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<インタビュー>NewJeans、K-POP界の女性への予想を打ち砕く“夢のような”成功を語る
By Paul Thompson / Billboard.com掲載
韓国・ソウルで行われた米ビルボードの写真撮影で階段を優雅に降りながら、NewJeansの5人は、明るい笑顔と心からの「Nice to meet you」で筆者を出迎えてくれた。その数日前、この爆発的な人気を誇るK-POPガール・グループは、韓国で最も権威ある音楽賞の二つである【メロン・ミュージック・アワード】と【MAMAアワード】の両方で<最優秀アーティスト賞>と<最優秀楽曲賞>を受賞したばかりだった。しかも彼女たちは、これを含め、昨年12月から1月上旬にかけて韓国で開催された約10の授賞式に出席したりパフォーマンスを披露したりしていた。だが、冬の授賞式シーズンの慌ただしいスケジュールにもかかわらず、彼女たちは温かさと熱意を醸し出している。
16歳から19歳までのMINJI、HANNI、DANIELLE、HAERIN、HYEINの5人の伝染するようなエネルギーによって、韓国だけでなく世界中のファンが魅了されている。2022年7月にデビューして以来、NewJeansはK-POP界のトップに躍り出た。リリースした8作のシングルのうち6曲が、韓国の主要ストリーミング指標であるサークル・デジタル・チャートで1位または2位を獲得している。いくつかの米ビルボード・チャートにもランクインしており、現時点でTOP10入りしたのは“Global 200”で3曲、“Global Excl. U.S.”で4曲、“World Digital Song Sales”で6曲(最高位は「Super Shy」で2023年7月に2位)、総合ソング・チャート“Hot 100”では5曲となっている。ルミネートによると、NewJeansの楽曲は全米の公式オンデマンド・ストリーミングにおいて9億3,160万回再生されている。
約10年前、つまり筆者がプロデューサーとしてK-POPに携わり始めた頃、K-POPのサウンドは大きく異なっていた。レコード会社はメロディ、ダイナミックな声域、まとまりのあるトラック・アレンジを重視し、ダンス・パフォーマンスは単に曲のサポートと考えられていた。時が経つにつれ、音楽は振り付けに適した仰々しいアンセムが多くなり、いわゆる“イージー・リスニング”曲(最近のK-POPの中心的なリスナーではない韓国の一般大衆が好むスタイル)は下火になっていった。だがNewJeansは、力強いパフォーマンスとイージー・リスニングが互いに排他的である必要はないことを証明した。今年米ビルボードの【ウィメン・イン・ミュージック】で<グループ・オブ・ザ・イヤー賞>を受賞した彼女たちがソウルで直接語ったように、グループの活動はまだ始まったばかりだ。
――【メロン・ミュージック・アワード】と【MAMAアワード】で<最優秀アーティスト賞>と<最優秀楽曲賞>を受賞した気分はいかがでしたか?
HANNI:このような大きな賞を受賞するのは本当に夢のようでした。正直なところ、私たちにとってはこういった授賞式となるとただその場にいられるだけで嬉しいんです。招待されるだけでも名誉なことです。まさか受賞できるとは思っていませんでした。私たちのコンテンツや音楽に関してたくさんの努力をしてくれた人たち、そしてそれをとても楽しんでくれた人たちにとにかく本当に感謝しています。だから、(授賞できたことは)より楽しいんだと思います。
DANIELLE:私もそう思います。私たちの活動に多くの努力と労力を注いでくれている人たちがたくさんいますし、私たちが楽しんでいるのと同じように多くの人たちが楽しんでくれていることをとても光栄に思っています。私たちの音楽を通じて、その幸せとポジティブなエネルギーを分かち合えること自体がとても光栄なことです。
――グループのディスコグラフィーはまだ少ないですが、【メロン・ミュージック・アワード】と【MAMAアワード】で<最優秀楽曲賞>を受賞した「Ditto」のようなヒットがたくさんあります。どの楽曲がこれほどヒットすると予想していましたか?
DANIELLE:私たちのCEOは、新曲ができて新しいアルバムを作る準備ができたら、メンバー全員をスタジオに呼んで一緒に全曲を聴かせるんです。アルバム『Get Up』の楽曲を初めて聴いた時、ただ圧倒されたのを覚えています。「これこそ私たちだ!これぞNewJeansだ」と本当に思ったからです。「Ditto」を初めて聴いた時、この曲とのつながりを感じました。人々がこの曲を聴いたら、何か癒されるような気持ちになってほしいと感じたのだと思います。だから世の中の人たちがポジティブなエネルギーを受け取っていると知るのは、本当に素晴らしいことです。新曲をリリースするたびに、自分たちと同じように楽しんでもらえるのかなって思います。みんなが私たちの曲に合わせて盛り上がっているのを見ると、本当に笑顔になります。
――伝統的にK-POP業界は男性が優勢でしたが、ADORは女性によって設立されています。そのような共通の視点を持つCEOのもとでのトレーニングはどのようなものでしたか?
DANIELLE:CEOのミン・ヒジンさんがいなかったらどうなっていたか想像できません。彼女とはとても親しいですし、強いつながりを感じています。彼女との会話のあとは、元気になりますし多くのことを学べます。海外に行ったりすると、私たちを買い物に連れて行ってくれたり、一緒に夕食をとったりして、何時間も何時間も笑いながら、何があったか、どうだったかを話したり、エピソード話をしたりするんです。
HYEIN:彼女はとても一貫しています。いつも私たちのことを気にかけ、心配してくれます。とても気さくで、最初に手を差し伸べてくれるので、彼女の近くにいるととても居心地がいいんです。母親のように私たちにアドバイスをしてくれます。偉大なCEOというだけでなく、人として素晴らしいんです。
――歴史的に、K-POPではコアなファンダムは女性にとって実現が難しいものでした。ですがここ数年でそれは完全に変わり、NewJeansはその最前線にいます。なぜそれを捉えることができたと思いますか?
MINJI:K-POPのマーケットがより大きくなったことが関係しているかもしれませんね。私たちが最初からあれほどの注目と愛を一般の人たちから受けたのもそれが理由の一つではないでしょうか。具体的な(目標を)設定したわけではなく、自分たちが好きな曲で、自分たちが好きなパフォーマンスをすることを目指しました。それが、早い時期からファンに愛されることにつながったんだと思います。
HAERIN:私もそう思います。あと、ファンや大衆とコミュニケーションできる手段がたくさんあるからだとも思います。
――NewJeansはK-POPミュージックのサウンドを変え、イージー・リスニングへの回帰に向かわせたと思うのですが、皆さんはどうお考えですか?
DANIELLE:音楽そのものが常に変化しています。ただ、私たちがデビューする前、ミンCEOは何か新しいこと、新鮮で変わったことをやりたいと言っていました。と同時に、どんな人でも、年齢や性別に関係なく、聴いて楽しめるものにしたいと望んでいました。だからイージー・リスニングな音楽が生まれたんだと思います。私たちは、「あ、私たちって音楽を変えるんだ、最高じゃん」なんて本当に思っていませんでしたよ。(一同笑)ただ新しくて楽しいことをやってみたかっただけです。
――皆さんは短期間で多くのことを成し遂げました。これからどこへ向かいたいですか?
HAERIN:私たちの楽曲で人々を感動させたいです。エモーショナルな曲を作るだけでなく、ステージの上や音楽を通して人々と感動を分かち合いたいです。
MINJI:私もHAERINと似たようなことを考えていますが、私たちの音楽が長く記憶に残るといいなって思います。例えば「Ditto」を聴いたら去年の冬を思い出してほしいです。
DANIELLE:音楽やパフォーマンス以外にも、私はただ自分に誠実で、常に寛大で、心が広く、謙虚で、一生懸命努力する人になりたい。やりたいことや行きたい場所がたくさんあるからです。たくさん経験し、たくさん学び、(NewJeansの)メンバーと一緒にいる時間を楽しみたいです。
ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック イベント情報
【2024 ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック・アワード】
配信:日本時間2024年3月8日(金)午前10時
司会者:トレーシー・エリス・ロス
パフォーマンスを披露する受賞者:
カロルG <ウーマン・オブ・ザ・イヤー>
チャーリーXCX <パワーハウス賞>
マレン・モリス <ヴィジョナリー賞>
NewJeans <グループ・オブ・ザ・イヤー賞>(コーク・スタジオ提供)
テムズ <ブレークスルー賞>
ヴィクトリア・モネ <ライジング・スター賞>(ホンダ提供)
ヤング・ミコ <インパクト賞>(アメリカン・エキスプレス提供)
ルイサ・ソンザ <グローバル・フォース賞>(グループ・アワード)
パフォーマンスを披露しない受賞者:
アイス・スパイス <ヒットメイカー賞>
カイリー・ミノーグ <アイコン賞>
ミシェル・ジュベリラー <エグゼクティブ・オブ・ザ・イヤー>
ピンクパンサレス <プロデューサー・オブ・ザ・イヤー>(ボーズ提供)
サラ・ジェロニモ <グローバル・フォース賞>(グループ・アワード)
アンナリーザ <グローバル・フォース賞>(グループ・アワード)
プレゼンター:アンドラ・デイ、スカイ・フェレイラ、ネリー・ファルタード、グロリラ、エリー・ゴールディング、ジョジョ、ココ・ジョーンズ、ビービー・レクサ、スウィーティー、レイニー・ウィルソン
特設サイト
リリース情報
NewJeans 関連リンク
ビルボード・ジャパン・ウィメン・イン・ミュージック イベント情報
【Billboard JAPAN Women In Music Sessions vol.1】
2024年3月26日(火) Billboard Live YOKOHAMA
1stステージ「“ジェンダーギャップ”はどうして問題なのか?」
OPEN 17:00 / START 18:00
出演:SIRUP/Furui Riho
モデレーター:長谷川ミラ
2ndステージ「メディアが作り出す“ジェンダーバイアス”とは?」
OPEN 20:00 / START 21:00
出演:SIRUP/Furui Riho、高嶋直子(Billboard JAPAN 編集長)
モデレーター:辻愛沙子
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