Billboard JAPAN


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<インタビュー>松崎しげる×未唯mie×サンプラザ中野くん、ビルボードクラシックスフェスティバルへ向けてオーケストラとの共演を語る



インタビューバナー

 オーケストラの豊かな音に、多くのボーカリストの熱い思いを重ねて、ついに開催10年目。 記念すべき【Daiwa House presents billboard classics festival 2025】には、初登場3組を含む魅力的な顔ぶれが勢ぞろい。ジャンルも時代も超えた名曲の数々を堪能する、特別な夜になることは間違いない。日程は2月12日の東京・すみだトリフォニーホール 大ホール、2月14日の兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールの2公演だ。
 このコンサートを盛り上げるべく、昨年に続いての出演となる松崎しげる、 ビルボードクラシックス初登場の未唯mie(ピンク・レディー)とサンプラザ中野くん(爆風スランプ)を招き、特別座談会を開催。 3人の交友関係、オーケストラと共演する楽しみ、当日歌う楽曲など、様々な話題について語らうひととき、お楽しみあれ。
(Interview & Text:宮本英夫 / Photo:石阪大輔)


それぞれの音楽 オーケストラとの共演について

── 松崎さんはお二人のことを、以前からよくご存じなんですね。

松崎しげる:そう。未唯mieはね、ピンク・レディーがアマチュアの頃から知っているんですよ。ベッツイ&クリスみたいな二人組だった。

サンプラザ中野くん:えっ。ピンク・レディーにアマチュア時代があったんですか?

未唯mie:あったんです。クッキーという名前で活動をしていました。ヤマハ楽曲を歌っていましたね。

松崎:ヤマハ所属でね。僕もヤマハ主催のコンサートにはよく呼ばれていたから、そこで一緒になってた。 サンプラザの印象はね、やっぱり「夜のヒットスタジオ」(爆風スランプとして出演/1986年)。お花畑に飛び込んでたよね。

中野:よく覚えてらっしゃいますね。壊したお花畑は、THE ALFEEさんのセットで、そのあとの出番のために用意されてたところへ飛び込みました(笑)。

松崎:あれを見てて「やるねぇ~」と思った。昔、ザ・フーっていうバンドがあってね。ギターをバーンと弾いたあとに、ガーンって壊すのよ。 そういう若者の破壊的な行動の時代があって、それを久々にテレビの生番組で見ちゃったから、「すげぇなこいつら」と思った。

未唯mie:今回はクラシックなので暴れないでくださいね(笑)。

松崎:でもね、クラシックの中でも「暴れる」って絶対必要だと思う。俺もサンプラザも、歌をぶつけるタイプじゃない?  常にガッ!ガッ!という瞬発力で歌うタイプだから、それをクラシックにぶつけると、和音がとても気持ちいい時がある。

中野:せめぎ合いなんですね。飲み込まれちゃいけない。先輩の言葉、ありがたいです。


── 中野さんは、これまでにオーケストラとの共演経験はありましたか。

中野:ほぼほぼ、ないです。昔『電波少年』という番組で、猿岩石がロンドンにゴールした時に、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の皆さんが演奏してくれて、そこで歌ったことはありますけど。 あれは生演奏だったのか、録音だったのか、よく覚えていない…。

松崎:オーケストラはね、(楽器と歌の)タイムラグがいっぱいあるので、(ぴったり合った)オンのリズムがなかなか取れない時がある。

未唯mie:ドラムがいないんですもんね。

中野:そうか。ドラムがいないんですよね。ドラムがいないということは、リズムの真ん中が出てこない。

松崎:だから、マエストロ(指揮者)に合わせて歌う。というか、自分は歌が引っ張っていこうと思っちゃうタイプなので、マエストロには失礼だけど「ついてこい」みたいな感覚はあるかな。

中野:さすがです。

松崎:もちろん敬意はあるけど、「やっぱり俺が行かないとダメだよな」と思うから。 そうすると向こうも合わせてくれるし、一緒になってマエストロが楽しんでくれるのが面白いところかな。 音合わせの段階ではかなり難航することもあるけど、そういうスリリングなところがクラシックの面白さだから、 それをステージで楽しんじゃってる感はある。でもね、やっぱり夢のようですよ。歌い手冥利に尽きるというのはこのことなんだろうな、というふうには感じるね。

中野:楽しみです。楽しみですけど、怖いです(笑)。

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── 未唯mieさんは、オーケストラとの共演にはどんな思い出がありますか。

未唯mie:私は、過去に何度かオーケストラで歌うチャンスがあって、服部(克久)先生に指揮していただいたこともありました。 それと、ブロードウェイミュージカルの『NINE』(1983年初演)にクラウディアという役で出演した時に、演奏がオーケストラでしたね。 目の前のオーケストラピットに指揮者がいたので、ずっと指揮者を視界に入れながら歌っていました。

中野:未唯mieさんは今回、ピンク・レディーの歌を歌われるんですか。オーケストラでやると、リズムが難しそうですよね。

松崎:でもね、ピンク(・レディー)の曲の(「サウスポー」のリズムで)ウンパッパ、ウンパッパとか、オーケストラの感じがしない?

未唯mie:そうなんです。だからオーケストラと一緒になっても、「えっ?」と思ったことはないんです。

中野:僕は中学の時に、1年だけですけどトロンボーンをやっていたんですよ。なので、そこに耳を合わせて歌ってみるのもいいかも。

未唯mie:(リズムが)シャープではないですけどね。それがオーケストラの良さなので、気持ちをそちらに合わせてゆったりめに歌うと、すごく気持ちよく歌わせていただけるんです。

中野:お客様も、オーケストラのコンサートに慣れている方が多いですか。

未唯mie:そればかりではないんじゃないかしら。

松崎:そういう方が多いとは思うけど、 僕らみたいなタイプの歌手が、オーケストラの中でどんな歌を歌うんだろう?って、ものすごく集中して聴いてくれてる感じはするね。 だから去年は、以前に海外の音楽祭で歌ったオーケストラに似合う楽曲を中心に選んだんだけど。

中野:ヤバいな。そういう歌は持ってない(笑)。


── 中野さんは今回、何を歌われる予定ですか。

中野:私は「大きな玉ねぎの下で」という曲を。これはバラードだから合うと思います。あとは「Runner」と「旅人よ〜The Longest Journey」を歌います。

松崎:俺、「Runner」が大好きでさ。ボーカルの、ぶつける感覚がものすごく心地いいんだよね。サンプラザの曲というか、声質が。

中野:松崎さん、カバーしていただいてますもんね。ありがとうございます。松崎さんの「Runner」は素晴らしいです。すごいパワーです。

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── 未唯mieさんの選曲はいかがですか?

未唯mie:私はピンク・レディーの曲を2曲と、私にとっての新曲になるレナード・コーエンの「Hallelujah《ハレルヤ》」を歌いたいなと思っています。 ピンク・レディーの曲は、「ペッパー警部」はまず歌いたいと思っているんですけど、もう1曲をどうしようかな?と思っていて、 「UFO」がいいか、「カルメン'77」もオーケストラに合うと思うし、どうしようかな?と。

松崎:メドレーってのはどうなの?  ピンク・レディーのあの曲も聴きたい、あの曲も聴きたいって、未唯mieはそれぐらいのアーティストだから、ピンク・レディー・メドレーなんてやったら、お客さんはたまんなく喜ぶと思うんだよ。

中野:それはきっと、オーケストラの方も燃えると思います。

松崎:燃えるよね。だって今、この部屋にいらっしゃる全員が深くうなずいたもの(笑)。

未唯mie:うふふふ。どうしましょう。じゃあちょっと、ご相談をしましょうかね。

松崎:やっぱりね、ピンク・レディーは今のアイドルの子たちの原点だから。俺ですら「ピンク・レディー・メドレー? 聴きたい!」って思うもの。

未唯mie:ハードルを上げないでくださいね(笑)。私は歌い慣れてるからいいんですけど、オーケストラの方たちが大変じゃないかしら。 曲調がどんどん変わっていくし、リハーサルの時間もたくさんはないでしょうから。

松崎:すみません、私が余計なことを言ってしまったばっかりに(笑)。でもそれはみんなの願望だと思うよ。

未唯mie:確かに「サウスポー」がオーケストラだとどうなるのか、聴いてみたいですね。

松崎:クラシックの人たちは変拍子とか、ものすごくうまいから。マエストロが上手であれば、絶対に安心して歌えるよ。

未唯mie:そこは今回、指揮の齋藤友香理さんがどう料理してくれるのか、とっても楽しみです。

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── 松崎さんは、何を歌われる予定ですか。

松崎:先日、僕の最愛の友達の西田敏行が亡くなって……今度のビルボードクラシックスでは「もしもピアノが弾けたなら」を歌おうかなと、まず思ったんですね。 僕が歌うタイプの曲じゃないんだけど、なんかね、彼が「歌え歌え」と言っているような気がして、家でいろいろキーを変えながら練習していた時に、「これだよな」というものを見つけたので。でもね、あまりにも…。

未唯mie:まだ生々しいですからね、思いが。

松崎:でも歌い継いでいかなくちゃいけない。彼は喜怒哀楽がいっぱいあった人だから、曲を聴いただけで、彼のいろんな顔がパッと浮かんでくる。 1曲でそれが出るというのは、すごいことだと思うんだよね。

中野:それはぜひ歌ってほしいですね。


ビルボードクラシックスでの特別な経験

── 松崎さんは昨年、ビルボードクラシックスフェスティバル恒例のスペシャルコラボ歌唱曲として、 尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」を、小柳ゆきさん、石崎ひゅーいさんの3人で歌われました。今回のコラボ歌唱、何かアイディアはありますでしょうか?

松崎:実は前回、もう1曲歌いたい曲があったんです。坂本九さんの「見上げてごらん夜の星を」。 みんなが知っている、後世に残しておきたい曲だし、オーケストラのハーモニーの中で、コラボの曲としてすごく合うと思うんだよね。どうですか?

未唯mie:すごくいいと思います。

中野:いいですね。

松崎:時間的にも、皆さんがお帰りになる前に歌う曲だから、外に出てふと夜空を見上げるような、そんな感じが似合うと思うんだよね。 アレンジもクラシカルだし、いいと思うんだ。キーも、ちょうど未唯mieがいい感じで歌えるキーになってると思うし。

未唯mie:私は低いので、男性キーぐらいがちょうどいいんです。決まっちゃいましたね。

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── 楽しみがどんどん膨らみます。あらためて、今回のビルボードクラシックスフェスティバルへの思いと、お客様へのメッセージをお願いします。

中野:2024年に爆風スランプが40周年を迎えまして、25年間休んでいたんですが、つい先日からツアーを始めて、久しぶりにバンドのメンバーと音を出したんですね。 そしたら、すごく歌わされちゃったんです。うちのバンドは、ボーカルはさておき、演奏が上手いというのは昔から評判だったんですけど、あらためて一緒にやったらすごく歌わされて、乗せられたんですよね。 今回オーケストラの方とやる時も、たぶん乗せられちゃうんじゃないかな?と思っていて、それが楽しみです。 バンドとは違う乗せられ方をして、よりいい歌を歌えたらいいなと思います。オーケストラに飛び込んだりはしないので、安心して見に来てください(笑)。

未唯mie:オーケストラとのコラボレーションの中で歌えることは本当に嬉しいですし、呼んでいただいて感謝しています。 オーケストラの豊かな音楽の中で、ピンク・レディー楽曲がどんなふうに聴こえるのか、皆さまに楽しみにしていただけるでしょうし、自分自身もどんなふうになるのかが楽しみです。 マエストロのタクトの一振りで曲がどんどん変化していく、そこが一番楽しみなところですね。

松崎:これぞ音楽の醍醐味というか、ハーモニーの渦の中で歌える幸せを感じていて、オーケストラの絢爛豪華な部分というのかな、 あの音の中に自分がいることが嬉しくてしょうがないので、ワクワク感がいっぱいです。 日本のスタンダードとして残ってほしいと思う曲を今回は歌おうと思っているので、ぜひ楽しんでもらいたいと思います。

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