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<インタビュー>三代目 J SOUL BROTHERSがアルバム『ECHOES of DUALITY』をリリース――“三代目だからこそ”見せられるグルーヴと制作で見つけた自分たちの役割
Interview & Text:坂本ゆかり
Photo:Mayuka
11月13日に、三代目 J SOUL BROTHERSがニューアルバム『ECHOES of DUALITY』をリリースする。全曲新曲により構成され、様々な音楽プロデューサー・クリエイター陣と共に制作したという本作には、リリースする度に変貌を遂げてきた彼らの最新モードが詰め込まれている。
今回のインタビューでは、先行配信された「BLAZE」「Baby don’t cry」を中心にアルバムの制作についてや、来年15周年を迎える今の心境などたっぷりと伺った。アルバムの初インタビューともなり、ここでしか聞けない話題が目白押しである。
14年やってきても新しい表現ができるって面白いこと
――新アルバム『ECHOES of DUALITY』から、「PETAL & THORN(花びらと棘)」というコンセプトが掲げられました。このコンセプトに至った経緯を教えてください。
小林直己:前回は「Land of Promise」というテーマで1年かけてアリーナからドームまでまわり、僕らとMATE(ファンの呼称)が辿り着いた約束の地【JSB LAND】で、三代目が作ってきたエンターテインメントを総集結させました。
来年、三代目は15周年を迎えます。近年、集大成のようなライブが多かったので、15周年に向かって、また新たな作品、新たなクリエイティブに挑戦したアルバムをベースにしたライブを作ろうとなりました。そこで出てきたコンセプトが、物事の二面性を表現している「PETAL & THORN(花びらと棘)」で、アルバム『ECHOES of DUALITY』は「PETAL & THORN」を体現するコンセプトアルバムになっています。
――新たな挑戦……ということですが、アルバム『ECHOES of DUALITY』は全曲新曲、そして全曲違うプロデューサーとの作品と、かなりの挑戦作ですよね。
ØMI:そうですね。直己さんが言ってくれたように、そろそろ音楽的な新しいアプローチをしてリニューアルしたライブをやりたいというのは、みんな感じていて。だからこそ今までと同じ制作過程ではなく、1曲1曲にプロデューサーを立てて、その人たちから見えている三代目を表現してみたかった。初めましてのプロデューサーさんも多いので、今までとの、そして数多の男性グループとの音楽的な違いを見せる意味でも、大きなトライかなと思っています。
――「三代目ってこうですよ」とこちらから提示するのはなく、外から見た「三代目ってこうだよね」を見せたかった?
ØMI:それもあるけれど、自分たちへの刺激という効用も大きかったですね。15年目の我々にとってすごく勇気のいる挑戦でしたが、若いプロデューサー陣からの「今、これがイケてますよ」という先入観のない提案は、新しい血が入る感覚でした。
――新しいクリエイターとは、どのように制作を進めたのですか。
小林:まず曲を提案してもらって、僕らが加わってアルバム全体のバランスを見ていって。ライブに向けてのアルバムなので、ライブに合うように調整していくのは大事な作業でした。今回のクリエイターさんは、これまでの三代目にはなかったワードや曲調を提示してくれた。僕たちパフォーマーの立場からすると「ライブだとこういうことができるんじゃないか」というイメージがすごく拡がりました。その分、ボーカルは大変だったんじゃないかな(笑)。
今市隆二:そうですね。ヒップホップ色の強い曲は、けっこう試行錯誤しながらレコーディングしたかな……。ほぼ初めましてのトラックメーカーに、良い意味でプロデュースしてもらう手法だったので、デビュー当時を思い出しました。「どういう形になるんだろう?」と思いながらも、すごく楽しかった。クリエイターに委ねてはいるけれど、自分たちが歌えばやっぱり三代目になるのは間違いなくて。その塩梅を探しながらのレコーディングでしたね。
ØMI:これまでの作品は、テーマや歌詞に関しては自分たちも入っていって、自分たちらしさを意識して作ることが多かったのですが、今回は基本、プロデューサー陣に委ねる形で、ディレクションも作ってくれたクリエイターにやってもらった。そうすることで、僕らがこれまでやってきたこととは違うことを求められたり、提案してくれたりする。今までが「自分色に染め上げる」だったとしたら、今回は「求められることにできるだけ高い水準で応える」というトライをさせてもらって、すごく勉強になりました。これだけ長くやってきても、まだ学べることがあるのは感動でした。
'DEVELOP' Official Music Video / 三代目 J SOUL BROTHERS
――「Land of Promise」をテーマに掲げたときのシングル『STARS』が三代目を代表する「R.Y.U.S.E.I.」へ向かうEDMへの回帰だったとしたら、アルバム『ECHOES of DUALITY』は、三代目 J SOUL BROTHERSという名にふさわしい原点への回帰だなと思いました。
岩田剛典:僕もそう思いました。そういう楽曲を作るトラックメーカーが多かったからかな。個人的には元々好きなジャンルだし、どの曲も振付けやパフォーマンスが入った時にライブ映えするイメージができたので、ツアー自体も一新できそうな楽曲たちだなと感じました。
――原点への回帰や、「PETAL & THORN」の二面性がよくわかるのが、先行配信されている「BLAZE」と「Baby don’t cry」ではないかと思います。「BLAZE」は、だいぶ治安悪い感じのヒップホップで(笑)。
山下健二郎:ハハハ(笑)、めちゃくちゃ治安悪いよね。
――でも、「お帰り!」な感じでした。
ELLY:「ただいま!」な感じです(笑)。こういうのは、「J.S.B. DREAM」ぶりだよね。
NAOTO:僕らパフォーマーは特に、ヒップホップやR&Bから音楽やダンスにハマっていったから嬉しかったよね。それを今の三代目というグループで上手く表現できた曲になったと思います。
'BLAZE' Official Music Video / 三代目 J SOUL BROTHERS
――今市さんのラップが、衝撃的でした。
今市:俺も意外でした(笑)。歌い分けは最初から決まってるわけじゃなくて、それぞれ歌ってみて、プロデューサー陣と相談しながら決めていったんです。自分では歌っぽい方をやるんだろうなと思っていたので、新しい発見だったし、おもしろかった。14年やってきても新しい表現ができるって面白いことですよね。ファンの方にも楽しんでもらえたんじゃないかな。
ELLY:YouTubeの『三代目 J SOUL BROTHERS メンバー会議 2024.7.6』で「このラップを歌っているのは誰?」と予想してもらったら、岩ちゃん(岩田)とNAOTOさんという意見が多くて、隆二を当てた人は少なかったよね。
岩田:びっくりしましたよ(笑)。
NAOTO:急に白羽の矢が立ったから、心の準備ができてなかったんだよね(笑)。
山下:NAOTOさん、歌ってないから(笑)。確かに隆二のラップというのは新しいから、おもしろかった。ファンの人も気付かないくらいの新鮮さがありました。
――「BLAZE」は歌詞も三代目自身のことを歌っていますね。
今市:そこもヒップホップアプローチですよね。今まで使ったことのない言葉選びも新鮮です。
――「BLAZE」はMVだけでなく、Dance Performance Videoも公開されました。
NAOTO:ダンスグループの多い今、大人の三代目だからこそ見せられるものが多い曲だったかな。ダンスに対して「キレキレ」という表現があるけれど、キレキレよりもどれだけ雰囲気でいけるか。キレる必要性のないグルーヴやノリ……、余裕があって、軽くやっている感じが「BLAZE」のサビだと思います。
ELLY:Dance Performance Videoが公開されてから、クリエイターや別の事務所のアーティストたちから「ヤバいっすね」という連絡がいっぱい来ました。特に途中のリズムがなくなるところの反響が大きかった。
山下:あそこね~。カウント取れないもん(笑)。
ELLY:「あれはエグイ」って。
山下:大変だったな、あれ。
NAOTO:カウントがないけれど、全員が心の中でBPMを合わせていたよね。
ELLY:リハ中はずっとNAOTOさんがデカい声でカウントをとってくれて。
NAOTO:「バンババン」って(笑)。
一同:それ~(爆笑)。
山下:そのバンババンがみんなの頭の中にずっと流れていました。
NAOTO:本番も1テイクでいけたよね。
山下:はい。めっちゃ集中した。NAOTOさんのおかげです(笑)。バンババンのリズムが全員の心に刻まれていました。
'BLAZE' Dance Performance Video / 三代目 J SOUL BROTHERS
リリース情報
アルバム『ECHOES of DUALITY』
- 2024/11/13 RELEASE
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アルバム『ECHOES of DUALITY』に込めたメッセージ
――そしてもう1曲、先行配信された「Baby don’t cry」は、王道のR&Bです。
ØMI:キャッチーだし、好きになる人多いんじゃないかな? 「BLAZE」の次に「Baby don’t cry」って、二面性がスゴイ(笑)。
「Baby don’t cry」は、恋人2人だけのリアルな恋模様を描いた身近なラブソング。これまでは壮大なラブソング、ドラマチックなラブソングといった世界観強めなラブソングが多かったけれど、タイトな世界観で描いた歌詞は、すごく新鮮。変態紳士クラブのGeGさんのプロデュースなんだけれど、20回くらいトラックを変えてくれたんですよ。
山下:えっ、そうなんだ。知らなかった。
ØMI:歌を入れたら「このトラックじゃない」ってなって。プロデューサーからすると、歌を聴くと僕らの表情やキャラクターが見えてきて、「ああしたい、こうしたい」となるみたい。でもトラックが変わると、こっちも歌い方をちょっと変えたくなる(笑)。そんなキャッチボールが続いての20回。それって、音楽的には正しいキャッチボールですよね。
'Baby don't cry' Concept Video / 三代目 J SOUL BROTHERS
――新たなアプローチがたくさんあった中で、「これが三代目だ」と改めて気付いたのはどんなところだったでしょう。
小林:実はこれがアルバムの初インタビューで、僕もかなりエクスクルーシブな内容だなと思いながら聞いていたのですが、ポピュラーやポップスの世界って、世の中を反映するんだなと感じました。隆二とØMIが歌って、5人が演出を作ってパフォーマンスすれば、何でも三代目の色になる。そんな僕らをストリーミングシーンで影響力を持っている今の世代のプロデューサーさんたちは、ヒップホップやR&Bで料理してくださった。それって、世の中の流れだな……って。
あとは、僕らの役割ですね。アルバム『ECHOES of DUALITY』の楽曲の中には、今、世の中に訴えたいメッセージや、今を生きる人たちが思う願いみたいなものが詰まっている。おこがましい意味合いではなくて、そういうものを世に出すことが三代目の役割なのかなと思っています。三代目 J SOUL BROTHERSという媒介を使って、様々な方たちが表現してくれたものが世の中に広がって、誰かの応援ソングになるというのは、今まで自分の夢を追いかけて、自分たちの夢を叶えてきた僕らの次のステージ、次の役割なのかなとこの制作過程を見ていて感じています。
――来年15周年を迎える三代目だからこそ……ですね。アルバムタイトルが『ECHOES of DUALITY』ということで、皆さんの中で一番、二面性がある人を教えてください。
岩田:直己さんかなぁ……。
ELLY:確かに! 直己さんだ!
NAOTO:二面じゃ語れないよ。多面性じゃない?
今市:語るのが怖いくらいの多面性だね(笑)。
山下:そう。開けてはいけない扉……、パンドラの箱のような人です。グループで一緒にいる時は直己さんだけれど、家に帰った瞬間、直己さんじゃなくなっているような……。
小林:何、それ(笑)。
山下:なんとなく、ほかのメンバーはみんな何してるか想像できるんですけれど……。
ØMI:私生活が見えないんですよ。
山下:他の人はなんとなく「こういう暮らしをしているんだろうな」とわかるのに、直己さんだけは、ぜんぜんわからない。ベールに包まれている。
小林以外:そうそう!
ØMI:唯一、どのあたりに住んでいるかも知らないしね。今日もどこから来たんだろう……。
NAOTO:そしてどこへ帰っていくんだろう(笑)。
山下:聞いていいのかもわからない。
ELLY:ちなみに今、どの辺に住んでるんですか?
小林:絶対教えない!
一同:(爆笑)
――なんで秘密主義を貫いてるんですか。
小林:別に貫いているつもりはないんですけど……。
山下:まぁ、プライベートはそれぞれですからね。でも、あまりにも謎が多い。
NAOTO:ときたま直己の目撃情報が上がるけれど、「えっ、そんなところにいるの?」という場所で(笑)。もしかしたら、直己は何人かいるのかもしれない。
山下:俺もそう思う。3人はいる。
NAOTO:今、俺らが見ているのは直己じゃなくて、別の直己かも。
山下:ルパン三世みたいに、べりべりってしたら別人が登場するのかも。
ØMI:とりあえず、どこに住んでいるのか、年内には知りたいですね。
岩田:後つけてみましょうか。
ØMI:車にGPSつけて。
NAOTO:無線で「マルタイ青山通り右折」って報告しながら(笑)。
山下:やってみたいなぁ。
小林:も~~~、後で教えるよ(笑)。
――(笑)。直己さんとは逆に、別の面がない人は誰ですか。
一同:健二郎!
山下:うん、二面性ないね。自覚ある(笑)。
ELLY:このまんまだよね。
NAOTO:私生活を見たことはないけれど、丸見えって感じがする(笑)。
山下:このままですよ。僕的には、変える意味がわからない。常に一緒の方が楽でしょ。スイッチもずっと一緒だから。
4大ドームツアー【ECHOES OF DUALITY】にも注目
――直己さんのような二面性が際立つ新アルバム『ECHOES of DUALITY』から、また新たな驚きが生まれそうですね。
岩田:トップクリエイター陣と組ませてもらった豪華なアルバムなので、音楽性に注目してほしいですね。曲だけ聴いて、シンプルに「イケてるな」と思う曲が多い。ツアーでは、そんな曲たちを自分たちのものにして、皆さんに驚いていただけるパフォーマンスをお見せします。
――11月16日の福岡公演から4大ドームツアー【ECHOES OF DUALITY】が始まります。前回のドームツアー【三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS “JSB LAND"】は、ファンへの感謝にフォーカスしたツアーだったとしたら、今回は音楽性にフォーカスするツアーになりそうですね。
ØMI:そうですね。新曲が10曲入るとなると、セットリストの半分くらいは新曲になる。それだけでも見る人の印象はだいぶ変わるんじゃないかな。新曲以外にも「この曲が見たかった!」という要望に応えるのも僕らの使命だから、皆さんの見たいものを提示しながら、コンセプチュアルな作品を掲げたツアーとしての色もちゃんと出す。これも二面性ということかも。
小林:そうだね。新しい楽曲で新しい内容もやりつつ、これまでの三代目を体感できる場面も作ってあるので。両方楽しめるライブになっています。
ØMI:セットにもかなりこだわっています。見せ方も音楽性も妥協なく。
ELLY:セットもやばいですよ。過去イチ!
山下:毎回過去イチを更新するのも大変なんですよ(笑)。天井知らずの三代目のライブにご期待ください!
リリース情報
アルバム『ECHOES of DUALITY』
- 2024/11/13 RELEASE
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