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<CASIO×Billboard Live>サラ・オレインが語る、クリエイティブな時間を大切にしていくこと

インタビューバナー

 「すべての人に音楽を奏でる喜びを」という想いから、新しい生活スタイルに寄り添う電子楽器を展開するCASIOがBillboard Liveとコラボレーション。Billboard Liveの出演者にリレー形式で「音楽の楽しみ方」を語ってもらう。

 ポップスやロック、ジャズや映画音楽など幅広いジャンルの楽曲を美しくも力強い歌声で表現し、国内外のファンを魅了してきたサラ・オレインが春のビルボードライブ・ツアー『Sarah Àlainn Quartet ~MAY there be Jazz!~』を開催する。サポートメンバーには田中菜緒子(Pf)、早川哲也(Ba)、高橋信之介(Dr)といった日本ジャズ界を牽引する面々を迎え、ジャズを「自由な音楽」と定義し古今東西様々な楽曲を取り上げる。さらに本ツアーで新曲を世界初披露するというから、ファンは必見だ。このインタビューでは、そんな彼女に音楽に目覚めたきっかけや、歌を始めた経緯について改めて聞くとともに、ライブに向けての意気込み、今後の抱負についてざっくばらんに語ってもらった(Interview: 黒田隆憲)

ジャズを「自由の音楽」と定義し取り入れてみることにした

――改めて、サラさんが音楽に目覚めたきっかけをお聞かせいただけますか?

サラ・オレイン:自分ではあまりよく覚えていないのですが、4歳か5歳くらいの頃に少女がバイオリンを弾いているアニメ映像をテレビで観て、それで母に「私も弾きたい」と言ったらしいです。なので、物心がつく頃にはバイオリンを弾いていました。そこからずっと、大学生になるまではバイオリン一筋。大学では作曲も学ぶのですが、自分のバックグラウンドにあるのはインストミュージックなんです。


――歌を始めたのはどんなきっかけだったのでしょうか。

サラ:バイオリンを習いつつも、歌うことはずっと好きでした。シャワー中はずっと歌っていたりだとか、ごく自然と「歌」が身近にあったので、きっかけみたいなものは特になくて。ただ、14歳の時にシドニー音楽院で『ペンザンスの海賊』というオペレッタの配役オーディションがあり、ダメ元でトライしたところ奇跡的に主役に抜擢されてしまったんですよ。それで歌のレッスンを受けていた時期があったので、そこが歌のスタートラインといえるのかもしれないですね。

 当時はボーイソプラノが大好きだったんですよ。女性が歌うソプラノとは違う、ビブラートを使わない独特の透明感があるじゃないですか。しかも「声変わり」が訪れるまでの、限定的な時期にしか出せない声という儚さにも魅力を感じます。私もあの声を真似てみようと思った時期がありました。やっているうちに「男の子になりたい!」という気持ちも強まりましたね(笑)。もともと学園モノや、男性同士の友情とか、そういうストーリーにロマンを感じる方だったので、ボーイソプラノが持つピュアさや儚さ、透明感にも惹かれたのでしょうね。


――そんなサラさんによる『Sarah Àlainn Quartet ~MAY there be Jazz!~』が、5月11日のビルボードライブ東京を皮切りに、大阪と横浜の3会場で開催されます。こちらの見どころや意気込みを聞かせてもらえますか?

サラ:ツアータイトルに「Jazz」とあるように、今回はジャズを「自由の音楽」と定義し取り入れてみることにしました。おそらく、これまでの私のライブの中でももっとも自由な内容になると思いますね。

 私自身もバイオリンや鍵盤楽器を演奏する予定ですし、声も含めた全ての楽器がシームレスに動いていく様子を、皆さんに楽しんでもらえたら嬉しいです。


――脇を固めるサポートミュージシャンも豪華です。

サラ:ジャズの世界でトップクラスにいる方々ですよね。ピアノの田中菜穂子さんとは今回初めてご一緒するのですが、ベースの早川哲也さん、ドラマーの高橋信之助さんとは何度も共演させていただいているので心強いですね。すでにリハーサルも始まっているのですが、音楽を使って会話をしているような感じでとても楽しいです。バンド名は、「サラのバンド」なので「サラバンド(バロック音楽の組曲を構成する舞曲)」にしました(笑)。それにちなみ、「踊れる楽曲」を中心としたセットリストを組む予定ですので、ぜひみなさん楽しみにしていてください。


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新しい世界でもたくさんのことを吸収していきたい


――今回、新曲を披露する予定だとお聞きしました。

サラ:そうなんです。ゲームソフト「サガ」シリーズ35周年目の新作『サガ エメラルド ビヨンド』で、かつて「歌姫」と呼ばれたメカ「ディーヴァナンバー5」のキャラクターソングを歌わせてもらうことになりました。 人々を魅了する完全無欠のエンターテイナーだった「ディーヴァナンバー5」は、禁止楽曲を歌ってしまったことで、メモリと歌唱機能を封じられ、歌と人型のボディまで失ってしまう。そんな「彼女」の持ち歌である「Crazy for Who?」と、いわくつきの禁じられた歌「扉を超えて」を、今回のビルボードライブで世界初披露する予定です。

 伊藤賢治さん作曲、山岡広司さんアレンジのエレクトロポップな『Crazy for Who?』では、作詞にもチャレンジしました。これまで歌ったことがなかったアイドルソングで、周りの人からは「これ、サラなの?」という反応が返ってくることが多いですね。スタジオに入り、音楽ディレクターの岩崎英則さんから「ラップしてみない?」と提案されて、その場でフリースタイルしたのも初めての経験です。


――これまでやったことのないタイプの楽曲ですし、ゲームのキャラクターに合わせて声質まで変えて歌うのは大変ではなかったですか?

サラ:そこはきっと、「バイオリン」という楽器を続けてきたことが大いに活かされていると思います。自分の声も、まるで楽器のように自由自在に変化させていくというか。今回のライブは、様々な私の「声」を楽しんでもらえたら嬉しいですね。

 さらに、長年期待されていたゲーム『百英雄伝』(Eiyuden Chronicle: Hundred Heroes)のメインテーマ「Flags of Brave」も歌わせてもらっています。こちらも、これまで期待され続けてきた歌唱法とはまた違ったニュアンスを作ることができました。実は、この曲のオファーをいただくきっかけとなった楽曲は、ビルボードライブで歌った「My Way」なんですよ。語りから力強いシャウトまでを表現した「My Way」を、作曲家のなるけみちこさんが聞いてくださったみたいで。「Flags of Brave」でもぜひ、「My Way」のような表現をお願いしたいとおっしゃっていただきました。

 「Flags of Brave」は、日本語と英語を駆使したミュージカルのような楽曲。後半はアドリブのスキャットも入っています。オリジナル曲でこんな表現ができてとても開放的な気持ちですね。様々な声質を駆使して表現する、これまでにないくらい自由なステージになりそうです。ぜひともそれを「生」で味わっていただけたら嬉しいですね。


――2022年にデビュー10周年を迎えたサラさんですが、この先の活動についてはどんなイメージがありますか?

サラ:もともと私の人生プランに、日本で活動することは入っていなかったんですけど、素晴らしいご縁がたくさん重なり「シンガー」として2012年にデビューすることができました。一昨年10周年という節目を迎え、今後は日本だけでなく様々な国へ活動の場を広げていきたいと思っています。もちろん、今後もパフォーマンスは続けていきますが、よりクリエイティブな時間を大切にしながら「ものづくり」にもフォーカスしていく予定です。プライベートな時間も全て音楽表現に影響するので、新しい世界でもたくさんのことを吸収していきたいですね。



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