Special
倖田來未 『secret』インタビュー
アルバム『secret』は名作。で、今まで“倖田來未”へのイメージがぼんやりとしていた皆さん。今年は“倖田來未”のイメージはもちろん、魅力を「これでもか!」っていうぐらい感じることになると思います。まずは2月9日リリースのアルバム『secret』でそれを感じてもらいたいのですが、何故に『secret』がこんなにも彼女の魅力を感じ取れる作品になっているのかは、このインタビューをご覧いただければと思います。読んだらかなりの確率で彼女のことを好きになりますよ。“倖田來未”はダテじゃありませんから。
PAGE1
--例年に比べて、2004年は倖田來未の音楽活動に一番勢いをつけた1年だと僕は感じたんですが、自分ではどう思われますか?
倖田來未:毎年1年グラフみたいなものを作るんですけど、やっとそれに沿った理想通りの動きが去年は取れたという感じなんですよね。私の理想的なリリースサイクルは短い期間で次々とリリースしていって、ファンに忘れられないようにしたいんです。それが去年はしっかり出来たし、あと、プロモーションビデオにすごく力を入れていたので、プロモーションビデオだけのシングルをリリースさせてもらったりとか。そのDVDシングルの提案自体はね、スタッフから持ってきてもらったんだけど、それも私自身が本当にやりたかったことなので、嬉しくて。環境の変化というか、スタッフたちが短期間で「倖田來未とやりたかったことはこうなんだ」というものをすごく考えてくれたから、イチイチ説明しなくても事がスルスル動いたっていう感じでしたね。
--説明はなくとも、倖田さんの方からオーラ的にそういうものを発信していたのでは?
倖田來未:いや、こういうところ(取材など)でね、「私もこういうことがしたいんで」ってズバッと言っちゃって(笑)。周りはそこで「なるほど」みたいな。遠回しなんですけどね。やっぱり「関西人だし」っていうのもあるし、改めて「私はね・・・」っていう話をするのもアレなので、逆に初めて会う方たちに「自分はこういう風なスタイルを持ってやってるんだよ」っていうのを言葉で伝えていくと、聞いてくれてるスタッフが「あ、そうなんだ」っていう風に再認識してくれるような感じだったんですよね。
--それがひとつずつ形になったのが2004年だったというか?
倖田來未:あとは、ファッションだったりとか、やっと「これがやりたかったんだ!」みたいなことを見つけたし。でも、親とかは勘違いして「大変なのね、新人は。露出度の高い服を着させられて」みたいな(笑)。「いやいやいや。自分で“着たい”って言ってるから」みたいな感じで。
--(笑)。そういったキャラも含めて、今まで倖田さんに対してのイメージがぼんやりしていた人に「“倖田來未”はこういう人なんだ」と明確にさせたのは、やっぱり「キューティーハニー」だったと思うんですが、あの曲を歌う話が来た時はどんな感じだったんですか?
倖田來未:やっぱりアニメ主題歌だったし、原曲は声優さんが歌ってるんで、自分のイメージとは違う感じがしたんですよ。でも、「映画に出演もして欲しい」という庵野秀明さん(『キューティーハニー』監督)の意向があって、その映画出演の話を最初に聞いたとき、私がキューティーハニーの役だと思ったんですよ(笑)。だったら「やるやるーっ!」って。実際には全然違う役だったんですけど(笑)。で、「キューティーハニー」を歌うことになった時にやっぱり“自分らしさ”は出したいし、カラオケにしたくないから、倖田來未のオリジナリティみたいなものをちゃんと出したいなということで、「とりあえずトラック自体は“倖田來未らしく”格好良く作り直したい」って言って。で、それの了承が出て。ただ庵野さん的に“イヤよ イヤよ 見つめちゃイヤ~ハニーフラッシュ!♪”の部分は原曲の要素を残してほしいという意向などはあったんですけど、話し合ってむちゃくちゃ格好良く出来たなって。
--あのアレンジは聴いてる側からするとぶったまげましたね。
倖田來未:ヤラれましたねー!作ってるこっちもやられましたもん。「生音にして」ということは言ってたんですけど、それにしても曲のイメージが可愛い曲からすごく格好良い楽曲に変わったと思うから、私は、カバーにおける革命を起こしたかなと思ってるんですけどね(笑)。
--スガ シカオさんもそうですけど、倖田さんの「キューティーハニー」を評価してる人はアーティストでも多いですよね。
倖田來未:自分が聴いてきたアーティストさんにそういうこと言われると、めちゃくちゃやり甲斐もあるし、嬉しいですよね。自信にもなりましたね。
--その「キューティーハニー」を改めて年末の『ミュージックステーションSP』でね。
倖田來未:観て頂けました?
--観ました!
倖田來未:ありがとうございます!
--予想以上に過激な衣装で登場したので、ちょっとぶったまげましたが、衣装も自身のアイデアなんですか?
倖田來未:そうなんですよ。最近ね、“パンツ(ズボン)”じゃなくて“パンツ(下着)”でみたいな話になりつつありまして(笑)。最近アニマル柄がちょっと自分の中で流行ってて、中でもゼブラが流行ってるんですよ。で、「ゼブラ柄のパンツ履きたい」とか、そういう注文出して、「ヒップ出すんだったら、バストは隠して」とか、色々言ってたんですけど、結局セクシーになり過ぎちゃって(笑)。
--(笑)。
倖田來未:でも、自分のやりたかったことを「ここではやって良いよ」ってスタッフが言ってくれたんですよ。だからやってみたんです。そしたらすごい反響が良くて。だから「間違ってなかったな」っていう感覚はあります。歌を重視したアーティストでいたいと思ってるのは大前提で、ファッションでも魅せられるアーティストでいたいんですよね。
--「キューティーハニー」のみならず、今までもそうでしたが、去年はよりアートワークやビジュアル面にも凝った1年だったのかなと感じました。
倖田來未:そうですね。ジャケットとプロモーションビデオはかなりアート作品らしくなりましたよね。やっぱり自分が「格好良い」と思うものを作りたいなっていうのがあって、家でも飾っておきたいような写真や映像を作りたいなって心掛けてるんですよ。デザイナーさん、スタイリストさん、メイクさん、そういう色んな人々が今の私を作ってくれてるんで。
--また、2004年7月には12枚目のシングルとなる『Chase』がリリースされましたが、この曲もかなり完成度が高くて格好良い曲でしたよね。
倖田來未:ありがとうございます。『Chase』は、とても私の中でトライというか。実はあの曲を押したスタッフが34~5歳なんですよ。あの年代のテイストの曲なんでね、私の中で今までなかったタイプの曲だったんですよ。倖田來未の楽曲って聴き入る曲はあっても、みんなで「Clap your hands!」みたいなものがある曲っていうのがなかなか無かったりするんですよね。だからライヴをいくらしても、ひとつになれる感覚っていうのがちょっと足りなくて。やっぱり“観る”ライヴなんで倖田來未のライヴっていうのは。でも、『Chase』がそういった一体感を生んでくれる曲になって嬉しいですね。
--実際にライヴで歌ったりはした?
倖田來未:『a-nation』で歌ったんですよ、東京はちょっと出られなかったんですけど。みんなひとつになってくれて、むちゃくちゃキレイでね、私もう感動してライヴ中ちょっと泣いちゃったんですけど。本当にその1年間でこんなにも周りの人たちがついてきてくれたっていうのが嬉しくてね。「あの楽曲出したのは絶対間違いじゃなかった」って思いました。
--今後のライヴでも大事な曲になってくるというか?
倖田來未:そうですね。やっぱりエンディングに向かえば向かうほど、『Chase』のような曲を持ってくると思うんですよね。初めは魅せて、バラードで癒して。初夏にライヴを予定してるんですけど、起承転結がしっかり出来たライヴにしたいと思ってるんで、最後の方に「みんなで一緒に歌おう!」っていう感覚で、歌うような楽曲になってくるんじゃないかなと。
--楽しみですね。
倖田來未:もう早くワンマンライヴしたーい!
--そう言えばワンマンのライヴって今まで無かったんですよね?
倖田來未:無いんですよ!だから、私もすごいものをイメージしてるんですよね。やっぱりエンターテイナーになりたいな。「もう“キダム”ですから、倖田來未は!」っていう気持ちで。
--1人キダム(笑)。
倖田來未:そうそう1人キダムなんで(笑)、そこにダンサーさんだったり、スタイリストさん、ヘアメイクさんがいて、それですごく大きなものになるっていうライヴにしたいと思ってるから、「次どうなるんだろ?」「何が来るんだろ?」っていうライヴにしたいな。なんか先が見えるような、例えば映画でもそうじゃないですか。「エンディングどうせくっつくんでしょ」みたいなのは面白くないじゃないですか。やっぱり良い意味での裏切りっていうものを作りたいなと思ってますね。
--ワンマンライヴが出来なかった期間が長かった分、やりたいことがたくさん?
倖田來未:やりたいこと山ほどですよ!やっぱり今まで自分の出した結果を見せたいですね。早くライヴしたい!
--最近のライヴというと、去年韓国でライヴをされたそうですが?
倖田來未:行きましたよー、今流行りの済州島に!
--どういう経緯で行くことになったんですか?
倖田來未:親善大使になって、日本代表で行ったんですよ。「日本の代表で、歌の上手なアーティストは誰ですか?」と言われた時に、倖田來未の名前が上がったらしいんですよ。それで、韓国のアーティストはシンファ(神話)が出たんですけど、意外にシンファのライヴでは立たなかったお客さんが、倖田來未のライヴでは総立ちしたっていう。こりゃあ歴史に残るライヴだなと、倖田來未からすると。
- < Prev
- NEXT PAGE
- Next >
Interviewer:平賀哲雄
0