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<インタビュー>NOAが駆け抜けた2024年夏を何度も一緒に再体験――新曲「Red Light」ができるまで

インタビューバナー

Text & Interview: Mariko Ikitake
Photos: mayuka

 好きな人と一緒に過ごす楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもの。そんな瞬間を何度も体験してきたNOAは、時の流れを赤信号と青信号の移り変わりになぞらえた新曲「Red Light」で、2024年をともに過ごしたファン、NOANAたちとその共有した時間を何度も確かめ合い、何度も繰り返している。

 9月下旬、6都市をまわるホールツアー【NOA “Primary Colors” HALL TOUR IN JAPAN ~Flashing Lights~】に向けて準備を進めるNOAに、激動の一年を振り返ってもらった。

──5月末の2ndアルバム『Primary Colors』のリリースを筆頭に、今年は多くのイベントに出られました。いろんな現場を体験して、新たに学んだことや見つかった課題はありましたか?

NOA:アルバムの制作時点から夏フェスを意識していたからこそ、演出面やオーディエンスの反応も含め、想定していたものを実現させることができた夏でした。いろんなアーティストを見る機会もたくさんあって、それこそ2日間出演した【WATERBOMB TOKYO 2024】では、僕もお客さんとして他のアーティストの方のパフォーマンスを拝見し、オーディエンスの盛り上げ方を学んで2日目の自分のステージにいかすことができました。そういうことは今までなかったので、とても勉強になりました。

──当日の様子はNOAさんのVLOGでも見られますが、特に印象的だったステージは?

NOA:僕が尊敬しているJay Parkさんのステージは激アツでしたね。【WATERBOMB】のボスじゃないですけど、このフェスを盛り上げてきた方ですから。それこそJay Parkさんのパフォーマンスをダンサーたちと一緒に観て、「明日、こういうふうにしたほうがいいかもね」って話が膨らみ、自分のステージにいかしたんです。実は以前から親交があって、【WATERBOMB】の出演が決まったことをお伝えしたら「じゃあ、会場で会おう!」という話になり、バックステージでお会いすることができました。

──忘れられない思い出になりましたね。同じく今年出演された【SUMMER SONIC】も日本を代表する夏フェスですが、「Red Light」を初披露する場面だったので、相当気合いを入れて準備をされたのでは?

NOA:前回よりも大きなステージになり、新曲を初披露することもあって、気合いも緊張感もありました。終盤にかけて人が増えていくのが目に見えて、最後はパンパンに埋まるくらいたくさんの方が見に来てくださって、すごくうれしかったですし、あの一体感は忘れられないですね。

──動画投稿で曲の一部が先に発表されていましたが、NOANAからはどういった声が届いていますか?

NOA:僕は「Red Light」を聞くと今年の夏の思い出が一気によみがえるのですが、みんなも僕と同じ気持ちだという声を多くもらいました。イベントに足を運んでくださったファンと駆け巡った夏っていうイメージが、僕にもみんなにもあって、一緒に過ごしたからこそ、エモさが増している気がします。


──8月の初披露に向けて、どのように仕上げていったのでしょうか?

NOA:5月頃に【サマソニ】で初披露する曲を作りたいっていうアイデアがあがって、最初は今とは全く違うビートだったんですけど、「なんか違うな」って作り続けて今の状態になったのが6月~7月でした。(7月25日の)LINE CUBE SHIBUYA公演や【WATERBOMB】の準備をしながら、その合間合間にレコーディングしました。

──『Primary Colors』は赤、青、緑の三原色がテーマでした。信号は赤と青ですが、英語で青信号はグリーンライトと言うため、アルバムのテーマを継承しているようにも思えます。

NOA:おっしゃる通り、日本語と英語で信号には3色出てくるので、今考えると自分でも色の要素が好きなんだなって思いました。ただ、ちょっとややこしくさせちゃうかもって思っているのが、「Red Light」っていうタイトルなんですけど、三原色に分けるとこの曲は緑に入る曲だってことです。

──何色にも染まりたくない自分もいらっしゃって、もしかしたら無意識ながらも色を意識していたかもしれませんね。アルバムの最後を飾る曲が「00:02 (You & I)」で、去年から時間に対する意識もあったように思うのですが、実際どうでしょうか?

NOA:時間の流れに対する思いは常にあります。「00:02 (You & I)」は去年(9月9日・10日)の有明アリーナ公演が終わったときから思っていたことを曲にしたもので、伝えたい思いはあるんだけど伝え切れていない感覚、もう少し時間があれば伝えられそうなのにっていう、ライブをするたびに残る気持ちを、「僕の1秒と君の1秒を合わせた2秒あれば」という意味で書きました。

「Red Light」は、去年の夏にダンサーの子たちと一緒に遊んだ夜の帰り道のことがベースになっています。行きの道路はすごく混んでいたのに、帰りはやたら青信号が続いて、「もうすぐ着いちゃうよ。赤信号になってくれないのかな」っていう実際のつぶやきとそのときの感情を曲にしたらいいものができるかもと思って、“red light”っていうメモだけ残していたのですが、それを曲にする機会がなかなかなかったんです。【サマソニ】で歌う曲を考えたときに思い付いてできたのがこの曲です。

「00:02 (You & I)」はBPMがゆっくりなので、時間をゆっくりと進めながら伝えたいことを伝えていますが、「Red Light」はビートも疾走感がありますし、素早く時が進む中で思いを伝えているところに違いがあります。僕はもともと夏が大好きで、毎年夏が終わりを迎えると「もう夏が終わっちゃう。この夏にやり残したことはないかな」って、エモーショナルな気分になりがちで、そういう感情も「Red Light」には込められています。


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おなじみの僕もいれば、初めて見る僕にも出会えると思います

──人生においては、青信号が続くことはポジティブにとらえられますが、この曲においては反対ですね。何かを見逃してしまいそうな一種の恐怖感もあるんでしょうか?

NOA:ありますね。本当にいろんなことが早すぎて、一つ一つの思い出を掴み切れていない感覚もぶっちゃけあります。それこそLINE CUBE公演が終わって、【サマソニ】までまだ期間があるなと思っていたら、あっという間に【サマソニ】の大阪公演が終わってしまって。大阪のパフォーマンスが僕の夏の最後のイベントだったので、時間があっという間に過ぎ去ってしまって、うれしさも寂しさも混ざった、よくわからない感情になりました。

──過ごした時間が濃かったからこそ、過ぎ去るのが悲しいというか。スピード感のある曲調や時計の針のような音が、時の流れの早さを反映させているように聞こえました。

NOA:トラックの大枠を僕が作って、そこにSunnyさんが作ったメロディーを合わせて、歌詞をSunnyさんと常楽寺(澪)さんの3人で作っていきました。時がふと止まる感じをちょっとファンタジーっぽく幻想的に表現したくて、ああいう音にしました。

──〈大切な瞬間ばかり押し寄せるからTime runs out〉や〈明日に背を向け Never say good night〉は、時の流れに反発する気持ちと今年いろいろ経験されたNOAさんの実体験が重なったパートですね。

NOA:言ってしまえば歌詞の全部が僕の実体験です。大切な瞬間が過ぎ去ってしまうのなら明日を迎えたくないっていう気持ちは、今までライブ後に何度も感じてきたことでしたし、恋愛においても似た部分があったので、自分が描きたかった世界をしっかり表現できたと思っています。

──NOANAにとって、NOAさんはプライベートを楽しみで埋めるくれる存在、お仕事や勉強、家事などを頑張る気持ちを高めてくれる存在だと思います。私たちとNOAさんの生活の時間軸はちょっと違うようにも思えるのですが、実際のところ、どんな生活を送られていますか?

NOA:確かにそれはあるかもしれないですね。3連休って言われても「そうなんだ」みたいな。でも、僕も休日になったら、ほんと、みなさんと同じように遊びに行ったり、外出したりしています。あと、結構な夜型人間で、よく夜中に配信してNOANAと会話しているので、同じ時間を共に過ごしてる感覚はしっかりあります。

個人的には落ち着いてる時間はあまり好きじゃないですね。急に休みができると何をしたらいいのかわからなくて、結局、パソコンをいじってその日が終わるってこともあるので、思い切ってどこかに行くように心がけているんです。最近、リセットすることの重要性を学んで、きちんと睡眠時間は確保するようにしています。僕、寝る時間が本当に遅くて……「なんでまだ起きてんの?」ってファンの子たちによく心配されることもあります(笑)。

──そうなんですね(笑)。

NOA:でも、休みの日でも曲作りに時間を使うことはまったく苦ではないです。音楽を仕事や義務にしたくないという思いがあって、趣味であり特技でもあり、表現する仕事だからこそ、自分をフリーにできるスペースにしておきたいんです。作りたいから作っているし、届けたいから書いている。そのほうが創造性も広がります。

正直なところ、設けられた期間内に曲を仕上げなくちゃいけなかったり、与えられた題材で書かなきゃいけなかったりするのは少し苦手で……自分が伝えたいこと、感じていることのほうがすぐに思い浮かびますし、書き上げるスピードも明らかに早いです。

──なるほど。「Red Light」のライブパフォーマンスに期待が高まりますが、LINE CUBE SHIBUYA公演と10月からのホールツアーでは、どんな点が異なりますか?

NOA:LINE CUBEでのライブがベースではあるんですけど、今回は前回よりもプライマリー・カラーズ(三原色)を感じてもらえるセトリや演出を用意しています。過去にリリースした曲が今までとは違った形で届けられるので、そこを楽しみにしてもらいたいですね。「この曲の自分はこの色だったんだ」って、僕も発見がありましたし、NOANAにもそれを感じてもらえると思います。

──ツアータイトルの“Flashing Lights”(閃光)にも何か関連があるのでしょうか?

NOA:三原色が集まってパッと光ったときに、どんな色が生まれるんだろうっていうアイデアから始まり、その光の色を作るには『Primary Colors』の曲だけでは足りなかったので、今までの曲も集めて、よりそれぞれの色を濃くしたイメージですね。色があるからこそ表現しやすくなった部分もあって、おなじみの僕もいれば、初めて見る僕にも出会えると思います。

──ファンが求める姿と“はじめましての自分”では、どちらがときめきますか?

NOA:初めての姿ですね。言い方が難しいのですが、あまり慣れさせたくないというか、毎回ハッとさせたい気持ちがあって、だからこそセトリも演出も毎回変えて、サプライズ要素も入れているんです。「NOA君って、こんなことまでやれちゃうんだ」って思ってもらえることは何かを考えることに、今年1年すごく時間を費やしました。

──常に頭がフル回転ですね。

NOA:はい、常に頭フル回転で生きてます。でも、やった分だけ、NOANAからの反応もすごくて、ささいな工夫にみんな気づいてくれるし、必ず僕のもとにフィードバックが届くので、そこから生まれる発見やうれしい感情は、本当にみなさんのおかげです。

──すでに2025年の計画もあるんでしょうか?

NOA:2025年は僕のデビュー5周年にあたる年なので、それにふさわしいイベントやファンのみなさんと楽しめる場を作りたいと考えています。今はまだ『Primary Colors』の世界観にいますが、次はどんなテーマで見せていこうかをそろそろ考え始めたいと思っています。

僕の中で1stアルバム『NO.A』はベストアルバムに近い感じがあって、その時のライブも当時の僕のすべてを見せることが多かったです。でも、コンセプトをもとに完成させた『Primary Colors』のおかげで、演出に関する発想も生まれましたし、ライブ自体に深みが出た気がします。テーマがあるのとないのとでは、こんなにも変わるんだと実感しました。次回作や来年のテーマが決まるまでは、もうちょっと時間がかかりそうですが、もしかしたらホールツアーを巡る中で思い浮かぶかもしれないですね。

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