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<インタビュー>ビルボードライブのステージに初登場!森崎ウィンの夢がまたひとつ、叶う日

インタビューバナー

 俳優・アーティストとしてワールドワイドに活躍する森崎ウィン。ミャンマーで生まれ、小学校4年生の時に来日、その後、中学2年生でスカウトされ芸能活動を開始。今ではドラマや映画、舞台で数々の主要キャストをこなし、2018年にはスティーブン・スピルバーグに認められハリウッドデビュー。また、2024年6月には、初の監督作品『せん』が米国アカデミー賞公認、アジア最大級の国際短編映画祭『ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2024』でグランプリのジョージ・ルーカス アワードを受賞した。八面六臂の活躍でエンタメ界をけん引する森崎ウィンがこの夏、【Birthday Boy in BillboardLive】と題し、スペシャルなライブを贈る。(Interview & Text 岩本和子)

誤魔化しの効かないライブを見せたい

――ビルボードライブに初登場です。ビルボードライブにはどんなイメージをお持ちですか?

森崎ウィン:敷居が高くて、立ちたくても簡単に立てないような、本当に実力と人気を兼ね備えた、限られたアーティストしか立てないみたいなイメージがすごく強くてですね、音楽をやっている身としては「ビルボードに立つ」というのが一つの目標という思いが正直、ありましたね。

――今回、どういう経緯で実現したのでしょうか。

森崎:「ずっと(ビルボードで)やりたい」と言っていて、何回かビルボードさんの方からも「やりませんか」とお声がけをいただいているとお話を聞きまして、今回、「夏にやりませんか」というお話ももらって、タイミングもあいまして「ぜひやりたいです」ということで成立しました。

――ビルボードさんからお声が掛かるというのは、嬉しいですね。

森崎:なんとか(声が)かかるところまで来たんだなって、やっぱり嬉しいです。

――【Birthday Boy in BillboardLive】のコンセプトを教えてください。

森崎:【Birthday】とつけたのは、誕生日(8月20日)が近いからというのもあるのですが、僕の中では、自分で持つビルボードのイメージを反映したライブができたらいいなと思っていまして。バンド編成も普段とは全然違う形にして、普段歌わない楽曲を歌ったり、普段歌っている曲もビルボード用にちょっとアレンジを加えたりして。今回は「誤魔化しの効かないライブをちゃんとお見せしたい」ということをコンセプトに組んでいます。ただ、せっかく誕生日にも近いので、ちょっと祝ってくれたら嬉しいです!

――客席との距離感もビルボードライブならではですね。

森崎:僕、おととしの年末に初めてディナーショーみたいな形で、コットンクラブさんでライブをやらせてもらった時に、あの近さに当初戸惑ったんです。今までとは違う感覚で、本当に目の前で音楽を通して会話をしているみたいな感じだったから。これはめっちゃ緊張するな…と思いつつ、終わってみると本当に特別なもので。それがすごく刺激的でしたし、本当に楽しかったんですよね。「こういう形のライブを自分はずっとしたかったんだな」と改めて思ったので、今回、念願のビルボードライブさんでできるのは、本当に感謝しかないです。

――普段されない楽曲もというお話もありましたが、構成やアレンジはこれから練っていくのでしょうか。

森崎:第一回のリハーサルをしたのですが、バンマスでもあるピアニストの方といろいろ練りました。その結果、だいぶいい感じになりそうです。カバーも何曲かやらせてもらおうかなと思いつつ、普段やらない曲や初めて歌う曲もあります。リハも最高すぎて、「これはやばい!!」みたいな(笑)。とにかくめっちゃ盛り上がりました。

夢への第一歩を踏み出す瞬間を共にする‟クルー”の存在

――昨年はご自身初の全国ツアーも完走されました。その時の手応えとか、ツアーで得たものを今後のライブ活動にどう反映していきたいとお考えですか?

森崎:そうですね…細かく言ったらたくさんあるんですけども、一番大きかったのは、2020年にソロデビューして以降、行けていなかった場所まで行けて、ライブができたことですね。それは何よりも大きな財産だったんじゃないかなと思います。「普段は(会場まで)遠いけど、今回は近くまで来てくれた」というご意見を耳にしたりして、ちゃんとその願いが叶って良かったなって思います。あと、どこに行ってもついてきてくれる‟クルー“がいるのも、本当にありがたかったです。例えば、これからドーン!と自分の曲がヒットして、アジアツアーという目標が叶うというのは素晴らしい未来だし、それも大事ですが、その第一歩を踏み出す瞬間に一緒にいてくれる人は特別なんですよね。僕のことが好きで、僕の音楽が好きで、ファンでいてくれて。そんなファンの方が増えるのはすごく嬉しいし、プラスでしかないのですが、昔から僕を信じて応援してくれる人のことは、なんだかんだ覚えているので。俺、顔を覚えるのはめっちゃ得意なんですよ。名前は苦手ですけど(笑)。ビルボードって距離が近いから、顔が見えると思うし、そんな空間で同じ時間を一緒に過ごせることが僕にとって大きな宝です。いつでもそうですが、まさに今、の段階から応援してくれている人は、今後、僕の活動規模が大きくなるにつれて特別な存在になっていく。それは確実なので、すごくありがたいなと思います。

――顔を覚えてもらうと、めちゃくちゃ嬉しいですね。ライブ中に「知ってるよ」みたいな顔をされたら、その夜は眠れないと思います(笑)。

森崎:ライブってそれが醍醐味だから。お互いが顔をちゃんと見る。その場に足を運んで、そこでしか味わえない空気を味わって、明日への糧になっていく。僕もファンの方から力をもらっています。ライブの本番を迎えて、やっとみんなが僕の音楽を受け取ってくれて、成立して、「ああ、良かった」って。笑顔が見えたりすると死ぬほど嬉しいし、ここまで頑張ってきて良かったなと思います。聴いてくれる人がいる、受け取ってくれる人がいることに、いかに感謝すべきか、本当に身をもって感じています。俺がエンターテイメントを渡さなきゃいけない立場なのに、すごく身勝手ですけど毎回、ファンの方からもらって帰るものが多くて。ファンの力、お客さんの力は本当に偉大です。




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好きなものはひとつに絞らなくてもいい

――『ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2024』のジョージ・ルーカス アワード最高賞を受賞されましたね。おめでとうございます。

森崎:ありがとうございます。ひとつ言いたいのは、俺がこれから証明したいことは「その道のプロ」ってすごく大事だけど、好きなものをひとつに絞らなくてもいいということです。好きなものを全部しようと思ったら時間はかかるかもしれないけど、俺みたいにあれもやりたい、これもやりたいという人はいっぱいいると思うんですよね。でも、周りの人からは「一個に絞らないんですか?」と言われることがあります。「歌手やりたいの? 俳優やりたいの? 絞った方がいいんじゃないの?」「海外行くんだったらもう行った方がいいよ」とか、すごく言われるんですけど、俺は両方好きだしな…みたいな。ミュージカルも好きだし、ライブもしたいし、映画監督もやってみたいし…と思ってWOWOWさんの企画に乗らせて頂いて短編映画を撮ったら、今回まさかのグランプリをいただきました。

――素晴らしいですね。

森崎:ただただ楽しいからやっているという。まず、やれる環境があることに感謝ですね。声をかけてくれる方がいることも恵まれていると思います。

――それは森崎さんが今まで築いてきた信頼や、歩いてきた道を証明しているのでしょうね。『せん』はどのように出来上がったのでしょうか?

森崎:内容については、脚本家の上田一豪さんに僕が思っていることをインタビュー形式で赤裸々に話しました。話していくうちに「俺が今、描きたいのはこれかもしれない」ということが見えてきて。だから、一豪さんと二人で話したことが原案で、脚本として形にしてくださったのが一豪さんです。

――日本の現風景といいますか、作品に描かれているような日本の田舎の、隣人とのささやかな生活に興味がおありだったんですか。

森崎:それは最初から決まっていました。日本のオリジナルミュージカル作品を作りたいというのが冒頭にあったんですよ。ミュージカルをやりたい。じゃあ、どんなミュージカルをやるのかということで、先程の上田さんとの会話がありました。日本のオリジナルミュージカルとなると、日本の文化を入れなきゃいけない。けど、着物を着て…というのはまた違うし、現代の日本を見てほしいなというのもありました。

――中尾ミエさんが演じられる田舎のおばあちゃんが主役です。

森崎:僕がミャンマーから日本に来て、田舎のおばあちゃんに会いに行くと、すごく心が落ち着くんですよね。東京って、たとえるとニューヨークみたいなすごく忙しい街で、いろんなものが物理的に近いところにあるのに、心の距離がめっちゃ遠い。でも田舎は、一軒一軒の物理的な距離は遠いのに、心の距離がめっちゃ近いみたいな。それをすごく表したくて。どうにか表現できないかと話を進めていった感じです。というのも、今後(『せん』が)オンデマンドに乗っていくと海外からのアクセスもあるだろうから、そうなったときに「これが今の日本で、日本のオリジナルミュージカルもいいね」とか思ってもらえる。歌も、メロディなんかにもそう思ってもらえたらということを意識しました。

――中尾ミエさんにオファーされたときは、何かおっしゃっていましたか?

森崎:「もっと早く声かけて」とおっしゃっていました。台本が上がっていないのに声をかけるのって、おかしいじゃないですか。それは失礼になるから、台本を作って、ある程度形にするまで時間がかかって。ミエさんに「すいません」と言いながらもお声かけしたら、二つ返事で了承してくださいました。

――優しいシーンが続きますが、最後に意外な結末が待っていました。「‟せん”を乗り越えていきましょう」という森崎さんの受賞コメントも印象的でした。ミュージカルやエンタメは単に楽しいだけじゃない、世界ではいろんなことが起こっているということがすごく伝わってきて、さすがだなと思いました。

森崎:ありがとうございます。「もうちょっとギャグっぽいものでもいいかな」とかめっちゃ考えたんです。もちろん作品作りは自由だから、プロの方々と話し合って、もっと楽しく、ただただハッピーなものも作れますけど、僕が監督をやるとなったら、「今の僕が描かなきゃいけない」という使命もちょっとありました。「俺がやるべきことって、これなんじゃないかな」という思いもありながら、それに振り過ぎるとエンターテイメントとしては成立しない。ドキュメンタリーになってしまう。エンターテイメントで見せるのであれば、もう少しワクワクするものとか、面白いものを作ろうと。それをいい塩梅にしてくださったのが上田一豪さんです。やっぱり彼は天才ですよ。日本のミュージカルを世界に知らしめるのは彼の脚本だと俺は信じています。世界に通用するものを作れると思う。本当にすごいと思いました。

――監督業はいかがでしたか?

森崎:楽しかったですね。楽しかったですけど、それを生業にしていくのかというと、また違って。今後も続けるかと問われたら、しばらくはやらないかなというのが正直なところです。でも、監督をやって、俳優じゃ見られなかった景色をたくさん見ることができました。俳優業だけでは携われない部署の皆さんとも会話ができたことは、僕にとって大きな財産になったと思います。

とにかく楽しむ1年にしたい!

――いろんな表現方法がある中で、歌という表現については、どうお考えですか?

森崎:歌はリアルな僕の人生と重なることが多くなってくるんですよね。「森崎ウィン」という一種、帰る場所みたいな。特に自分で作った曲は、人生を歌にして残すことに近いんじゃないかなと思います。書いてもらった曲は、パフォーマンスする時はちょっと俳優に近かったりもするけど、ゼロから作る時に「やっぱりこの思いを入れたいな」と伝えられるので、作ってもらったものを100%、演じ切るというよりは、「この歌詞が入っているということは、あの時の僕のことを受け入れて、書いてくださったんだな」と思うことがすごくあります。

――では最後に、8月20日に迎える34歳を、どんな1年にしたいかお聞きしてインタビューを終わりたいと思います。

森崎:とにかく楽しもうと思っています。自分なりにちょっと統計をとってみたことがあって。たとえば、俺がちょっとイライラして現場に入って、本番が始まる前に笑顔を見せなかった日って、だいたい本番で何かやらかすんですよ。それは大きな失敗ではないのですが。なので、まずは笑おうと思っています。楽屋とかで「はははは!」とか笑って、そのままスッと本番に行くと、結構うまくいくんですよね。それがすべてに当てはまるかはわからないですけど、楽しむことを忘れちゃうと失敗することが多かったので、「楽しむ」ということを今一度、かみしめたいと思います。「緊張する…」とか思っても、その後に、「いや、でも楽しみなんだよね」と言葉にする。「絶対楽しくなるよ」とか、「絶対面白い」って声に出す。「とにかく楽しんでやる」ということを念頭に置いて過ごせる1年になればいいなと思います。




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