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<インタビュー>BAND-MAID with The Warning 日本とメキシコ、海を越えた友情とリスペクトの結晶「SHOW THEM」



インタビューバナー

Interview:もりひでゆき
Photo:堀内彩香


 BAND-MAIDが、長女ダニエラ(Vo. / Gt. / Pf.)、次女パウリナ(Dr. / Vo. / Pf.)、三女アレハンドラ(Ba. / Pf. / Vo.)からなるメキシコの3姉妹バンド、The Warning(ザ・ウォーニング)とのコラボレーション曲「SHOW THEM」を8月7日にリリースした。2022年、アメリカのフェスでの共演をきっかけに意気投合したという2組。両バンド全員、8人勢ぞろいでの貴重なインタビューになった今回では、世界規模でハードロックを鳴らし続ける彼女たちの、お互いへの深いリスペクトを感じるエピソードをたっぷり聞くことができた。

相思相愛な2組

――両バンドの出会いは、2022年に米・カリフォルニアで開催された【Aftershock Festival】への出演がきっかけなんですよね。

小鳩ミク(Gt. / Vo.):はい。同じ日に出演したんですけど、現地でインタビューをしていただいていた私たちをThe Warningのみなさんが見つけて声をかけてくださったんですっぽ。まさか私たちのことを知ってくださっているとは思わなかったので、すごく嬉しくて。その時、「ぜひ一緒に何かやろう」って言ってくださったので、私たちも「ぜひやりたいっぽ!」とお返事させていただき、意気投合して盛り上がったんですっぽ。

ダニエラ:あの日は1日中、BAND-MAIDに会いたかったの。「絶対会いたい!」ってマネージャーにも言っていて(笑)。

パウリナ:そうしたら、インタビューを受けている彼女たちのことを見つけたから、迷わず声をかけたの。最高のミュージシャンであるBAND-MAIDのことはずっと前から好きだったから。

AKANE(Dr.):嬉しい!

小鳩:私たちも【Aftershock Festival】に出演することが決まった段階で、The Warningのことはすごく気になっていたんですっぽ。世界にはこんなにもかっこいいガールズバンドがいるんだなと思って。しかも3姉妹でバンドをやっているのもすごくステキだなって感じていたんですっぽ。同じガールズバンドとして勇気をもらえる存在ですっぽね。


Photo:堀内彩香


MISA(Ba.):姉妹だからこそ出せるグルーヴ感がありますもんね。The Warningの楽曲を聴いたとき、いちばんグッときたのはそこだったかな。

KANAMI(Gt.):息の波長がピッタリ合ってるんだよね。私たちには真似できないところだと思います。

パウリナ:オー! グラシアス!

ダニエラ:私たちはとても仲がいいし、姉妹だからこその絆もあるの。それぞれが持っている個性もわかりあえているので、曲作りもすごくスムーズに進むわ。この10年でいろいろ学んできたことはもちろんあるけど、根本的にはこの3人だからこそ上手くいっているところはあると思う。

小鳩:羨ましいですっぽね。でも、羨ましいのと同時に、姉妹だからこそ大変な部分もあるんじゃないかなって思ったりもして。私たちにない大変さもあるんじゃないですかっぽ?

パウリナ:姉妹という近い関係だからケンカすることももちろんあるわ。でも、姉妹でいる時間とバンドメンバーでいる時間を明確に分ける意識をしているから、いいバランスで活動できていると思う。とは言え、今朝もケンカしたばかりだけど(笑)。朝から何を着ていくかでケンカしたの。

KANAMI:あははは、ケンカの理由がかわいい(笑)。

アレハンドラ:作曲しているときに意見がぶつかることも多いんです。それぞれから違ったアイデアがたくさん出るので、すごく大きな戦いになることもあって(笑)。でも根本はいい関係なので、すぐに仲直りします。



Photo:堀内彩香


――The WarningのみなさんはBAND-MAIDのどんなところに魅力を感じますか?

SAIKI(Vo.):えー! 面と向かってそんなこと聞かれたら恥ずかしいな(笑)。

小鳩:照れちゃうっぽね(笑)。

ダニエラ:日本のロックと、アメリカやメキシコで聴くロックは同じジャンルだけど全然違った音に聴こえるのよね。そこがBAND-MAIDの音楽に惹かれたいちばんの理由。しかも、ものすごく高いレベルのテクニックを楽曲に注ぎ込んでいるのもとてもいいなと思うわ。私はあまり速弾きをするタイプじゃないので、今回コラボレーションをした「SHOW THEM」にKANAMIが速弾きを入れてくれたことがすごくいい刺激にもなって。めちゃくちゃテンションが上がったのよね。

パウリナ:ドラムに関してもそう。AKANEとは全然演奏スタイルが違うから、自分には難しいフレーズもあったんだけど、それを練習するのがすごく楽しくて。BAND-MAIDは自分たちを成長させてくれるありがたい存在だと感じたわ。

AKANE:そんな……まったく同じ言葉をお返ししたいです(笑)!

アレハンドラ:MISAも私とはスタイルが違っているので、すべての演奏を素晴らしく感じました。ピックを使って弾く部分とスラップを使う部分、それを1曲の中で組み合わせてしまえるのは本当にすごいことだと思うし、そこに大きな魅力を感じます。どうやったらあんな演奏ができるのか教えてほしい(笑)。

MISA:教えます、教えます! 教えさせてください(笑)。

アレハンドラ:イエーイ! 嬉しい!

ダニエラ:そして、もちろんSAIKIと小鳩の声も本当に素晴らしいと思う。言語の違いだと思うけど、日本語は一文字ずつメロディが変わっていくのがすごくユニークだし、それをちゃんと歌いこなせるのは本当にすごいこと。ボーカル面でもたくさんの刺激をもらうことができたわ。

小鳩:たくさん褒めていただいちゃって、ほんとに嬉しいっぽね。



Photo:堀内彩香


――ちなみに、小鳩さんが語尾につける“ぽ”に関しては理解されてるんですかね?

小鳩:たぶん理解していないかもしれないですっぽ(笑)。普通に会話をしてますけど、そこには気づいてないと思う。

KANAMI:最初から説明したら(笑)。

SAIKI:うん。なぜ“ぽ”をつけるのか、小鳩の正体をちゃんと伝えなよ。

小鳩:私は小鳩、小さい鳩なんです。スモールピジョン。ちょっとだけ鳩が入ってるんですっぽ。だから語尾に鳩の鳴き声である“ぽ”がつくんですっぽ。

パウリナ:オー! ハーフピジョン?

ダニエラ:ピジョニーズってことね。

一同:(笑)!

小鳩:あははは。ジャパニーズならぬピジョニーズ! 今日から使っていくっぽ。海外の方への説明がラクになりましたっぽ(笑)。

ダニエラ:今、聴こえてきたわ。ナリマシタっぽ。

アレハンドラ:っぽ(笑)。

小鳩:あははは! またちょっと距離が近くなった気がしますっぽね。


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お互いの新しい部分を引き出せるような曲

――では今回、2つのバンドがコラボすることで生まれた「SHOW THEM」のお話へ。制作はどういった流れで進んでいったんでしょうか?

小鳩:まず曲の土台となるものをKANAMIちゃんが考えてくれて。それをThe Warningの3人に聴いていただくところから始まりましたっぽね。

KANAMI:うん。The WarningとBAND-MAIDが共通して持っているイメージはグッと重いロックかなと思ったので、最初はかなりダークな曲を作っていたんです。ただ、それだとみんな想像できてしまうような気がしたので、今回はあえて、お互いの新しい部分を引き出せるような曲にしようと思ったんですよね。そこでできたのが「SHOW THEM」。私が作ったデモに対して、The Warningのみんなが「こういうのはどう?」みたいな感じで手を加えてくれて。それに対して私たちからまた新たな提案をして、ということを何度も繰り返して完成しました。

小鳩:リモート打ち合わせも何度かしましたっぽ。

ダニエラ:KANAMIが作ってくれたデモを聴いたとき、普段の自分たちがやっている楽曲とは全然方向性が違ったからとても驚いたわ。でもすぐに、そこにどうやって自分たちのカラーをミックスしていくかが楽しみになったの。具体的には、コード進行を少し変えることを提案したりとか。

パウリナ:あとはBメロを作ったり、メロディを英語に合うようにちょっと変えたり。そういう作業は難しかったけど、楽しいものでもあったよね。

ダニエラ:そうね。KANAMIのデモの雰囲気を大事にしつつ、歌詞も含め、細かくいろいろやり取りを交わしていけたのは良かったと思う。結果、とてもいい仕上がりになったと思うわ。

小鳩:私たちだけでは絶対にできない曲になったと思いますっぽ。海外の方の感覚は私たちにとって新しい発見をくれるものなんですよね。「こんな方法があるんだ!」みたいな気づきがとてもありましたっぽね。

アレハンドラ:ふふふふ。グッドミックスになったよね!

KANAMI:本当にそう思います。曲頭に入っているダニー(ダニエラ)のスクリーム。あれはThe Warningからの提案で入れることになったんですけど、すごくおもしろいアイデアだなって思いました。私はちょっと変なコードを使いがちなんですけど(笑)、それをよりわかりやすくしてくれたところもよかったと思います。英語が上手く乗るメロディメイクの仕方はすごく勉強になりました。

パウリナ:私たちもとても楽しかった。ありがとう!



Photo:堀内彩香


――歌詞は小鳩さんとThe Warningの共作になっていますね。

小鳩:そうですっぽ。せっかくガールズバンド同士のコラボなので、世界に向けて戦っていけるような強い女性像を描いて、ともに上がっていけるような内容にしよう、っていうお話を最初にさせてもらって。そこからお互いに書いてみて、それをすり合わせていった感じでしたっぽね。

パウリナ:歌詞のトピックは最初に共有していたけど、やっぱり国ごとの文化の違いみたいな部分があるので、解釈の違いが生まれてしまったときもあったよね。でも、私たちが日本に来て、歌詞を一緒に詰めていくことでちゃんと意識が一致した感じがあったわ。小鳩が求めているニュアンスが明確になったから。

小鳩:うん、面と向かって話したことで、細かい部分までお互いにちゃんと理解し合えた感じでしたっぽ。

パウリナ:自分たちが言いたいこと全部をちゃんと詰め込めた歌詞になったと思う。グラシアスっぽ(笑)。

小鳩:もう“っぽ”を使ってくれてる(笑)。世界で流行って欲しいですっぽね。


――オケのレコーディングは日本で一緒に行われたんですか?

KANAMI:そうですね。ただ、時間があまりなかったのでBAND-MAIDチームは先にレコーディングしておいて。The Warningには後でレコーディングしてもらった感じです。演奏に関しては基本的に私がディレクションをしたんですけど、3人とも本当に素晴らしい演奏をしてくださって。あっという間に終わりました。ツアーで世界中を飛び回る忙しいスケジュールの中、楽曲をしっかり覚えてきてくれたことに感動しちゃいましたね。

パウリナ:実際に演奏したのは日本に来てからなんだけど、飛行機の中なんかでずっとイメージトレーニングしてたからね。

アレハンドラ:うん。何回も何回も楽曲を聴き込んで。

パウリナ:しかも、目の前でBAND-MAIDが演奏してくれたり、細かい部分のニュアンスを教えてくれたりもしたから、本当にやりやすかった。そういう機会はなかなかないから楽しかったよ。

AKANE:今回、パウ(パウリナ)には私のドラムセットを使ってレコーディングしてもらったんですけど、自分とは全然違った音を出したことにすごく驚いて。音がめっちゃパワフルなんですよ。

パウリナ:確かにそうだね。不思議ですけど、同じドラムセットを使っても、私とAKANEでは違う音が出る。それによって私自身、いろんなことを学べた実感があったな。

AKANE:うん、私もパウの演奏を聴くことで、自分の出したい音があらためて見えてきたところもありました。



Photo:堀内彩香


MISA:本当に刺激的なレコーディングでしたね。今回は最初にレコーディングした私のベースに合わせてアレ(アレハンドラ)が演奏してくれたんですよ。音と音の移動の速さとか、細かい部分まで合わせて演奏するのはすごく大変だったと思うんですけど、ばっちり合わせて弾いてくれたので本当に感謝です。

アレハンドラ:MISAがその場でいろいろアドバイスをくれたので、うまく合わせて弾けたんだと思います。ありがとうございます。

AKANE:The Warningとのコラボを通して、演奏に対しての熱量がほんとに変わったと思う。もう気持ちが上がっちゃって、大変です(笑)。

パウリナ:私たちもとてもいい経験ができたし、ものすごく大きなモチベーションをもらえましたよ。

ダニエラ:……“アガッチャッテ”ってどういう意味ですか?

AKANE:気持ちが昂るみたいな意味だよ(笑)。

パウリナ:へえ!

ダニエラ:スペイン語で“アガッチャッテ”っていうと、“しゃがむ”っていう意味なんだよね。

SAIKI:そうなんだ。じゃあ意味としては真逆だね(笑)。

アレハンドラ:おもしろい。“アガッチャッテ”!

ダニエラ、パウリナ:“アガッチャッテ”!

MISA:あははは。かわいいなあ(笑)。



Photo:堀内彩香


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深まった絆、次なる展望は?

――ボーカルのレコーディングはいかがでしたか?

SAIKI:ダニーは素晴らしい声をお持ちだから、生で聞くのを楽しみにしていたんですけど、実際のレコーディングはめちゃめちゃ勉強になりましたね。誰かと一緒にレコーディングすること自体初めての経験だったから、すべてが刺激的だったし、ネイティブの英語を間近で聴きながら歌うことでいろんな発見もありました。ふたりの声のバランスをどうしようか、レコーディング前はけっこう気にしていたんですけど、結果的にはあまり考えすぎず、楽しみながら自由に歌うことでいい仕上がりにできたと思います。

ダニエラ:メロディも譜割りもいつもの自分たちの曲とは違うので、すべてにおいてチャレンジだったわ。でも新しいことに挑戦するのは本当に楽しかった!

SAIKI:キーもすごく高かったもんね。お互い頑張った!

KANAMI:私は高めのキーを頑張って出す声がすごく好きなので、ふたりには大変な思いをさせてしまったかも(笑)。でも、すごく満足のいく仕上がりになってよかったなと思っています。

小鳩:あと、〈wow wow〉のパートはライブでシンガロングしてもらえたらなっていうイメージがあったので、レコーディングも全員一緒にやったんですっぽ。1本のマイクを8人で囲んで。

アレハンドラ:みんなで歌うのは楽しかった!



Photo:堀内彩香


――今回のコラボで絆が深まった2組。また何かできるといいですよね。

小鳩:今回はThe Warningが日本に来てくれたので、今度は私たちがメキシコに行って、一緒にライブしたいですっぽね!

ダニエラ:ぜひやりたい! 今回、日本でいろんなお菓子をオススメしてくれたから、今度は私たちがメキシコの美味しいものをオススメしてあげるね。

AKANE:あははは、楽しみ。

アレハンドラ:今度は私たちがベースを作った曲を一緒にやってみるのもいいかもしれないですよね。

パウリナ:そうだね。すごく楽しい曲を一緒にやってみたい。英語で歌うのか、日本語で歌うのか、いろんな方法を考えてみたいな。

SAIKI:うんうん。どっちの母国語も出てくるような、ちょっとラフな感じの曲もやってみたいよね。

ダニエラ:そのときはキーをちょっと下げさせてもらうわ(笑)。

KANAMI:高いキー歌わせちゃってごめんねえ(笑)。

小鳩:次にやりたいことのアイデアはもうたくさんあるので、ぜひまたコラボできることを願ってますっぽ!


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