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<インタビュー>第2章をスタートさせた7ORDER、新曲「But」裏と表の制作秘話を語る

インタビューバナー

Interview & Text:吉田可奈
Photo:筒浦奨太


 2024年1月1日に第1章の幕を閉じ、新体制となった7ORDERが第2章をスタート。その状況下でリリースする新曲「But(裏)」は、彼ら自身が歌詞を手掛けた、新たな意欲に満ちた楽曲となっている。「But(裏)」の2日後にサプライズでリリースした「But(表)」と、“今までにないくらい感情をむき出しにした”というミュージック・ビデオについても、教えてもらった。

 左から:諸星翔希、真田佑馬、安井謙太郎

活動を再スタートした7ORDER

――新体制を迎えた際、メンバー同士でどんなディスカッションが行われましたか?

安井謙太郎:まずは、“とにかくやろう”と話しました。実は、メンバーが1人減ったことで時間が止まった感覚があったんです。でも、そのままでは絶対にダメだと思い、“どうやったらこの船が動き続けるんだろう”ということを話し合いました。

真田佑馬:さらにこのタイミングで僕たちが立ち上げた“L&L’s”という会社を前面に出すことを決め、すべての責任が自分たちにあることを全員が再認識したんです。


――その自覚をすることで、より“自分たちらしさ”を追求する必要が出てくると思うのですが、いかがでしょうか?

安井:そうですね。1つ1つ、クリエイティブに、そしてチャレンジングであることをより追求すべきだと思いました。なので、具体的にこの会場でライブをするとか、そういったことよりかは、とにかく面白いことをいかに発信していけるチームになれるかどうかという話になったんです。

諸星翔希:風邪を引いたときって、“健康ってすごく幸せなことなんだな”って思いますよね。7ORDERからメンバーが一人抜けたときも、同じような感覚になったんです。だからこそ、あらためて動くにも、それなりのエンジンを持たないといけないと思ったんです。




――その時期を経たからこそ、より絆も強くなったのではないでしょうか。

安井:絆はもちろん強くなりましたが、どちらかというと“確認”という作業をたくさんした気がします。今回、新体制をスタートさせる時に、自分たちの会社を前に出さない選択肢もあったんです。でも、その責任を一つ背負うことで、ある意味、強制的に大人にならなくてはいけない状況になったんです。これまでも、大人にならなくちゃいけないことをわかってはいたんですが、そういう話をメンバー間であからさまにはしてこなかったんですよね。

真田:たしかに、そうだね。

安井:でも、今はそういったところを全員で再確認したからこそ、無邪気な時間、何も考えない時間、ちゃんとしなくちゃいけない時間が明確に住み分けされていったように感じます。そういう意味では、メンバー間の雰囲気がちょっと変わったかもしれないですね。

真田:とはいえ、メンバー全員でいつも結局ごはんを食べにいくくらい“友達”ですし、ちゃんとした会議ではスタッフ同士になれるんです。


――7ORDERって、昔から仲がずっといい印象があります。

安井:どうなんだろう(笑)。他のグループの話を聞かないからわからないですけどね。でも、関係値としては1周回った感じがします。それを示すエピソードが最近あったんですよ! うちのグループには結構遅刻をしちゃう子が多いんですけど…。ね?

諸星:あははは!(大声)


――確実に諸星くんじゃないですか(笑)。

諸星:ちょっとね、たまにね(笑)。

安井:逆にさなぴー(真田)はまったく遅刻をしないんです。

真田:僕は一度もしたことがないんです。

安井:となると、さなぴーが遅刻をするみんなを注意する側になるわけですよ。とくに僕が遅刻をしちゃったときも、「やっさん! 一番年上でリーダーなんだからしっかりしてくれよ」ってちゃんと言ってくれるんです。でも、そうなるとさなぴーの負担がどうしても重くなりますよね。それなら、遅刻をした人にルールを設けようって話になったんです。



――“遅刻をしないようにしよう”ではなく?(笑)。

真田:それが一番なんですけどね(笑)。

安井:遅刻をしたら、その現場の人全員に差し入れをするって決めたんです。そしたら、さっそく先日のミュージック・ビデオ収録の時に…。

諸星:私がやらかしてしまいまして…。スタッフ50人分のフラペチーノを差し入れをしようとしたんですけど、その数は配達をしてくれなくて今度という話になったんです。…危なかった!

安井:“危なかった”?

諸星:いや! 申し訳ないなって!(笑)

一同:あはは!

真田:この罰則が決まってからは、僕も絶対に遅刻ができなくなりました。今日なんて集合時間の40分も前に来ちゃいましたから(笑)。


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  1. 「僕たち7ORDERの赤裸々な曲となりました」
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「僕たち7ORDERの赤裸々な曲となりました」


――あはは。そんな中、新体制としてリリースされる曲「But(裏)」は、どのように作られたのでしょうか。

安井:7ORDERはダンスとバンドを掲げてきたチームなので、それがこの1曲目で伝わるようにしようと話し合うところから始まりました。そこで、同じメロディと歌詞で、ダンスver.とバンドver.、それぞれ1曲ずつを出すということが最初に決まったんです。その流れで、「But(表)」はサプライズにするという案が出て、「めちゃくちゃおもしろい!」という話になったんです。

諸星:この案はプロデューサーさんが持ってきてくれたんですが、ものすごく長い資料を作ってくれただけでなく、気持ちを入れて読んでくれて(笑)。

安井:その瞬間に、僕たちが挑戦したかったことってこういうことだよなって思ったんです。つねに枠組みを突き抜けて上っていく、“こういうやり方もあるのか”ということを提示できるチームでありたいと思っていたので、1曲目を出してその2日後に違うバージョンの曲とミュージック・ビデオをリリースするというやり方にワクワクしました。

諸星:ダンスver.はかなり難しくて、ずっと頭の中に“「But」のダンス、どうしよう”と考えながら数週間を過ごしていました。実は、バンドver.とダンスver.はちょっとずつ内容が違っていて、ここにはラップがあるけど、こっちにはラップがない、こちらにはAメロが2個あって、こっちにはないみたいなことがあるんですよ。

安井:これもみんなで構成を話して決めていきました。たとえば、ダンスver.だけにラップを入れたいよねとか、こうしたいねというショットのアイディアをどんどん盛り込み、最終的には余計なものをちゃんと削ぎ落して最善の形にしていったんです。ラップのリリックはモロ(諸星)が考えてくれたんですが、めっちゃ難しそうだったよね。

諸星:マジで難しかった! トラックと、メロディはある程度あるなかで、リリックをどうしようとなった時に、僕たちのボーカルトレーナーをしてくれているChicaさんと一緒にスタジオに入り、7ORDERを客観的に見るとどうなのか、という話しをすることから始まったんです。そこで「今の7ORDERって何を思っているの?」「そもそもどんな成り立ちなの?」というところから掘ってくれて、単語単位でChicaさんがノートに書いてくれたんです。その後英語のサビを作ってくれたんですが、その和訳が本当に素晴らしくて! 読んだ瞬間、「この曲の軸はこれだな」って思ったんです。


――たしかに、このサビの対訳は、これまでの7ORDERを知っている人が読んだら、ものすごく心をつかむ、“エモい”言葉が並んでいますよね。

安井:そうなんです。これが日本語だったらまた印象も違ったと思うんですよね。僕たちが話したことを本当にうまくピックアップしてくれたので、他のラップやAメロBメロなどは、そこに繋がるように歌詞を書いていきました。

真田:この歌詞は、Chicaさんが書いてくれたサビと、僕たち自身が手掛けた言葉で組み立てているので、ものすごくリアルなんです。だからこそ聞いていてたまに苦しくなりそうになるんですが、サビになると一気に救われるんです。僕たち7ORDERの赤裸々な曲となりました。

安井:正直、こんなにもネガティブなワードが入っているのも珍しいんですよ。7ORDERの楽曲は、これまで”大丈夫?”“がんばろうね”というエールソングが多くて。でも、僕たちの弱くてカッコ悪い部分をしっかりと出していいんじゃないかなって思ったんです。対するバンドver.は、今の僕たちはこうだけど、2A(2番のAメロ)になった時に、ずっと暗いことを言うのは7ORDERに似合わないと思ったんです。それ自体も素直なアウトプットだったなと思います。

諸星:すごく自然な流れだよね。

安井:うん。第1章の僕たちも間違ってはいなかったし、第2章になり、その表現の仕方が変わっただけで、根底にあるのは、楽しさ、明るさ、勇気づけるようなことがあるんだろうなということが再認識できました。この2バージョンを同時に制作したからこそ気づいたことがたくさんありましたし、この「But」だけでも、少しの成長が見えたんじゃないかなと思います。



――曲をリリースして、2日後に違うバージョンをリリースするというのは、初めて聞きました。ファンも驚くのではないでしょうか。

安井:それが、僕らのファンは察しがいいので、「But(裏)」という時点で表もあるのではと勘ぐっている人がいて(笑)。

諸星:有名な“勘のいいガキは嫌いだよ…”ってフレーズを言いたくなりますね(笑)。

安井:楽曲的にも、内面の話と、アウトプットする話と、表と裏が出たと思います。クリエイティブディレクターとお話をしたときに、「ダンスver.は歌うたびに、作った時の感情に戻る曲になりそうだけど、バンドver.は、歌っていくたびに変わっていきそうだね」と言われて、ハッとしたんです。僕たちの「雨が始まりの合図」という曲も、最初はさなぴーが中心に、僕の誕生日へのプレゼントという形で作ってくれたんですが、いつからか、この曲は7ORDERからみんなに対して歌う曲に育っていったんですよね。それって、すごく理想形だなって思っていて。この2曲は、歌詞もメロディも一緒ですが、全くタイプが違う曲だからこそ、年数がたつにつれ、曲同士の距離が離れていく面白い曲になるんじゃないかなと感じています。

真田:バンドの楽曲としても、一番BPMが速いんです。

諸星:(ドラムの)萩ちゃん(萩谷慧悟)が、ヒイヒイ言っていましたからね。

安井:アンコールにこの曲をやるのだけはやめてくれって!(笑)。

一同:あはは!



――バンドとしてのキャリアも重ねてきて、より音楽の面白さを感じているのではないでしょうか。

真田:そうですね。先日【Z祭】というイベントで久々にみんなの声や音を聴いたんですが、「そうだ、これだよな」と思う感覚になれたんです。音にその人の個性が乗っていることをすごく感じたんですよ。とくに萩ちゃんは筋トレをしすぎて、音が自然と大きくなっていて!(笑) “自分のクリックが聞こえないんだけど!”って言ったときにスタッフさんが“単純に叩く音が強いだけです”って言われていて笑いましたね(笑)。


――悲しきモンスターみたいですね(笑)。

諸星:本当にそうでした(笑)。謙ちゃんとさなぴーは気づいていたけど言わなかったのが面白かったよね。

安井:あはは。パワーがすごいんだもん!(笑)

諸星:バンドって、しばらく音を合わせないと、音が離れていくんです。でも、7ORDERはどんなに久しぶりでも音を合わせたら数時間もあればちゃんと馴染むんですよね。そこに昔からの友達感があってすごくいいんですよ。





Z祭 SUPER LIVE!!!!!!!!!【Vlog】


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  1. 「“会いに行く”ということがメインテーマになっているんです」
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「“会いに行く”ということがメインテーマになっているんです」


――【Z祭】はいかがでしたか?

安井:初めましての方たちもたくさんいたんですが、WATWINGやBUDDiiSは以前にも共演していたので、その成長ぶりに驚いたんです。よりカッコよくなっていて、普通に焦りましたね。

諸星:わかる。“やばい”って思ったよね。

安井:僕らも新体制になっているし、ステージ自体が久々だったこともあったんですが、正直これはヤバいぞって思ったんです。いま、あらためてボーイズグループで勢いがあるカッコいいグループがこんなにもいるんだなと大きな刺激をもらいました。

真田:衣装もグループごとに全く違って、色がしっかりと出ていたんです。僕たち自身も、取り入れるべきものなども見つかって、すごくいい勉強になりました。

諸星:バンド界隈のフェスに行き、バンドからもらう刺激と、ボーイズグループの界隈からもらう刺激って、種類が全く違うんです。僕たちはもともとがボーイズグループ出身なので、ダイレクトに刺激をうけるんですよね。この焦りや刺激を見て見ぬふりをすることなく、同じくらい、いやそれ以上の努力をしていかないといけないと感じたんです。



――この曲のミュージック・ビデオの撮影はいかがでしたか?

真田:完成がすごく怖いんですよ(笑)。こんなに完成がわからないのは初めてで!

安井:ダンスのミュージック・ビデオって、振り付けがあって、リップシンクを撮ってと、なんとなく流れがあるんですが、今回はコンテンポラリーっぽい感じで、アクティング要素の強いものを作ろうということで、お芝居とダンスの中間のようなコンセプトで撮影をしたんです。

諸星:それぞれのシーンごとに撮影をしたのでどう組み合わせるのかもわからないし、自分たちがアウトコントロールなところがたくさんあるんです。

安井:セットもすごくシンプルで、なにもない空間にサス(スポットライト)だけがあって、そこでまったく違う曲を流し、自分の表現を求められたんです。しかも、ダンスだけではなくて、“今思っている感情を爆発させてください”というワークショップのようだったんですよね。そこで泣いちゃう人もいれば、怒りを爆発させたりする人もいて。

諸星:シーンを撮影したときに僕は外にいたんですが、スタッフさんが泣きながら出てきたりしていて。とにかくインパクトが強かったんですよね。ものすごい刺激でした。

安井:スタッフも「これが一発目でしょ?」「何を見せてくれるの?」とどんどん煽ってくるんですよ。





「But (裏)」ミュージック・ビデオ





「But (表)」ミュージック・ビデオ


――令和っぽくないですね…!

安井:昭和でした(笑)。でも、その言葉でみんながどんどん感情を爆発させていったんです。ものすごく面白い体験をさせてもらいました。

真田:思い出すだけで震えますね。こんなにも心と向き合うことと表現を一度にやることがないので、自分の感情を紐解いていく感覚になりました。後にも先にも、忘れない現場になりました。

安井:今回、(阿部)顕嵐はアクターとして出演しているんです。これから彼の方向性としても、俳優の方にグッと重心を置いていく形になるので、クリエイティブで魅せるいい機会になったと思います。



――そして、ついにツアーが始まります。どんなものになりそうですか?

真田:第2章が始まって初めてのワンマンではあるので、コンセプトがしっかりとしたライブというよりは、フレンドリーなライブにしたいですね。

安井:“会いに行く”ということがメインテーマになっているんです。なので、コンセプチュアルなものにするのではなく、MCなどを多くしようかなとも考えています。きっと、ここで話したような内容も聞きたいと思うだろうし、いろんなことを丁寧に届けていきたいですね。

諸星:あとは、「But」の表と裏をどうパフォーマンスするのかを今からみんなで考えているので、ぜひ楽しみにしていてほしいですね。



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