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<レポート&インタビュー>『みんなの演奏会』収録の模様をお届け&imaseが語る、音楽が生むつながりとは――Pococha×ヤマハ連載vol.3
Interview & Text:黒田隆憲
愛とリスペクトが溢れたセッション
Pocochaとヤマハがタッグを組み、新世代アーティストimaseを迎えた応援プロジェクト『みんなの演奏会』のスペシャルムービーが、3月6日に公開された。本プロジェクトは、SNS時代を象徴する新世代アーティストimaseが本プロジェクトのために書き下ろした楽曲「FRIENDS!!!」を、Pococha史上最大規模となる120名超えの音楽ライバーや演奏家たちと共に披露する前代未聞の試み。音楽経験やジャンル、世代を超えてつながる演奏者が集結し、ドローンやクレーンを駆使し撮影されたスペシャルムービーでは、音楽が持つ「垣根を超える力」を体現するかのような、圧巻のパフォーマンスが繰り広げられた。
FRIENDS!!! (Pococha × ヤマハ みんなの演奏会|Special Movie)
2月13日、『みんなの演奏会』の収録が開催された。会場となった千葉・TIPSTAR DOME CHIBAは、千葉競輪場の跡地に建設された、国内有数のドーム型スポーツ施設である。通常は自転車競技が行われる楕円形のアリーナに、この日は120名を超える音楽ライバーや演奏家が集結した。
ドラマーやベーシスト、ギタリストだけでもそれぞれ5名以上、さらにキーボーディストが10名以上、ホーンセクション、ストリングス、ピアノ奏者、そしてコーラス隊……。普段、それぞれのフィールドで活躍している参加者が、一堂に会する光景は圧巻だった。
特筆すべきは、その多様性だ。クラシックのピアニスト、ロックのドラマー、ジャズのサックス奏者やポップスシンガー。ジャンルや世代、そしてファッションスタイルや演奏スキルまで驚くほど多様な参加者たちが、一つの楽曲でつながる。『みんなの演奏会』というタイトルにふさわしい、まさにダイバーシティを象徴するアンサンブルが奏でられるのだ。

この日披露された「FRIENDS!!!」は、アーティストのimaseが『みんなの演奏会』のために書き下ろした新曲である。軽快なモータウンビートに乗せたグルーヴィーなアレンジが特徴で、ゴスペル風のクワイアとimaseのボーカルが絡み合うブレイクパートは、まさに本楽曲のクライマックスだ。
アレンジを手掛けたのは、imaseの「Nagisa」や「Happy Order?」にも携わったJazzin’parkの久保田真悟。今回は大人数での演奏を想定し、各パートの持ち味が活きるような構成が特徴だ。特に、ファンファーレのように響くホーンセクションや、クラップを取り入れたリズムアレンジは、まるでフィル・スペクターの「ウォール・オブ・サウンド」が現代に甦ったかのようである。
本番前のリハーサルでは、初めこそ緊張していた参加者たちも、回を重ねるごとに次第にリラックスし、最後には自然な笑顔がこぼれるように。演奏を終えるたびに「楽しい!」という声が飛び交い、音楽が持つ一体感の力を実感させる瞬間だった。
「正直、最初は戸惑いました」そう語るのは、今回ドラマーとして参加したライバーのMasato。「様々なレベルの演奏者が集まる中で、うまく合わせられるのか不安もありました。でも、imaseさんの『FRIENDS!!!』という楽曲自体が、みんなで楽しく演奏することをテーマにしていたので、それを最優先にしようと決めたんです。結果的に、演奏が進むにつれて自然と一体感が生まれ、本当に楽しい時間になりましたね」
そして、いよいよimaseを交えた本番撮影。imaseは、120名を超える参加者の間を駆け抜け、ホーンセクションのファンファーレが鳴り響く中、コーラス隊とアイコンタクトを交わしながら、リズムに合わせて軽やかにステップを踏み、力強く歌い上げた。そんな彼のオープンなスタイルが、この特別な演奏会の空気をさらに温めていく。
また、ピアニストとして参加したライバーのはなみーるも、「大活躍されているアーティストなのに、まるで昔からの友達のように自然に接してくれるんです。きっとみんなも同じように感じたと思いますし、その場の空気を一瞬で和ませる『巻き込む力』がすごいなと感じました」と、imaseの印象を語った。

今回の『みんなの演奏会』は、オンラインでつながるライブ配信を通じたコミュニティと、リアルな演奏会の融合という点でも画期的なプロジェクトだ。例えば、遠隔でリモート合奏ができるヤマハの「SYNCROOM」での練習会の実施や、楽譜の難易度を変えるAIの技術によりピアノ初心者向けに易しくした楽譜の提供など、最新技術によるサポートも取り入れられた。SNSやライブ配信が音楽の新しい形を生み出すなか、この『みんなの演奏会』は、オンラインでつながった仲間たちがリアルの場で音を鳴らすことの、新たな可能性を示したのである。
「120名規模の大人数で演奏するのは、本当に新鮮な体験でした。多くの人と心を合わせることで、音楽の楽しさや達成感が、何倍にも膨らむことを実感しています」(Masato)
「この演奏がスペシャルムービーとして公開されることで、私のリスナーさんや仲間たちとも、この感動を共有できるのがすごく楽しみです」(はなみーる)
この日生まれた大楽団のアンサンブルは、オンラインを通じてさらに多くの人々へと広がっていくことだろう。収録の終わりに、imaseに『みんなの演奏会』への思いや楽曲制作について話を聞いた。

音楽はジャンルやスタイルを超えて、人と人をつなぐ力がある

――今日の演奏会を終えて、率直な感想をお聞かせください。
imase:本当に楽しかったです! こんなふうに、初めてお会いする方々と一緒に演奏する機会は今までなかったので、とても新鮮な経験でした。何より、皆さんが心から楽しそうに演奏されていて、その姿を見ているうちに自分もどんどん楽しい気持ちになっていきましたね。「音楽には人と人をつなぐ力があるんだ」と改めて実感できる、素敵な演奏会でした。
――この企画のオファーを受けたとき、どんなお気持ちでしたか?
imase:まず、お話をいただけたことが純粋に嬉しかったです。大規模な演奏会のために楽曲を制作するのは初めてだったので、「これは楽しそうだな」とワクワクしながら制作しました。実際に皆さんとお会いしてみると、年齢やジャンルを超え、本当に多様な方が活動されていることを改めて実感しました。普段は一人で音楽を作ることが多いので、こうしてたくさんの人と一緒に音楽を作り上げる機会はとても貴重でした。
――今回のPocochaのようなライブ配信も含め、オンラインの可能性についてどう感じていますか?
imase:自分自身、SNSを通じて音楽を発信しはじめてここまで辿り着くことができたので、オンラインの可能性は本当に大きいと感じています。特に今は、音楽がこれまで以上に広がりやすい時代ですよね。日本国内にとどまらず、海外の方にも聴いていただける機会が増えていて、グローバルな視点を持つことの重要性を実感しているところです。
もちろん、SNSを通じて様々な人とつながれるのも大きな魅力。今回のように、音楽ライバーや演奏家の皆さんと一緒に演奏する機会が生まれたのも、オンラインの力があってこそだと思います。こうしたテクノロジーを活用することで、より多くの人と音楽を共有し、新しいつながりが生まれていくのはとても素敵なことだと思います。
――多様な参加者が演奏するための曲制作は、正直大変じゃなかったですか?
imase:まず大前提として、「みんなで楽しく演奏できる楽曲にしたい」という気持ちがありました。なので、リズムに少し跳ねる感じを加えるなど、聴いているだけでワクワクするようなアレンジを意識しました。
アレンジ面では、久保田さんが管楽器を加えたり音の厚みを増してくれたりと、演奏のダイナミックスさを意識しました。もちろん、楽曲の難易度も重要なポイントでした。簡単すぎると物足りなさを感じるかもしれないし、逆に難しすぎると演奏の楽しさが損なわれてしまう。そのバランスをしっかり意識し、どんな演奏者でも楽しめるように工夫しました。

――実際に120名以上で演奏してみて、どう感じましたか?
imase:制作段階で作った音源とは、まったく別物の響きになりました。バンドだけで50人近くもいるなんて、普通のライブではなかなかないですし(笑)。そこにストリングスや管楽器が加わったことで、音の厚みと広がりが一気に増したと思います。
でも、それ以上に印象的だったのは、演奏そのものだけでなく参加者の皆さんが互いに自然とハイタッチをしたり、アイコンタクトを取ったりしていたこと。音楽を通じて、その場で生まれるコミュニケーションの温かさを感じましたし、こういう「ライブならではの一体感」が、今回の演奏会をより特別なものにしていたと思います。
――今回の経験は、ご自身の音楽活動にも影響を与えそうですか?
imase:間違いないですね。楽器編成をもっと増やしてみるのも面白そうだし、ライブを想定したときにコーラスやシンガロングができるような楽曲を作るのもいいなと。やっぱり「みんなが参加しやすい」ことが大事ですし、音楽はジャンルやスタイルを超えて、人と人をつなぐ力があることを改めて実感しました。
演奏に限らず、リズムの取り方や動きも含めて、ライブでより多くの人が一緒に楽しめる仕掛けを作っていきたいですね。音楽を“聴く”だけじゃなく、「体感」できるような楽曲を、これからも生み出していきたいです。
――このプロジェクトを楽しみにしているファンの皆さんに、メッセージをお願いします。
imase:今回の楽曲「FRIENDS!!!」は、そのタイトルの通り、仲間と一緒に楽しめる曲になっています。演奏会を通じて、「音楽が人と人をつなぎ、友達になれる瞬間が生まれる」ということを改めて感じました。これからライブで披露する機会もあると思うので、そのときはぜひクラップで参加したり、コーラスのパートを一緒に歌ったりしながら、全力で楽しんでもらえたら嬉しいです!

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