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<インタビュー>GOOD BYE APRIL×土岐麻子 時代を繋ぐシティポップ対談実現!コラボ作『ふたりのBGM feat. 土岐麻子』や敬愛するEPOについても語る



<インタビュー>GOOD BYE APRIL×土岐麻子 時代を繋ぐシティポップ対談実現!コラボ作『ふたりのBGM feat. 土岐麻子』や敬愛するEPOについても語る

 奇しくも『ふたりのBGM feat. 土岐麻子』の歌詞にある「今年初めての真夏日」に実現した、初となるGOOD BYE APRIL×土岐麻子の対談インタビュー。この2組のコラボレーションがどのような想いから実現し、今回の楽曲が完成に至ったのか。また、それぞれの音楽的ルーツから浮かび上がってくるシティポップの魅力や原風景。共通の敬愛する先輩ミュージシャンであるEPOとの貴重なエピソード。この出逢いを機に実現したい音楽共演の形など、楽しげに語ってくれた。双方のファンはもちろん、全音楽フリーク必読の内容となっているので、ぜひご覧頂きたい。

<参加メンバー>

・GOOD BYE APRIL
倉品翔(vo,g,key)
吉田卓史(g)
延本文音(b)
つのけん(dr)

・土岐麻子

<インタビュー>GOOD BYE APRIL×土岐麻子 時代を繋ぐシティポップ対談実現!コラボ作『ふたりのBGM feat. 土岐麻子』や敬愛するEPOについても語る

▲左から:延本文音/倉品翔/土岐麻子/吉田卓史/つのけん

Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada

都会のざわめきや息遣い、煌めきを音に込めたい

--GOOD BYE APRILにとって土岐麻子というアーティストはどんな存在なのか、最初に伺わせてもらってもよろしいでしょうか。

倉品翔:このバンドのジャンルとしてニューミュージックやシティポップにフォーカスし始めたのは、結成して5,6年経ってからで。元々UKロックなどのバンドサウンドに憧れていたところから、自分の歌声に合う音楽として、小さい頃に親の車の中で聴いていたニューミュージックやシティポップに行き着いたんですよね。で、土岐さんは僕が学生の頃からすでにニューミュージックやシティポップの濃いエッセンスを継承されていて、そうしたスタンスの先駆者というか、ずっと前から先を走っていらっしゃる方として好きで聴いていました。

延本文音:私は専門学校時代に友達がいなくて、ひとりでお弁当を食べていたんですけど(笑)。ただ、そこは絵を学ぶ学校だったんで、それ用のプラスチックのバックにライブハウスのPASSとかを貼っていたんです。その当時もバンドはやっていたので。そしたら、Cymbalsを布教しているクラスメイトが「音楽好きなんだよね? Cymbals聴いてみて」って勧めてくれて。それで私も「Cymbals、めっちゃ格好良い!」と思って、学校で初めて会話できる友達が生まれたんですよね! そこから自然と土岐さんのソロも聴くようになったんですけど、私は土岐さんの歌詞がすごく好きで。少女的でもあるし、大人の女性にもハマるような絶妙な感じが好きで、いつ聴いても「こういう気持ちになることあるな」って共感したり、恋愛を疑似体験しているような気持ちになったり、元気づけられたりもするんですよね。なので、日常的にずっといっぱい聴いてます!

土岐麻子:良いストーリーですね。Cymbalsの音楽を通じて友達ができた……マンガみたいなお話で。もう解散してからだいぶ経ちますけど、私が在籍していたバンドがそんな役割を果たしていたなんて。時を経てもいろんな人に聴いて頂けていて、今回こうやって繋がることもできたので、本当にうれしいです。

<インタビュー>GOOD BYE APRIL×土岐麻子 時代を繋ぐシティポップ対談実現!コラボ作『ふたりのBGM feat. 土岐麻子』や敬愛するEPOについても語る

▲土岐麻子

--自分の音楽を聴いて育った後輩たちから「一緒に音楽をやりませんか?」と声をかけられる流れも含め、ドラマティックですよね。

土岐麻子:そうですね。Cymbalsの頃はSNSもなかったので、なかなかこういう話を聞けなかったんですよ。ライブをやればお客さんは来てくれるし、盛り上がってくれるんだけど、その一方でレーベルから「今回は何枚売れたんだ?」というシビアな話もあって。音楽業界全体的にCDがだんだん売れなくなっていた時代だったんですよ。だから、著しく売り上げが下がっていって、気分的にはわりと落ち込む感じだったんです。「前よりも良い作品をつくろう」と頑張っていたんですけど。SNSもないから「こんな風に聴いてもらっているんだ!」みたいな実感もないし、わりと孤独だったんですよね。でも、時を経て年下のミュージシャンの方から今みたいな話を聞くと「やっててよかったな」と思います。

--土岐さんのソロはもちろん、Cymbalsも含めて「好きでした!ファンです!」みたいな声って年々増えているんじゃないですか?

土岐麻子:そうなんですよ。例えば「お父さん、お母さんが聴いていました!」みたいな。そのご両親は若い頃に知って聴いてくれていたんだろうから、それから子供ができるまで、そんなに長く好きで聴き続けてくれているなんて嬉しいですよね!「長く続けていると良いことあるな」って最近よく思っています。

--今回、GOOD BYE APRILからコラボレーションのご依頼があったときは、どんな気持ちになりましたか?

土岐麻子:ご依頼頂いてから一気にGOOD BYE APRILさんの楽曲を聴かせてもらったんですけど、素直に「こんなに良いメロディ、良いサウンドのバンドがいるなんて」とビックリしました。どの楽曲を聴いても完成度が高いというか、1曲1曲のサウンドも練られていて、ストーリーを感じる音楽ばかりだし、こんなに良いミュージシャンがいたんだなって。本当に良いバンド。古き良き日本のポップスの匂いを感じたし、今の音でもあるし、どんなルーツを持っている人たちなんだろうって気になりました。

--では、せっかくなので、それぞれのルーツについても掘り下げていきたいのですが、GOOD BYE APRILは4人とも近しい音楽を聴いて育ってきたんですかね?

吉田卓史:親が聴いていた音楽がルーツというのは一緒かもしれないですね。安全地帯とかチューリップとかそういうニューミュージック。僕の家は洋楽もよく流れていたからイーグルスとかボズ・スキャッグスとかも聴いていましたし。さすがに何もかも同じ音楽を聴いていたわけじゃないけど、重なる部分も多いのかなって思います。

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▲左から:つのけん/吉田卓史

延本文音:私は音楽がない家で育ったんですよ。1枚も家にCDがなくて。でも、家族で海とかに行くときだけサザンやユーミンのベストアルバムをMDに焼いて流していました。あと、おばあちゃんだけ民謡を習っていて歌が好きだったんで、その影響でカセットテープで童謡も聴いたりしていて。そこにも私はルーツを感じているんですけど、少し寂しかったり、シンプルなんですけど、すごく強固なメロディみたいな。そういうものが歌い継がれている音楽にはあると思うんです。で、海の帰りに聴くサザンとかもそうなんですけど、思い出とセットになっている歌にすごく感銘を受けていて。冬でもサザンを聴くと海の帰りを思い出す。その思い出を掘り起こしたいから聴きたくなる。タイムカプセル的な感じ。そこに自分の音楽的ルーツがあるんだろうなって感じています。

つのけん:僕はハードロックが好きだったし、ヴィジュアル系で言えばLUNA SEAも好きなんですけど、LUNA SEAはメロディが大好きなんですよ。僕も旋律の中に切なさがある音楽が好きなんですよね。そんな感じでそれぞれに聴いてきた音楽もあれば、4人全員に通ずる音楽もたくさんある。

倉品翔:それを紐解いていくと、みんなメロディが好きで音楽を聴いていたんですよね。ジャンルとかちょっとずつ違うものも聴いていたと思うんですけど、お互いに好きな音楽を紹介して聴き合うと、やっぱり旋律が良い。僕自身もメロディが好きでチューリップとか山下達郎さんの音楽を聴いていたので、自分の中に深く根付いているのは、そういう日本的な古き良きメロディなんですよね。そこは共通項としてあると思います。

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▲左から:つのけん/吉田卓史/延本文音/倉品翔

--土岐さんはどんな音楽の影響を受けながら、今のご自身の音楽性を構築されていったんでしょう?

土岐麻子:原体験は80年代とその前後の音楽ですね。父がジャズ・サックスプレイヤーで、当時はポップスの仕事もよくやっていて、山下達郎さんのツアーのメンバーだったんです。レコーディングにも参加していて。だから、家で流れる音楽の中のひとつに達郎さんのレコードがあって、それを聴いて純粋に「楽しいな」と思っていました。あと、父が持っているレコードはほとんどブラックミュージックばかりだったので、チャカ・カーンとかマーヴィン・ゲイとか……あと、スティーヴィー・ワンダーとか! スティーヴィーの『キー・オブ・ライフ』がリリースされた年に私は生まれたので。当時のブラックミュージックと、日本の達郎さんとその世代の繋がりのあるミュージシャンの音楽。それが私の音楽の原体験ですね。

--そこからどんな音楽を自発的に吸収していくんですか?

土岐麻子:小学生のときに『オレたちひょうきん族』が始まって、そのエンディングテーマがまさに今で言うシティポップだったんですよ。EPOさんだったり、ユーミンさんだったり、達郎さんだったり。そのときに改めて音楽からオシャレさを感じたんです。そこに大人の世界を垣間見る感じがして。土曜の夜に例えばEPOさんの「土曜の夜はパラダイス」が流れて楽しく番組が終わっていくんですけど、大人たちはその歌詞の世界みたいな煌めく夜の街に繰り出していくんだろうなって。私は子供だから「早く寝なさい」と言われて布団の中に潜らなきゃいけない。だから「早く大人になりたい!」と思っていたんです。

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▲左から:つのけん/吉田卓史/延本文音/倉品翔/土岐麻子

--たしかに、あの時代の音楽×テレビは子供の憧れの世界でした。

土岐麻子:そういう憧れもセットでそのあたりの音楽を聴くようになって、そこでもらったものが私の音楽の原動力になっている。都会のざわめきや息遣い、煌めきとかワクワクする気持ちみたいなものを音に込めたい。それを景色ごと閉じ込めたい。その想いは今も変わらずありますね。中学生になってからはバンドブームがあって、私もバンドをやるようになって紆余曲折あったんですけど、結局は原体験に立ち返っていきました。

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