたんですよ(笑)。「可愛い子が入ってきた」とウワサで聞いていて……部活のライブをやったときに、他のバンドが演奏中なのに私からカンナに近づいて「めっちゃ可愛いからインスタ交換しない?」って声をかけたんです。

カンナ:チャラすぎる(笑)。

サコ:その出逢いから1週間ぐらいで、カンナからバンドに誘われたんです。なので、私もほぼ「はじめまして」の状態でメンバーになった感じですね。4人で会ったときに「楽しいな。絶対にやっていけるな」という謎の安心感があって。私、それまで適当な人生しか歩んでこなかったんですよ。それで「何かしらひとつは頑張らないと、自分の人生はなんだったんだろう?って後々なっちゃいそうだな」と思っていたときにこのバンドの話をもらったんで、とりあえずやれるだけやってみようと思って入りました。

--ちなみに、どんな適当な人生を送っていたんですか(笑)?

サコ:本当にダラダラしていました(笑)。ずっと勉強もしないし、高校の説明会も私ひとりだけ全然行かないで、先生に怒られるみたいな。だから、何にも頑張っていなかったです。

--ギターはどのタイミングで始めたんですか?

サコ:軽音部に入ってからです。テレビでゆずさんを観て「ギターっておもしれぇ」と思ってギターを選んだんです(笑)。

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--で、4人で初めて音を合わせるわけじゃないですか。そのときはどんな感じだったんですか?

カンナ:地獄みたいでした(笑)。リズムとかグルーヴとかそんな次元じゃなくて、とにかくまともに演奏ができない。アンプの使い方すら分からなくて、スタジオのスタッフさんを呼んで「すみません、これどうやって使うんでしょう?」みたいな。私もそれまでアコギしか弾いてなくて、エレキギターはこのバンドを組んでから始めたから「アンプって何?」みたいな感じだったんですよね。

--で、地獄だったけど(笑)、それでも続けたんですね。

カンナ:3か月後に初ライブが決まっていたんですよ。初心者すぎて、ライブに出ることを決めなければ終わってしまうというか、流れちゃうなと思っていて。せっかく仲良くなれたメンバーがいたので、先にライブを決めておいて、それまでに上手くなればいいやと思っていたんです。結果、みんなそれで頑張れるタイプだったので、実際にライブしてみたら……

ソラ:ライブハウスの人から「3ヶ月にしては、よかった」と言われました。めっちゃ頑張ったので。

カンナ:初ライブなのに何故か40人もお客さんがいて。

--皆さん、行動力が半端ないですね。それから2年経ったわけですけど、僅か2年で今の状況まで来れると思っていました?

カンナ:まったく思っていなかったわけではないですね。バンド結成時の私からしたら「2年後は武道館に立ってる」と思っていましたし。なので、逆に「まだ理想に追いついていないな」という感じはあるんですけど、それにしても冷静に考えると今の状況はありえないと言うか、夢の中にいる感じ。

マイマイ:バンドを始めて1年ぐらいは、自分たちでSNSを更新したりとか、カメラマンさんを見つけてお願いしたりとか、いろんな発注も自分たちでやっていたし、MVや諸々のデザインも自主制作でやっていたんです。でも、その結果、毎回ライブを観に来てくださったり、声をかけてくださる音楽業界の人たちが増えてきて、今はいろんな人たちにバックアップしてもらいながら活動することができているから、徐々に世間からの注目度も高まってきているのかなと感じています。

--それもひとつひとつの楽曲が評価された結果だと思うんですけど、セブンス・ベガはどんな流れで楽曲制作をしているんでしょう?

カンナ:私がまず弾き語りの状態で基盤の曲をつくって、それを録音して4人のLINEグループに投げるんです。で、3人に自由にアレンジしてもらって、使えそうなところを組み込んだり、組み替えたりしていきながら完成させていく流れですね。私から「これだけは入れてほしい」とか「ドラムのビートはこんな感じで」みたいに指定したり、一応デモをつくってみるときもあるんですけど、そこから先は「じゃあ、頑張って」ってみんなに任せる感じ。

ソラ:それが楽しいんですよね。弾き語りの状態って他の楽器が入っていないじゃないですか。そこにメンバーそれぞれでアレンジを考えて持ち寄って、それを合わせたときに「あ、こんな感じになるんだ?」っていう驚きが毎回あるんですよね。もちろん「これはちょっと違うか」ってなるときもあるんですけど、そこからみんなで再考して変えていくのも楽しいし。

--今回初めてインタビューするうえで、セブンス・ベガの曲をいろいろ聴かせてもらったんですけど、その中でも「東京ラブストーリー」が個人的にはポップな向井秀徳(ZAZEN BOYS/KIMONOS/ex.ナンバーガール)みたいでめちゃくちゃ格好良いなと思いまして。


▲セブンス・ベガ「東京ラブストーリー」Music Video

カンナ:私がいちばん大好きな曲です。あれはセブンス・ベガを結成していちばん最初に手をつけた曲なんですよ。ずっと変わらず「東京ラブストーリー」がいちばん好きです。あれは元を辿ると、私がひとりで弾き語りをやっていた頃の曲で、その時代にライブを週2ぐらいのペースでやっていて、毎回新曲を披露するチャレンジをしていたんですけど、学校から帰ってきて「もうライブ行かなきゃな。あ、今日の新曲つくってない。ヤバいじゃん」と思いながら焦ってつくった曲なんですよ。追い込まれたからこそ生まれた曲(笑)。

マイマイ:それをセブンス・ベガでも演奏するようになったんですけど、ドラムはライブごとに毎回変わっていっていて。最初の頃は「これがいちばん良い」ってなっていたのに、だんだん「あれ、こっちのほうが良くない?」みたいな。そもそもAメロ、Bメロ、サビで結構変わる曲じゃないですか。Aメロは語りで、サビはがっつりキメがあって。その1曲でいろんな要素がある感じは、すごくセブンス・ベガっぽいなと思っていて。だから叩いても楽しいし、ライブで演奏していく中でもいろんなアイデアが浮かんでくる曲だから、私も大好きです。

ソラ:正直な話をしてもいいですか。音源で出ているベースソロがクソださい件について。

一同:(笑)

ソラ:初期に初めてつくったベースソロなんですけど、今聴いたら「ダサすぎる!」と思って(笑)。で、ドラムもどんどん変わっているように、ベースソロもライブではどんどん変えていっていて、最新バージョンを今は弾いているんですけど、そっちのほうが絶対に格好良いんです。なので、この曲を好きになった人には、ぜひライブにも聴きに来てほしいです!

カンナ:3年ぐらい経ったらまた「今のベースソロのほうが格好良い」って言ってるんじゃない(笑)?

--まだキャリアが短いから、いろんな音楽に触れていく中で「こっちのほうが格好良い」って気付いていくんでしょうね。ゆえに最新バージョンがいちばん格好良くなる。サコさんは「東京ラブストーリー」にどんな印象を持たれていますか?

サコ:私はAメロのカッティングのところがすごく好きで。疾走感が溢れている。でも、表では語りでちょっとゆったりした時間が流れていて、その異空間の感じが好きなんですよね。あと、ライブだとベースソロのところの掛け合いがすごく楽しくて、ひとりが前に出ていったら、ふたりが見合って演奏している。その空間も楽しくて、あの曲は好きですね。

--ここからは、セブンス・ベガの4人それぞれがどんな個性や魅力の持ち主なのか。読者の皆さんに知ってもらいたく、1人1人について語ってもらいたいんですけど、まずカンナさんは3人から見てどんなメンバーですか?

セブンス・ベガ

▲シブヤカンナ

ソラ:見た目がめっちゃ強そうに見えるじゃないですか。目ヂカラも強いし。にしては、寂しがり屋(笑)。すぐに「誰か一緒に行こう」とか「誰かごはん食べよう」とか言うんですよ。

--ということは、バンド組んだのも寂しかったから?

カンナ:いや、別に全然そんなことない……はず(笑)。

サコ:乙女な天才だね。作曲能力とか歌唱力の高さとかが本当にズバ抜けているんですけど、きっと神様がそこに力を振り過ぎて……

カンナ:それ以外が全然ダメ?

一同:(爆笑)

サコ:恥ずかしがり屋だし、めっちゃ乙女だもんね。すぐ照れる。でも、よく「みんな大好きだよ」みたいなことを言うんですよ。

マイマイ:そのかよわい乙女な感じを音楽で隠す。

--音楽武装的な?

マイマイ:弱いところも苦手なこともあるし、本当は人前に立つのも得意じゃないんですけど、自分の曲や声も含めて音楽があれば人前に堂々と立つことができる。

カンナ:ヤバい。泣いちゃいそう。

ソラ:それで言うと、フロントマンとしてはすごく頼り甲斐があるんですけど、私生活では別に頼り甲斐ない(笑)。

一同:(笑)

サコ:でも、フロントマンとしてはオーラもある。

マイマイ:ライブ中は、格好良い背中ですよ。

カンナ:みんな、私のこと好きじゃん……。

ソラ:ボーカリストとしては最強ですよ。誰を見ても「シブヤカンナに勝てる者はいない」と思います。

マイマイ:最高ですよ。

カンナ:ねぇ! 今日、飲み行く?

サコ:ライブ本番前の準備でカンナが歌うんですけど、その瞬間に3人はいつもドヤ顔するんですよ。

ソラ:誇らしいよね。

--「どう? ウチのカンナ」みたいなことでしょ。最高じゃないですか。メンバーがいちばんバンドのボーカルに自信を持っている。

カンナ:すごく嬉しいですね。今日はよく眠れそうです(笑)。

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家族みたいなメンバーそれぞれの魅力、個性、役割について

--続いて、マイマイさん。

セブンス・ベガ

▲ハイブリッドマイマイ

カンナ:セブンス・ベガのお父さん。すごくしっかりしていて、でも、すごくユーモアに溢れるメンバーでもあるんですよ。ふざけたLINEを送ってもすごくふざけて返してくれる。なのに、コツコツ型でマジメでもあって。厳しいときは厳しく、楽しいときは楽しく、バンドをしっかりまとめてくれる大黒柱。だから、お父さん。

サコ:努力家ですね。常に闘志に火を燃やして頑張っているお方。そして、いつも新しい視点をくれる人。「そんな考え方があったのか」と思わせてくれる。

カンナ:私とソラがよく意見の相違でケンカするんですけど、それを仲裁するのは毎回マイマイなんですよ。いちばん良い折衷案を出してくれるんです。どっちも折れられる意見をくれるんで、ちゃんと「すみませんでした」って謝れる(笑)。

ソラ:カンナと私は本当に考え方が違っていて、真逆なんですよ。それでお互いの考えをぶつけたら「それ、違くね?」ってなるんですけど、いつもマイマイが仲裁してくれる(笑)。

マイマイ:どっちが悪いとかじゃなくて、どっちもちょっと悪い。

一同:(笑)

マイマイ:どっちかだったら「謝りなよ」で済むんですけど、どっちも非があるから(笑)。だから「これはこっちが悪いよ。それはこっちが悪い」みたいな感じでよく仲裁しています。

--じゃあ、マイマイがいなかったらこのバンドは……

カンナ:もうとっくに終わってますよ(笑)。

--ソラさんから見たマイマイはどんなメンバー?

ソラ:よきライバルですね。初心者同士で楽器を始めて、最初から「本当に頑張ろう」みたいな。ふたりはベードラだし、いちばん大事なポジションなのにやったことがなかったから……

カンナ:致命傷(笑)。

--リズム隊さえちゃんとしていればバンドって何とかなるけど、そこがいちばん不安定だったっていう(笑)。

ソラ:それで、初期の頃から「絶対にマイマイより上手くなってやる」と思って活動していたので、逆にマイマイがいなかったらこんなに上手くなっていなかったし、マイマイがいたから高められたんだろうなって思います。

--あらゆる面でマイマイが精神的支柱になっているんですね。演奏だけじゃなくマインド的にも支えてくれている、まさしくドラマー。

マイマイ:ありがとうございます。

ソラ:本当に支えてもらっていますね。

サコ:安心感がヤバいです。

カンナ:「マイマイがいれば、大丈夫だ」って思える。

マイマイ:照れる(笑)。

サコ:あと、マイマイはずっとアイス食べてます。

一同:(笑)

マイマイ:ソフトクリームの置物見たら、絶対にその店入ります(笑)。アイス大好き。

--そんな可愛らしい一面もあると。

カンナ:一応、バンドの中では末っ子だからね。お父さんでもあるし、末っ子でもある(笑)。

--続いて、サコさん。

セブンス・ベガ

▲サコティッシュフォールド

ソラ:サコはゆるキャラ。トゲもあるし、癒しもある。

カンナ:いや、癒しなしなんだが。

ソラ:だって、可愛いじゃん。

カンナ:顔は可愛い。

ソラ:「ふに」とか言うじゃん。

カンナ:私はそれを可愛いと思ってない。

ソラ:私から見たら可愛いから。

--早速、意見の相違でケンカしてるじゃん(笑)。

一同:(爆笑)

--デモンストレーション、ありがとうございます(笑)。

カンナ:根本的な性格がサコは私とそっくりで。たぶん、すっごい気が合うんですよ。なので、話をしたときにサコには全部伝わります。何かを伝えたいときに誰より先にサコに話したほうが本当の意図を汲み取ってもらえる。理解するのが早いので、半分私だと思ってます。

サコ:言いたいことは分かります。芯の部分がいっしょ。

--癒し系路線でも話してもらって大丈夫ですよ(笑)。

ソラ:私からしたら妹っぽい。甘え上手というか、懐に入ってくるのが上手なんですよ。本人はそんなつもりないかもしれないんですけど、そういうところが可愛いなって思います。

サコ:恥ずかしい(笑)。

ソラ:あと「もっと話しな」って思います。

カンナ:あー、たしかに。

ソラ:隠すっていうか、自分の話をしないから「もっと話してくれていいのに」って……ちょっと姉気質出ちゃってるんですけど(笑)。

カンナ:このあいだ、サコとお寿司を食べに行ったときに聞いたんですけど、サコは人の話を聞くのが好きらしいんですよ。でも、私に気を遣って言ってくれた言葉かもしれない(笑)。

一同:(笑)

ソラ:聞いたら答えてくれるけど、自分からはあんまり話さないんですよね。だから、謎多め。

マイマイ:いちばんミステリアスかもしれない。

ソラ:そして、ギタリストとしては天才。

カンナ:持ってくるフレーズがだいぶ尖っていて、めっちゃ好きなんですよ。私が好きそうなフレーズを考えて持ってきてくれる。それができるってスゴいなと思っていて。私はそれが出来ないんですよ。自分を入れちゃうというか。でも、サコは私の嗜好を当ててくるんです。今回の新曲「君とParadiso」でもそれが際立っているし、「私が求めていたのはこの音だったんだ」って気付かせてくれることが多いですね。

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--続いて、ソラさん。

セブンス・ベガ

▲ソラ

サコ:ムードメイカーですね。

マイマイ:ソラがいないとヤバいときが私的には結構あります。空気づくりは結構助けられている。例えば、スタジオで練習しているときにちょっと暗い雰囲気になることもあるんですけど、ソラはそういうときでも笑わせてくれるんですよ。レコーディングでもそうですけど、ソラがいなかったらヤバかっただろうなと思うことがよくある。なので、本当にムードメイカー。

カンナ:めっちゃ分かる。ソラはセブンス・ベガのお母さんなんですよ。私のバンド以外の悩みとかも全部聞いてくれる。マイマイは解決策型の相談聞きなんですけど、ソラは「もう無理だ!」と思ったときに「よーし!よしよし!」みたいな(笑)。あったかい母性を感じる人だなと思いますね。

--でも、よくケンカするんですね。いや、だからこそケンカできるのか。なんでも話せちゃう相手だから。

カンナ:「ソラなら、まぁいっか」ってなっちゃうんです(笑)。最初はセブンス・ベガもソラとふたりで始めているので、なんか分かってくれるんじゃないかなと思うんですよね。ゆえに私は甘えてどんな感情もぶつけられるし、だからよくケンカしていたんですけど、すごく良い子です。純粋。

--サコさんから見たソラさんはどんなメンバー?

サコ:いやぁーもう元気いっぱいで。ずっとニコニコしているからこっちも楽しいし。あと、ベースに関しては持ってくるフレーズがすごく素敵なんですよ。どんな雰囲気の曲でも、ソラっぽいと言えばソラっぽいんですけど、でも、ソラの感じを全部出さないで、その曲に合ってるフレーズを持ってくるのがすごく上手いなって思います。

カンナ:え、ソラ、泣いてる?

マイマイ:泣いてるね。

--なんで泣いているんですか?

ソラ:……感動しちゃって(笑)。

--「そんな風に思ってくれていたんだ」と感激してしまった?

ソラ:そうです。普段、サコはそんな話をあんまりしないから新鮮で……涙ぽろり。嬉しかった。

--4人の絆が深まったところで、ニューシングル『君とParadiso』の話を聞かせてください。シティロック、シティポップ感もありながらこの4人でしか出せない個性も感じさせる作品になっていますが、どんなイメージを膨らませながら制作されたんでしょう?

セブンス・ベガ「君とParadiso」

▲セブンス・ベガ「君とParadiso」

カンナ:私、夏が苦手でクーラーの効いた部屋から出たくないタイプなんですけど、実際の夏が苦手なだけで、ものすごく夏とか海とかには憧れがあるんです。その憧れや夏の好きな部分を入れて、80年代や90年代の海にロマンがあった時代を描きたいなと思って。そもそも私はオメガトライブとかTUBEとか夏のバンドが心の底から好きで、自分の中のソウルミュージックというか、根本的なものがそこにあるんですよね。で、メンバーそれぞれ成長してきたこのタイミングで、満を持してセブンス・ベガでもそういう音楽に挑戦してみたいなと思ったんです。

--カンナさんの世代でオメガトライブが大好きな人って珍しいと思うんですけど、なんでそんなに好きになったんですかね?

カンナ:お父さんの影響で昔からベストテン的なアルバムとかを聴いていた中で、いちばん好きだったのが杉山清貴&オメガトライブの曲で。で、私は作曲家/編曲家の林哲司さんも崇拝しているんです。杏里さんに手掛けた曲とかも大好きで。で、その林哲司さんが多めに曲を書いているバンドが杉山清貴&オメガトライブで、ボーカルの何とも言えない切ない感じ。あの感じはあの頃にしかないから「今の時代にないなら、つくっちゃえ」と思ったんです(笑)。それが「君とParadiso」です。

--アートワークも完全にあの時代のソレですもんね。

カンナ:そうなんですよ! かなり意識しています。このジャケット写真の海は葉山のほうなんですけど、こういう雰囲気も可愛くて大好きなんですよね。それも含めてやっとこういう作品を生み出すことができて本当に嬉しいです。

--実際に「君とParadiso」を制作してみていかがでした?

マイマイ:夏曲自体も初めての挑戦だったんですけど、ドラムで言うと、最初は夏からイメージするジャンルというところで、まずサンバのリズムを当ててみたんですよ。それで「ちょっと違うね」となって、ボサノヴァに辿り着いて、ラテンっぽいハイハットの使い方とかもして。すごく楽しかったです。

サコ:私は勝手に今回から曲をつくる上でテーマを決めようと思ったんです。それで「君とParadiso」のサビの部分はカッティングっぽいことをしているんですが、夏のキラキラ感を表現したかったんですよね。で、ギターソロの部分では、夏って日中は蒸し暑くて外に出る気が失せるじゃないですか。でも、夜は風が気持ち良くて、私はあの夏の夜の時間が好きなので、それをイメージして演奏しました。

ソラ:夏の雰囲気ってウキウキするじゃないですか。なので、サビは跳べるようなリズムを入れてみて、ライブでみんなが跳んでくれるようなイメージで演奏しているのと……あとは、夏の風を入れました! なので、この曲を聴いた人には、どれが夏の風なのか当ててほしいですね(笑)。

--そんな新曲「君とParadiso」。どんな風にリスナーに楽しんでほしいと思いますか?

カンナ:ちょっと昔より今に馴染みやすい音づくりをしたので、80年代や90年代の夏の曲にあんまり触れてきていない世代の人たちにも響きやすいと思うんです。なので、ぜひ聴いてもらって、そのうえで「こういうメロディがあったんだぞ! 私はこれがいちばん好きなんだぞ!」という部分を知って気に入ってもらえたら嬉しいですね。で、新しい夏を代表するような曲になってくれたら、なお嬉しい!

--杉山清貴&オメガトライブ「ふたりの夏物語」(作曲/編曲:林哲司)じゃないですけど、夏のスタンダードソングの仲間入りをしてほしいですよね。そんな「君とParadiso」リリースの翌月、7月7日の七夕にはセブンス・ベガ初自主企画ライブ【Seventh Sense-下北沢SHELTER編-】が開催されます。

カンナ:結成日が7月7日なんですよ。だから、セブンス・ベガと名乗っているんですけど、あれから2年。本当に突っ走ってきたので、1回ここでひとつの集大成的なライブをちゃんと皆さんにお見せできたらいいなと思っています。Cold Hotdog、Ochunismとゲストのバンドも出演してくれるので、私も楽しみです!

--では、最後に、セブンス・ベガで今後実現したいこと、やりたいことなどありましたら聞かせてください。

マイマイ:いっぱいあるんですけど……その中からふたつ言わせてください。ひとつはホールでのライブがしたいです。もうひとつはめっちゃ具体的なんですけど、『THE FIRST TAKE』に出たいです!

ソラ:めっちゃ無謀かもしれないんですけど、私もふたつあって。ひとつ目は4人で番組を持つこと。ふたつ目はそれに繋がるんですけど、曲だけじゃなくてメンバーひとりひとりの良さが全然違っていて面白いんですよ。その中身の部分をもっと知ってもらいたいなって思います。私たち、実は面白いんです(笑)。あと、ファンクラブも作りたい!

カンナ:3つ言ってるやん(笑)。

サコ:セブンス・ベガの曲をあんまり聴いたことがない人たちでも、名前を聞いたら「あ、あの子たちね」って分かるぐらいの人気者になりたいです。あと、アメリカの【スーパーボウル】のハーフタイムショーに出たいです!

--マイケル・ジャクソン、ビヨンセ、U2、プリンスなど世界トップレベルのアーティストしか出られないやつじゃないですか。

サコ:いつかあれに出ます!

カンナ:がんばってね!

--なんでひとりで行かせようとしているんですか(笑)。では、カンナさん、〆をお願いします。

カンナ:私はこのバンドで、もちろん目指すならいちばん上を目指したいですし……なんだろう? 最強とか、無敵とか(笑)。

--急に子供っぽくなった(笑)。

カンナ:でも、そういう言葉が「その通り」と思ってもらえるぐらいのバンドになりたいですね。あと、もうひとつ言うと、林哲司さんじゃないですけど、作曲家としてもいろんな方に楽曲を提供できるような人になりたいです!

Interviewer:平賀哲雄

セブンス・ベガ『君とParadiso』Music Video

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