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<インタビュー>BMSG POSSEが「"BMSG"を体現するクリエイティブ集団」である理由、その柔軟なスタンスが詰まった『TYOISM Vol.1』

インタビューバナー

Interview: 高木“JET”晋一郎


 SKY-HI、Novel Core、Aile The Shota、edhiii boi、REIKOの、<BMSG>に所属するソロ・アーティスト5名からなるBMSG POSSEが、オムニバス・アルバム『TYOISM Vol.1』を12月11日にデジタル・リリースした。もともと、グループや名義にとらわれないコラボレーションがさかんで、いわば“横のつながり”が非常に強い印象にあるBMSGだが、そのなかで今、この5人が“BMSG POSSE”を名乗る意味とはなんなのだろうか? また、“BMSG POSSE”名義のアルバムなのに、この5人以外の楽曲が半数以上を占めるラインナップにはどんな意図があるのだろうか? その答えには、彼らが「"BMSG"を体現するクリエイティブ集団」である理由が詰まっていた。

BMSG POSSEは“概念”?

――「POSSE」という言葉は、ヒップホップ的な文脈では「グループ」よりも流動性の高い、「意識を同じくする者たちの集まり」というニュアンスがあります。その意味では、BMSG POSSEも「新規のグループ」ではない?

Novel Core:そうですね。新グループ、新ユニットとはちょっと違うかも。


――ただ、BMSG POSSE名義での新曲もある事も含めて、打ち出しとしてはグループだと思われる部分もあると思います。

SKY-HI:そういう“誤解”も内包してていいのかなって。今回のアルバム『TYOISM Vol.1』に、BMSG POSSE名義の曲はもちろん、SKY-HI、Novel Core、韓国のラッパーCHANGMOでの「ZOOM」や、SKY-HI、REIKO、フィリピン出身のシンガーNo Romeの「Tokyo Night Dreaming feat. No Rome」のような海外勢とのコラボ曲だったり、BMSG ALLSTARSの「New Chapter」みたいに、BMSGのアーティストが横断的に参加している楽曲も多いのもそういうことで。この5人が「BMSG POSSEの代表」ではあるんだけど、これが全員ではないし、ここからまた新しいグループも生まれるかもしれないし……みたいな。

Aile The Shota:たとえばCoreとedhiii boiと日髙さん(SKY-HI)が出るフェスがあって、僕は別のイベントにShowMinorSavage(Aile The ShotaとBE:FIRSTのSOTA&MANATOによるユニット)で出て、REIKOはまた別のイベントに出る日があったとしたら、それぞれがBMSG POSSEでの曲を歌うとかでもいいと思うんですよね。POSSEはそれぐらい柔軟でありたいなって。

SKY-HI:だから、なんというか……概念?


――アナウンスとしても「"BMSG"を体現するクリエイティブ集団」とPOSSEについて説明されていますし、それは観念的でもありますね。

SKY-HI:アーティストはもちろん、社員に対しても言うんですけど、「BMSGはダンス&ボーカルだけを作る会社じゃないよ」と。「いい音楽をたくさん作る」というのを大前提には置くけど、同時に、現行のシーンや環境では居場所がない、居心地の悪い人たちが集まれるような場所でありたいんですよね。そういう、自由度や多様性を認めて、互いにリスペクトするというのがBMSGの意識だし、それをPOSSEでは体現したい。ソロやグループで活動するうえでは、ブランディングや活動のバランスもあるし、「フィーチャリング」「楽曲の専属開放」みたいな実務的な問題もあって、カジュアルには動きづらい。でも、もっと自由に動ける体制があってもいいのかなというのがPOSSEのアイディアの原点で。だから「BMSGという集団としての自由度を担保する存在」というイメージですね。ぱっと見ただけでも「なんだこの集団!」って思うじゃないですか(笑)。

Aile The Shota:自然発生的でしたよね。それこそ所属が決まったぐらいから話は出ていたし、僕とedhiiiのソロデビューが決まって、「ソロが4人になったね」というぐらいで話が本格的になっていって。

edhiii boi:「Brave Generation -BMSG United Remix-」がきっかけ?

SKY-HI:それぐらいだね。でも、良いタイミングだしフェスに一緒にでたいなと思った際に、SKY-HIのステージにゲストとして3人を呼ぶのはちょっと違うから、「BMSG POSSE」という呼び方をしたんだよね。



Brave Generation -BMSG United Remix- / SKY-HI, Novel Core, Aile The Shota, edhiii boi


Aile The Shota:それでREIKOのデビュー準備も整って、ソロデビューが決まった2023年の秋には、この5人での曲作りの計画が始まって。

edhiii boi:ずっと「POSSEの活動が早く始まればいいのに!」って思ってたんですよね。僕はCoreくんとは制作的な部分で一緒になったことがあまりなくて、BMSGに入る前からリスナーだった――“Core-Boy”名義の時から聴いてるから、「Novel Coreだ!」みたいな感じで、ちょっと緊張してたんです。

Novel Core:そうだったの?

edhiii boi:でも、POSSEの活動が始まってすごく仲良くなれたし、毎日楽しいです。

Novel Core:じゃあよかった(笑)。あとREIKOが入ったことでPOSSEの解像度がめっちゃ上がったよね。

Aile The Shota:4が5になって、それぞれの位置がめっちゃ際立つようになった。


――人数が増えるとボヤけがちになる場合もありますが、BMSG POSSEではそれが逆だったと。

edhiii boi:濃淡がより明確になった感じですね。

Aile The Shota:僕とREIKOは同じボーカルパートだけど、やってることはめっちゃ違うっていうのが、より明確になったりして。さらにラッパーの違いもそこで顕著になったんですよね。

SKY-HI:集合して「グループの人格」ができることで、更に「それぞれの個人格」も育って、それによって「BMSG POSSEのカラー」「個人のカラー」が再構成されていく感じだったよね。


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「受け取り方」に僕らは寛容でいるべき

――今回のEPは「Girlfriend」から始まります。「Girlfriend -Remix-」でSALUさんが〈I used to f-you-see-K.I.N.G love H.E.R and me〉とラップしていますが、それはこの曲がCommon「I USED TO LOVE H.E.R」のオマージュであることを明確にしています。そのCommonの曲は、ヒップホップを「ままならない相手」として擬人化した曲であり、特にCoreさんとSKY-HIさんはそういった筆致でリリックを構成していますね。

SKY-HI:でも“For The Ladies”ソングに聞こえても全然いいし、その文脈がわからないと曲が楽しめないなんてことは全くないと思う。ふっと流れてきて「格好いいラップミュージックだな」と思ってもらえればいいし、ヘッズだったり文脈が分かる人は「あ、『I USED TO LOVE H.E.R』じゃん」とニヤッとしてくれるぐらいでいいのかなって。

Novel Core:普通にラブソングとしてもおもしろい曲になっていると思うし、メタファーの部分はプラスアルファというか、「ヒップホップカルチャーにはこういう楽しみ方もあるんだよ」みたいな、ちょっとしたエデュケーションに繋がればいいかなって。



Girlfriend (Prod. Chaki Zulu) / BMSG POSSE


I Used to Love H.E.R. / Common


――確かに、これがメタファーだと理解させたい、リスナーのリテラシーを上げたいという思いはあまり感じませんね。

Novel Core:発信側の視点が多いから、受け取り側も色んな視点で楽しめると思うし、「受け取り方」に僕らは寛容でいるべきだと思うんですよね。それはリスペクトという意味でも。だって、そもそもedhiiiは女の子との話として書いてるもんね。

edhiii boi:そうなんですよ。僕はラブソングとして書いてたんで、ラジオに出演した時に、他のメンバーが「これはメタファーでもあって」という話をした時に「えっ! そうだったの!?」って(笑)。


――ははは。でもそれはedhiiiさんが直截的なラップ表現がスタンダードになった以降の世代だからこその感覚だと思うし、直接的なラブソングの方向に振ったからこそ、逆にこの曲の暗喩性の幅が広がった部分があると思います。

SKY-HI:それはホントにある。

Novel Core:楽しみ方の種類が増えた。

SKY-HI:最初に聴いた時は「こんなメタファーを書くなんて、すごいリリシズムだ!」と思ったもん(笑)。

edhiii boi:いやいや、実はメタファーなんですよ。

REIKO:強引に取り返そうとしてる(笑)。

SKY-HI:でも〈弱音、嫉妬、全部歌にして溺れてた/野暮な僕の元に君がふと現れた〉……これはラップに通じるよね。

edhiii boi:「やっぱヒップホップってそういうとこあるよな~」って思いません?(笑)

SKY-HI:だから「首元のPerfume」からおかしくなるんだよな。

Novel Core:「首」っていうのもなんかのメタファー?

edhiii boi:それは、え~と……。


――「Protect Ya Neck」(ウータン・クラン)的な?

Novel Core:ハハハ。ウータンからの引用だった!(笑)

REIKO:〈急なラブに照れくさくて歯が痛い〉っていうのは?

SKY-HI:甘くて歯が溶けちゃうってことでしょ?

edhiii boi:それは単純に「歯がゆい」って単語を「歯が痛い」だと思ってて。

Novel Core:そのブロークンジャパニーズな感じが詩的になってるよ。

REIKO:俺よりブロークンだもん(笑)。

Aile The Shota:だから、他の4人が超深読みしすぎて感動するっていう現象が起きました(笑)。


――でも、その内容に対して「これはズレてない?」という話はしなかった?

SKY-HI:それをやるのは、“自由度”がテーマのPOSSEでは違うなと。それにあくまでメタファーですからね。


――確かに「暗喩」だから、それを前面に押し出すのは違いますしね。

edhiii boi:僕は自分が感じたことや実体験をリリックにするので、恋愛系か、自分の孤独に向き合うような内容が多いんですよね。だから「こういう内容を書こうよ」みたいな形で制作を進めると、すごく苦戦するんです。


――それはEP『15th Dream』のようなユニットの時に感じたこと?

edhiii boi:そうですね。楽しいけど、得意ではないかな。だから「Girlfriend」も恋愛の方向に進んで、暗喩の部分はあまりできなかったかもだけど、POSSEはそれを受け入れてくれるんですよね。

SKY-HI:恋愛系の曲というテーマではズレてないもんね。

edhiii boi:POSSEはそういう自分も受け入れてくれるし、「お前、これさあ」って責めることもないし、すごく居心地がいいんですよね。

REIKO:僕も心地よさをすごく感じるし、気ままにやらせてもらってるなって。この曲のリリックも、自分がいま感じている音楽やヒップホップに対する感情を素直に書かせてもらって。


――具体的には?

REIKO:BMSGに入る前からヒップホップは聴いていたけど、そこまで深堀りはしてなかったんですね。もっと言えば音楽自体「オタクイズム」というか、ディープに考えたりはそこまでしてなくて。でも、BMSGに入って音楽の楽しさ、ヒップホップの深さを学んで、「今まで聴いていた音楽にはこういう背景があったのか」「ヒップホップはこういうアートだったんだ」っていうことが分かるようになると、より音楽に対する愛情が深くなったし、楽しいなって。その気持ちが伝わってほしいし、反映されているのが、「Girlfriend」のリリックですね。

Aile The Shota:うん。「知った先にある楽しさ」も絶対大事だよね。

SKY-HI:「知りたくなる余白」とかね。

Aile The Shota:BMSGはすごくオーバーグラウンドな会社だけど、そういう活動をしているからこそ、ディープな部分やアンダーグラウンドで知ったことは忘れたくないし。それが作品に現れれば、それが自分たちはどこから出てきたかっていう証明になると思う。

SKY-HI:音楽やヒップホップだけじゃなくても、好きなものはやっぱり深く知りたくなるじゃないですか。そういう楽しみ方を出したいというのが、クルーとして考えていることかもしれない。


――そういうナレッジが「これはこう聴くべき!」みたいな、一種のパターナリズムやマンスプレイニングへ特にヒップホップはつながりがちだけど、「こういう遊び方も面白いんじゃない?」という、もっと協働的な形で、楽しみ方を提示する感じですよね。

SKY-HI:うん。敷居なんて低ければ低いほど、奥なんて深ければ深いほどいいんだから。「本質性やインテリジェンスを持って、ポップに遊ぶ」みたいなイメージですよね。ハードでもポップでも、マスでもコアでも、どんなタイプのリスナーも手放さないのが「アーティストの責任と喜び」だと思うし、僕らがやりたいことだから。

Aile The Shota:それも“新しい居場所を作る”ということですよね。たとえば僕だったら、J-POPの流れからヒップホップやR&Bが好きになったんですけど、そういう人間も楽しめるんだよ、っていうことをPOSSEは表現できるのかなって。


――「ずっとひとつのジャンルを追いかけている」ほうが、なんとなく優位に立つ感じがあるし、雑多に聴いている人間はなんとなく居心地の悪さを感じることはありますよね。これは印象論ではあるんですが。

Aile The Shota:でもBMSG POSSEには、ラッパーとしてキャリアのあるSKY-HIとNovel Coreがいて、シンガーとしてR&Bやポップスに向き合ってるREIKOがいて、子供の頃からラップをやってるedhiii boiがいて、そしてさっき話したようなリスニング経験のある僕がいて……みたいな。自由度が高いし、子どもの頃の俺が見たら、めっちゃ憧れてるだろうなと思いますね。

SKY-HI:東京自体がそういう街だと思うんですよね。何でもあって、誰でも入ってくる。「TYOISM」自体それを意識したプロジェクトで、「ラップも聴いてるし、テクノも好きだし、BMSG POSSEで踊ってて、FRUITS ZIPPERでは○○推しです」みたいなことを、もっとフラットに言える空気にしたい。好きなものを好きだって大声で言っていいんだよ、って後押ししたいんです。それはBMSGのアーティスト自体がそうだし、そういう会社だから。その意味では「MINNA BLING BLING」をプロデュースしたMONJOEも超“東京”だよね。

Novel Core:超混ざってる。

SKY-HI:ストリクトリーなヒップホップも、ベース・ミュージックにも通じて、DATSとしてバンドもやってる、みたいな。

REIKO:アンテナも超高いし。


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格好つけないありのままで、自分たちも楽しみたい

――その「MINNA BLING BLING」はedhiii boiさんのフックの破壊力が強烈ですね。

edhiii boi:ワード自体はみんなで考えたんですよね。

SKY-HI:edhiii boiがフックで映えるような曲をPOSSEで一曲は作りたくて。

Novel Core:この曲はMONJOEさんのトラック自体がかなり固まってたから、個人的にはラッパーとして試されてる感がありましたね。

edhiii boi:でも、それが超楽しかった。

SKY-HI:なんかPOSSEのシグネチャーっぽいイメージだよね。



MINNA BLING BLING (Prod. MONJOE) / BMSG POSSE


edhiii boi:(スマホにメモを取っている)

SKY-HI:いまなにメモってんの?

edhiii boi:「シグネチャー」。どういう意味かなって。

Aile The Shota:edhiiiはインタビュー中にわからない単語があったら全部メモってるんですよ。

edhiii boi:これだけメモってます(画面を見せると、かなりの量の単語が羅列されている)。


――ホントだ!

edhiii boi:わかったふりは良くないし、言葉の数も増やしたいなって。


――素晴らしい……。

Novel Core:昨日も「ドーナツ化現象」をメモってたよね。

REIKO:それ……小学校の社会の授業で出てこなかった?

SKY-HI:はっはっは! 正論だけど厳しいよ、REIKO(笑)。

edhiii boi:学びます(笑)。

Novel Core:CreativeDrugStore(CDS)のJUBEEくんと話してた時に、例えばCDSでBIMくんがめっちゃ面白いリリックを出してきた時に、刺激されて普段の自分のソロでは出てこないリリックが出てくるし、それがソロにもフィードバックされるって話をしていたんですよね。僕にとっても、この曲はそれにすごく近い印象がある。とにかくまず他のメンバーがぶっ飛ぶようなリリックを書きたいし、ぶっ飛ばされたし、その盛大な身内ノリがお客さんを巻き込んでいくっていうことに、すごくヒップホップを感じましたね。

Aile The Shota:梅田サイファーのライブを見た時にもそれを感じたし、それが集団ならではの魅力なのかなって。

SKY-HI:昔のダメレコ(Da.Me.RECORDS)とかもそうだった気がするし。

edhiii boi:「ダメレコ」……と(スマホにメモる)。

SKY-HI:昔、KEN THE 390とかTARO SOULがいたレーベルね。


――まあ、それはいまメモらなくていいかな(笑)。特にこの曲は、確かにソロでそれぞれが出しているメッセージとは少し違うし、Shotaさんの〈踊らせるのは大衆の皆々様〉のような、少しシニカルな視点もあって。

Novel Core:エゴだったり、伝えたい根本だったりは変わらないんだけど、そのアウトプットの仕方がちょっと違うのかな。だから「あえてエゴを捨ててユニットに向けてリリックを書く」という方法も、そこでは取れるわけで。

REIKO:格好のつけ方がちょっと違うよね。

Novel Core:うん。もっというと「格好つけない」に直結すると思う。スタンスとして、自分たちが好きなように、死ぬ気で遊んでるさまを見せて、それが楽しそうとか、ワクワクするみたいなところにつなげたいし、格好つけないありのままで、自分たちも楽しみたい。

REIKO:性格とアーティスト像が直結してるってことかな。

SKY-HI:それは直結すべきだよね。このシビアな東京砂漠を歩く時に、やっぱりキャラを作ったほうが、服を着たほうが楽なんですよ。「いや、あれは俺じゃないから」って言えるし。でも、やっぱり必要なのは「裸でも歩ける強さ」だと思うんですよね。ただ、裸で砂漠を渡るのはめちゃくちゃ体力がいるし、回復するためのベースやオアシスが必要。そういう場所としてPOSSEをやりたいんですよね。ただ生きるだけでも大変なこの時代の日本で、さらに特殊な音楽業界をサバイブして、みんなで幸せになるための基地、自分を助ける場所としてPOSSEがあると思う。僕自身、POSSEの後にソロを作ったら、驚くくらいスルッと歌詞が出てきたし「自分が何を書くべきか」がすごくクリアになった。希薄になっていた自意識みたいな部分が、POSSEで曲作りすることで回復して、「SKY-HIとはこういうアーティストだ」という部分が明確になったからかもしれない。


――“ポッセ”という「集団=社会」に参加したことで、逆に「個人」の本質やアウトラインが明確になったというか。

REIKO:僕もそれをめっちゃ感じました。やっぱり4人のキャラとアーティスト性がしっかりしているから、そこに参加することでREIKOというアーティストがすごく自分でも理解できたし、個人が際立ったと思います。それはソロとしての自分の助けにすごくなったなって。正直、POSSEが始まる時、そこで自分はどう動けばいいのか悩んでいたんですよね。だけど一緒に制作すればするほど、ステージに立てば立つほど、自分が自分らしくいることができたんですよ。

Novel Core:影響を受けないように、誰かと被らないようにって考えれば考えるほど、自分の道からズレたり、不純物が混ざったりすると思うんですよね。逆にそういうことを考えないで、自分が自分らしくあり続けることこそ、自分と他者を明確に分けることになるんだなって、REIKOの成長からは感じましたね。

SKY-HI:ほんとに、POSSEの活動を通して一番変わったのがREIKOだったかもね。

REIKO:ほんとっすか。嬉しいです。

edhiii boi:ん~……。

Aile The Shota:ははは。edhiiiが悔しそう。

edhiii boi:僕も成長してないですか?

Novel Core:面倒くさい彼女感が出てる(笑)。

SKY-HI:でも今の話でいうと、もともと不純物が入らないのがedhiii boiだから。

edhiii boi:ほんとですか?

SKY-HI:キャリアとしても、単純に年齢としても、POSSEでいちばん成長過程にあるのがedhiii boiじゃん? でも、他のみんなは色んな影響や過程があって今があるし、だからこそ、たとえば「Novel Coreの素数とはなにか」みたいに、いろんな影響を剥がして、因数分解して、根本を洗い出すミーティングをする必要があるんだよね。

Aile The Shota:俺もREIKOもやったよ。

REIKO:やりましたね。

edhiii boi:俺、まだやってもらってない……。

SKY-HI:でも、それはedhiii boiが素数のアーティストで、いまはすごくピュアな存在だからだよ。そこに色んな要素が混ざって素数が見えにくくなったら、そういうミーティングをしよう。

Novel Core:edhiiiの素数な部分は本当にリスペクトしてる。自分はその真逆で、すごく影響を受けやすいから。

Aile The Shota:俺もだよ。

SKY-HI:edhiiiももちろん色んな影響も受けてるし、そういう成長の最中だと思うけど、そこで自分がブレないんだよね。

Novel Core:だからホントに天才だと思う。

edhiii boi:(顔をほころばせる)

Aile The Shota:嬉しそう(笑)。

SKY-HI:でも素数系のラッパーってホントに貴重だから。日本だと誰だ?


――NIPPS(BUDDHA BRAND)さんとか?

SKY-HI:マイクアキラとか?


――……edhiii boiくんにはそれとは別の道を進んで欲しい気もします(笑)。時間いっぱいで解説に入れなかった「OVERDRIVE」にこそ、POSSEのイズムみたいな部分が出ているので、そのメッセージは楽曲で確認していただきましょう。最後に、この先のPOSSEの動きは?

SKY-HI:流れのままにという感じかな。海外のアーティストも含めて、色んなコラボや展開をフットワーク軽くやっていきたいし、アメーバのように、有機的に色んな場所に進んでいきたいし、成長できればなって。でも同時に“純度”みたいなものは保っていきたい。


――アーティスト・ファーストな部分?

SKY-HI:かな。自由度の高い動きをしたいからこそ、自分たち自身を大事にしていきたいし、その上で「本質的な格好良さ」から逃げないっていう。「ボーイズグループだからこうする」「ポップソングだからこれはやらない」みたいな(枠組みにおもねるような)ことはしないっていう硬派さが僕らにはあるし、それがちゃんと刺さる場所や人は、もっとたくさんいると思うんですよね。それがさらにグローバルな形になったら、もっとすごい規模になると思うし、それはひとつの希望ですね。


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