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<コラム>SixTONESの個性が強烈に煌めく最新アルバム『GOLD』、その“挑戦”に満ちた20曲について
Text:小川智宏
1月15日、SixTONESのニューアルバムがリリースされる。通算5作目となる今作のタイトルは『GOLD』。アルバムジャケットに「The meaning of “GOLD” is up to you.」(“GOLD”の意味はあなた次第)と書かれているとおり、そのアルバムタイトルの示すものについては実際にアルバムを聴いて嗅ぎ取ってもらえればと思うのだが、キラキラと眩い華々しさからギラギラと燃えたぎるようなパッションまで、このアルバムに注ぎ込まれた多彩な、しかしすべてにおいて圧倒的な光を放っている色は、まさにこの言葉にふさわしいものになったと思う。
アルバムに収録されるのは、全形態共通の12曲に各形態それぞれのボーナストラックを合わせてトータル20曲。そのなかにはシングルとしてリリースされてきた「音色」「GONG」「ここに帰ってきて」「SPICY」(通常盤のみにアルバムのためにリミックスされ収録)、さらに「BORDERLESS」(ソニー銀行「Sony Bank WALLET」CMソング)、「Focus」(ロート製薬「目薬はロート」CMソング)、「THE BALLERS」(B.LEAGUE 2024-25 SEASON公式テーマソング)も含まれている。
それらの楽曲たちが“軸”としてアルバムを支えているのはいうまでもないが、今作にさらなる迫力と熱量を与えているのは、じつはそれ以外の新曲たちのほうだ。湘南乃風、Kroi、マキシマムザ亮君(マキシマム ザ ホルモン)、さらに2024年に再始動を果たしたリンキン・パークでドラマーを務めるコリン・ブリテンと、パンチのある面々が提供した楽曲がずらりと並び、それを補強するようにこれまた強烈な新録曲が配置されている。どこを切っても特濃、通して聴けばSixTONESというグループの振り幅の大きさとそれを貫くタフなパフォーマンスに圧倒されるはずだ。
アルバムのオープニングを飾るのは、いわばタイトルトラックといえる「Golden」。荘厳なオーケストレーションに始まり、時計の針が進む音が聞こえてきた刹那、いきなりフルスロットルのラップとボーカルが展開していく。新たな領域へと飛び込んでいく決意を高らかに宣言するようなこの曲は、ストリングスの緊張感あふれるリフとともに重厚なダンス・ミュージックへと展開し、ここから始まるアルバムへの期待値をマックスまで高めて次の「THE BALLERS」へとバトンをつなぐ。この力強い“助走”のおかげで、「THE BALLERS」のどこまでも高く高く飛び上がっていくようなサウンドがいっそう開放的に響いてくるあたり、この曲順とオープニングの流れが緻密に練り上げられたものであることを感じさせる。
THE BALLERS / SixTONES
そして「GONG」を経て登場するのが、思い切りドープなビートが炸裂するヒップホップ・チューン「PUNK STAR」だ。ロックなギターをフィーチャーしたトレンドライクなトラックの上で、6人の声がかわるがわる耳に襲いかかってくる。ドスの効いた低音から突き抜けるようなハイトーン、そして切れ味の鋭いラップまで幾重にも重なった声が、このストロングスタイルの楽曲に美しく色を塗りたくっていく。曲そのものの強烈さに負けないボーカルワークは、SixTONESというグループの魅力と強みをはっきりと見せつけている。
そんな「PUNK STAR」に続いて聞こえてくるのが、湘南乃風による提供曲「fiesta」だ。ホーンセクションが異国情緒あふれるムードを醸し出すなか、ロマンチックなメロディがアッパーなレゲエへと急転し、それまでの夕暮れのような穏やかさが一気に灼熱の太陽のもとで繰り広げられるダンスパーティへと変貌を遂げる。ライブでタオルが回る様子が目に浮かぶような、湘南乃風らしいライブチューンだが、そこはSixTONES。アゲアゲのサウンドのなかでも、メンバーのボーカルが艶やかな色気のようなものをアドオンして、彼らにしか表現できないレゲエを体現している。一緒に歌いたくなるコミカルなフレーズもてんこ盛りで、早くライブで盛り上がりたい一曲だ。ライブで盛り上がるという意味では続く「Underline」も絶対に現場でぶち上がる楽曲。これを提供しているのは現在の音楽シーンでも特異な存在感を放つミクスチャーバンド、Kroi。舌がもつれそうな譜割とコシの強いリズムで渦を巻いていくようなサウンドは紛れもなくKroi印。楽曲提供だからって一切容赦しない感じがとても彼ららしいのだが、それを鮮やかに歌いこなすSixTONESのスキルも見事である。
アルバムも後半に入り、大名曲「音色」と爽快感溢れる「BORDERLESS」でファンを安心させたところで、今作最大の“問題作”でありアルバムの世界を一気に押し広げる役割を担う、マキシマムザ亮君提供の「恋のバタリアン」がやってくる。オートチューンを駆使したボーカルで抜けのいいエレクトロ・ポップとしてスタートするこの曲だが、曲が進むにつれて次々と色を変えていく。ラップパートやハイトーンを挟んでBPMは一気にメーターを振り切り、怒涛のメロディック・パンクへと突入する。さらにヘドバン上等のパートや謎のセリフも入ってきて、楽曲はどんどんカオティックに。「はじけて ま・ざ・れー!!」というベジータの名ゼリフを彷彿とさせる歌詞からハードコアにぶっ込んでいくところなど、まさかとは思うがSixTONESのライブでモッシュが起きてしまうのではないかと要らぬ心配まで脳裏をよぎる。メンバーにとっても、かなりの挑戦だったのではないかと思う。
そして「Focus」「ここに帰ってきて」という、趣はそれぞれ異なるがいずれもメロディの強さでスケール大きく広がる2曲を経て、アルバム共通収録曲の最後を飾るのがコリン・ブリテンによる「WE ARE ONE」である。曲名どおり壮大なテーマをラウドなサウンドとともに歌い上げるど真ん中のロックチューン。6人6色の魅力を放ちながらグループとして進化し続けるSixTONESだからこそ、この曲のメッセージはいっそう説得力をもつ。
初回盤Aに収録されている「キカナイ」と「MIDAS」(いずれも流れるようなフロウを堪能できるディープなヒップホップ・チューン)、初回盤Bに収録されているユニット曲3曲もかなりの出来(個人的には松村と森本慎太郎によるアダルトなR&B「Don’t Know Why」にグッときた)だし、通常盤のボーナストラックとして収められている「Melodies and Memories」はボートラにしておくのがもったいないくらいの名曲なのですべて聴いてほしいのだが、それらも含めて、ここまで書いてきたとおり、今作に収録された新曲たちはどれもはっきりとキャラが立った個性派ばかり。特に、名だたるアーティストたちが直球勝負でSixTONESに挑戦状を叩きつけるような提供曲は、SixTONESというグループに新鮮な表情をもたらしている。アルバムごと、楽曲ごとに挑戦を続け、グループとしての可能性を拡大してきたSixTONESだが、今作ほどそれを表現しきった作品はない。6人の役割分担も、これまでのキャリアの中で定まってきた棲み分けもいったん混ぜ返して新たな味を生み出していくようなバイタリティが、この『GOLD』にはみなぎっている。
5th Album「GOLD」nonSTop digeST / SixTONES
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