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<わたしたちと音楽 Vol. 55>山崎怜奈 アイドル卒業後に見えた、言葉を持つことの意味

インタビューバナー

 米ビルボードが、2007年から主催する【ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック(WIM)】。音楽業界に多大に貢献し、その活動を通じて女性たちをエンパワーメントしたアーティストを毎年<ウーマン・オブ・ザ・イヤー>として表彰してきた。Billboard JAPANでは、2022年より、独自の観点から“音楽業界における女性”をフィーチャーした企画を発足し、その一環として女性たちにフォーカスしたインタビュー連載『わたしたちと音楽』を展開している。

 今回のゲストは、TOKYO FMの帯番組『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』や執筆活動を通じて、社会や文化に関する発信を続けている山崎怜奈さん。アイドルから報道の世界へと歩みを進める中で感じたこと、女性のキャリアの可能性、そして言葉を持つことの意味を山崎さんに聞いた。(Interview:Rio Hirai[SOW SWEET PUBLISHING]、Photo:Shinpei Suzuki)

アイドルのセカンドキャリアとして
自分が好きな言葉を扱う道へ



――まずは近況からお聞きしたいのですが、最近はどのようなお仕事をされていますか?

山崎:毎週月曜から木曜まで、TOKYO FMで『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』という2時間生放送のラジオ番組を担当しています。そのほかにもテレビの収録や雑誌の取材、エッセイの執筆など、いろいろな仕事をさせていただいています。『Hanako Web』というWeb媒体でのエッセイ連載が書籍化されたり、以前MCを担当していた歴史番組が本になったりもしました。


――アイドル時代と比べて、どのような変化を感じていますか?

山崎:一番の変化は、報道番組に関わるようになったことですね。グループを卒業する直前の2022年夏に参議院議員選挙の特番に出演したのがきっかけで、その後も『サンデー・ジャポン』や『ウェークアップ』、『Mr.サンデー』、『ABEMA Prime』などに呼んでいただくようになりました。 アイドル時代は政治や経済に興味があっても、発信する機会がなかったんです。でも、今は自分の意見を尋ねられる機会が増えて、それが大きな変化だと感じています。


――ラジオパーソナリティとしてのやりがいは何ですか?

山崎:自分の言葉でじっくりと考えを伝えられる場という点ですね。リスナーとの距離も近く、メッセージを通じていろんな話を聴けるのも嬉しいです。テレビとは違い、視覚に頼らず、声と言葉だけで伝える難しさもありますが、それが魅力でもあります。


――アイドル時代と現在で、仕事に対する姿勢に違いはありますか?

山崎:アイドル時代は、与えられた役割の中で最善を尽くすというスタンスでした。でも今は、自分自身で働き方を考え、自分の意見を発信する機会も増えたので、より主体的になったと思います。その分、責任も大きいですが、そのプレッシャーが良い刺激になっています。


政治についてコメントすることの
リスクと意義を感じています



――アイドルから報道の道に進むのは珍しいと思いますが、ほかのアイドルのセカンドキャリアについてどう思いますか?

山崎:アイドルを卒業した後の進路は人それぞれですが、女優業に進む方が多いですよね。私はグループ在籍当時から、ジャンルにこだわらず勉強することや言葉を使って伝えることが好きで、番組に出演させていただくこともあって、知的好奇心を活かした仕事を続けたいと思ったんですよね。だからこそ、ラジオや執筆活動の道を選びました。


――最初にコメンテーターとしてのオファーを受けたとき、どのように感じましたか?

山崎:まさか自分に参議院議員選挙の開票特番のオファーが来るとは思っていなかったので、最初は驚きました。当時所属していた事務所のスタッフさんから「こういう話が来ているけれど、どう思う?」と聞かれて、私自身は「挑戦しがいがあるな」と思ったんです。事務所的にはどう判断したのかを尋ねてみたら、「山崎のキャリアにとってプラスになるし、いい勉強にもなると思う」と言ってくださったので、頑張ろうと決心できました。


――政治や社会問題に対する興味は、もともとお持ちだったんですか?

山崎:もともと大学でメディア論やライティング技術を学んでいたので、政治や経済にも関心はありました。記者になった友人もいて、新聞やネット記事を読む習慣もありました。でも、私はそれを仕事にするつもりはなかったんです。 報道の仕事をするようになってからは、もっと勉強しないといけないと思って、本を読んだり、専門家に話を聞いたりするようになりました。


――報道の仕事で驚いたことはありますか?

山崎:思った以上に、発言の影響力が大きいということですね。何気ない言葉でも、SNSなどで拡散され、うまく伝わらなくて誤解されたり、誹謗中傷を浴びたりもする。1つひとつの言葉を、これまで以上に慎重に選ぼうと意識しています。


若い女性の声がもっと
広く平等に伝わる社会へ



――芸能人が政治について発言すると批判を受けることも多いですが、その点についてどう思いますか?

山崎:そうですね、確かに政治的な発言をすると「生意気だ」とか「何も知らないくせに」と言われることはあります。でも、何も言わなければ何も変わらないとも思うんです。実際に、若い女性が政治について話すと、男性が話すよりも強い反発を受けることがあると感じています。例えば、同じ内容を60代の男性が話したら「冷静で論理的だ」と受け取られるのに、20代の女性が話すと「偉そう」「背伸びしている」と言われることがあるんですよね。

 でも、だからこそ私は発言し続けることが大事だと思っています。視聴者の方々と意見が合わなかったり、間違ったことを言う時もあるかもしれませんが、黙っていれば、結局「若者は政治に関心がない」と見なされてしまう。そうではなく、ちゃんと関心を持って考えている人もいるということを示したいんです。


――SNSが発達した今の時代、情報発信のあり方についてどう考えていますか?

山崎:今は誰もが自由に意見を発信できる時代ですが、その分、発言の責任も重いと感じます。特に報道の場では、自分が話したことがすぐに切り取られ、誤解されることもあるので、より慎重に言葉を選ぶようになりました。

 SNSでは極端な意見が拡散されやすく、冷静な議論が難しくなっている部分もありますよね。その中で、自分の立場を明確にしつつ、対立を煽るのではなく建設的な意見を発信することが大切だと思います。 だからこそ、私自身は、わからないことは「わからない」と言うようにしていますし、専門家の意見をしっかり聞く姿勢を持ち続けたいですね。


――女性の意見が広がるためには、何が必要だと思いますか?

山崎:まずは、発言の場が増えることですよね。そして、女性自身が「意見を言うこと」を怖がらなくていい、むしろ当たり前だと思える環境が必要だと思います。女性の意見も等しく尊重される、それが当たり前だというスタンスの人たちが社会のマジョリティになっていくことが理想ですね。


キャリアを続けるための
メンタルケアとこれからの挑戦



――アイドルや女性タレントが長くキャリアを続けるためには何が必要だと思いますか?

山崎:女性のキャリアが長続きしにくいというのは、特にアイドル業界では顕著だと思います。どうしても「若さ」が価値の一部になりやすいし、年齢が上がると活動の幅が狭まるケースもあります。だからこそ私はアイドル活動をしているときから、他にもやりたいと思える仕事を見つけたいと考えていました。そうしてラジオや執筆といった、年齢に縛られない分野に一歩踏み出すことができました。一度離れてもまた戻ってきやすくなったり、女性がもっと自由にキャリアを積み重ねられる環境が整うのが理想ですね。


――エンタメ業界で女性がもっと活躍しやすくなるためには、何が必要だと思いますか?

山崎:メンタルケアの環境がもっと整うことが大事だと思います。今は芸能事務所でメンタルカウンセラーをつけるケースも増えていますが、まだまだメンタルケアをすることの重要性の周知が足りていないと感じます。


――ご自身がメンタルケアの重要性を意識したのは、いつ頃からですか?

山崎:大学生の頃ですね。当時はアイドル活動と学業の両立が大変で、ときどきメンタルクリニックに通っていました。そういうサポートを求めることに抵抗を感じる人も多いですが、私は自分の経験からも、自分を守るためには必要なことだと思っています。


――これから挑戦したいこと、またリスナーへのメッセージをお願いします。

山崎:2025年には本を2冊出版する予定で、今はその準備を進めています。あとは、これまでの仕事をなるべく長く続けていきたいですね。 リスナーの皆さんには「自分の体と心を大事にしてほしい」と伝えたいです。最終的に自分のことを守れるのは自分しかいません。周囲の人に支えられながら、自分自身を大切にすることを忘れずにいてほしいなと思います。



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