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<インタビュー>【FUJI ROCK】が世界生配信、Amazon Musicの担当者が込めた想い

インタビューバナー

Interview & Text: 矢島由佳子 / Photo: 辰巳隆二

 7月26日から28日にかけて、新潟・苗場スキー場にて【FUJI ROCK FESTIVAL '24】が開催される。今年はオフィシャルサポーターとして参加するAmazon Musicによる世界同時生配信も決定し、「ここがみんなのフェス会場」というブランドメッセージ通り、世界中の人たちが自分の好きな場所で【FUJI ROCK】を楽しむことができる。Prime VideoとTwitchのAmazon Music Japan / UK / USの公式チャンネルにて、GREEN STAGE、WHITE STAGE、RED MARQUEE、FIELD OF HEAVENのライブパフォーマンスと、さらには出演アーティストのインタビューコンテンツが配信される予定だ。Amazon Music統合ブランドマーケティング部門長・竹林明日美氏に、この取り組みの経緯や狙いについて訊いた。

Amazon Musicが【FUJI ROCK FESTIVAL】の配信に込めた想い

――Amazon Musicは昨年から【FUJI ROCK FESTIVAL】オフィシャルサポーターとして参加されていましたが、どのような手応えがあって、今年の取り組みが決定したのでしょうか。

竹林明日美:去年は「Amazon Music Journey」をテーマに掲げて、コラボデザインがあしらわれたバスを3週間ほど東京都内で走らせたあとに苗場の会場内にあるAmazon Musicブースに停車し、開催期間中はブースの中で【FUJI ROCK】を楽しみ尽くせる仕掛けを準備していました。その時に、現地の熱量や、あの場所で新しい音楽と出会う感動は、ちょっと異次元なものがあるなと感じたんですよね。それをもっとたくさんの人に伝えられたらと思って、実は去年のフジロックの最中から「来年は配信をやりたいですね」と話していました。経済的・物理的に現地に行けない人もいますし、ここ数年は音楽の視聴スタイルや楽しみ方が多様化している中で、この熱量、楽しさ、新しい音楽との出会いを広げていきたいなと。そこから「いつでもどこでもあなたの楽しみたいスタイルで楽しんでください」といったメッセージを込めた「ここがみんなのフェス会場」というブランドキャンペーンを展開し、Prime VideoとTwitchで世界独占生配信させていただくことになりました。それ以外にも、【FUJI ROCK】の公式グッズの中からAmazon限定オリジナルカラーのTシャツを販売させていただいたり、Amazonのカスタマーに【FUJI ROCK】デザインのボックスがランダムに届けられたり、全国のAmazonロッカーを【FUJI ROCK】でラッピングしたりと、いろんなところで盛り上げていきたいと思っています。



▲Amazon Music 「FUJI ROCK FESTIVAL ‘24」ここがみんなのフェス会場「若者」篇

――【FUJI ROCK】が生配信されていた時期もありましたが、昨年は一切ありませんでした。Amazon Musicでの配信を決断された背景には、御社と【FUJI ROCK】主催者であるSMASHのどのような想いがあったのでしょうか。

竹林:実は数年前から「配信したいです」と、SMASHさんに言い続けていたんです。ただ、弊社側でも同時配信のケイパビリティ問題があったので、強くはお話できていませんでした。去年くらいからグローバルで【Head in the Clouds Festival】や【Primavera Sound】(スペインにて開催される音楽フェス)の世界同時配信が始まって、社内的に体制も実績も整ったので、「今年は絶対に配信をやりたいです」とお話しさせていただいた次第です。「世界配信」ということにはSMASHさんと一緒にすごくこだわりました。



――【FUJI ROCK】が【Primavera Sound】や【Head in the Clouds Festival】などと並ぶくらい、グローバルに見ても重要な音楽ステージであると捉えて発信してくれることは、日本の音楽業界やアーティストにとって、とてもポジティブなことだなと思います。

竹林:ありがとうございます。US側のAmazonMusicや、Prime Videoにもバナー露出を確保したりと、「グローバルで一緒にやる」ということをすごく大事にしています。なので、日本のアップカミングなアーティストたちを世界に知ってもらうきっかけになればいいなとも思っています。世界に届けようとするサービスがあって、「【FUJI ROCK】を目指して頑張ろう」という国内アーティストがさらに増えて、海外アーティストも「【FUJI ROCK】面白そうじゃん」って来てくれるような、いい循環を作っていくことが夢ですね。

配信ではアーティストのインタビューも
「世界中に大きなカスタマーベースを持っている強みを活かしたい」

――無料で配信することに関して、社内ではどのようなところにKPIを置いていらっしゃるのでしょうか。

竹林:いい質問ですね(笑)。できる限り間口を広げられるように、今回の配信はAmazonアカウントさえあればPrime会員でなくても見られる形で解放します。Amazon Musicとしても正直、これで短期的な楽曲の再生数や登録数の増加を見込んでいるわけではありません。ブランドとして、こういった取り組みをやっているという認知を高めることと、私たちの想いをきちんと伝えていきたいというところが、今回の投資に対する効果だと考えています。Amazon Music全体としては「Ignite Fandom」、つまり「ファン心を刺激する」というテーマのもと、ファンとアーティストをつなぐ活動をずっとやっているんですね。今回の【FUJI ROCK】の取り組みもその一環として考えております。これまでは、世界のファンと日本のアーティストをつなぐことをそれほどできていなかったので、今回は世界に向けて現場の熱量を届けることで、日本のアーティストの世界進出に役立てたらと思っています。とはいえ、ビジネスとしても成立させなくてはならないので、ライブ配信にスポンサーさんをつけて、インストリームの間などにCMを流すというビジネスモデルでやっています。



▲Amazon Music 「FUJI ROCK FESTIVAL ‘24」ここがみんなのフェス会場「どこでも」篇

――Prime VideoだけでなくTwitchでも配信することには、どのような狙いや想いがあるのでしょうか。

竹林:TwitchとPrime Videoの両方で配信することがグローバルのフォーマットになっているということもあるのですが、Twitchの特殊なところは、チャット機能があることですよね。それはPrime Videoではできません。ライブの最中にみんながコメントをチャットに書き込んでくれることは、ファンの熱量の伝播やファンダムにとって大事なものだと思っています。2つのスクリーンを開いて、Prime Videoで見ながらTwitchでコメントを書き込むといった楽しみ方もしていただけるのかなと思います。



――当日の配信内容に関して、4つのステージのライブパフォーマンス以外にどのようなコンテンツを予定されていますか。

竹林:3チャンネルでスイッチングしながら配信するのですが、パフォーマンスの合間にアーティストインタビューも入れていこうと思っています。それは、現場にいる人が見ているものだけでなく、配信ならではのコンテンツも入れたいという想いからでした。バックヤードに撮影スペースを作って、パフォーマンスが終わったアーティストやステージに行く前のアーティストを、インタビューして配信しようと考えているところです。現地にいらっしゃる方にも、空き時間にそういったコンテンツを見ていただいたり、疲れた時やステージ間の移動が間に合わない時に配信を見ていただいたり、いろんな見方で楽しんでいただけたらなと思います。「ここがみんなのフェス会場」というメッセージ通り、それぞれの楽しみ方で楽しんでいただく、ということが一番やりたいことですね。


――御社だからこそできる【FUJI ROCK】や音楽業界に対する貢献や役割とは、どういったものであるとお考えでしょうか。

竹林:Amazonならではの特徴が大きく2つあると思っています。1つ目は、世界中に大きなカスタマーベースを持っているところ。もう1つは、音楽文脈以外にもいろんなビジネスがあって圧倒的なリーチができるところです。人々の生活に根付いていて、インフラのようなサービスになっているからこそ、マスに広げる役割をきちんと果たしたいと思っています。今はソーシャルでも自分が好きなものしか出てこないので、まったく気にしてない人に触れてもらうことがなかなか難しいですよね。コンビニのAmazonロッカーに【FUJI ROCK】のビジュアルが貼ってあったり、Amazonで日用品を買ったら【FUJI ROCK】の梱包ボックスで届いたり、日常の中に非日常が入ってくることで興味を持ってもらえることがAmazonらしさかなと思います。Amazonの中と外のコミュニケーションを通して、【FUJI ROCK】自体をもっといろんな人に知ってもらいたいですし、フェスを楽しむというビヘイビアを広げられればと思います。



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