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<インタビュー>東京スカパラダイスオーケストラ 昨年の初フルオーケストラライブ、感動と熱響のステージを振り返る そして待望の再演へ



インタビューバナー

 東京スカパラダイスオーケストラが、35周年特別記念公演として昨年5月、河口湖ステラシアターで開催した初のフルオーケストラコンサート 【Tokyo Ska Paradise Orchestra×billboard classics symphonic concert】は大きな反響があり、再演を望む声が多かった。その声に応え5月10日に東京・NHKホールでアンコール公演が決定した。

 昨年の公演は「情熱のスカと熱響のオーケストラサウンド、響き合わせることは生きる歓び」というタイトルでレポートをした。それほどスカパラと服部隆之率いる東京フィルハーモニー交響楽団の音、 ゲストのハナレグミ、中納良恵(EGO-WRAPPIN’)の歌が重なりステージも客席も大きな感動に包まれていた。まさに“NO BORDER”、ステラシアターが音楽の楽園になっていた──そして熱狂の舞台は東京へ。 河口湖でのあの日、どんな思いでステージに立っていたのか、さらにアンコール公演に向けての意気込みをNARGO(Tp.)、谷中敦(B.Sax.)、加藤隆志(Gt.)、茂木欣一(Dr.)にインタビューした。
(Interview & Text:田中久勝 , Interview Photo:石阪大輔 , Live Photo:仁礼博)


左から:茂木欣一(Dr.)、NARGO(Tp.)、谷中敦(B.Sax.)、加藤隆志(Gt.)


35年の歴史、服部隆之氏がオーケストラの音色で額装

── 昨年の河口湖ステラシアターでの公演ですが、リハーサルの時からスカパラの皆さんが感動してグッときていたというお話をお聞きしました。

谷中敦:リハの時から僕の横で川上(つよし)が泣いてましたね。第2部の冒頭、服部隆之さんが僕らの代表曲をアレンジしてつないだOVERTUREをオーケストラと演奏してくださいました。 あの時MCでも伝えましたが、我々の35年の歴史、思い出を立派に額装してくれた感じがして、涙が出てきました。ある意味あそこが1回目のピークだったと思います。

茂木欣一:みんなウルウルしてましたよね。

NARGO:これは自虐になってしまうかもしれませんが、東京スカパラダイスオーケストラは、オーケストラという名前を背負って35年やってきたけれど、 やっぱりオーケストラといいつつバンドじゃないですか。だからなんちゃってオーケストラなんだよなっていう思いがいつもどこかにあったのですが、あの日とうとうフルオーケストラと一緒に演奏できて、 本当のオーケストラになったんだなって思えた、そんな一夜でした。

服部隆之

── オーケストラによるOVERTURE、自分達の曲をああいう形で聴く機会はないですよね。

加藤隆志:なかなかないですし、NARGOさんの話を聞いて、そうだなって思いました。「美しく燃える森」や「めくれたオレンジ」の旋律がこんなふうに聴こえるんだなって、 曲が持つ力を再確認させてもらえました。そしてストリングスや楽器の持っている力も改めて実感できました。

谷中:めちゃくちゃドラマティックでした。

NARGO:スカパラが35年続けてこれたのは、やっぱり楽曲制作に関してメンバー全員が作曲の段階から含めて、選曲からアレンジまで一切妥協なく、徹底的に練り上げ、 作ってきたことが大きいと思っていて。ボーカリストとのコラボレーションも多いですが、メロディだけであれだけの感動を作り出すことができることで、それが実証されたと思い、感動しました。

── 服部隆之さんのスカパラへのリスペクトと愛を感じるアレンジでした。

NARGO:服部さんとは小沢健二さんのアルバム『LIFE』(1994年)のレコーディングで初めてご一緒させていただきました。 その後ツアーも一緒に回ったので、その際に服部さんの編曲によるストリングスの音を体験したことはありますが、今回はまた違う意味で感動的なコラボレーションになりました。

茂木:OVERTUREを聴いて、僕らの映画があったとしたら、そのサントラを作っていただいたような感動がありました。

── 服部さんはスカパラとは活動を始めた時期が同じで「同期だと思っている」とおっしゃっていました。

NARGO:そうですね。その後2007年に発売された『服部良一~生誕100周年記念トリビュート・アルバム~』に参加させていただいて、 それ以来の関わりということで本当に嬉しかったです。

インタビュー写真


スカパラと指揮者、フルオーケストラ総勢70名による音のブレンド

── 初のフルオーケストラコンサートというのが意外でした。スカパラ9人の音とオーケストラの音がどうブレンドするのか、最初は想像できませんでした。

加藤:最初にこの企画を聞いた時は、ストリングスだけじゃなくてフルオケなんだってびっくりしたことを覚えています。 企画自体が特殊だと思いましたが、でもそれが面白かったんですよね。

── 9人のインストゥルメンタルと60人のインストゥルメンタルを服部さんが繋ぐ、という感じだったと思いますが、難しい部分はありましたか?

加藤:9人のいつものライヴのテンポがあって、でもオーケストラが加わると9人のときのテンポ感とは明らかに変わるだろうと想像はしていていました。 そのスピード感を合わせるというのが最初は難しかったです。欣ちゃん(茂木)が大変だったと思います。立ち位置もドラムが前で、服部さんが後ろで、前後で話をするような感覚だったと思います。

茂木:テンポが速くなったらいけないので、興奮しすぎちゃいけないと言い聞かせながら演奏していましたが、あのサウンドの中で興奮するなというほうが無理です(笑)。 モニターの画面越しに先生の表情、手の動きを見るという感じで、今までにない経験になりました。曲の始まりも、指揮者の服部さんがいながら、僕がワン・ツー・スリー・フォーとカウントをとるという異例のスタイルでした。

ステージ写真


想像を超えた特別なステージで、歓喜のハイタッチ

── 第1部はスカパラだけのステージでしたが、すでにステージの後ろには第2部から登場するオーケストラが座る椅子がズラッと並んでいて、会場に入ったときから特別感がありました。 スカパラのライヴに熱狂しながら、今日は特別な一日になるんだってお客さんは感じていたはずです。

NARGO:第1部で自分たちだけでライヴをやりながら、フルオーケストラが合体した自分たちに負けたくないと思っていました。 やっぱりオーケストラとやった方がよかったねとも言われたくなかったし、フェスで次のバンドに負けたくないみたいな感じでやりました。だからステージではいつもより何倍も動いていたと思います(笑)

加藤:そうでしたね。本当に動きまくってましたよね。お客さんもどんなライヴになるんだろうってなかなか想像できなかったと思うので、 だからいつもとは違う特殊な空気感が生まれたのかなって。それがいい方向に向いて、第1部のスカパラだけのパートも、普段から僕たちのライヴを観てくれている人にも、いつもと違う感じに聴こえていたと思います。 だから第1部にオーケストラの姿はなくても、そこにいたというか。そこでもう始まっていたのかもしれないですね。

── 第1部のあの異様な盛り上がりが、第2部の感動を呼んだという感じがしました。

谷中:あの日はもう頭からテンション上がりまくりでした。

加藤:上がりまくりでした。今までやったことない特別感みたいなのものが最初からお客さんにも僕らにもあったので、わくわくしかなかったですね。

── 「銀河と迷路」を演奏し終わった後の茂木さんと谷中さんの、歓喜のハイタッチが印象的でした。

茂木:人生にこんなすごいことがあるんだ、全く想像していなかったことが起こってるって思ったんです。

谷中:いつもやっている曲であればあるほど、オーケストラが入ってきたときの特別感が大きくて、鳥肌がすごかったです。

ステージソロ写真


ハナレグミと中納良恵(EGO-WRAPPIN’)をゲストに迎えて

ゲスト写真

── ゲストのハナレグミと中納良恵さんのステージもものすごい盛り上がりで、ハナレグミさんはステージ上で「こんなライヴ初めて」と興奮気味に叫んでいました。

加藤:ハナレグミとはずっと縁があるし、あの声はオーケストラの音にすごく合うと思っていて、僕も聴きたかったんです。本人も絶対興奮していたと思います。

谷中:二人とも歌の実力はみなさんご存じだと思いますが、本当に素晴らしい人間性で、絶大なる信頼感があります。僕たちはこれまで色々な方とコラボレーションさせていただいていますが、 二人とは二度も作品で共演している数少ないアーティストで、よっちゃん(中納)に至ってはロンドンまで来てもらって一緒にレコーディングしました。 永積君(ハナレグミ)もよっちゃんも僕らとじゃなければ生まれない空気を楽しみに来てくれると思うし、そこにオーケストラの音が加わって、忘れられないコラボになりました。今回またNHKホールで一緒にできることが本当に嬉しいです。

── 中納さんもハナレグミさんもスカパラとやることの嬉しさが表情や全身から出ていて、それも感動しました。

谷中:今まで何度も共演していますが、いつも以上にハイテンションになっている感じは伝わってきました(笑)。よっちゃんとはロンドンでレコーディングして、 永積君はメキシコで一緒にライヴをやりましたが、この二人とオーケストラとのステージは、日本を越えて世界に発信したいです。しかも服部さんの指揮で世界各国のオーケストラと共演する…夢が広がります。

── 服部さんが「中納良恵のために書いた」と語っていた朝の連続ドラマ『ブギウギ』の主題歌「ハッピー☆ブギ」も、すごい盛り上がりでした。

茂木:あの曲を最初に聴いた時に令和の今書かれた曲だと思わなくて、昭和時代の名曲なんだろうなって思っていました。 でも服部さんがあのドラマのために書き下ろしたと聞いて感動しました。まさに時代を超えるような名曲だと感じて、リハの時から昭和時代の一発録りのレコーディング現場にいるような感覚になって、興奮しました。

── 「ジャングル ブギ」を演奏する前には谷中さんが「服部先生とこの曲を演奏できるなんて、こんな幸せないです」と語っていました。

谷中:スカパラがカバーさせていただいて、大事に演奏し続けた曲の作曲家のお孫さんが指揮をしてという、あまりにスペシャルな時間で、音楽の歴史というか、 すごく太い流れみたいなものを感じました。

NARGO:昭和歌謡からの流れを、僕らが引き継いだっていう強い繋がりを、体現できた瞬間でした。



── 東京フィルとの掛け合いもあのライヴの見どころのひとつでした。一流のオーケストラの実力をお客さんも目の当たりして、楽しんでいたと思います。

加藤:オーケストラのみなさんがとてもフレンドリーで本当にありがたかったです。一人ひとりが本当に素晴らしいプレイヤーで、特に管楽器の方々は、僕たちのことどう思ってるのかなって最初は不安でした(笑)。

NARGO:でもトランペットの方たちから「中学の時から聴いてます」とか「一緒に写真撮ってください」って言っていただけて、嬉しかったです。

茂木:グッズのTシャツやタオルも購入していただいたみたいで、本当に感動しました。

谷中:ステージでタオルも振ってくださって、あんなことまでさせてしまっていいんですかって思いました(笑)。

NHKホールでの待望の再演、そして36年目に向けて

インタビュー写真2

── ステラシアターのステージで、茂木さんは「1回で終わるのがすごく寂しい」と、服部さんも「絶対好評でしょう? きっともう1回、2回3回やっていただけるんじゃないかと!」とおっしゃっていましたが、それが実現します。

茂木:河口湖のあのシチュエーションもとても素晴らしかったですが、来れなかった方もたくさんいらっしゃったので、再演できて嬉しいです。今度はホールでの響きを楽しんで欲しいです。

谷中:僕らは去年の11月に【スカパラ甲子園】を様々なゲストを迎えて行ないましたが、2024年の上半期のクライマックスは確実に河口湖でのライヴだったし、 その時の興奮を甲子園で超えられるのかなって若干不安になったほどでした。NHKホールではさらにブラッシュアップさせたものをお見せしたいです。

── その前には23年ぶりの横浜アリーナ公演(3月20日)があり、そして5月31日からは47都道府県を回るツアーが控えています。

谷中:久々の横浜アリーナでのライヴは35年を振り返りつつ、36年目を見据えたセットリストで、新しい一歩を踏み出したぞ、というところを見せられたらいいなと思います。

加藤:47都道府県ツアーは、嬉しいことに、いま本当にたくさんの方にスカパラの音楽を聴いていただける状況になっていて、親子連れや、三世代でライヴを観に来てくれる方も増えていますので、 こちらから会いに行きたい!と思いました。ちょっと覗いてみようかなって思っていただけると嬉しいです。

ステージ写真2



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