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<コラム>SixTONESのライブDVD&Blu-ray『VVS』にみる、自信に満ちた“音楽の魂”と煌びやかな輝き
Text:岡本貴之
SixTONESが、ライブDVD&Blu-ray『VVS』を2024年10月16日にリリースした。今作は、今年2月から4月にかけて行われたSixTONES初の4大ドームツアー【SixTONES LIVE TOUR 2024「VVS」】から、ツアーファイナルとなった4月22日、東京・東京ドーム公演の模様をおさめた映像作品。その本編映像の見どころを紹介したい。
のべ51.5万人を動員したという今回のツアー。ドーム規模の会場でアリーナからスタンド上階まで、いかに満遍なくパフォーマンスを見せるのか? その答えは巨大な360度センタ―ステージだ。しかも、そこから6本の花道が放射状に伸びており、ステージ中央上部にはインダストリアルな要塞さながらのセットに、ビジョンとサーチライトが設置されている。全方位の観客へ歌と踊りを届けようというSixTONESのメンバー、チームの初ドームツアーにかける意気込みが伝わってくる。映像は、そんな会場の様子をスタンドから俯瞰で見下ろす視点からスタート。色とりどりのライトが客席を埋め尽くす中、ステージ下からスモークが上がりエレクトロ・ビートが鳴り響くと、固唾を飲んでステージを見つめる観客たち。ステージからだけでなくスタンドからもサーチライトが飛び交い、ドームの屋根を照らし出す。いったんブレイクして、ドラムのフィルインを合図にステージ上部から炎が吹き上がり、舞台上のバンドが演奏を開始すると、ビジョンにはジェシー、京本大我、松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎、田中樹の名前が順番に表示された。見ると、花道から6体のクレーンが徐々に頭をもたげていく。その先端の岩のように囲まれたブロックを突き破り、なんと中からメンバーがそれぞれ登場。想像外の演出にいきなり度肝を抜かれた。もちろん、会場はどよめき交じりの大歓声だ。
メンバーに“ロックレーン”と命名された客席上空のクレーンから、拳を突き上げてオープニング曲「アンセム」を披露する6人。それぞれの衣装の細部までも映像でハッキリと確認できるのが、映像作品の楽しみのひとつだ。ジェシーが〈これが俺のやり方だ 無礼講 TOKYO!〉と叫び、ビジョンにアップになった田中が〈Ready?〉とウィンクしながら問いかけると、「キャー!!」と大音量の嬌声が360度から上がった。クレーンから花道に着地した6人は、盛大に吹き出す噴水に囲まれながら「Rollin’」を歌い、周囲のファンを煽る。髙地は「おい東京! ラストだぞ! 声出せるか!? もっと! 最後まで楽しんでいけー!」と激しくアジテーション。センタ―ステージに集まると、バンドメンバーと絡み合いながら歌い、続く「Outrageous」では豪快なダンスを見せ、「ABARERO -Dark Electro Rock Remix-」では炎がステージを包む中で〈A BA RE RO!〉と挑発。アリーナの客席から並行にステージを観た視点の映像が、よりダイナミックに、臨場感豊かに会場の興奮を伝えてくれる。
サングラスを外したジェシーが「Hey、Hey! 東京ドーム! どうも、ジェシーのSixTONESです……逆だねっ!」と笑わせつつ、「騒ぐ準備できてるかい!?」と口火を切り、それぞれが花道から観客を煽る。「最終日だぞ! 俺たちSixTONESと音楽でぶつかり合う準備できてんのかい!? やれるもんならやってみな!」(京本)、「僕ら6人もいるんで、俺のターンは力抜いて大丈夫です。ただ、ちっちゃくてもいいから声出してください!(カメラに向かって)東京ドーム、いらっしゃいませ!」(松村)、「みんな、SixTONESに会いに来たんでしょ!? 今日ラストだよ。まだまだ声出るんじゃないの!? おまえら、体感時間あっという間だぞ。このライブ、半端ないからね!?」(森本)、「SixTONESがバンド連れてきたぞ! 今日ラストだぞ! バイブス上がってるか!? SixTONESの音楽の魂、受け取って帰ってくれ!」(髙地)、「今日は360度、上から下まで、誰一人気を抜くなよ! 最後までお前らと俺らの最上級のバイブスぶつけ合っていこうぜ!」(田中)。
転換中、バンドのメンバー、有賀教平(Gt.)、佐々木秀尚(Gt.)、櫻井陸来(Ba.)、髭白健(Dr.)、岸田勇気(Key.)が卓越した演奏技術で迫力のソロリレーを聴かせる。とてつもなく強力なバンドとともにステージに立っていることが示されて、髙地が煽った言葉を借りると、このライブの主役が“SixTONESの音楽の魂”であることが伝わってくる映像だ。衣装チェンジした6人は、オートチューンがかかったボーカルも印象的な「Hysteria -Rock Rearrange-」から「君がいない」へ。ここではカメラがかなり6人に寄った映像、モノクロで6分割されたメンバーがカメラに向かって歌うシーンが楽しめる。
京本と森本のユニットによる「希望の唄」では、回転するステージ上でプレイヤーたちとコミュニケーションを取りながら、一体となったバンド感を見せる。ふたりの歌唱力が360度のオーディエンスを惹きつけているのも見どころ。「“Laugh” In the LIFE」で再び6人でステージに登場すると、数本のパイプがあしらわれたオブジェ的なトロッコに乗って「フィギュア」「PARTY PEOPLE」を披露。客席に語り掛ける髙地が、それにかぶせて喋ってくる田中に突っ込むなど、歌いながらのリラックスしたメンバー間のやりとりや観客へのアプローチの仕方に、6人の個性が表れているところがなんだか微笑ましいセクションだ。妖艶なダンスを見せて客席を沸かせた「DRAMA」から続いた「JAPONICA STYLE」では、盛大に舞う紙吹雪と噴水が頭上高く吹きあがる。和テイストとEDMが融合したサウンドとともに記憶に残るシーンだった。
長尺のMCを経てからのライブ後半は、カホンやウッドベース、アコギの演奏によるアコースティックコーナーからスタート。英詞の「Call me」から、情熱的なガットギターの音色に気分が高揚する「マスカラ」と、アコースティックアレンジが歌声を際立たせた。また、まるで公園に仲間で集まって歌っているようなカジュアルな雰囲気が、センターステージの特性にマッチしていて、リラックスして見ることができる。松村と田中がステージに腰掛けたまま何気なく話しているところへ、リズムが加わり曲へと展開するユニット曲「スーパーボーイ」も、そんな緩やかなムードが東京ドームに広がっていくさまが心地良い。
「Need you」では、頭上のシャンデリアのような照明の筐体がステージへと降りてきて、スモークに包まれる演出が、近未来的なダンストラックと相まって別世界へと誘う。「TOP SECRET」「WHY NOT」と、ミニマルなビートに乗って歌う楽曲はSixTONESの表現力の豊かさを強調していた。その流れは、ジェシーと髙地によるユニット曲「Blue Days」へと続く。花道に置かれたレトロな椅子の演出も、ノスタルジックなムードに拍車をかけた。
そんな温かい空気感を塗り替えるように場内が暗転。レーザーライトが会場中を飛び交うと、ブルペンサイドの幕が開き、6人がド派手なデコトラの上に乗ってアリーナに登場。スモークを噴射しながらアリーナを周回していくデコトラと、「DON-DON-DON」を歌いながら場内を見渡す6人の誇らしげな表情がたまらなくいい。その光景は、さながらポップな『マッドマックス』とでもいうべき世界観。「声出して行こうぜ、東京ドーム!」とジェシーが呼び掛けると、「RAM-PAM-PAM」へ。オーディエンスは腕を振り上げては下ろして、ますますテンションアップ。さらに「Bang Bang Bangin’」へと続き、6人が到着したステージに何度も火花が上がって、カオティックな空気を作りながらライブは終盤へと進む。ロックチューン「Something from Nothing」、ダンサブルかつメロウな旋律がジワジワと体を揺らす「Telephone 1ST ver.」から、「BE CRAZY -Rock Rearrange-」では再びクレーンに乗り込んで上空へと上がっていき、6人は興奮ぎみに場内を見渡しながら熱唱。「東京ドーム! ラストだぞ! バイブス上がるか!? SixTONESの魂、受け取ってくれ!」(髙地)。そのまま、英詞曲「Seize The Day」へ。“今を生きよう”と真摯なメッセージを残した。本編最後は、「こっから」で思いっきりブチ上がって、バンドメンバーの紹介も挟んでの一体感で終了となった。
アンコールでは、「SixTONES!」コールに応えて、「Good Luck!」でトロッコに乗って登場した6人。華やかなシティ・ポップ「この星のHIKARI」で大合唱が起こると、ゴリゴリのエレクトロダンスチューン「WHIP THAT」でもうひと盛り上がり。最後に歌われたのは、結成日の5月1日にリリースされた「音色」。ライブ初披露となったこの曲で、〈このまま一緒に歩いて行こう〉と360度のファンに語り掛けるように歌って締めくくられた。銀テープが舞った後、ツアースタッフからのサプライズ・メッセージがバックスクリーン側のビジョンに映し出され、それを見るメンバーたちの表情も映像でしっかりとおさめられている。最後はアリーナを歩きながらすべての人々に感謝を伝えてステージを降りた。
歌とダンスパフォーマンスを、高画質とハイクオリティな音響で楽しめることはもちろん、シーンごとの6人の心の動きまで垣間見えるような今作。ここまで切磋琢磨してきた自信があるからこそ、“360度センタ―ステージ”に挑んだのであろうことがよくわかる映像作品となっている。ライブ中、度々俯瞰で捉えられたカラフルな灯りで埋め尽くされた東京ドームの映像は、煌びやかに輝きを放つ、6つの原石を詰め込んだ宝石箱のようだった。
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