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<コラム>リー・リトナー & デイヴ・グルーシン、長いキャリアを重ねてたどり着いた究極のブラジリアン・サウンド
Text:Hidesumi Yoshimoto
朽の名盤『ハーレクイン』の続編と呼べる最新作『ブラジル』を完成させた名コンビが、録音に参加したブラジルの新旧名手たちと繰り広げる、夢のようなスペシャル・ステージ。
二人のマエストロ
70年代以降のフュージョン~クロスオーバー・サウンドの歴史を振り返る時に、決して避けては通れない二人のマエストロ。“キャプテン・フィンガーズ”の愛称で親しまれてきたギタリストのリー・リトナーと、ピアニスト/編曲家/プロデューサーとして数多くの名作に関わってきたデイヴ・グルーシンは、定期的にコラボ作も発表しながら半世紀近くにわたって親交を深めてきました。
そんな両者が最初に出会った場所が、今年9月に惜しまれつつ亡くなったセルジオ・メンデスの自宅で1974年に行われたジャム・セッションだったことは、とても運命的だったと言えるでしょう。ブラジル音楽の豊かなリズムやハーモニーに魅せられた両者は、各々のソロ作でもブラジル音楽への傾倒を示し、1985年に発表したコラボ作『ハーレクイン』ではヴォーカリストとしてイヴァン・リンスを3曲でフィーチャー。グラミー賞も受賞した『ハーレクイン』の成功によってリンスは世界的な知名度を高め、80年代フュージョン屈指の傑作として長く愛されるベストセラーとなりました。
再びタッグを組んで制作した最新アルバム『ブラジル』
『ハーレクイン』から40年の時を経て、リトナーとグルーシンが再びタッグを組んで制作した最新アルバム『ブラジル』はまさにその続編と位置付けられる内容。ベーシックな録音はブラジルのサンパウロで行われ、盟友のイヴァン・リンスはもちろんのこと、現在進行形のブラジルのジャズ・シーンを代表する実力派たちを数多く起用しており、よりブラジル音楽への深い傾倒と愛情を示した作品となっているのが大きな聴きどころです。取り上げている楽曲にも、エスペランサとの共演作が話題を集めたミルトン・ナシメントの楽曲が2曲、イヴァン・リンス、アントニオ・カルロス・ジョビン、セルソ・フォンセカ、シコ・ピニェイロが1曲ずつと新旧のブラジルを代表する才人たちの名曲が含まれ、フォンセカとピニェイロは本人が録音に参加しているのも聴きものです。
現代ブラジル屈指のプレイヤーたちが集結
今回のツアーも、アルバムと同様に現代ブラジル屈指のプレイヤーたちが同行してバックを固めるのがうれしいところ。サンパウロのジャズ・シーンを牽引し続ける最強のリズム隊と呼べるドラマーのエドゥ・ヒベイロとベース奏者のブルーノ・ミゴットに、ブラジル音楽界の大物の作品にも数多く参加する打楽器奏者のマルセロ・コスタ、気鋭のヴォーカリストとして日本でも高い評価を集めているタチアナ・パーハ、マルチ奏者のムニール・オッスンなど。コアなブラジル音楽好きの間では定評のある精鋭たちが顔を揃えており、ブラジル組のすごさに圧倒されるセットとなるのは間違いないでしょう。
そんな強力メンバーを従えて、ベテランのリトナー/グルーシン/リンスの黄金トライアングルが聴かせる流麗にして味わい深い境地、またリーの息子であるドラマーのウェスリー・リトナーの参加も聴きもの。世代や国籍を越えたドリーム・チームが織り成す、至福のステージに期待が高まります!
リリース情報
公演情報
LEE RITENOUR & DAVE GRUSIN
with BRASILIAN FRIENDS featuring IVAN LINS
2024年11月14日(木)・15日(金)大阪・ビルボードライブ大阪
1st Stage Open 16:00 Start 17:00 / 2nd Stage Open 19:30 Start 20:30
公演詳細
Member:
Lee Ritenour(Gt, MD)
Dave Grusin(Pf, Key)
Ivan Lins(Vo, Key)
Tatiana Parra(Vo)
Bruno Migotto(Ba)
Munir Hossn(Ba, Vo, Gt)
Wesley Ritenour(Dr)
Marcelo Costa(Perc)
Edu Ribeiro(Dr)
後援:ブラジル大使館 / ギマランイス・ホーザ文化院
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