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<コラム>2ndアルバム『The Secret of Us』が英米チャートを席捲、グレイシー・エイブラムスがいよいよ初来日
かのテイラー・スウィフトをして「最高に素晴らしいパフォーマンス 」と言わしめたのは、LA出身のシンガー・ソングライター、グレイシー・エイブラムスだ。テイラーの約2年にわたるErasツアーで、オープニング・アクトを務め、先日のトロント公演最終日にて、2人はグラミー賞「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス」にノミネートされたコラボ曲「us」と「Out of the Woods」のマッシュアップを披露した。(Text: 近藤麻美)
父親(J.J.エイブラムス)に影響された”ワイルドな物語”と”クレイジーな想像力”
グレイシー・マディガン・エイブラムスはアメリカ生まれの25歳。EP『Minor』、続くプロジェクト『This Is What It Feels Like』をリリース後、2022年、オリヴィア・ロドリゴのSour ツアーでオープニング・アーティストに抜擢され、幅広いファン層を確立した。オリヴィアは、「日常生活を送りながら、他の誰も気づかないような小さなディテールを引き出せるのは、ある種の才能」とグレイシーのソングライティング能力を高く評価。さらにグレイシーのライブを「親密でありながら、同時に壮大」と称賛している。親友同士の二人は、キャリアが急成長するにつれ、新たな名声を手に入れながら、サポートやアドバイスを求め合うようになったという。
スター・ウォーズの映画監督J.J.エイブラムスと映画・TVプロデューサーのケイティ・マクグラスを両親に持つグレイシーは、8 歳で曲を書き始め、そのころから真剣に日記をつけるようになった。13歳のときに初めて「Between the Bars」に出会い、エリオット・スミスを聴き始めた。「彼のプロダクションは、私にとって大きなインスピレーションとなった」とグレイシーは語るが、彼女の音楽に時折表れるメランコリーはその証だろう。曲を書くことは慰めと同時に励みになったが、実際、彼女の曲のストーリー・テリングに影響を与えたのは、父親のクリエイティヴィティ(”ワイルドな物語”と”クレイジーな想像力”)だったと明かしている。そしてそれは、2023年の1stアルバム『Good Riddance』に色濃く表れている。常に自分の感情を軸にする彼女の音楽では、他人には一見無関係に感じられるような細部に最大の焦点を当てる歌詞が秀逸に際立っているが、彼女の個人的な感情の吐露を世界と共有することを可能にしたのには、アーロン・デスナー(ザ・ナショナル)の貢献が大きい。アーロンは、このアルバムで、プロデュースと共同作曲に携わっているが、グレイシーのデビューが近づいたとき、彼はソーシャルメディアに、「僕らはまるで兄妹のようだ」と投稿した。グレイシーも「私は酷い事実も含めて、自分に起こったことをすべてアーロンに話すの。だから私の人生の物語をまるで家族のように彼に負わせているの」と語る。彼女の繊細な声で歌われる率直な思いが、魅力的なコード進行とインディーロックのリフに浮かび上がっているのはそのためだ。グレイシーは、この作品が、感情的な障害を乗り越え、自分自身に責任を持ち、過去を手放すきっかけとなったと語っている。
公演情報
【Gracie Abrams: The Secret of Us Tour】
2025年4月8日(火) OPEN18:00 START19:00
Zepp Haneda
チケット:
1階スタンディング 8,800円(tax in.、整理番号付き)
2階指定席 12,000円(tax in.)
※上記2券種:1人あたり各日4枚まで
H.I.P.会員抽選先行:12月4日(水)正午 12:00~12月8日(日)23:59
オフィシャル 1 次抽選先行:12月5(木)正午 12:00~12月15日(日)23:59
オフィシャル 2 次抽選先行:12月27(金)正午 12:00~1月7日(火)23:59
オフィシャル最終抽選先行:1月18(土)正午 12:00~1月26日(日)23:59
https://www.hipjpn.co.jp/live/gracieabrams2025/
リリース情報
関連リンク
前作よりはるかに成熟した2ndアルバムで、チャートを席捲
そして、今年6月、グレイシーは、2ndアルバム『The Secret of Us』をリリースし、”sad girl”達の夏をスタートさせた。この作品は、本人曰く「恋に落ちること、必ずしもその気持ちが相手に届かないこと、そしてその事実を受け入れて人生を歩むこと」がテーマになっているとのことだが、ここで描かれるストーリーは、元恋人への公開書簡であり、自己批判的なバラードであり、新たな強さと信念でもある。しかし、このアルバムは歌詞だけでなく、彼女の声やサウンドにおいても、前作よりはるかに成熟しているといえる。静かなささやきやスローノートは健在だが、よりキャッチーでメロディアス、そして、率直に自分の想いを描くことを恐れないその前向きな姿勢は、強いカタルシスで感情を解放してくれる。『Good Riddance』は過去の自分への別れ、そして脆弱性との個人的な闘いを謳っていたが、『The Secret of Us』は、この感受性を受け入れる。今回もプロデュースは、グレイシーとアーロンが手掛けているが、グレイシーの長年の親友であるオードリー・ホバートが多くの曲の共作を務めているからか、このアンソロジーには、友人同士が経験や感情について語り合うような親近感が漂っている。ちなみにこのアルバムには、前述したテイラー・スウィフトとのコラボ曲「us」も収録されており、リリース翌月には、全英アルバムチャートで1位、全米アルバムチャートで2位という好成績を記録した。
アルバムセールスの健闘はシングルにも及んだ。「I Love You, I'm Sorry」は、UKシングルチャートで最高4位に達し、Spotifyで2億4,200万回以上、YouTubeで220万回以上の再生を記録、彼女を全く新しいレベルに押し上げた。しかし驚くのは、『The Secret of Us』デラックス盤に追加収録された「That's So True」の成功だ。10月18日のリリースにも関わらず、Spotifyによると、11月5日から12日までの1週間のストリーミング数は80%増加、発表から間を置かずにチャートインしたかと思うと、今週(11月29日付)のUKシングルチャートでは、4週連続のNo.1をキープしている。これは、グレイシーの筋金入りのファンが、デラックス・アルバムが発売されるずっと前からこの曲を高く評価していたということに他ならない。
また、この成功に貢献したことのひとつに、グレイシーとファンとの交流がある。彼女はソーシャルメディアでいち早く新曲を紹介したり、ライブで未発表曲を演奏したりと、常にファンへの感謝を忘れない。特にSNS上でのコミュニケーションは、それが何十万人、何百万人に見られているにもかかわらず、まるで親友と1対1で話しているような感覚を与えているかもしれない。
さて、そのグレイシー・エイブラムスが、彼女のソングライティングにおける最高のショーケースとなった2ndアルバム『The Secret of Us』を引っ提げて初来日することが決定した。幼いころに一度日本を訪れたことがあるという彼女は、スタジオジブリの大ファンで、滞在中はたくさんの文化に触れたいと語るほどの日本好き。さらに日本公演に関しても、「各公演で私ができることは、できる限り多くの愛を持って臨んで、みんなにその愛をしっかり受け取ってもらうことだと思います。みんなが公演を通じて、自分がこの大きな家族の一員であることを感じてくれれば嬉しいです」との素敵なコメントが届いている。親友から秘密を打ち明けられるかのような親近感と感情のカタルシスが体験できるグレイシー・エイブラムスのショー。お気に入りの服を着て、彼女に会いに行こう。髪に白いリボンを飾って。
公演情報
【Gracie Abrams: The Secret of Us Tour】
2025年4月8日(火) OPEN18:00 START19:00
Zepp Haneda
チケット:
1階スタンディング 8,800円(tax in.、整理番号付き)
2階指定席 12,000円(tax in.)
※上記2券種:1人あたり各日4枚まで
H.I.P.会員抽選先行:12月4日(水)正午 12:00~12月8日(日)23:59
オフィシャル 1 次抽選先行:12月5(木)正午 12:00~12月15日(日)23:59
オフィシャル 2 次抽選先行:12月27(金)正午 12:00~1月7日(火)23:59
オフィシャル最終抽選先行:1月18(土)正午 12:00~1月26日(日)23:59
https://www.hipjpn.co.jp/live/gracieabrams2025/