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<インタビュー>リトル・ミックス ペリーがソロ活動スタート 彼女が見つけだした“自分らしさ”とは



ペリーインタビュー

Text & Interview: 村上ひさし

 2022年のラストツアー以降、活動を休止していたリトル・ミックスのペリーがソロデビュー。エド・シーランが書き下ろしたデビュー曲「フォーゲット・アバウト・アス」と2ndシングル「ティアーズ」をリリースし、既にアルバムもほぼ完成。今や一児の母となった彼女が、ソロで何を歌うのか。アルバムの方向性から、音楽的な変遷、グループ在籍時との違い、その後のメンバーとの交流、過去の人間関係に至るまで、さまざまな思いをリモートで語ってくれた。

──イギリスやヨーロッパを中心に積極的にプロモーションを展開されています。ソロになって初めての活動はいかがですか?

ペリー:とっても順調で、すごく楽しくて、充実しています。グループ時の活動も楽しかったけれど、全然違いますね。その一分一秒を大切にしています。

──グループ在籍時とは、どういう点で大きく違っていますか?

ペリー:いろいろとありすぎて一言では言えないけれど、たとえばこのインタビューにしても私ひとりが受け答えしているわけで、もう他のメンバーの助けはありません。彼女たちとは16〜17歳からずっと一緒に寝食を共にし、彼女たちと一緒じゃなかった頃を思い出すほうが難しいぐらい。でも、その違いを今は楽しんでいます。

──2枚のシングルはアルバムからの先行リリース曲であり、既にアルバムもほぼ完成しているそうですね。コラボやフィーチャリング参加などの伏線を敷かず、なぜいきなりアルバムを作ろうと考えたのですか?

ペリー:元々私はアルバム・アーティストになりたいという強い意志をもっていました。音楽を愛しているから、本気で臨むためには、やはりアルバム制作だと思うんです。聴いてもらえばわかると思いますが、たくさんの要素がギッシリ詰まっています。長い道のりではありましたが、とてもスムーズで自然に運んでいった感じです。

──ソングライティングにも多く関わられていますか?

ペリー:アルバム収録曲の約8割ですね。これまでと比べても、けっこう多く共作しています。

──子育てしながらアルバムを作るのは大変じゃないかと思うのですが、どのように時間を捻出されたのでしょう?

ペリー:リトル・ミックスのラストツアーの時点では、とにかく母親になることだけを考えていて、ソロになるとか、シンガーとしての活動などまったく頭にありませんでした。出産後はずっと息子の側にいて、一緒に過ごしていました。母親として息子の成長過程のすべてを見逃したくなかったから。でも「そろそろ歌いたいんじゃないの?」と言い出してくれたのは婚約者のアレックス(・オクスレイド・チェンバレン:元イングランド代表、現在トルコのベシクタシュのサッカー選手)でした。自宅にスタジオを作ってくれて、これまでにもらった最高の贈り物です。母親としてずっとアクセルの側にいて……息子の名前がアクセルなんですが、一旦スタジオに入ればシンガーのペリーになれるという。アルバムの大半が、このホームスタジオで作られています。息子の歌も入っているんですよ。

──2曲が先行シングルとして公表されましたが、まずデビュー曲「フォーゲット・アバウト・アス」をソロ第一弾のシングルに選んだ理由から教えてください。

ペリー:好きな曲がいっぱいありすぎて、どれを1stシングルにすべきか迷っていたんです。あれもいいし、これもいいし、という感じで(笑)。その時にエド・シーランが協力してくれることになり、「フォーゲット・アバウト・アス」のデモを送ってくれたんです。最高でしょ(笑)。聴いたらすぐに気に入って、キーを少し上げて、歌詞も少し変えて……でも大幅には変えていません。彼とはFaceTimeやZoomセッションで作業して完成させました。アルバムを紹介する上でもふさわしい曲だと思うので、1stシングルに選びました。


──歌われているのは、過去の人間関係について。その過去の経験に感謝しているけれど、必ずしもその関係に戻りたいわけではない、という曲ですよね?

ペリー:そう、人生にはさまざまな出会いがあり、別れもあるけれど、そのすべてが教訓ではないかと。いろんな意味で共感してもらえる曲だと思います。過去の関係から多くを学んだ上で、今の私たちがいる。その過去の関係に感謝はしても、戻りたいというわけではないんです。でも、忘れたくもありません。

──相手にお願いされても戻らない?

ペリー:「ノー」と言う強さも必要ですから。「戻らない」と言える勇気も必要です。その気持ちを綴ったのが2ndシングル「ティアーズ」です。過去にいろんなことがあり、私はいっぱい涙を流してきました。人生の大半が涙だったんじゃないかと思えるくらい。でも今の私は「I don’t even care anymore」(もう、そんなこと気にしない)って感じ(笑)。「もう涙は要らない。あなたに全部あげる!」と歌った爽快なエンパワメントソングです。

──10年前のペリーがそうだったら良かったのに、と思ったり?

ペリー:ええ、ホントそう(笑)。でも、絶対にムリだったと思います。そういうことって時間をかけて会得していくもの。そのためには経験が必要だったんです。そのおかげで、今の私がここにいるわけですし。


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ステージで歌っている時が最高に幸せ

──「フォーゲット・アバウト・アス」には、少しカントリー風の味わいがあります。レコーディングでも意識されましたか?

ペリー:自然とそうなったみたいで、歌い方のせいなのか、私の歌からはカントリーの影響が聴こえるようです。もちろんカントリーミュージックは大好きです。今だとアメリカで流行っているこの曲、知ってますか? ♪Excuse me, you look like you love me〜(とエラ・ラングレー&ライリー・グリーンの「you look like you love me」を歌い出す)タイトルやアーティストは知らないんだけど、しょっちゅう私のTikTokに流れてくる曲で、全米TikTokチャートで5位なんだとか。絶対気に入ると思うから聴いてみてください。彼女の歌い方とかアクセントがすごくいい感じなんです。

──先ほど話に出た2ndシングル「ティアーズ」は、ファンキーでソウルフル、モータウン的なバイブスがあります。そういった音楽にも親しんできましたか?

ペリー:私はあらゆるタイプの音楽が好きなのですが、両親の影響が大きいと思います。父はジャーニーの大、大、大ファンで、私にペリーと名付けたのもジャーニーのスティーヴ・ペリーに因んで(笑)。なので私はジャーニーと父の影響でロックミュージックをたくさん聴いて育っています。ガンズ・アンド・ローゼズ、エアロスミス、ボン・ジョヴィ……偉大なバンドばかり。一方、母はモータウンの大ファンで、ダイアナ・ロス&ザ・シュープリームスが大好き。あとホイットニー・ヒューストン、セリーヌ・ディオン、マライア・キャリーなど、いわゆるディーバ系ですね。2人の下で育った私の周りには、いろんな音楽が溢れていて、いろんなジャンルの音楽があったから、ソロになった時、自分が本当にやりたいのはどういう音楽なのかを見極めるのが少し大変でした。でも音楽のいいところは、いろいろ試せること。アルバムでは、いろんな音楽に挑戦しています。

──たとえばリトル・ミックス時代にはできなかったけれど、ソロだからできたことはありますか?

ペリー:かなり多くありました。というのも、リトル・ミックスでは何が上手く働くのか、よく分かっていましたから。戦略的とも言える方向性が明確でした。何を歌いたいのか、何を伝えたいのかも、ほぼ把握できていました。ところがソロでは、リトル・ミックスの路線を踏襲すべきなのか、そこから少しはみ出すべきなのか、それともまったく違うことをすべきなのか、いろいろと悩みました。結果、全員がソロでリトル・ミックスとは違ったことをやっているのだと思います。

──生バンドをバックにステージで「フォーゲット・アバウト・アス」を歌ったり、「ティアーズ」のサウンドにもライブ感が溢れていたり。アルバム全体の方向性も同様ですか?

ペリー:ええ、そう言えると思います。当初からライブ感溢れるサウンドにしたいと考えていました。ライブ感のあるリアルなサウンド……バンドサウンドですよね。ライブで聴くと、とても迫力があって、エレキギターやドラム、ベースから生命力が感じられる、そんなサウンド。最初から拘っていました。

──他のメンバーがいないステージで、心細いからというのも理由では(笑)?

ペリー:ええ、もちろん(笑)。実際、すごく不安で心細いです。バックバンドやコーラス、ダンサーがいてくれて、本当に助かります。ダンサーの1人は私の親友のレネなので、それもありがたいです。


──アルバムにはジョン・ベリオン、RAYE(レイ)が関わっているそうですが、その他のスタッフに関しても話せる範囲で教えてもらえますか?

ペリー:アルバムにはエド・シーラン、レイ、ジョン・ベリオンでしょ、それから素晴らしいソングライターのフィル・プレステッド、ジョイ・アノニマス、アメリカ人ソングライターのフェリ・フェラーロなどが協力しています。彼女は♪’Cause girls is players too~(と歌い出す)という曲(コイ・リレイの「Players」)を書いた人。彼女とはアメリカでの2週間のセッションで意気投合したんです。その後、イギリスに帰って一旦整理してから、またアメリカに戻って同じスタッフと作業を進めました。

──ソロでは全てを自分で決定できると同時に、責任も自分にかかってきます。決断をするのに困りませんでしたか?

ペリー:ええ、ものすごく(笑)。私は決断するのが本当に苦手で。物事を決めなければいけないというプレッシャーに弱いんです。いつもみんなに「どう思う?」「どうしたらいい?」「こうしたほうがいいかな?」とか聞き回って、その後で自分で考えるんです(笑)。あと、他の人を喜ばせたくて、つい「ファンのため」とか「ファンが喜ぶから」とか考えてしまうんです。ファンの思いは、SNSなどでチェックしているからよくわかっているつもりなのですが、それに頼ってばかりいると、一体自分が何をしたいのかよくわからなくなってしまいます。「ペリー、すべての人を満足させることはムリだから!」と、よく自分に言い聞かせるんです。何をやろうと必ず批判的な人はいますから。「いい」と言ってくれる人がいれば、「よくない」という人が必ずいる。でも、それが音楽のいいところ。いろんなテイストをもった人がいるわけで、違っているから素晴らしいと思うんです。だから私はいろんなことをして、とにかく音楽を楽しみたいと思っています。

──他のメンバーに、ソロ活動や新曲について相談したり、意見を聞いたりすることはありますか?

ペリー:ソロ活動の話はよくしています。これまでとすごく違っているので。でも普段は他愛のない会話ですね。この前もレイ・アンがミートボールスパゲッティの写真を送ってきて「ミートボールを見たら、ペリーのこと思い出した」とか言って。すごく可愛いんです(笑)。あ、私の大好物なんですよ(笑)。ジェイドも「ソロになって初めての外食なんだけど、ひとりってすごくヘンな感じ。こういうのわかる?」って言ってて。私たちは「大丈夫だから安心して」って返信してあげました。彼女が3人の中で最後にソロデビューするんです。曲の決定に少し時間がかかったようですが、彼女のシングルも間もなくリリースされます(現在配信中)。だから私のシングル「ティアーズ」を、その前に出しておきたかったんです。お互いのリリースが被らないように、そういう配慮もしたいですから。

──今の話を聞いてとても嬉しいです。あれだけ仲良しの3人でしたから。

ペリー:会えなくて寂しいけれど、いつでも話せる友達がいるのは本当に素晴らしいこと。他の人にはなかなか理解してもらえないと思うのだけれど、それぐらい特別な関係です。

──次のシングルのリリース予定はありますか?

ペリー:まだ詳しくは話せませんが、既出の2枚のシングルとはまた違ったタイプの曲です。試聴した多くの人が気に入ってくれたようで、少しサプライズかも(笑)。私自身も今からドキドキしています。おそらく9月頃のリリースで、その後アルバムは年明けぐらいかなと考えています。

──ツアーも計画されていますか?

ペリー:もちろん。ステージで歌っている時が最高に幸せですから。逆に歌ってさえいれば私は幸せなんですが(笑)。

──バックバンドを率いたツアーですか?

ペリー:ええ、バンドと一緒です。

──最後に、日本のファンにメッセージをいただけますか?

ペリー:コンニチワ、日本のファンのみなさん。とても愛しています。みんなが書いてくれるSNSのメッセージを見て、愛情や応援を感じ、いつも心から感謝しています。早く日本に行って、またみんなに会うのが楽しみです。そして私の音楽を楽しんでほしいと願っています。

──どうもありがとうございました。また日本で会えるのを楽しみにしています。

ペリー:どうもありがとう! (日本語で)ありがとうございました。

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