音楽だけじゃないけど、みんな人生に気を張りすぎ

－－昨年末、豪華コラボアーティストが集結した【JAMOSA collabo BEST “LUV” Release Party“WE ARE BOND”】がありました。JAMOSAにとってどんな夜になりましたか？

JAMOSA：久々のワンマンライブだったんで、ファンのみんなに会えたのがまず嬉しかったです。今回のシングル『何かひとつ feat. JAY’ED & 若旦那』を一番最初に披露する場でもあったし、あと若旦那がサプライズで登場してくれて、予定していなかった『BOND～キズナ～ feat. 若旦那』を一緒に歌うことになったり、とにかくいろんなことが起こり過ぎた夜でしたね。

－－2010年の締め括りみたいな印象を持って楽しんでいた人も多いと思うんですけど、JAMOSAにとって2010年ってどんな1年になりましたか？

JAMOSA：私にとってひとつのタームが終わったと言うか、コラボベスト『LUV～collabo BEST～』も出せたし、自分の人生にひとつリボンを付けられた感じがしました。まとまった、っていう感じ。

－－音楽シーン全体的には「CDは売れない」「音楽シーン、やばい」と囁かれ続けた1年でもありましたけど、そこにはどんなことを感じていました？

JAMOSA：配信によって、より多くの人が音楽を聴いてくれることはすごく素晴らしいと思う。でもCDが売れないのは寂しいっていう気持ちもあります。きっとサイクルがあると思うので、また良い状況は戻ってくるとちょっと期待しています。絶対そうなる気がする。そう信じてないとやってらんない（笑）！

－－JAMOSAの中で「もっとこうなれば変わるのにな」的な想いやアイデアって何かあったりしますか？

JAMOSA：もっとみんな気を抜いていいんじゃん？ 音楽だけじゃないけど、みんな人生に気を張りすぎじゃないかな。気楽にやれば音楽はもっと身近になるんじゃないかなと思うし。今は決まりごとがたくさんあり過ぎるから「流行ってるものじゃないと聴かない、聴いてもらえない」みたいな発想になる。自分の自然体というものをみんな見つめ直せば、より物事がスムーズに進む気がする。意識せずに、自然に良いものを目指して作っていけば、もっと良い曲とかも生まれると思うし。それっていろんなことに当てはまる気がする。

－－ちなみに2011年のJAMOSAはどんなモードになってるんでしょうか？

JAMOSA：2010年までのボックスはリボンを付けて置いて、新しいものをもう一回作っていくモードだから、再出発っていうか、思い切り飛び立っていく感じ。人としても、アーティストとしても。何もない状態にして、新しいボックスに新しい色を付けていく楽しさがある。それはドラマ「美咲ナンバーワン!!」主題歌のこともそうだし、JAY'EDと若旦那と3人でコラボすることもそうだし、若旦那に歌詞を書いてもらって、全体をプロデュースしてもらうっていうこともそうだし。今はいろんなことを試してみようかなって。

－－そんな中、DJ YUTAKA、ZEEBRAの意思のもと、AI、かまやつひろし、青山テルマ、横山剣、DOUBLE、難波章浩、Miss Monday、大黒摩季、RYO the SKYWALKER、K -Dub Shine、RHYMESTER、TERU等など豪華アーティストが集結した、ハイチ地震被災地復興チャリティソング『光 -Hikari-』へ参加。1月12日より同曲の配信がスタートしています。

JAMOSA：私はYUTAKAパパから電話で「参加して！今日来て！」って言われて（笑）。私は直接大地震を経験した人じゃないんだけど、お母さんの国の台湾でも99年に大地震があって。お母さんの実家はぐちゃぐちゃになって、亡くなったり、病気になった家族もいたから、そういうのを目の当たりにして「他人事じゃない」って10代の頃にすごく感じたんです。ただ、当時はまだ16才だったから何もしてあげられなくて！ でも今は大人になって仕事もして「人の為に何か出来るかな」と思っていたときに、YUTAKAパパに声をかけてもらったので、これは台湾とは直接関係ないことかもしれないけど、自分にとってはすごく意味のあることだから、速攻で引き受けました。この曲はね、すごく良い曲。かっこいい曲。

－－では、そろそろニューシングル『何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那』について詳しく話を聞いていきたいんですが、まずこの楽曲を3人で歌うことになった経緯を教えてもらえますか？

「夢ないし」って自分で自分を責めないでいいよ

JAMOSA：JAY'ED×若旦那、JAMOSA×JAY'ED、JAMOSA×若旦那ってそれぞれ一緒に曲を作ったことはあるけど、3人ではやったことがなくて。だから最初は単純に「この3人でやったら面白いんじゃないか」ぐらいのテンションだったんですよ。「この3人だったらこういう曲だよね」みたいなイメージをいい意味で裏切りたいとは思っていました。あと、プロデューサーとしても凄いと思っていた若旦那を信頼して、私がどういう女性で、シンガーでもあるのかとか。JAY'EDのこともそうだけど、よく理解した上で『何かひとつ』を作ってくれたから、歌ってみて何の違和感もなかったんですよ。私がいつも言ってるようなことが歌詞になっていました。

－－実際に3人で作業してみて、いかがでした？

JAMOSA：超大変でした！ 若旦那がニューヨークにいたので、Skypeをオンにしながらテイクを録って送って聴かせて、それのリアクションをもらって……という繰り返しの作業。3人とも全部のラインを歌ってから、それぞれの良さが出ているパートを選んでいったので、レコーディングは実質7日間使ったかな。でも一番良い仕上がりになったので、時間を掛けた甲斐があったなって。

－－ここまで熱くてストレートなメッセージソングを歌うのは、JAMOSAの長いキャリアにおいても新鮮なアクションだったと思うんですけど。

JAMOSA：そうですね。本当に今だから歌える曲です。10年前だったらこんな熱く歌えていないし、今までの経験の中で培ってきた熱意があったからこそ歌えた曲だと思う。あと、今年からまた新しい事へフラットな状態で挑戦していきます。そういう私が今人生で置かれている立場にすごくピッタリだったから。タイミングって凄いなって思う。

－－仕上がりにはどんな印象や感想を持たれていますか？

JAMOSA：本当に新鮮だし「爽やかだなぁ！」と思った。JAMOSAって結構夜のイメージがあったから（笑）。でもこの曲はすごく綺麗ですっきりした青空なんですよ。PVともすごくリンクしてると思うし。実はこういう曲やりたかったんですよ！ だから今後自分のソロ曲を書くときとか、出てくるアイデアが変わっていきそうだなと思っています。あと、応援歌なんだけど、自分も歌ってて応援されてる感覚になってくるんですよ。叫んでるんだけど、優しい。不思議なパワーを持ってる曲だと思います。

－－JAMOSAにとっての“何かひとつ”でも夢中になれるもの。っていうのは、やっぱり音楽ですか？

JAMOSA：今まで夢中になってきたものは音楽だったし、それをがむしゃらにやってきました。JAY'EDや若旦那もそうじゃないかな。ふたりとも。すごく熱意を持って音楽をやってきてますからね。

－－ただ、世の中には“何かひとつ”を見つけられない人がたくさんいますよね。その状況に対してはどんなことを思いますか？

JAMOSA：みんなそれぞれのタイミングがあると思ってます。私の周りにも「夢なんてないし、私の人生なんて」とか言ったりする人がたくさんいるんだけど、「焦んなくていいよ！」って思います。10歳で見つけられる人もいれば、40歳になって見つけられる人もいる。人生、その人なりのオリジナリティがあると思うから、隣の人がどうあるとか、そんなこと関係ない。だからと言って「のほほんとしてなさい」ってことじゃなくて（笑）。「どうせ私って」とか「夢ないし」って自分で自分を責めないでいいよ、って。

－－「自分には実力や才能がない」とすぐに思い込んでしまう理由って、単純に没頭できる、夢中になれる何かとの出逢いがないからだと思うんですよね。で、それと出逢う為に必要なのって力じゃなくて。本能的に愛することだと思うんですよ。「俺、これが好きだ。もうこれがなきゃ生きていけない」っていう。

JAMOSA：うん、絶対そうですね。絶対に熱意とか愛は大切なことだと思います。「今まで愛を受けてないから」っていうことを理由にする人っているじゃないですか。自分もそうだったし。でもそうやって他人のせいにはしないで！ 絶対に愛せる、夢中になれるものは見つかるから！

－－今作『何かひとつ』は「夢中になれる物を 君はひとつ 胸に持っているよ」と歌いきってしまう。要は「気付いてないだけだ」っていう発想ですよね。何も持っていない訳がないっていう。ここは歌いながら強く共感するところですか？

JAMOSA：そうですね。英語で“education（教育）”ってあるじゃないですか。あれはギリシア語の“educo（引き出す）”が語源なんです。ということは、教えるということは押しつけることではなく、引き出すっていうこと。歌うことも、こうやっていろいろ発信していくことも、毎日勉強だと思うし、教わってると思うんですけど、それって引き出されてるっていうことだと思うんですよね。だから日々学んでいく中で“夢中になれる物”は絶対に出てくる。何かによって必ず引き出される。

－－なるほど。

JAMOSA：だから『何かひとつ』は今“夢中になれる物”を持っていない人とか、気付いてない人とかに聴いてもらいたいです。持っている人にはより熱くなってもらって、その人たちが吠えてくれれば、隣の人も燃えてくると思うし。

お婆ちゃんから「あ、ジャモね！」って言われたい

－－そもそも“何かひとつ”というテーマで曲を生み出そうと、歌おうと思った背景には何か具体的なきっかけがあったんですかね？ ドラマ？

JAMOSA：ドラマのストーリーもそうだけど、主人公である美咲ちゃんの持っているものがウチら3人にすごくリンクしてたんです。六本木のキャバクラでナンバーワンになった人が先生になって、学校に来ない生徒をどうにか登校させる為に頑張るんですよ。その意地とか熱意とか、負けず嫌いな感じとか、すごく似ていました。だからドラマに合わせたっていうよりも、元々持っている感情や感覚が自然に混ざり合った。やりやすかったし、本当に良いタイアップでした。

－－人生初のドラマタイアップですけど、決まったときはどんな気持ちに？

JAMOSA：決まったときはあんまり実感がなく（笑）。ドラマを観てから実感が湧いてきましたね。『何かひとつ』が流れてくる度に「あ～私も学校行きたいな！」って、変に燃えてきちゃって（笑）。

－－JAMOSAが音楽を続けていく上でのテーマのひとつとして「音楽で人を元気にしたい」というものがあると思うんですけど、今作は正しくその為の曲になっていきそうですよね。ドラマタイアップという外因も含めて。

JAMOSA：そうですね。今まではこういう大きなタイアップとかは無かったから。JAMOの元気玉をもっともっと多くの人にドラマを通して送れればいいなと思ってます。男の人も女の人も子供もお婆ちゃんもみ～んな元気になってもらいたい。その為に必要なことを、これからも丁寧にひとつずつこなしていきたいと思う。

－－あと、今作『何かひとつ』はこれまでのJAMOSAの曲を聴いてきたファンにとっては、結構びっくりする曲だと思うんですよね。そこについてはどう捉えていますか。

JAMOSA：びっくりさせられたんだったら、良かった！ だって「JAMOSAらしいね」って毎回言われるような曲出してたら面白くない！ いい意味でどんどん裏切って、いつも自分を立て直したり壊したりしていかないと、長続きできないんじゃないかな。何にも思われないよりは、びっくりさせたいから！

－－今年はそうやって驚かせていくモードなんですかね？

JAMOSA：かもしれない！

－－あと、現在、美咲ナンバーワン!!×JAMOSA スペシャルサイトがオープンしています。

JAMOSA：みんなに何か夢中になってることを、ツイッターやmixiを通して書き込んでもらうサイトです。想ってはいるんだけど、なかなか言葉に出せないことっていっぱいあると思うから、それを吐き出してパワーにしてもらいたい！

－－あのサイトによると、最近のJAMOSAは手料理を頑張っているそうですが。

JAMOSA：はい。

－－これはすごく勝手な僕のイメージなんですけど、JAMOSAって仕事でも音楽やって、プライベートでもずっとクラブに入り浸ってて、いわゆる生活臭が一切しない女の子だと思っていたので、あのつぶやきを見てちょっと印象が変わりました。あ、家庭的なんだって（笑）。

JAMOSA：めっちゃ作ってますよ（笑）！ お母さんに教えてもらった、枝豆と挽肉と野沢菜の炒めものとか。最近、毎日何かしら作ってます。弟が東京に引っ越してきてから、週イチで呼び出して私の手料理を食べさせたりしてますよ。あと、単純に手料理に燃えてきちゃって！

－－ハマってるんだ？

JAMOSA：毎日スーパー通ってますよ。

－－（笑）。

JAMOSA：ゴーヤーチャンプルもブリトーもスープもパンケーキも得意です。最近ワッフルデビューもしました。

－－JAMOSAの手料理が食べられるイベント、やってください。

JAMOSA：やりますか（笑）。それで、お腹壊されたら最悪ですよね！

－－そんな家庭的な一面も持っているJAMOSAですが、今作『何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那』で大きな花火を打ち上げたい想いは、正直強いですか？

JAMOSA：この曲をビッグヒットさせようとか、そういう考えでは作ってなくて。ドラマ主題歌という大きなチャンスを与えてもらって、とにかく良い歌を、良い曲を、自分の一番良いパフォーマンスを皆さんに届けたい。本当にそれだけ。結果はなるようにしかならないですからね。

－－では、最後に『何かひとつ』のイメージに合った質問をしたいのですが、今のJAMOSAにとっての夢って何でしょうか？

JAMOSA：日本のお婆ちゃんとかから「あ、ジャモね！」みたいな感じで言われたいです。食卓で「お、テレビにジャモ出てるね！」みたいな。そんな感じで“ジャモ”っていう言葉が使われていったら、それぐらい浸透できたらいいなって。お婆ちゃんに「ジャモはいいよ！」って（笑）言われたい！